『君の名は。その後・続編(二次小説)』~奇跡をもう一度~「絶対に瀧君を助ける!」そこに現れたのは、、、 作:えー・あーる夢見
第8話
「三葉さん、、宮水、、そろそろ着くよ。準備して。」
初見に声をかけられ、三葉は目を覚ました。
「はい、これ、上着。 寝ている時に、何度か落としてたよ。」
「あ、ありがとう。 お陰で、気分が良くなった。」
、、、新幹線を降りてすぐに、予約しておいたレンタカーに乗り込み、山道を急ぐ。
「この調子で走れば、きっと間に合う!」
「うん!」
願いを込めたうなずきだった。
それからは、ただ、ただ、瀧の車に追い着く事を信じながら、車内は自然と、緊迫した空気が漂っていた。
終始、無言でいた2人だったが、初見が話し出した。
「僕ね、父親と会った事がないんだ。 自分がまだ産まれる前に、事故で亡くした、、。
瀧さんと、宮水も、子供が生まれたら、父親、母親になるだろ?
その時に、最愛の人を失った悲しみと、父親と会う事が出来なかった、子供の寂しさを、三葉さんには味わって欲しくない!って思った。」
「りん君、、そんな事があったんやね。だから、、」
、、一瞬、なぜ、初見が妊娠に気付いたのか?
不思議に思ったが、彼の真剣さに、特に気にしなかった。
「絶対に、、助ける、、」
初見が呟く。
かなり急ぎ気味だった車のスピードが落ちた。
丁字路にぶつかり、いったん止まった。
右折方向には、立ち入り禁止のコーンが置いてあった。
「思い出した!ここはまだ、左側へ廻る道路だけしか開通していないんだよ。
でも確か、この右の道と、最終的には合流していて、開通後は、こっちの方が現場へ行くのには近道になるって聞いた。
後は整備とか登録とかを残しているだけで、実際には、もう走れるらしい。
こっちから行こう!」
コーンを避けて、初見は、急いでエンジンをかけた。シートベルトを、キツく付け直した。
少し走った所に、緊急時の停車用のスペースと、緊急用の公衆電話が設置してある場所があった。
初見は、再び車を止めた。
「三葉さんは、ここで降りて!」
「え?!なんでやの?」
「ここから合流地点まで、あと少し、時間的にも、きっと先回りが出来る。
でも、かなりスピードを出す事になると思う。
必ず連絡するから、ここで待ってて。」
「でも、、そんな」
三葉は、初見の言う事が、直ぐには飲み込めず、聞き返したが、、
「いいから!早く降りて!!」
と、これまで見たことが無かった初見の強ばった表情に驚き、荷物を持って車を降りた。
「無茶しないでね。」
「必ず瀧さんを助けるから、、、
僕の事は、心配しないで。」
初見は、すぐに車を走らせた。
三葉は、何か、とてもイヤな予感がして、その場で待っている気持ちになどなれず、初見の指示を無視して、車が行った方向に走り始めた。
初見が、無茶な事を考えているのでは?、、と、
三葉の足も、自然と速くなって行く。
一方、初見は、瀧が通過するであろう、合流地点を目前に、なお、スピードを上げた。
「よし、、瀧さんよりも、先回り出来たはず、、」
合流地点は過ぎた。瀧が通ってくるはずの道に入り、数十メートル走った所で、、、
キキーーッ!!!
わざとカーブしながら急ブレーキをかけて、道路を真横にさえぎるように、車を横転させた。
、、その数分後、、
瀧の運転する車がやってきた。
「な、何?!」
目の前で横転している車に驚き、車を止めて出て来た。
「大丈夫ですか?」
運転席を除き込み、更に愕然とした。
「は、、初見さん?!」