理不尽壊しのリインカーネイション外伝 〜大切な人を守る物語〜   作:橆諳髃

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「作者……サブタイトルが普通なのは良いんだが……」

ハイなんでしょうか?

「何故あの指定が付いている?」

それはですね……読んでからのお楽しみです。という事でご覧下さい‼︎

「そのまま流さないで欲しいんだが……」


4話 R-15 ガエリオさんが第501統合戦闘航空団に配属されるようです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミーナに会った翌日……俺は前々から計画していた事を実行に移した。

 

それは……軍上層部の研究施設に侵入し、何を企んでいるのかを探る事……

 

そして今俺はその研究施設に忍び込み、誰にも見られる事なく深部へと進んでいた。勿論カメラの類にも写ってはいない。本来ならば、もう少し計画を練ってから実行に移したいところではあったが……

 

(昨日ミーナに約束したからな……それに今の計画でも、軍の上層部は俺の存在には気付かない……)

 

度々補給艦を助けたとこの前言ったとは思うが、その時にはパワードスーツを着て顔を見られないようにしている。そして機体も、俺がキマリスに乗る前に使用していたグレイズだ。

 

グレイズといってもただのグレイズではない。指揮官用だから、普通のよりも性能は高い。だから普通にネウロイと戦うこともできる。グレイズで事足りるのだ。

 

なに? 何故キマリス以外にも使えるのかだと? あぁそうか。確か言い忘れていたな。俺は確かに最初……俺が死んだとされている戦場ではキマリスをこの世界で初めて使った。

 

だが最初、キマリスを使った後は体力の消耗が激しかった。そこでキマリスに、他の機体を使う事が出来るかと聞いた。そしたら、俺が乗ったことのある機体なら纏うことができると聞いた。それに付け加えて、俺の記憶にある兵器も呼び出すことは可能だ。しかもこれは、生成するのに疲れないというメリットが生じる。

 

そんなわけで俺は、最初の頃は指揮官機のグレイズを使用してパワードスーツの感覚に慣れるよう訓練した。そして身体が対応してきた頃にキマリスを使えるようになった。まぁ、相変わらずそれでも身体に負担はかかったがな……

 

その生活も3年経てばもう慣れる。今では疲れもしない。いささか半分人をやめているのではとすら思う。だがこうしなければ、あいつの足元に到底届かない。

 

(それに、守る者のためならば……俺は人の限界を超えてでも強くなる)

 

そうこうしているうちに、どうやら目的地に着いた様だな。研究員達が忙しなく働いている様だが、誰一人として俺には気づいていないか。それはそれで好都合だ。手っ取り早く済ますとしよう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果はというと、軍上層部がネウロイの核を使った兵器を作っているということが分かった。まだ試験段階ではある様だが、実戦に投入されてしまえば相手がネウロイといえど戦力バランスは簡単に覆るだろう。

 

だが、果たして人間が未知の存在を御しえるのだろうか? 俺には到底そうは思えない。何せ俺は……その前例を知っているからだ。

 

(ほとんど記録扱いだが、俺が生きていた世界でモビルアーマーと人類が戦っていた。だがモビルアーマーも人類が生み出した兵器の1つ……それなのにその2つの間で争いが生じるという事は、人がモビルアーマーを御しえなかったのに他ならない)

 

人が作り出した兵器ですら御しえないのに、未知の存在に手を出すのは阿呆のする事だ。しかも、俺のいた世界より技術力が劣ると見えるのに……

 

(まぁどこの世界に行っても、研究には犠牲がつきものだと考える思想を持った連中がいるという事だな……)

 

さて、もうここには用はない。調べる事も大抵すんだ。後は昨日約束した通り、ミーナに合流しよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side ミーナ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日皆さんに集まってもらったのは、この部隊に新しく入ってくる仲間を紹介するためよ」

 

作戦室にミーナの声が響く。この場に集まっているのは、勿論501統合戦闘航空団の面々だ。ある者はキリッとした表情で、ある者は笑みを浮かべ、ある者は緊張した面持ちで、ある者に限っては枕を抱いて寝ている者もいた。

 

この場面だけを見れば、全く統率が取れていない様に見えてしまうだろう。だがあえて言おう……これがいつもの光景であると。

 

「ミーナ、それで今日入ってくる新人はどんな奴なんだ?」

 

「えっ⁉︎ 坂本さんも知らないんですか?」

 

「あぁ、さっきミーナから聞いたばかりでな。詳しい事は私にも分からないんだ」

 

坂本の発言で少し場がざわつく。

 

「はい皆静かに。それじゃあ早速呼ぶわね。入ってきてちょうだい」

 

ミーナがそう合図すると、ドアを開く音が聞こえ、そこからとある人物が入ってきた。それを見た面々は、一応に固まっていた。

 

「紹介するわ。今日から私達の部隊に入るヴィダール少尉よ」

 

「こんななりで失礼する。さっきミーナ中佐から紹介されたヴィダールだ。階級は少尉だが、そんなものは気にせずに呼んでもらいたい。なにぶん慣れない環境にある事は確かだから、迷惑はかけてしまうがそれを込みでよろしく頼む」

 

501の面々から見たら正に異様な光景だ。何せ、仮面を被った者が律儀に頭を下げてそう言っているのだから。ある意味シュールな光景だ。

 

「お、男……なのか?」

 

「あぁ、私は男だ。この部隊は女の子だけの編成だと聞いている。だから、私がこの場にいる事は場違いだと自分でも思っている。そして、この部隊の掟もな」

 

「それでなんだけど……今回を機に男女の仲を解禁しようと思うの。今までは、必要最低限の事でしか関われなかったと思うけど、これからは自由に接して構わないわ。でも、羽目だけは外しすぎない様にお願いするわね」

 

ミーナが飛び切りの笑顔でそう言った。それは稀に見れない笑顔だったと言います。

 

「ま、まぁヴィダール少尉がこの部隊に配属されるというのは理解したが……しかし軍の上層部もよく許したな……」

 

「あら美緒、ヴィダール少尉がこの部隊に配属された理由……気になるかしら?」

 

「あぁ、物凄く気になる。それも、ミーナに自分で作った掟を変えさせる事もな?」

 

「そうね……まず最初の質問から答えようかしら。簡単に言うなら、軍の上層部は彼に途轍もないほど大きな借りがあるのよ」

 

「「「えっ⁉︎」」」

 

それを聞いた501の面々は皆一応に驚いていた。若干マイペースな子もいたが……

 

「ふふっ……上層部のあの顔を見たときは、久々に私もスカッとしたくらいだもの。今思い出しても笑いが出るくらいよ」

 

「み、ミーナがそこまで言ってしまうものって……」

 

501のほとんどの子がとても気になっている様子……なので数時間前までに遡ってみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜数時間前〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「以上が彼の報告書になります」

 

「ふ〜む……ミーナ中佐、君は本気でこの者を501に迎え入れると言うのか?」

 

「はい。私は本気で彼を私達の部隊に引き入れたいです」

 

「だ、だがこれだけではどうにも判断が……」

 

「そう言うと思い、今回彼をこの場に呼んでいます。入ってきてちょうだい」

 

ミーナがそう言うと扉が開かれた。そこからフルフェイスの仮面を被り、その者が着ていた服装も軍部さらにはこの世界では見られないものだった。これには上層部も呆気にとられる。

 

「お初にお目にかかる。先程紹介されたと思いますが、私がヴィダールと申す者です。この度は、書類だけではあなた方が困ると思い、直々に参上した次第です」

 

「う、うむ……それはご足労を……」

 

ヴィダールの言にたじろいだ様子の上層部……

 

「して、私は501の部隊に配属されるのは可能でしょうか?」

 

「そ、それはだな……」

 

「そうですか……では私も少し強硬な手段を取りましょう」

 

「きょ、強硬な手段……だと?」

 

「えぇ。私は、その日にやった重要な事をメモする性質でしてね……それも一言一句、私がやった事と相手から引き出した情報は小まめに書き連ねているのですよ。それがこちらに……」

 

ヴィダールが取り出した物……それは数百ページからなる分厚い容姿の束だった。それをヴィダールは上層部に渡した。それを見た上層部の表情は……

 

「な……なんだこれは⁉︎ そ、それにこの情報をどこで⁉︎」

 

「ご存知ありませんか? 度々……ネウロイに襲われた補給艦や部隊を助けた存在の事を……」

 

「た、確かにその報告は受けてはいたが……ま、まさか⁉︎」

 

「御察しの通り……私があなた方の補給艦を救援した者です。それと1つ言っておきますが……あなた方の手元にあるその記録用紙は、いらないものだから渡したに過ぎません。何せ……データのバックアップは私の手の元にありますから」

 

「くっ……」

 

「それで……どうでしょう? 私を501の部隊に配属は可能でしょうか?」

 

「……良いだろう」

 

「元帥⁉︎」

 

「彼がいなければ、我々に補給は届かぬどころか、兵達の命も犠牲になっていただろう。それを考えるなら、彼を501に入れても問題はない。逆にこちらの方にお釣りが帰ってくるほどだ。彼を501への入隊を許可する。階級は、この資料から見るに既に大尉クラスを与えても遜色ないとは思うが……」

 

「いえ……私はその階級に相応しくないと思っています。少尉でお願いしたいのですが……」

 

「? 何故だ? 入隊早々大尉の階級の何が不満なのだ。いや、なぜ逆にそれより下の少尉の階級を欲する?」

 

「私の……過去と関係している事です。これはプライベートな話になるのでこれ以上は申しませんが……どうか少尉の階級を頂きたく」

 

「……分かった。ではそのようにこちらも手配しよう」

 

「ありがとうございます」

 

これでヴィダール……ガエリオが私達の部隊に入る事が決まったわ。

 

(ふふっ♪ これでガエリオと昔のように過ごせると良いのだけど)

 

正直ミーナさんがガエリオを501に入れるのはこんな理由からだと言います。

 

そしてヴィダールとミーナが会議室から出た。そのままなんの会話もなく、輸送機の方に向かう。そして2人とも輸送機の中に入り、搭乗口の扉が閉まって輸送機が飛び立った。その頃を見計らってか……

 

「この日が……貴方とまた一緒に過ごせる日が来るなんて……思ってもみなかった」

 

潤ませた瞳をガエリオに向けながら、ミーナは切なそうに言う。それに対しガエリオはミーナの手を握り、ミーナを安心させようとする。

 

「俺は……また君と、ミーナと暮らせるようにこの3年間戦ってきた。そして今、それが叶ったんだ。まだネウロイはいるし、例えネウロイがこの地球上からいなくなったとしても……大きくなり過ぎた軍が何をするか分からない。だが今は……俺も君とまた一緒に暮らせる事を嬉しく思う」

 

「えぇ……えぇ……今は私も、それが嬉しい」

 

2人は抱き合う。昨日の真夜中再会した時と同じように……

 

「ところでなんだけど、あの記録用紙を元帥達に渡しても良かったの? 元帥はともかく、もう1人のマロニー対象という人は、あの用紙を無かったものとしてするような気がするんだけど……」

 

「あぁそんな事か……それならここに」

 

ガエリオは懐から1枚のSDカードを取り出してミーナに見せる。しかしながら……

 

「そ、それは何かしら?」

 

ミーナの頭にはハテナが浮かぶ。それは当然の事だ……なにせこの時代にSDカードなるものは存在しないのだから……

 

「これはだな……この時代から随分後に開発された記録媒体の1つでな……専用の機器がないと見れないものだ。そしてこれはSDカードという」

 

「SDカード?」

 

「そうだ。そしてこれは、パソコン……パーソナルコンピューターがないと見れないし記録もできない。まぁ軍部がそれをもし持っていたなら見る事は出来るかもしれんが、まぁこれがなくてもさらにこれがある」

 

次にガエリオが取り出したものはスマートフォンだった。

 

「え、えぇっとぉ……それも何かしら?」

 

「これはスマートフォンといってな……SDカードが作られた後に作られた代物だ。そしてこれにはSDカード同様記録容量に限りはあるが、SDカードの様にパーソナルコンピューターが無くとも記録する事ができる。現にさっきの会話も……この様に」

 

ガエリオはスマホのマイク録音機能を使ってさっきの会話も流した。そこからは、先ほどの会話が寸分違わず入っていた。

 

「こ、これは……凄いわね⁉︎ でも、どうして貴方がそんな便利な物を?」

 

「……そうだな。俺ももうそろそろ、その辺りの話をしようと思っていたところだ。だから、驚かないで聞いて欲しい……と言っても無理があるかもしれないが……」

 

「良いわ。貴方の本当の事、話してもらえる? 私は……貴方の事を信じる。ただそれだけよ。だから話して」

 

「……わかった。聞いて欲しい。俺の全てを」

 

そしてガエリオは語ってくれたわ。自分が、本当は自分達とは違う世界で生まれて、そこで暮らして大人になって、今の様に軍属となっていた事。ただ私の世界と違うのは、ガエリオは元の世界で所謂、お金持ちの家系に生まれて、その親の威光もあって上の立場に昇りつめる事が出来た事。そこからは、いろんな人達と巡り合ったり、そして昔からの幼馴染と一緒に頑張っていたそうよ。

 

でも……ある時悲劇が起きたの。昔から好きだった幼馴染が亡くなられて、そして自分の大切な部下も禁忌を使わなければ生きる事も出来なくて……それでも結局はその人も最後には死んでしまった。

 

(そして最後には……幼馴染だった1人に裏切られて殺された……)

 

全部その幼馴染が仕組んだ事だったって聞いた。今でも心の奥底では許せないって言ってたわ。でも、ある人と会ってからそれも薄れて、そしてその人と一緒に歩もうと決めたらしいの。そこには、死んだはずの部下の人もいるらしくて、昔の日々の様にはいかなくても、満足だって言ってたわ。

 

そんな時に、私に見せてくれた物をその人が見せてくれたって。でもそれだけじゃ、なんでガエリオがそれ出せたのかの説明にならないわ。それも、今の時代よりも進んだ記録媒体を……

 

それについても教えてくれたわ。ガエリオがこの世界に来た時、とある3つの力を手に入れたそうなの。1つが、自分の記憶にあるものを生成する能力……それが私に見せてくれた力。後の2つは……戦う時に見せると言ってくれたわ。

 

「これが俺の全てだ。信じては……もらえないかもしれないが……」

 

全てを語った時、彼は悲しそうな顔をしていると思った。仮面を被っているけれど、そう感じた。自分でもどこか絵空事の様に思っているのかもしれない。相手に信じてもらえないかもしれないって思っているのかもしれない。でも私は……

 

「私は……貴方の事を信じるわ。貴方が本当は別の世界で生きていたのだとしても……私達は巡り会えた。だから私は、貴方を信じる」

 

「ミーナ……」

 

「だから、そんな顔しないで? 貴方には、笑顔が1番だもの」

 

「……俺は仮面を被っているというのに、君には今の俺の顔が見えるのか?」

 

「ずっと……ずっと一緒にいたんだもの。少し離れたからって、貴方が仮面を被って素顔を隠したって……今貴方がしている顔ぐらい分かるわよ」

 

「……ミーナには全てお見通しの様だな。ははっ……俺もまだまだか」

 

「ううん……貴方も、頑張って来たんだから。だからこの場で少し甘えたって良いの。いいえ、甘えるべきなんだから」

 

私はガエリオの事を抱き締めた。彼はそうされて一瞬躊躇っていたけれど……少しして私の事を抱き締め返してくれた。

 

(あぁ……昨日こうして抱き締め合ったばかりなのに、いつまでもこうしていたいと思うわ)

 

「ガッキー……」

 

「ん? どうしたミーナ?」

 

「ううん、なんでもないわ。ただ呼んでみただけ♡」

 

「そうか」

 

航空機の中では、そんな若干の甘々展開があった様です。そして時は501の面々にガエリオさんことヴィダールさんを紹介している時に戻ります。

 

 

 

 

 

 

 

「そ、そんな事があったのか……」

 

「えぇそうなの。あんな顔はなかなか見れないわ。坂本少佐にも見せてあげたかったわね。まぁそれはともかくとして、これからはヴィダール少尉も501に配属されます。それもあって、私が作った異性と必要限定的にしか接する事ができない……その掟を撤回することにしたわ。まぁさっきも言った様に、男の人と話せるからと言って羽目を外しすぎない様にしてね? それじゃあ今日は解散して、各自自由行動でお願いします」

 

「その前に1ついいだろうか?」

 

「なにかしらバルクホルン大尉?」

 

「多分他の奴も思っているだろうが……ヴィダール少尉のその名前は偽名……なのか? それと……」

 

「この仮面の事か?」

 

「そ、そうだ。服装も、私達が今まで見た事もない……そこも気にはなるが、やはり私としては同じ部隊に所属しているのだから、仮面を外して欲しいという思いがある」

 

「……ヴィダール少尉、どうしますか?」

 

「……分かった。バルクホルン大尉の質問に答えよう。まず私の名前の方だが……確かに今名乗っているヴィダールという名は偽名だ。今この場で本名を晒すわけにはいかない。名を隠すほどの理由を、今は持っている。そしてこの仮面についてだが……素顔を晒すことはできない。不信感を煽ってしまうことは……申し訳なく思う。だが、この仮面の下にあるこの顔も……今は晒す事ができない。それ以前に、私の顔には昔からの大きな古傷があってね……まだ初対面の君達には中々見せる事ができそうにない。こんな答えで申し訳ないが……どうかこの場では了承して欲しい」

 

「……分かった。この場ではこれ以上聞くことはしない」

 

「すまないが、それでよろしく頼む」

 

「はい。まぁバルクホルン大尉からの質問はそれで終わりとして、他に聞きたい事がある人は、各自で聞きに行く様に。じゃあヴィダール少尉、ここの施設は私が案内します。付いてきてくれるかしら?」

 

「あぁ、お願いする」

 

そしてその場はミーナのその言葉で解散となった。

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれからこの施設をミーナに案内してもらった。食堂、ストライカーユニットの整備施設、浴場にサウナなどだ。そして最後に俺にあてがわれる部屋に案内されたのだが……

 

「ここがガエリオの部屋よ」

 

ミーナに促されて部屋の中に入った。入る前に若干の違和感は感じたが……まぁ気のせいだろう。だがその違和感は正しかった。

 

何故なら中に入ると、俺の私物では無いものが置かれていたからだ。というより、俺は今日入隊したばかり……必要な物は揃っているからと昨日ミーナに言われて何も持ってこなかったのだが……いや、流石に着替えの部類は持ってきたが……

 

(何故こんなにも生活臭がしている? これは聞いた方が良いな)

 

「なぁミーナ……案内されて悪いんだが、この部屋はd〈カチャッ……〉……さっきの音はなんだ?」

 

そう聞きつつ振り向くと、ミーナが顔を俯かせてドアを閉めていた……とするとさっきの音は……

 

「もぅ……良いわよね?」

 

未だに顔を俯かせてそう聞いてくる。そして徐々に俺の方に近付いてきた。何が良いのか分からないが、何故かそのミーナの今の様子に威圧感があり、後退りしてしまう。それでもミーナの歩みは止まらない。

 

そして俺は何かに躓いて後ろに倒れた。倒れた時の感触は柔らかかった。ついた手で何かを探りながら、後ろに視線を向けた。どうやら俺が倒れ込んだのはベットだったようだ。だから柔らかい感触がしたのかと、そう思っていたら今度は前から何かが倒れ込んできた。視線を前に戻す。すると……

 

「私……この3年間寂しかった。貴方にもう会えないと思って……」

 

「ミーナ……」

 

「でも、また会う事ができた……そしたら今度は、何だか耐えられなくなってきたの。身体中が熱いの……だから……」

 

ミーナは俺が被っている仮面を外した。そこには、両者の視線を遮るものは無い。少し動揺した俺の視線と、ミーナの儚げな視線がぶつかる。それで俺は……ミーナがこの3年間ずっと苦しかったんだと……そう思い知らされた気がした。

 

こんな事なら……手紙でも送ってやれば良かったと、そう思った。そうしたなら、ミーナの苦しみも悲しみも少しは緩和できたんじゃないかと……

 

だが今そんなたらればを述べた所で変わらない。重要なのは今だ。だから俺は……

 

「ミーナ……俺は今からもこれからも、もう何も言わずに離れたりなんてしない。そして今の俺は……いや、これからの俺もだが……君の事を全力で愛する事を誓う。もう我慢なんて無しだ。全力で受け止めてやる! だから……今まで溜め込んできた物を吐き出して欲しい」

 

「っ⁉︎ ガエリオ‼︎♡」

 

ミーナは俺の首に両腕を回して抱き締めた。そして俺の唇とミーナの唇が繋がり……ミーナは今まで溜め込んできた物を吐き出すかのように、俺はそれを全力で受け止めるようにキスをした。その後……

 

「うふふ♡ いっぱいキスしちゃった♡」

 

「お、俺もこれまで生きてきた中であんなにキスをされたのは初めてだ……」

 

「あら? でも貴方だって後からとても積極的だったわよ? とても嬉しかったけどね♡」

 

「っ⁉︎/// そ、その顔は反則だ……」

 

「うふふ♪ 偶に可愛くなるところがあるんだから」

 

「う、うるさい……」

 

「ねぇガエリオ……私達……この戦いが終わった後も、ずっとこうして一緒に生活していけるかしら……」

 

「また離れてしまう事は……あるかもしれない。それでも俺は……もう君の前から突然いなくなったりなんてしない。さっきも言ったが……俺はそれを誓う。もう俺もミーナと離れるのは……いや……だからな」

 

「うん……うん! 私ももう、貴方を見失わない! ずっと……ずっと一緒よ♡」

 

その後少し疲れたのか、ミーナとガエリオさんはお互いに抱き合って眠ったようです。




色々と設定的におかしいところはありますが……そこも感想などで受け付けますし、すぐ直せるところは直しますので……では今回はここで「おい待て」っ⁉︎

「作者よ……今回もだが、よくもまぁこんな事を思い付くものだ。それはさておき……今回はこの前のようには逃さん。さぁ、色々話してもらおう」

えっ? ちょ何を⁉︎ ぎゃー⁉︎ キマリスを出さないでぇ⁉︎ いやぁー⁉︎




作者の運命やいかに……次回へ続く

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