鎮守府建設物語   作:〆さば
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勉強なんて嫌いだー!国語の成績が全然上がりません。

\(・ω・\)偏差値!(/・ω・)/ピンチ!


第4話

うう、体中が痛い。太い針で刺されているような痛みが体中を巡り、がんがんと頭痛もする。
そんな痛みに耐えながら重い目を開ける。
視界に眩しい光が刺さる。そのせいでうっ、と声を上げる。

「あ、目覚めたんですか?」

私は今どこにいるのだろうか。冴えていない脳で何をしていたかを思い出そうとするが名前ぐらいしか出てこない。重い口を開き振り絞って話す。

「……ここは、どこですか?」

「ここは、車の中ですよ。これから海軍へ戻るんです」

海軍、なぜそんなところに行くのだろうか。海軍…そういえば鎮守府の視察をしていたはず。視察……あっ。
霧が晴れたように考えが回っていき、私は驚愕して無理やり体を起こす。

「いてっ!…あの後どうなったのですが?」

痛みに悶えながらも質問を問いかける。由良さんは無事だったのか、扉が破壊されたのは何故だ。脳が冴えてきたせいか疑問が次々と出る。
質問は助手席に座っている茶色の髪の人が答えてくれる。

「大丈夫ですよ、提督さん。傷は多かったですが浅いですから。提督さん以外は皆無傷ですよ」

そうか、ならばよかった。安心したせいか息を吐き、落ち着く。
時々車が揺れて傷が痛い。外はもう真っ暗で自分がどれほど長い間眠っていたか察する。
きゅっ、と音がして車が止まる。
はい、着きましたよ

ぼろぼろの服を着て、その下に包帯が沢山巻かれている。痛みに耐えながら車の扉を開けて外に出る。
外には大きく威圧感を放つ海軍所があり、茶色の髪をした艦娘らしき女性が二つの鞄を持って立っている。彼女を見て頭の中で何かが引っ掛かる。
しかし、考える閑なく女性が頭を下げて話始める。

「申し遅れました、提督。古鷹型一番艦古鷹です」

「古鷹さん、見送り有り難う御座いました」

「いえいえ、そんなに畏まらなくて大丈夫です。運転したのは私ではないのですし」

乗っていた車が海軍基地の駐車場へ進んでいくのが見えた。タクシーじゃなかったのか。

「帰りはどうするのですか、車は無いようですが」

「いいんですよ、今日は提督の見守りを兼ねて此処に泊まるので」

ああ、そうだったのか。……え、見守り?
大丈夫です、と言おうとしたが教官が此方に来る。

「おお、大丈夫…そうではないな。今日はもう休め。部屋は君が生徒だった頃に使っていたのがまだ空いているから、そこを使うといい。それと…勿論明日の視察は無くなった。明後日に備えて休むといい」

「はい、分かりました」

嘘だろ、日は変わらないのか。怪我治るといいな、第一印象は大事だし。
まだ仕事が残っているから戻る、と教官が言って、別れる。

「では、行きましょうか」

古鷹さんと一緒にゆっくりと歩いく。

「すまないな、こんなことになってしまって」

「いえ、大丈夫ですよ、このくらい」

雑談をしながら寝床へ歩いく。彼女は倒れそうになったら体を引いてくれる。
そのごとにありがとうと言うと満面の笑みで喜んでもらえる。なにか照れ臭くて話が途切れても話題を出してくれる。
そんなやり取りをしているともう部屋の前に着いた。

「ありがとうございました。此処まで着いてきてくれて」

「畏まらなくて下さい。とっても楽しかったですよ」

また、彼女は笑顔になる。ああ、またこの顔だ。母親のようで、恥ずかしさに眼を背けてしまいそうだ。しかし、出来ないので、肌が綺麗だなとか目の事とか黒子のこととかに注目してしまう。
そのお陰で会ったときの気掛かりの正体に気付く。傷の痛み何かより重要なことだ。

何処かで会ったような気がする…。

「あの、昔会ったことありませんか」

古鷹さんが少し驚いて直ぐ喜んだ顔になる。

「今度会うときまでに思い出して下さいね。では、さようなら。おやすみなさい、提督」

そして彼女は私の鞄を置き、後ろを振り向き歩いていく。去る途中で貴方が提督だったらいいのに、と聞こえたような気がした。
その場で立ち呆ける。
部屋に入って風呂の事なんか忘れてベッドに寝転がる。
今日行った鎮守府ではない、昔会ったことがあるはずだ。確信はあるが思い出せない。何故だ、提督候補生の頃は練習艦にしか会えなかった。つまり、候補生になる前、一般人の頃にも会ったということ。
しかし、艦娘は普段よほどのことがない限り街に外出できない筈だ。
つまり、古鷹さんとは高校生の頃の事件の時に見たということである。私はあの時以外艦娘には会えなかった。

私の故郷が深海棲艦に襲われた事件。

古鷹さんはあの事件の関係者。
あの事件は思い出したくない。彼処に住んでいた人は皆死んだと報告されたのだ。

思い出さないために冷蔵庫を開けた。住んでいた頃と同じなら水がある筈だ。
幸いにもあり、鞄を開けて睡眠薬を取りだし飲む。
何度も今回のように悲惨な事を思い出したときに使ったことがあるので慣れた。

そのまま、ベッドに倒れる。
いい夢を見られますように、と願う
脳に根強く残ったあの光景を忘れられるわけないのに…。

段々と意識が消えていき泥の様に眠った。
悪夢は見なかった。


2日後、いよいよブラック鎮守府へ行く日になった。
体の具合を確かめる。傷は大分癒えて痛みは無くなっていて瘡蓋となっている。
長期間行うだろうし、この部屋を使うのも今日で最後だろう。せっかくなので、壁に名前でも彫っておくか。入口付近の沢山彫られている名前の所にテープに名前書いて貼った。
消せなかったら怒られるだろうし。


今、私は教官室に居て事前の作戦会議を行っている。

「これが変装の衣装だ」

「あの、何で憲兵の制服なのでしょうか」

「憲兵の見回りは定期的に行っているし、新人提督が来た時普段通りに感じるだろう」

成程、早速教官から一室借りて着替えた。

「おお、似合っているじゃないか。憲兵になった方が良いんじゃないか?」

「遠慮させていただきます…」

そうか…と言って教官は悔しがる。なに、そんなに憲兵になった方がいいのか。
教官はファイルを渡して
「君が演じる憲兵だ、経歴とか聞かれるだろうからその通りに言えば大丈夫だ」
と言った。
こういう配慮はとても嬉しい。嘘はちゃんと作らないと気付かれてしまうから。
ざっと流し読んで細部は行く途中に読もうと考えた。
他にも録音機やシャッター音が出ないカメラとかも渡してきた。
「忘れ物はないか?」

「はい、大丈夫です」

「よし、成功すれば君には良いことだらけだ、気を引き締めて行けよ」

「はい!」

よし、頑張るぞ。
海軍基地入り口前に停めている車に乗って、鳥羽鎮守府へ向かって走り出した。



読んでいただきありがとうございました。

間違いがあれば指摘してくれるとありがたいです。






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