超能力育成学校の騒乱   作:ダークユニオン

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翼は美寿子に不審者撃退を頼まれ、行動するが…。



第二話 不審者

 

「翼、どこ言ってたんだ?」

教室に戻ると、前の席であり、俺の親友である「木村 皇紀」が話しかけてくる。

「少し生徒会室にいた。」

俺は次の授業の準備をするため、生徒に所持が強制されている「携帯式タブレット」を鞄から出しながら喋る。

「そうか…。」

昼休み終了の鐘が鳴る。

扉が開き、教科担任が入ってくる。

「さあ、授業だぞー!席について前向けー!」

 

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俺は眠い授業を受けながら外を見て居た。

不審者…一体どんな能力を使用するのか…。

「おい、竜城、どこ向いてんだ?」

「あ、すいません。」

クラスで笑いが起きる。

 

今日も疲れそうだ…。

 

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学校が終わり、寮に帰る。

 

「咲桐、ただいま。」

「おにいーちゃん!おかえりー!」

そういって俺の妹は俺に抱きついてくる。

妹の名前は「竜城 咲桐」。

高校一年だ。

「今日一年生は職員会議があるから帰ってくるのが早かったんだ!」

「そうか、ご飯は出来てるか?」

俺は唸っている腹を抑えながら言う。

「うん!もちろん!早く着替えてきて!」

「ああ、分かった。」

俺は階段を上がり、自分の部屋へ向かう。

現在、俺達はとある事情により親とは別居している。

俺は自分の部屋の前に辿り着く。

 

ドアを開け、シャツのボタンを外す。

 

やはり自分の部屋が一番落ち着く。

 

脱いだシャツを投げ捨て、学校指定のズボンのチャックを開け、脱ぐ。

脱いだズボンをクローゼットのハンガーに掛け、部屋着を着てから自室を出る。

 

階段を降りていると、妹の声がした。

 

「まーた、お兄ちゃんったらまた生徒会長と話してたの?」

…生徒会長…?…どういう事だ?…。

そういえば鞄を置きっぱなしにしていた!

俺は階段を静かに素早く降りる。

リビングのドアを開ける。

すると、妹は焦りながらも素早くタブレットを俺に向ける。

「お兄ちゃん、電話だよ?」

「ああ、ありがとう。」

俺はタブレットを受け取り、画面を確認する。

そこには「生徒会長」からの着信があった。

俺はリビングから出て、トイレに入る。

タブレットの電話に出るマークをタップする。

「翼くん?」

「はい、なんでしょう、それと翼と呼ばないでください。」

「…実は、不審者が一人では無いことが分かったわ、それと、そのほとんどがAランクみたい。」

「…それが何か?」

俺は問う。

「いえ、何でもないわ。報告しただけよ。」

「そうですか、失礼します。」

俺は電話を切るマークを押す。

俺はトイレのドアを開け、リビングに戻る。

「咲桐、飯を食おう。」

「うん!」

そう言いながら俺は席につく。

「美味そうだな。」

「ええ、それはそれは私が作ったご飯ですからね!」

俺はそのまま食べ続け、妹と談笑しながら楽しむ。

 

「美味かったぞ、ご馳走様。」

「フッフッフ、さすが私。」

咲桐は顎に手を当てながら言う。

俺は笑いながら台所に皿を下げる。

「咲桐、少し学校に出てくる。」

「……お兄ちゃん…。」

咲桐は心配そうに俺を見る。

「ああ、大丈夫だ。絶対。」

「分かった!絶対帰ってきてね!」

「ああ。」

俺はそのまま家を出る。

 

タブレットを見ながら学校に向けて走る。

「チッ…相手は5人か…。ちょっとキツいな…。」

そう言いながら「基礎超能力:速度上昇」を発動し、走る。

 

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「ハァハァハァ、やっと…着いた…。」

俺はやっと不審者の元へ辿り着く。

「誰だ貴様は…。」

4人の内のリーダーらしき人物が俺に話しかける。

「俺は…そうだな…貴様らをここで死に至らす者とでも言っておこう。」

「チッ…我はレクトだ…。」

レクトが名乗ると同時に3人の手下が攻撃に出る。

俺はAランク認定の『神速行動』を使用し、素早く二刀の剣を取り出し、切り刻む。

しかし、戦闘の奴は『物体硬化』を使用し、手でガードする。

俺は素早く剣を下に回し、攻撃するが、再び硬化される。

左右から『獄炎神化』使用者2人が火炎弾を放つが、俺は素早く剣を回し、切り裂く。

弾は起動を逸らし、誤爆する。

呆気に取られている間に『物体硬化』超能力者に剣を叩き込む。

相手は発動に遅れ、息を引き取る。

素早く左右に剣を振る。

左右の超能力者も息を引き取る。

 

「おお、素晴らしい。まさかAランク超能力者を四人も倒すとはな。」

レクトは拍手しながら喝采する。

「我にとって手下などどうでも良い。」

なっ…こいつッ…。

「レクト!お前を許さねぇ!」

俺は叫ぶ。

「おいおい、興ざめだな!」

レクトは叫ぶ。

俺は二刀の剣を素早く振る。

二刀の剣がレクトをコンマ一秒の差で切り裂く。

 

はずだった…。

 

「残念だな!我に攻撃は効かねぇ!」

剣は謎の緑の光の壁に弾かれ俺は大きく吹き飛ぶ。

「どういう事だ!」

「我の能力は『異物光線』、粒子の光線を作り出す能力だ!」

レクトはそう言いながら手を動かす。

「光線で焼き殺してやるよ!」

ヤバい…、どうすれば良い?!

俺が考えている内にレクトの顔は邪悪な笑みに歪んでいく。

レクトが光線を打ち続けるが、俺はそれを避け、切り裂く。

…光線?!そうだ!『神速行動』を使えば!…

俺は無茶苦茶に『神速行動』を使用しながら剣を振り、レクトに近づく。

「チッ…さっきとはスピードがまるで違う?!」

レクトは手で光線をさらにあやつる。

いや、正確には操ろうとした。

「何…だ…と…。」

光線を操作する事はできなかった。

何故なら、

「俺の超能力は『神速行動』だ。貴様を切り裂く等容易い事だ。自分の体をよく見るんだな。」

レクトの下半身と上半身はもう既に離れていた。

「なん…だ…と…。」

レクトは息絶える際にこう言った。

「まさか…貴様…校内序列三位にして「竜城」家の一族…か…。」

レクトは息絶えた。

 

俺はタブレットを取り出す。

運良くタブレットは傷ついていなかった。

俺は生徒会長へ電話をかける。

「もしもし、生徒会長、竜城ですが。」

俺は気楽に話しかける。

「あら、翼くん。早かったわね。大丈夫だった?」

「はい、大丈夫です。後、翼と呼ばないでください。」

俺は歩きながら答える。

「……。死体の処理は私がしておくわ。」

「はい、ありがとうございます。」

「では、また明日。」

そういって電話は切れる。

 

俺は走って家へ帰る。

 

妹の所へ。

 




次回 平和な日常

翼の不審者撃退により平和な日常は取り戻されたはずだったが…

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