『君の名は。その後・続編(二次小説)』~奇跡をもう一度~「絶対に瀧君を助ける!」そこに現れたのは、、、 作:えー・あーる夢見
第6話
翌日の夕食後、、
「何て言いだせばええんかな? ズバリ!言っちゃう? もったいぶる?
クイズにして、当ててもらう?」
、、そんな独り言を楽しみながら、ケータイを持つ三葉。
すると、突然、、
かけるつもりのケータイに、見覚えの無い番号で、着信音が鳴った。
三葉は、とりあえず、自分の名前は出さないで、電話に出てみた。
「はい?」
「あ、立花三葉さん、、
瀧さんの奥様の電話でしょうか?」
聞き慣れない男性の声。
「はい、立花の妻ですが。」
「急にお電話して、失礼します。
、、私、瀧さんと同じ課で仕事をしている杉田です。」
いつか、瀧君から聞いた事のある名前だ。怪しい電話ではなさそうだ。
「、、確認なんですが、瀧さんは、昨日から出張に出られてますよね?
それから、今日は現場のある山の方に行かれる予定だった事は、奥様はご存知だったでしょうか?」
、、行かれる予定『だった』、、と言う言い方に、
不安がよぎった。
杉田は続けた。
「今日、現地で合流する予定の、他の社の者から連絡がありまして、、
瀧さんが、時間になっても見えない、、との事なので、、」
「、、そんなはずは、、家で準備をしている時に、現場周辺の事や、合流する相手の方のお名前とか、話していたし、、」
「、、どうか、落ち着いて聞いて下さい。
まだニュースには出ていませんが、実は、現場の近くで、トンネルの天井が崩れ落ちる事故があったそうなんです。
現地で、今日、地震があって、どうやら、瀧さんも、それに巻き込まれた可能性が高いんです。」
「うそっ?!」
その先の言葉が出なかった。
「まだ詳しい情報が入らないので、こちらも必死で連絡を取っています。
滞在していたホテルに問い合わせたら、瀧さんがホテルを出た時間が分かりまして、そこから瀧さんが通りそうなルートをたどると、ちょうど、地震が起こった時間の辺りで、トンネルを通っていたのではないか、、と、、。
他にも数台が巻き込まれたらしく、 今は、警察や消防隊が、ガレキの除去と、人名救助に必死なんですが、、」
「主人に連絡は取れないんですか?!」
焦る三葉。
「何度も瀧さんのケータイに電話をかけたら、ホテルのフロント係が出まして、瀧さん、いつ頃、何処でかわかりませんが、ホテル内で、ケータイを落としていたみたいなんです。
どなたかが、フロントに届けてくれた時には、もう出た後で。」
「そんな、、じゃあ、どうすれば、、?」
不安に震え始めた三葉。
「これから、うちの社の者が、奥様を現地へお連れしますので、 とにかく準備をしておいて下さい。
まだ希望はあります。
どうか、お気を確かに、、。」
電話が切れた、、。
最も幸せな話をするはずの電話が、最も自分を不安にさせる電話となった、、、。
ただシーンと、沈黙が続いた。
三葉の頬を、涙が伝い落ちる、、。
「いや、、、いややあぁぁ、、!!」
ケータイを落とし、両手で顔を覆い、泣きじゃくる三葉。
準備どころではない。
その場にうずくまり、膝に乗せた両腕に、顔をうつ伏せて泣き続けた。
、、まだ希望はある。きっと大丈夫、、
そんな風に気持ちを奮い起こそうにも、あまりの不安の大きさと重圧に負けてしまう。
悪い事ばかりが、頭の中を駆け巡って、言葉が溢れ出す、、。
「なんで?!なんでやの?! こんなんウソや! 夢や! 悪い夢や!
イヤや! 絶対にイヤや! 瀧君が死んじゃうなんて! いなくなっちゃうなんて!会えなくなっちゃうなんて!
イヤや! イヤや! 絶対にイヤや!!
、、まだまだやってない事が、いっぱいあるんよ。
話してない事が、いっぱいあるんよ。
瀧君がいなくちゃ、いてくれなくちゃ、生きる意味が無いんよ!
どうして?せっかくまた会えたのに、、
今すぐ、ここに来て!
抱き締めて!
私だって、抱き締めたいんよ!、、
これからも、ずっと一緒にいようって、約束したやない、、、
瀧君、私ね、一番話したい事があるんよ。
私のお腹にね、、、。」
そのまま、三葉は、その場に倒れ込んでしまった。
「神様、、お願い。
どうかもう一度、時間を戻して、、瀧君が事故にあう前に、、」
薄れていく意識の中で、三葉は自然と、こんな願いを心に思い浮かべてかいた、、。