『君の名は。その後・続編(二次小説)』~奇跡をもう一度~「絶対に瀧君を助ける!」そこに現れたのは、、、 作:えー・あーる夢見
第4話
「、、私、瀧君のお陰で、ここで新しい人生をもらえたんよ。、、テッシーやさよちん、沢山の町のみんなも。」
三葉は、瀧の手を、更に強く握り、
「ありがとう」と、改めて言った。
「あの場所へ行こう。僕らが初めて、同じ時間の、たそがれ時の中で会えた場所へ。」
、、、更に歩き、あの、御神体を囲む、お盆状の丘の上に来た。
空はもう、三日月をくっきりと映し出し、丘を照らすオレンジやピンクのグラデーションから、ブルー、そして少し広がりかけた濃紺へと、夕空のショーを魅せていた。
ちょうど、あの時と同じ、たそがれ時の光が、2人を包んだ、、、
(※ここからは、もちろん、BGM『スパークル』が流れます。)
「ここが最後だった、、。
ここから、三葉の事が、記憶の奥にしまい込まれて、名前も思い出せないのに、どうしても忘れられない誰かへの想いが始まったんだ、、。」
「うん、、」
三葉も、皆を助けようと奮闘していた中で、瀧の名前を思い出せなくなった時の悲しみが、再びこみ上げてきて、涙が浮かんできた。
「今度こそ、ちゃんと手に名前を書こうよ。」
そう言って、瀧がポケットから、そーっと、ペンを出した。
「三葉、手を出して。」
三葉は、左の手のひらを差し出した。
「あ、目をつむっててくれる?、、なんか、緊張するからさ。」
三葉は、クスリと笑い、目を閉じる。 瀧が走らせるペンの先が、くすぐったかった。
「はい、次は三葉が書いて。」
三葉が、書かれた文字を見るより前に、瀧が三葉の手のひらを丸めてしまった。
そして、三葉の右手にペンを渡す。
よく見ると、ペンの蓋のフックの部分に、光る物が付いている。
「何?、、」
瀧が書いた文字を見る事無く、左手で、ペンからそれを取る三葉。
それは、銀色に輝くリングだった。
、、、リングの真ん中には、小さなブルーダイヤ、その横に、段々と大きさが小さくなって行くデザインで、クリアーなプチダイヤが並んで3個、埋め込まれていた。
「キレイ!!彗星みたい!」
親指と人差し指で、リングをつまんで、空に透かして見るように眺めていた三葉、、、ハッと気付き、さっき瀧が書いた文字を見ようと、リングをつまんでいる左手の、丸めていた小指、、薬指、、中指、、と、順番にゆっくりと開いていった。
~結婚しよう~
そこには小さな文字で、プロポーズの言葉が書かれていた。
ちょうど、開いた3本の指の根元に、丸めた時の指に隠れる様な場所に。
小さく書いていたせいで、三葉には書かれている時に、その文字が読み取れていなかった。
「瀧君、、」
文字を読んだ三葉は、言葉を失った。涙が止めどなく溢れて来た。
瀧が三葉の手からリングを取り、左手の薬指にはめ直した。
「ここで、三葉にプロポーズしたかったんだ。
三葉、、俺と結婚してくれないか?」
改めて、瀧の口からその言葉を聞いた三葉は、ただ、嬉しさと感激で、泣きながら、両手で口元を抑えて、瀧を見つめていた。
そして、左手の文字をもう一度見て、、
「もう、瀧君、これじゃあ又、名前覚えておけないわ。」と、涙を流しながらも微笑んで、リングを取った時に、ポケットに入れたペンを、もう一度取り出した。
「瀧君も手を出して。」
今度は瀧の右手の手のひらに、三葉が書き始めた。
~はい~
書き終えると、瀧の反対の手に、ペンを返した。
瀧は、ペンをポケットにしまいながら、三葉が書いた文字を見た。
瀧の瞳にも、涙が浮かんできた。
「よ、、よろしくお願いします。」
三葉は、少し照れながら、ぺこりと頭を下げた。
「これじゃあ、俺だって、名前覚えられないじゃん、、」
三葉を見つめる瀧、
「もう離さない、三葉。」
「、、瀧君、、」
ちょうど、たそがれ時が終わろうとしていた。
その移り行く、静かな光と空気に包まれながら、いつまでも2人は固く抱きしめ合っていた、、。
愛しく、美しい光景と共に『スパークル』のエンド部分が流れて行きます。