形?はCoDBO2(コールオブデューティブラックオプス2)のR870 MCS(通称レミントン)を想像してください。分からない方は検索してください。
「お疲れ様、比企谷君。その純星煌式武装ってどんな能力なの?」
装備局の出口付近にいた陽乃さんに声をかけられる。
「武器と使ってる本人の隠蔽と走行速度上昇、空間支配っぽいですね」
「な、なんか微妙……」
使用者の隠蔽は止まってる時しか使えないけど、走行速度上昇はかなりありがたい。元々ステルスヒッキーもあるしな。自分で言ってて悲しくなってきた。
「個人的にはありがたいんですけどね」
「そうなの?威力は?」
「知りません」
「今まで使用者がいませんでしたので、私もわからないですね」
なんかここにいるメンバーがあからさまにがっかりしている気がする。
まぁいいや。先に帰ろう。
「では先に帰ります」
返事を聞かず俺は軽く手を振りながら帰り道を歩き出した。
明日は土曜日だ。ゆっくりできるぞぉ。
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「ただいま。比企谷君、今日も洋食でお願い」
「りょ、了解です」
置いてきた陽乃さんが寮に着いてキッチンに顔を出したかと思えばそんな要求をする。それくらい容易い御用なのだが。
チーズも卵も結構あるし、カルボナーラにしようか。
お湯を沸かし、豚肉を炒め、ボウルに卵とチーズを入れて、よく混ぜ、ソースを作る。
今回はチーズ多めかな?ってかカロリー大丈夫じゃなさそうだな。
まぁ、陽乃さんなら大丈夫だろう。たぶん。
「陽乃さん、できましたよ」
「お、待ってたよ、さっきから食欲をそそられるいい香りがしてたんだよー」
カルボナーラをテーブルに運ぶ。
味見してみたが、なかなかイケてると思う。
piriririririririri……
「陽乃さん、先食べててください。電話してきます」
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「電話してきます」
比企谷君の電話相手か。気になる。覗いてみよう。光の屈折とか色々利用して比企谷君の部屋に入る。たぶん比企谷君からはみえてないはず。
『こんにちは!八幡君!』
「おぉ、シルヴィか。こっちではこんばんはだな」
シルヴィ?シルヴィってシルヴィアのこと?え!?比企谷君、世界の歌姫と知り合いって本当だったの!?
「仕事終わりか?」
『ううん、午後からまだあるんだ』
「なるほど、休憩中か。いつ帰って来れるんだ?」
『鳳凰星武祭直前だよ!そういえば八幡君、冒頭の十二人入りおめでとう!』
「おう、ありがとう。てか誰から聞いたんだよ……」
『ネットに情報上がってるよ〜。入学1日目で2人の冒頭の十二人と戦ってどっちも勝ったこととか八幡君の魔術師としての能力とか』
「えぇ……」
『あとリースフェルトさんとの決闘は動画で配信されてるよ。私達ごと』
「やっぱり天霧の友達の夜吹って奴に地獄みせてやった方がいいのだろうか」
な、なんか比企谷君からドス黒いオーラが放たれてる気がする……。夜吹君も可哀想に。自業自得だけど。
「まぁ、実を言うと冒頭の十二人とはもう3回戦ってるんだけどね」
『えぇっ!?』
「陽乃さんと鳳凰星武祭でることになったから陽乃さんが実力知りたいから決闘しようって」
急に私の話が出てきてビクッとしちゃったよ。まったく、驚かせないでよ、比企谷君。
『光の魔王と?それで結果は?』
「う……」
『負けたの?』
「じ、自滅した……」
ひ、比企谷君の表情面白い!やめて、声でそう!
恥辱に歪んでるんだもん!
『ぷっふふふふ』
シルヴィアさんも笑ってるし。やばい、ほんと吹きそう。
『あー笑った笑った。ところでなんで自滅したの?』
「星辰力解放したら制御できなくなって校章が弾けた」
『えぇっ!?てことはリースフェルトさんの時は全然本気出してなかったってこと!?』
「まぁ、そうなる……のかな?」
『へぇ〜、鳳凰星武祭が楽しみだね!見に行かなきゃ』
なんでだろう、さっきからモヤモヤする。それに、なんか面白くない。
「来るのかよ……。なら本戦で上の方行くまで負ける訳にはいかないな」
比企谷君、楽しそうだなぁ。戻ってカルボナーラ食べよ……。
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「来るのかよ……。なら本戦で上の方行くまで負ける訳にはいかないな」
『ふふっ、負けたら何かして貰おうかな。あ、もうすぐ休憩終わるからきるね』
「おう、分かった。またな」
『うん、またね。おやすみ、八幡君』
「あぁ、仕事がんばれよ」
シルヴィは終始ニコニコしていた。
俺は今更ながらにあいつも可愛くなったんだなぁ、と思った。
さて、陽乃さんは何故聞いていたのか、という疑問が発生した。まぁ大方俺の電話相手が気になったんだろうけど。せめて気配消して欲しいよ……。
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「陽乃さん、カルボナーラ美味しいですか?」
俺がリビングに着くと同時に声をかける。
「うん!ビックリするくらい美味しいよ!」
なんか無理してる感じするな。
「そうですか、それは良かったです。ところで明日暇ですか?」
「うん?特に用事は入ってないかな」
「街の案内をお願いします。買いたい物もありますので」
「うん、いいよ。朝は9時までに起きてね」
なんか陽乃さんの表情がほんのちょっとだけどやわらいだ気がする。良かった。今回は一応正解だったようだ。
「でも、女の子に“明日暇?”はないんじゃないかな?」
「ま、まぁいいじゃないすか。誘い方なんて知らないんですよ」
「ふふっ」
「ははは」
俺達は暫く2人で笑い合った。
さて、明日はマッ缶探しの旅だ。決してデートではない。
俺はマッ缶を探せて六花のことをよく知ることができる。一石二鳥ってやつだな。
陽乃さんは……。
win-winじゃない!?
陽乃さんもよく了承してくれたな。
……そういえば再開した日に約束した覚えがあるようなないような……。