ぼっちは六花を謳歌する。   作:すのどろ Snowdrop

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いつの間にかお気に入りが450を、UAが4万を超えていました。1週間以上投稿してないにもかかわらず、いつもありがとうございます。

さて、お気付きの方が多いと思いますが、八幡の能力を影から星辰力による圧縮・解放にしました。


14話

 

「は、陽乃さん!?なんというか、これはやめていただきたいのですが!?」

 

「ふふふー、だーめ」

 

「ちょ、何してっ、やめっ」

 

陽乃さんに視界を奪われたと思ったら、その次の瞬間、両腕を片手で掴み上げられ、押し倒された。

陽乃さんはそのまま俺の胸に顔を埋め、「むふふー」とへんな声を出す。

まだ寝惚けてるのか、とも思ったが、ここに来ている時点でそれはそれはありえないという結論にいたった。

にしてもあぶねぇ……頭打つところだった。

 

「陽乃さん、危ないです」

 

「ふふ〜」

 

いつになくご機嫌が良い気がする。

てか朝の公園で押し倒されてるこの絵面、結構危なくないか?誰かが通りかかったら誤解されそうな。

 

「陽乃さん、ちょっと実験みたいなのしたいので決闘に付き合ってください」

 

「やーだ」

 

幼児退行でも起こしたのか、この人。ガキっぽい声で決闘を断ったかと思ったら俺の腕を解放して背中に手を回してきた。

どうしたもんかねぇ。どうしようもないよなぁ。

 

「すぅ……」

 

え、寝始めちゃったよこの人。寝るなよ、風邪ひいても知らねーぞ。

 

「圧縮」

 

眠った陽乃さんを俺の人差し指くらいの大きさに縮め、俺の胸ポケットに入れる。

さて。

 

「星辰力を縛りし我よ、今を以て5統星の力を解放す!」

 

統星を解放すれば視界は復活するはずだからこれでようやく帰れるな。

 

「はぁ、朝から疲れたわ……」

 

ひとつため息をつき、胸ポケットの中にいる陽乃さんを確認し、帰り道を辿る。

 

「……」

 

この時、八幡の歌を聞いていたのが陽乃だけではないことに、八幡も陽乃も気づいていなかった。

 

**********************

 

急遽帰るのをやめ、胸ポケットに陽乃さんを入れたまま再開発エリアに来ていた。

 

「ねぇ、なんで私この大きさのまま連れてこられたの?」

 

陽乃さんの言い分は尤もだが、朝のこともありその大きさのまま放置していた。

 

「気にしないでください」

 

「気にするよ!?」

 

「じゃあ罰ということで」

 

こっちに来る前の俺が押し倒されてたらなんも言えずになすがままになってたかもしれない。だけど今じゃ陽乃さんを魔王と揶揄することなくこうやっていれる。

 

「ええー。ていうか再開発エリアで何してるの」

 

「良さそうな隠れ家的な物がないか探してます」

 

「何に使うのよ……」

 

何にって言われたら……歌うため?

今までの俺じゃ考えられねぇわ。

 

「まぁ、色々と、ですね」

 

テキトーにはぐらかしたのだが、陽乃さんは納得した表情を作らず、疑っているような視線を送り続ける。

 

「ま、今は詳しい事を言う気はないですよ」

 

「鳳凰星武祭終わったら話してくれる?」

 

俺は再開発エリアの端っこが欲しい、とだけでも言おうかね?

いや、でも驚かせたい気持ちがないわけじゃないからなぁ。

 

「鳳凰星武祭を優勝したら言いますよ。ここに来てからできた俺の夢を」

 

「比企谷君、変わったね」

 

「そうですね、自覚できるくらいには変わったと思います」

 

そしてそれを即答できるくらいにも変わったと思う。

 

「ねぇ、比企谷君」

 

「はい?」

 

「お腹空いた」

 

……。いつの間にかもう昼だもんな。

そろそろ帰るか。陽乃さんの要望も聞いておかないとあとで何されるかわかったもんじゃないからな。

 

「召喚、影龍」

 

影と星辰力で作られた少し小さめな龍が路地に現れた。

 

「陽乃さん、ポケットの中から出ないでくださいね」

 

「や、元の大きさに戻してよ……」

 

「寮に着いたら戻しますよ」

 

そう言って俺は影龍に飛び乗った。

 

**********************

 

八幡について話すためにとりあえず学校まで来たのはいいんだけど……。

まさか由比ヶ浜さんや雪ノ下さんがいるとは思わなかったよ……。

これじゃあ話せないなぁ……。

 

「ごめん、待ったかな?」

 

「いいえ、私達も今来たところよ」

 

雪ノ下さんと由比ヶ浜さんは談笑してたけど、小町ちゃんはスマホを構っていた。

 

「じゃ、行こっか。こっちだよ」

 

八幡ならここから答えを導き出す。なんで小町ちゃんが談笑に加わってなかったのか。

ふと、僕のスマホが震える。メールが届いたようだ。でもここでみるのは得策じゃないと思う。少なくとも八幡ならしないだろう。ていうか敵対する中でメールをみるなんて誰でもしないと思う。だから、

 

「ごめん、ちょっとお手洗いに行ってくるから待ってて」

 

「わかったわ」

「さいちゃんごゆっくり」

「……」

 

また小町ちゃんは何も言わなかった。

由比ヶ浜さん達と小町ちゃんは協力関係にない?いや、だとしたらなんで由比ヶ浜さん達がいるんだろう。川崎さんと材木座君は情報を漏らすような人じゃないし。

 

えっと、メールは……

 

To:戸塚さん

From:小町

title:ごめんなさい

text:学校に来たら何故か雪乃さん達がいたので事情を話すしかなくて……。だから今日は何も言わないでください。いつ聞かれているかわからないですし、小町が来た時はお兄ちゃんの悪口をたくさん言ってたので、今の雪乃さん達は信用できないですので。折角時間をとって貰ったのにすみません!

 

うーん、そっか。なら仕方ないかなぁ。この後の話聞いてから夜にメールで知らせるなら大丈夫かな。

よし!八幡のために頑張ろう!

 




5統星
八幡の星辰力と1部の能力が封印されている、5つの統星の一つ。

5統星を解放すると星辰力の量が2倍になり、現在自身にかかっている能力を打ち消すことができる。

4統星を解放すると星辰力の量が4倍になり、現在自身にかかっている能力を打ち消すことができる。

3統星を解放すると星辰力の量が4倍になり、星辰力を自由に扱えるようになる。また、現在自身にかかっている能力を打ち消すことができる。

2統星を解放すると星辰力の量が7倍になり、星辰力の操作が精密になる。また、自身の回復速度が増加する。さらに、現在自身にかかっている能力を打ち消すことができる。

1統星を解放すると星辰力の量が8倍になり、敵味方を含めた全ての星辰力の制御が可能となる。また、代償は星辰力消費量が2倍。

星辰力の基準は封印前の八幡の星辰力の量。

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