いつか静かなこの海で ~1人のイレギュラーの物語~   作:そーりゅー

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第二話 「決断」

第二話 「決断」

 

~電side~

日本の駆逐艦娘「電」、彼女は今、窮地に立たされていた…。

 

電「はわわ…まずいのです。魚雷も主砲弾も底をつきかけているのです…」

 

本来ならば、駆逐1隻だけで居るはずがないのだがこれにはある理由があるのだがそれは後程。

 

そして運よく、深海棲艦を1隻沈めたのも、つかの間…2隻が今にも襲い掛かろうとしていた…。

電「(皆、私もすぐ行くのです…)」

 

爆発音がする…。しかし電は沈んではいなかった…。

逆に2隻の深海棲艦が視界から消えていた…。破片が浮かんでいる事から、沈没したことが伺える。

電「何が起こったのです…?」

 

それは1人のイレギュラーによるものだった…。

 

~数分前~

 

あれは、日本の駆逐艦…? 2隻の深海棲艦が襲い掛かろうとしている…?

「(はっ!!もしかして…やばい?)」

 

そしてミシガンは数秒考えた後理解した。いや理解してしまったのだ…。

「フクさん!魚雷すぐに撃てる?」

その質問に対し…

 

『その質問を待ってました?諸元入力及び注水も完了しています。いつでも撃てます!』

 

妖精さん有能?と心の中で思い、そして命令を下す…。

「艦首魚雷発射管1,2番発射!」

 

艦首魚雷発射管から発射された2発のMk.48魚雷は探信音を放ちながら迷いなく50ノット...時速にして約90㎞程のスピードで2隻の深海棲艦へ向けて突入していった…。

「頼むよ…間に合って…」

 

『順調に向かっています。着弾まで10秒前』

Mk.48魚雷は1発でフリゲート艦を「叩き割る」程に威力が高い。しかし、被弾しない前提で造られる「フリゲート」と、

被弾に備えて分厚い装甲を貼る「戦艦」では防御力が桁違いだ…。今回は軽巡2隻だから大丈夫だと思うけど…。

 

『3、2...着弾、今』

直後に2隻の深海棲艦が濁った水柱に包まれて見えなくなった。

 

『ソナーに感無し。目標2隻の沈没を確認』

2隻の深海棲艦は沈んだか…この後、どうしよ(´・ω・`)

補給も必要になってくるし…

『単艦ではどうしようも無いので、接触を具申します。後、言い忘れてましたが心を読めるので言わなくても大丈夫です』

この時、ミシガンは思った。妖精さんマジ有能だわ…。

うーん…確かに…コンタクトしてみるか…。

 

「メインタンクブロー!機関第二戦速!」

第二戦速だから…18ktぐらいか…。

『アイ・サー!メインタンクブロー!』

復唱が聞こえるとスクリューの回転音が聞こえ、日本の駆逐の艦娘に近づきながら慎重に浮上していく…。

うーん…言葉通じるかな…。一応、日本語喋れるけど…。

『言語の問題については問題ありません。駆逐の艦娘の方はこちらに気づいていないようです』

コンタクトするべきだな…。

そして私は駆逐の艦娘に近づき話しかける。

 

「貴方、大丈夫?」

 

~電side~

電「はわわ…何とか助かったのです…怖かったのです…」

そうして電はその場に蹲り、ミシガンの接近に気付いていなかった。

 

そしてミシガンから話しかけられると…

電「はわわ…誰なのです?(黒い…深海棲艦…?)」

 

「私は米海軍太平洋艦隊バンゴール基地所属のSSGN-727 ミシガン。所属鎮守府は…無い…」

 

電「(米海軍…アメリカ…)わ、わたしは、日本国海軍大湊鎮守府所属の駆逐艦「電」なのです」

アメリカ…今は敵じゃないけど…昨日の敵は今日の友?って言うし…大丈夫かな。

 

「電というのか。よろしくね。それでこんな所で1人で何やっているの?」

 

電「…信用できそうなので話すのです。あれは数年前に遡るのです…」

そして電は今までの出来事を全て話し始めた…。

 

~ミシガンsideへと戻る~

私は日本の駆逐艦「電」と接触した。

そして何があったかを理解した…。

「なるほどね…そういうことがあったのね…」

とりあえず「電」からの話で分かったことは

 

大湊鎮守府の提督が数年前に暗殺され新しい提督になってからブラック鎮守府、略してブラ鎮になったと。

それで、多くの艦娘が暴行され、捨て駒として出撃させられて、沈んでいった…。

そして…艦娘は「電」のみになり、隙を見て逃げ出したが、深海棲艦に遭遇して戦闘したということ。

 

つまり…大湊鎮守府の提督は屑ということ…。

そして理解が終わったころ…。

 

電「さっき助けてくれたのは貴方なのです?」

電にそう聞かれる…

「うん…私が咄嗟の判断で助けた」

そう、返答すると…

電「ありがとうなのです!でも…私はこれで1人なのです…」

その言葉にミシガンはふと呟く…。

 

「1人?私が居るじゃない。電、大湊鎮守府の座標分かる?」

電をこんな風に変化させた大湊鎮守府は許さない…。ちょっとお仕置きが必要のようね…。

 

電「ありがとうなのです。これからよろしくなのです!大湊鎮守府の座標?分かるけど…どうするのです?」

 

「まあ…ちょっとしたお仕置きだよ。電、その鎮守府に対して罰を与えようと思うけど良いよね?」

そう「電」に聞くと…

 

電「思い出はあるけど…皆を沈めた罪は重いのです。罰は受けてもらうのです」

 

電は覚悟を決めた…私も「決断」しないとね…。

 

 

 

「対地攻撃用意!総員、戦闘配置!」

私は対地攻撃の指示を下す…。艦の頃にも直接対地攻撃を行ったことは無かった…。初の対地攻撃…。

『戦闘配置準備良し!対地攻撃準備!』

そして戦闘配置完了の報告を聞き、次の指示を下す。

 

「対地攻撃用意!目標、日本国大湊鎮守府!座標、北緯41度14分04秒、東経141度08分00秒!」

座標入力の指示を下す。

 

ミシガンの目的は大湊鎮守府に対しての対地攻撃なのだ…電はあまり理解していなかったが、

何となく、意味は分かったらしい。

『座標入力良し!Mk.45 VLS1番、発射準備良し!』

 

そして私は「決断」をする…。

 

 

 

「Mk.45 VLS1番開放!タクティカル・トマホーク攻撃はじめ!」

そして発射の指示を下す…。このMk.45 VLSに入っているトマホークの弾頭は通常弾頭だが、一発で多大な被害を出すことができる。

実弾をを実戦で使うのは初めて…威力は未知数。少し不安もある。

そういう心境であった…。核弾頭を使うことも考えたが関係のない市民への

被害を考えてやめることにした。

市民の不安を煽ることは踏まえての攻撃ということは

ミシガン自身も理解していた…。

 

『発射成功!目標着弾まで残り15分!』

着弾まで15分…これは宣戦布告なしの攻撃…つまり奇襲攻撃に等しい。だが、艦娘達を捨て駒として使ったのだ。

自身も攻撃される可能性も踏まえてということが伺える…。でも一応、警告文だけは出しておくかな。

 

 

 

~大湊鎮守府~

軍人A「提督、電は結局行方不明ですが…先ほど、警告文が届きました」

1人の軍人が提督と呼ばれる男に報告する。

 

提督「警告文?読み上げてみろ」

 

軍人A「我はこれより本鎮守府へと対地攻撃を実施した。使用兵器はミサイル。現存の技    術では無い兵器である。

    これは威嚇攻撃ではない。貴官らに対する罰である。

    米海軍原子力潜水艦ミシガン 発 宛 日本国海軍大湊鎮守府…だそうです。」

 

提督「はははっ!笑わせてくれる。みさいる?何だそれは。アメリカからの攻撃か。どう   せ艦娘を羨ましがっているのだろう

   そんな警告文は放っておけ。電の件だが…見つけ次第…任せる。」

 

軍人B「提督大変です!本鎮守府に対しおよそ880km/hにて謎の飛翔物体が接近!」

 

提督「何だと・・・機影は何処にも・・・‼何だあれは⁉」

 

部下からの報告を受けた彼は何処からともなく聞こえてくる轟音に気づき窓の外をみる。すると海の方から矢のようなものが零戦よりも速い速度で飛んできた。

 

 

そして矢のような物は意志があるかの如く一度上昇したかと思うと起爆し強烈な光と熱、爆発音を轟かせ提督達の意識を奪いさった。

 

 

『着弾まで3、2…今!』

着弾の報告が入る。

 

「これでまた1つ追い詰められたね…これからどうするか…」

とりあえず…どこかに入港したいけど…道のりは長いな…。

 

こうして、ミシガンは大湊鎮守府への対地攻撃を実行した。そして新たな出会いとも遭遇することとなることを

この時はまだ知る由も無かった…。

 

 

 

 

 




次回は遭遇編になる予定です。

<次回予告!>
大湊鎮守府への対地攻撃を実施したミシガン。保護した駆逐艦「電」と共に、
大湊鎮守府から少し離れたキスカ泊地を目指すことにした。
そして、艦隊との遭遇。コンタクト。

そしてミシガンは懐かしい夢を見ることになる…。

「CVN-80 エンタープライズ…?」

次回!「第三話 遭遇&接触 」



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