ぼっちは六花を謳歌する。   作:すのどろ Snowdrop

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5話

10分後、比企谷と陽乃以外は全員倒れていた。立っていた陽乃は汗を流していたが、比企谷は少々息が荒いだけ。

 

「星辰力よ、我が身から解放されし統星の力を封印せよ」

 

「ていうか、比企谷君、強すぎ……」

 

「なんにも言えないですね……」

 

「「くっ……」」

 

陽乃と天霧は苦笑し、ユリスと紗夜は比企谷を睨めつけている。

 

ちなみに、この試合の結果はというと。

天霧は途中リタイア。天霧の姉の能力によって縛られていたため、5分弱で倒れてしまった。

10k14d

紗夜→天霧、0k

ユリス→天霧、1k

陽乃→天霧、7k

比企谷→天霧、6k

 

紗夜も途中リタイア。比企谷との戦いで体力が尽きてしまった。比企谷をしつこく狙いすぎて、7分弱で体力が尽きてしまったのだ。

0k11d

天霧→紗夜、2k

ユリス→紗夜、0k

陽乃→紗夜、2k

比企谷→紗夜、7k

 

ユリスも天霧や紗夜と同じ途中リタイア。理由は紗夜と同じような理由で、比企谷をしつこく狙いすぎて倒れた。こちらは星辰力が尽きかけた。

3k12d

天霧→ユリス、3k

紗夜→ユリス、0k

陽乃→ユリス、5k

比企谷→ユリス、4k

 

陽乃は最後まで残っていたが、逃げていた比企谷を追いかけ、星辰力の使いすぎとシャトルラン擬きのせいで疲れただけだ。比企谷に接近戦を試みようとした結果がこれである。

18k12d

天霧→陽乃、4k

紗夜→陽乃、0k

ユリス→陽乃、2k

比企谷→陽乃、6k

 

比企谷は天霧と紗夜とユリスがダウンした後は逃げに徹した。陽乃とのかけっこ(?)も主にジャンプして空中にいたため体力もそこまで使わなかった。

20k5d

天霧→比企谷、1k

紗夜→比企谷、0k

ユリス→比企谷、0k

陽乃→比企谷、4k

 

紗夜とユリスは散々な結果だ。この事実が比企谷の作った校章擬きが告げた時、比企谷が不正したのではないかと文句を言おうとしたが、自分の惨状を見てそんなことはなかったと理解した。

分単位のk数は、天霧が一番多く、次いで比企谷、そして、陽乃といった感じだ。比企谷も逃げなければもっとkできただろうが。

陽乃はもう比企谷君を追いかけるのはいや、という体を表し、天霧は、いつか全力の自分と全力の比企谷の1対1で戦うことを夢見ていた。

ちなみに比企谷はベッドにダイブする自分をもうs……考えている。

 

「……治癒加速魔法はいるか?」

 

「「……いらん!(ない!)」」

「「貰おうかな」」

 

**********************

 

比企谷が天霧と陽乃に治癒加速を施して数分、紗夜の壊した(ここ重要)壁の穴から、クローディアが顔を覗かせた。

 

「こ、これはまた派手に壊してくれたものですね。このトレーニングルームはあなた方冒頭の十二人に貸し出しているだけで、学園の設備であることをお忘れなく」

 

そう言われて、このトレーニングルームを使っていた5人が辺りを見渡すと、壁が壊れていない場所を探すのが難しいほどぼこぼこにされていた。

 

「それくらい分かってるよー。これはあくまでも不慮の事故だから」

 

「なら結構です」

 

陽乃がクローディアに対してにこやかに答えると、クローディアもにこやかに返した。

 

「いやー、でもびっくりしたよねぇ、カミラ。吹っ飛んだ壁から凄い量の星辰力が溢れ出てたんだからさー。変わってるって意味じゃうちも相当なもんだと思ってたけど、やっぱり他所は他所なんだねー」

 

「あんまりはしゃぐんじゃない、エルネスタ。頼むからこれ以上は面倒をかけないでくれないか」

 

クローディアの背後から見慣れない顔の女性が二人現れた。天霧と比企谷(ついでに紗夜も)にとっては見慣れないのは、まぁ、普通だが、ユリスと陽乃、特に陽乃にとっても見慣れないとなると異常だった。

天霧と比企谷が見慣れないのはその制服だった。

 

**********************

 

クローディアによると、その女性二人はアルルカント・アカデミーのカミラ・パレートと、エルネスタ・キューネであるという。

が……

 

「いやー、是非ともこの目で拝んでみたくてさー。あたしの人形をぜーんぶ消し去ってくれちゃったっていう魔術師くん」

 

そう言ってにぱっと笑った。

もちろん、爆弾発言である。

なにしろこの少女は、自分が黒幕です、と白状したようなものだ。驚くなという方が無理である。

 

「んで、キミか噂の魔術師くんだねー。ふむふむ、なるほどなるほどー」

 

エルネスタはそんな空気を無視して比企谷へ近づくと、じろじろと眺めながらうなづいた。

 

「うん、よくわかんない!」

 

その発言にその場にいた、陽乃、クローディア以外の者全員がよろめいた。

 

そしてそのよろめいた比企谷にむかってちょいちょいと手招きする。だが、比企谷はそれを無視し、陽乃の隣でエルネスタを睨めつけた。

エルネスタはむぅ、と言った表情で比企谷に近づき、つま先立ちをすると、猫のように目を細めてそっと耳打ちをした。

 

「でも、次はそう上手くいかないぞ?」

 

比企谷は、頬にキスしようとしたエルネスタの顔を掴み、こう返した。もちろん、耳打ちで。

 

「次も何もない。どこを強化しようが、ウルム=マナダイトを持ってこようが潰してやるよ」

 

そして比企谷は顔を離し、エルネスタはすぐさまカミラの後ろへ隠れた。もちろん、比企谷の心情は、

 

(あざとい)

 

であった。

そしてこの後、拗ねた陽乃を慰めるのに今まで小町に鍛えられたお兄ちゃんスキルを駆使する比企谷であった。


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