「あ、陽乃さんおはようございます」
「おはよう、比企谷君」
キッチンでエプロンをつけてきびきびと動く陽乃さん。エプロン姿可愛くないですか?
「今日の朝ご飯、パンと目玉焼きと簡単なスープだけどいい?」
トマトあるじゃないすか……。
まぁいいや。せっかく作って貰ったものだしな。
「はい、大丈夫ですよ。………トマト以外は」
ボソッ言った。
「聞こえてるからね?比企谷君。ちゃんとトマトも食べること!」
今の聞こえるの?地獄m
「言っとくけど、地獄耳じゃないからね?普通に聞こえたから」
「うっす」
心読むのやめて欲しいなぁ。
さて、箸でも出すか。
「ねぇねぇ、比企谷君。私のエプロン姿どう?」
その場で一回転する陽乃さん。
「あー、すごく可愛いと思いますよ」
「っ!?」
テキトーに答えたつもりだったんだが、固まってしまった。似合ってるの方が良かったかね?
「陽乃さん、ぼさっとしてないでください。目玉焼き焦げますよ」
箸を取り出しながら一応声をかける。
が
「………」
顔を赤くしてピクリとも動かない。
キスでもしてやろうかね。殺されそうだな。
「早く動かないとキスしますよ?」
陽乃さんの肩を後ろから掴み、耳元で囁く。
やっべ、顔あっつい。ヤバい、やらなきゃ良かった。
かわりにやるか。こんなの俺じゃねぇ。いや、ここに来てから俺じゃなくなってきてる気が……。
パンをトースターに入れ、目玉焼きをお皿に上げる。
まな板の上にあった生野菜を飾りつけておく。
「いつまで固まってるんですか?」
パンが焼けても未だに動かない陽乃さん。そろそろ動けよ。
「解放、筋力増加」
陽乃さんをさっさと運んでしまおう。
お姫様抱っこって膝裏と背中に手を回すんだったか?
ふむ、難しいな。
解放するか。膝裏と背中に手を回しておいて……。
「払え」
陽乃さんの足を払い、俺の手がある方に倒させる。
およ、意外と軽い。まぁ筋力増加もしてるしな。
「陽乃さん、ご飯にしますよ」
椅子に座らせたはいいがまだ動かない。
おいおい、5分経ったぞ。大丈夫か?
「どうしようもないな。置いてこうかな」
キッチンに戻り朝飯を載せた皿を運ぶ。
食べさせてみようか。
「陽乃さん、あーん」
口開けるかな?
にしても今日の俺は俺らしくない。むしろ俺じゃない。
あ、口開けた。
イチゴジャムを載せたパンを口に運ぶ。
咀嚼はするんだけど……。
視線が定まっていない。
「寝かせたほうがいいかね?」
うん、食べさせ終わったら寝かせよう。
**********************
あ、戸塚さんからメール返ってきてる。
結構長い時間寝てた気がするけど、今何時だろ……。
22:08
あちゃー、もうこんな時間かー。もう寝れないよ……。
っとと、それよりメールを。
To:八幡(小町ちゃん)
From:戸塚
title:八幡のこと
text:会って話したいから今度カフェでいいかな?あと材木座君と川崎さんも連れてくよ。
あのお兄ちゃんでも戸塚さんに教えてなかったんだ……。
To:戸塚さん
From:八幡(小町)
title:わかりました
text:いつがいいですかね?小町はいつでもいいですよ!あと雪乃さんと結衣さんはどうするんですか?お兄ちゃんに奉仕部関係には関わるなって置き手紙に書いてあったんですけど……。
これでいいかな。
お兄ちゃん、どこに行ったの……?
**********************
「はぁ」
ため息を付き、昨日言われた席につく。にしても……。
「比企谷君、昨日マクフェイルさんと決闘して勝ったってほんとう?」
「雪ノ下さんとどんな関係なの?」
etc…
うるせぇ。
人が突っ伏してるってのに話しかけんなよ。鬱陶しいわ。あと10分以上は耐えなきゃいけないのか。
蹴散らす方法あるんだけど、これやったらさすがにヤバイからなぁ。
「ねぇ無視しないでよー」
「起きてよー」
…………。お願いだから寝かせて!?
質問責めとか嫌いなんだよ!
あと男子からの視線が痛すぎるんだよ!
ぼっちは人の視線に弱いんだよ!?
もう帰りたい……。
解放術、筋力増加
星辰力を筋力に変える。
払え
その名の通り、星辰力で払う。