Fate/Another Zero   作:オピス

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独自解釈があるので、ご注意を。


英霊召喚Ⅴ

 エクストラクラス

 

 

普通の聖杯戦争ではセイバー、アーチャー、ランサー、ライダー、キャスター、アサシン、バーサーカーの七騎しか存在しない。だが、この七つに属さないクラスも存在している。それは、裁定者(ルーラー)や復讐者(アヴェンジャー)なども存在している。これらは、普通の聖杯戦争では登場することはない。もし、登場するようなことがあったら随分特殊なものなのだろう。

 なぜだか、それ以外にもエクストラクラスと呼ばれるクラスも存在している。だが、それは特殊な力を持っているが上記の2つに比べればあまり知られてもいなく、性能がピーキーであったりもする。番人(ウォッチャー)は、他のサーヴァントの起こした事象や居場所を把握することができるが戦闘力はない。偽物(フェイカー)は、文字通り偽者である。何者かの代替品であったりする。

 

 

 

 

☆  ★  ☆  ★

 

 

 

 

 

 僕の家-ウェイバー・ベルベットの家は、魔術師として平凡以下であった。魔術師とは、代を重なるごとに力を増して優れた魔術師の家になるのが魔術師たちの常識だ。僕は、魔術師として三代目なのでまだまだ新しい魔術師の家だった。

 そのため、魔術刻印と呼ばれる魔術師にとって大事な物の一つが欠如していた。魔術刻印は、自分の子に継がせてより優れたものにしていくものである。魔術刻印があると、普通の人間であれば死んでいたのを何とか生きていられることもある。.....有名な家の分家であれば、本家から魔術刻印の一部を分け与えられることもある。

ただ、魔術刻印は自分の体に新しい臓器を創るような物で、拒絶反応が起きるので子供か親戚にしか継がせることしかできない。中には、誰に移植してもその持ち主が死ぬというものになったのも存在する。

 

 だからこそ、歴史が浅い人たちでも何十世代と続いてきた人たちに対抗できることを、証明したいと思ったのだが...

 

 

「あー、くそっ。どうして、この考えが方がダメなんだ」

 

 

 僕は、時計塔の廊下を不満を口にしながら歩いていた。ある授業で自分の考えた理論を話すと、その授業の先生だった時計塔で十二人しかいないロードの内の一人であるケイネス先生にそのことを言うと、具体的なことを言わずに批判してきた。.....周りの人達も同じような反応だった。

 何も論理的なことを一切言わず、考えるまでもない、そんな反応だった。そのことが不満だったので、文句を言いながら歩いてた。そうしていると、前から受付の女性が荷物をいくつか抱えてやってきた。

 

 

「あっ、ちょうどいいところにいた。君は確か、ケイネス先生の授業を受けていたよね。だったら、知っていると思うからこのケイネス先生宛の荷物を届けて欲しいのだけど、大丈夫?」

 

「確かに、授業を受けているので知っていますけど。そういう荷物は、直接持っていた方がいいんじゃないんですか」

 

「別に大丈夫だよ、大丈夫。それに、最近は荷物が多いからしょうがい、ということで」

 

「荷物が多い?どうして、何ですか?いつもなら、少ないはずなのに」

 

「最近、極東で聖杯戦争とかいう儀式が行われるらしいの。それで、聖杯戦争とやら関係のせいで荷物が増えているのよ。それで、こっちは仕事が増えて困っているのよ。だから、お願いできるかな?」

 

 

 そこで、聖杯戦争という聞いたことがない儀式に興味を持ったのとあの先生が、何を注文したのか見てみたいと思った。だから、面倒だが引き受けることにした。

 

 

「......わかりました。後で、教授に届けておきます」

 

「よし、これで荷物が一つ減ったー。ありがとうね、少年」

 

 

 そう言って、荷物を一つ渡してどこかに荷物を届けに行った。渡された荷物を見て、届け先がケイネス・エルメロイ・アーチボルトになっているのを確認して、何か魔術的な仕掛けがないのを確認してから透視の魔術を使って中身を見た。

 歴史を感じる赤い布があるだけだった。

 

 

(?何か魔術に使うものだと思ったのだけど.......どういうことだ)

 

 

 儀式と聞いたからどのような物を使うのか興味を持ったので中身を見たのだが、これではこの布をどのように使うのか全くわからなかった。そのため、荷物を持ったまま図書館に行って調べてみようと思った。

 

 

「いつまでに届ければいいのか、言っていなかったから大丈夫か。実物を持っていけば、確実に何に使うのかわかると思うからしょうがない」

 

 

 そして、ケイネス宛の荷物を持ったまま図書館に行き、極東の儀式である聖杯戦争について調べようとした。

 

 

 

 

 

 

☆  ★  ☆  ★

 

 

 

 

 

 そして、聖杯戦争に関する資料を読みそれがどのようなものなのかを知った。資料に書かれていたことに驚きの連続であった。

 

 

(あらゆる時代の英霊の召喚、願望機、どの性能を考えても複数の分野から成り立たせているな、これは..。極東は、辺境なにあるので魔術は遅れていると言う人はいるが、これを見るとそんなことは言えないな。それに.幻と言われた冠位(グランド)の称号を受けた人に極東の蒼崎という人がいるからな)

 

 

 それで、やっと古びた赤い布の正体がわかった。英霊を召喚するための触媒で、あることが。そこで、赤い布に関する英霊を調べてみた。時間が掛かったのだが、何とかそれらしき人物を何人か探し当てられただけだった。

 

 

(『古びた赤い布』。これだけだと何人か当てはまるから、断定はできないな)

 

 

 どの英霊なのか、特定するのは諦めた。

 そして、聖杯戦争はこれまで勝ったものはいなく、これに自分が参加して歴史が浅い魔術師でも一流の人とある程度は対抗することができる、と証明することができる絶好の機会だと思った。聖杯戦争で結果を出して、さっき馬鹿にしてきたケイネス先生などに自分が言った理論が正しいと証明してやる、との思いで参加することを決めた。

 だが、問題もあった。

 

 

(サーヴァントに関しては、このケイネス先生宛に届いた荷物を使えば大丈夫だろう。....そこそこなところまでいけば問題にはならないと思うのだけど。一番の問題はお金がない!)

 

 

 ベルベット家は魔術師としては浅く、コネもなく多額の金が入ってくる手段もない。お金のほとんどを魔術に使用しているので、使えるお金がない。そのため、急に極東の日本に行くためのお金を用意することはできなかった。急でなければ、どうにかできたかもしれないのだが。

 どうにかして、お金をリスク少なく得る手段を考えなければいけなかった。考えた結果、どうしても借りたくない人物しか思いつかなかった。だが、その人物しか心当たりがなかったので仕方がないと思った。

 

 

(っ。メルヴィンぐらいしか、纏まった金を貸してくれる人を思いつかないとはな.....。魔術師としては優秀だが、あの性格がなー)

 

 

 届けるはずだった荷物を抱えて、調律師のメルヴィン・ウェインズのところに渋々向かった。

 

 

 

 

 

☆   ★   ☆   ★

 

 

 

 

 

 調律師。

 魔術師の魔術刻印や魔術回路に干渉して、一時的に使う魔術の効率や効果を増加させるたり、魔術回路の調節などをすることができる特殊な魔術の使い方である。メルヴィンは調律するにあたって、バイオリンを使用する人物である。......バイオリンを使うのが支流なのかどうかは不明だが。

 

 

「やあ、ウェイバーくん。久しぶりだね。どんなようがあったら、君が嫌っている僕のところに来る用があるんだい?」

 

 

 出会って、一発目にこんなことを言ってくる人物である。昔、ちょっとしたことがあって会いに行きたくもないし性格的にも苦手な人物だ。

 見た目自体は、白髪で全身白い服を着ているような人物である。生まれながら病弱な人物なので肌も白い。そのため、全体的に白いという印象を受ける人物である。

 

 

「.......日本までの飛行機のチケット代、生活費などに使うお金が欲しい。だから、お金を貸してくれ。そしたら、お前に面白い話をき聞かせてやるから」

 

「確かに僕は、面白い話を聞かせてくれたら金をやる、とは言った。だけど、君が僕に殴りかかってきたこともあったじゃないか。そんな相手から金を貸して欲しいと言われて素直に渡してくれると」

 

「...僕も、あの時のことは悪かったと思うと。だけど、今回はどうしてもお金がいるんだよ!」

 

「.....まぁ、いいよ。もちろん、帰ってきたとk..ゴッホ」

 

 

 言葉の途中で、目の前の人物が吐血した。メルヴィンは、病弱でためによく吐血する。そのため、輸血パックを常に持っていたりする。それに、もし魔術の才能がなかったら、まともに歩くことができない状態である。つまり、魔術回路を常時使っているから行動できているということである。

 それと、話している最中に吐血を何回もしてくる。それなのに、なぜか平然としている。たまに、輸血パックなどで血を補充しているがそれで大丈夫なのか、と思うときもある。

憎たらしいことに、魔術に関しては僕よりも優秀である。魔術回路を使って、常時身体を動かしていたら維持するので精一杯なのだから。

 

 

「あー、ごめんね。いつもの吐血だよ。それで、金を借りたいという話しだったよね」

 

 

 そう言って、メルヴィンはひと呼吸おいてから僕に言い聞かせるように言ってきた。

 

 

「僕に面白い話を聞かせてくれる、ということ?」

 

「もちろん!絶対に面白い話を聞かせてやるよ」

 

「わかった。それで、いくらぐらいあればいいんだい」

 

 

 それで、メルヴィンからお金を借りることに成功した。それで、ようやく準備が整った。向こうに着いた後、どうやって行動していくかを考えつつ飛行機に乗って移動した。

 

 

 

 

 

☆   ★   ☆   ★

 

 

 

 

 

 冬木市に向かうのではなく近くの街に行き、良さそうな家を見つけてその家にいる住民に暗示の魔術をかけて自分を孫だと思わせることにして、そこを拠点にして活動しようと決めた。

 そして、人気がないかつ良い地脈の場所を探し始めた。そして、そこで英霊を召喚するための召喚陣を書くための素材も用意しようと色々と見て回った。それで、森の奥の方に適した場所があったのでそこで夜英霊を召喚しようと決めた。

 

 

(魔術は秘匿しなければ、ならないという点から夜活動をする人が大半だと思うから昼間をできるだけ、情報を集めに力をいれるという形でいいかな) 

 

 

 下見で、冬木市を歩いてみた。その後、自分の拠点であるおじいさんとおばあさんの家に戻って食事を食べた。そして、寝たように見せかけて家を出て昼間見ておいた場所に向かった。

 その場所にたどり着く前に、召喚陣を書くための物を撮取って向かった。その場所に着いて、まず英霊を召喚するための召喚陣を書き始めた。

 

 

(よしっ、こんなものかな)

 

 

 自分で見ても、そこそこのできなものを書けたと思った。そして、ケイネス先生宛の荷物から取ってきた古びた赤い布を用意した。

 自分が、何かミスをしていないのかを何度も確認してしていた。それでも、不安を完全に払拭することはできなかったけど、召喚を始めることにした。

 

 

「素に銀と鉄......」

 

 

 予め調べて、用意していた呪文を唱えった。それをここに来るまでに完璧に覚えて最後まで間違えることなく唱えた。

 唱え終わった後、風が吹き乱れて何かとラインが繋がった感覚もあった。そして、現れた人物から声をかけられた。

 

 

「.....お前が私を呼んだマスターか?」

 

「は、はい」

 

 

 予想外のことがあり、そのまま答えた。そのことに、目の前の人物は確認をしたかっただけだったみたいだ。

 

 

「これから、よろしく頼む。私はライダーのサーヴァントだ」

 

 

 そう目の前の女性は答えた。髪は黒く短く切りそろえられていて軽くウェーブしていた。そして、目は特徴的で金銀妖眼(ヘテロクロミア)だ。服は、赤い色をした簡素な鎧を着ていた。

 自分が予想していた英霊に、女性はいなかった。そのため、目の前の英霊が何者なのかという疑問を持った。そのため、真名に関することで弱点がバレたくなかったので、思い切って聞いてみようと思った。

 

 

「えっと、急になんだけど真名は何?」

 

「.......名前は、言えない。それに何かしらの弱点の伝承もないが、ライダーとしては十分な力を持っていると思うぞ」

 

「無銘?そんなはずはない。しっかりと触媒をしようして召喚したのだから、それに関する英霊が呼ばれるのではないのか?」

 

「いや、それで合っている。単に、私が特殊なだけだよ。詳しいことはおいおい話していく」

 

「わかったよ。後で、絶対に教えてくれよな。それで、ライダーと言っていたけどどんなことができるんだ?」

 

「どんなことか、と言われてもな。基本的には戦車を召喚しての機動力を活かした戦い方など.....かな。それと、魔術が少し使えるかな」

 

「魔術?ライダーなのに」

 

「クラスには、全く関係がないからな。ランサーとかでもキャスターぐらいは無理でも、簡単なものであれば使えると思うぞ」

 

「なるほど。ということは、サーヴァントの魔術にも注意した方がいいのかな」

 

「いや、そんなに気にする必要はない。使えたとしても、サポート程度の魔術しか使うことができないだろうからな。まぁ、これにも例外があるのだが今は気にしなくてもいい」

 

 

 自分が読んだ文献には、最低限のことしか書かれていなくどのような戦術や能力のサーヴァントがいたのかわからなかった。そのため、事前に少しでも知れてほっとした。

 

 

「それで、マスター。これから、どのようにするのか決めているのか?」

 

「漠然とだけどね。魔術を使ってある家に親戚という形で泊まっているから、そこを拠点にしよう、と思ってる」

 

「そこは、冬木の中なのか?もし、そうであれば、その家の住民を巻き込むリスクが高いのだが」

 

「そこは、大丈夫。僕も余計な被害は、出したくないからね」

 

「そうか」

 

 

 その後、二人はまず拠点としている家に向かうことにした。その途中、簡単に聖杯を得たい理由などを言い合った。

 そこで、ウェイバーはライダーを比較的常識人であると思った。だから、あまり無茶苦茶なことをしない、と思っていたのだがその考えを聖杯戦争が始まってから考えさせられることになった。

 

 




メルヴィンとライダー、難しい。多目に見ていただければ、幸いです。


次回で、英霊召喚は終わりです。



*ランサー陣営は、原作と全て同じです。追加するとすると、法政課やドクターハートレスを出したかったのですが、厳しかったので「なし」にしました。

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