何故ルミアが狙われたのか。
それは全て女王陛下であるアリシア7世を救うためだった。
アリシアは、今日侍女長兼秘書官であるエレノアから、あるペンダントを身に着けるようにと言われ、それを身に着けた。
だが、そのペンダントには条件起動型の呪いが掛けられていたのだ。
〝ペンダントを外せば死ぬ”、〝装着から一定時間で装着者を殺す”、〝ペンダントの呪いを第三者に漏らせば装着者を殺す”。
そして、呪いの解呪方法は〝ルミアの殺害”
グレンはそのことを独自で気づき、〝愚者の世界”を使い、呪いの発動を完封しアリシアの命を救い、そして、ルミアとアリシアの親子の仲間でも取り持った。
今回の一件で暴走をした親衛隊とその隊長のゼーロスには何かしらの処罰が下されるだろうが女王陛下の命が掛かっていたこともあり、酌量の余地はあるそうだ。
そして、この事件の黒幕であるエレノアはアルベルトとリィエル、そしてシンリィとドウェインに取り囲まれるも逃走をされ、行方を眩まされてしまった。
「何はともあれ、任務は遂行した」
「暗部はどうなるの?」
「さぁな。そもそも暗部は存在しない組織だからな。何の処罰もないだろう」
ドウェインはそう言い後ろを向く。
「邪魔したな、アルト。学生生活、楽しめよ。シンリィ、戻るぞ」
「………ドウェイン、ちょっと待ってて」
「……たっく、早く済ませろよ」
「………ねぇ、アルト。あの話、考えてくれた?」
シンリィにそう言われ、アルトは昼間の話を思い出す。
「ああ、アレね。うん、正直軍に戻るのも悪くないって思うんだ。でも、俺、やっぱりここに居たいんだ」
アルトは学院のほうを向いてそう言う。
「たぶん、これからもルミアは誰かに狙われる。そんな時、軍に居たらすぐには助けに行けない。でも、学院ならいつも傍に入れて守れる。だから、ここに居たい。それに………」
「それに?」
「ここにはルミア以外にも守りたい人がいるんだ。だから、軍には戻らない。ごめん」
アルトにそう言われ、シンリィは黙った頷く。
「………そっか。それがアルトの返事か。じゃあ、仕方ないね。私としては残念だけど、アルトが自分で決めたことだし、諦めるよ」
シンリィはそう言ってアルトを抱きしめる。
「相変わらずだね。抱きしめて来るの」
「私たちの友情表現なんだからいいじゃない。再開した時と昼間は抱きしめられなかったからね。その分、抱きしめるよ」
シンリィは嬉しそうにアルトを抱きしめながら言う。
「ちゃんと選択できたね。それでいいんだよ」
そう言ってアルトから離れる。
「じゃあね、アルト。またその内にね」
シンリィは小走りでドウェインの所に戻り、二人はそのまま学院を去った。
「またね、二人とも」
去っていく旧友の背中にアルトは手を振り、その場を去った。
これから魔術競技祭の優勝記念の打ち上げをする店に。
次回から原作3・4巻に入ります。
いよいよヒロインと積極的にかかわってきます。
そして、原作3・4巻からの話でアルトに関する重要なことが分かります。
お楽しみに