『君の名は。その後・続編(二次小説)』~奇跡をもう一度~「絶対に瀧君を助ける!」そこに現れたのは、、、 作:えー・あーる夢見
(「ごあいさつ」を含む、第一章)
※まだ映画をご覧になっていない方は、本編のネタバレ注意です。
ですが、もしもこちらを先に読んで頂いたとしても、何度も映画を観たくなるストーリーにしあげました。m(_ _)m
運命の再会を果たした瀧君と三葉。それから、、、
この二次創作小説は、読者様がドップリと、思い入れにはまり、場面やBGMを心に思い描きながら、「三次脳内創作(映画)小説」として読んで頂きたいと思い、所々に、場面の説明や、情景解説を入れました。
なので、本当に映画を観ている様な気分で楽しんで頂ければ幸いです。
もしも、読者様の想いと相違がありましたら申し訳ございません。
その時は、皆様が希望される夢を描き入れてお楽しみ頂下さいませ。
『君の名は。』ファンの一人として、何よりも、この素晴らしい原作ストーリーと映画の存在に感謝致します、、。
それでは、スタートです。
、、、真っ暗な画面に、瀧と三葉の声だけが、揃えて聞こえてきます。
「ありがとう!、、君の名前は、、、」
そんな言葉だけが響くシーンから始まります。(なぜ?またここで「君の名は。」に通じる言葉が?
このシーン、ちょっとだけ、心の片隅に留めておいて下さいね)
ここから、最初のBGMはもちろん『夢灯籠』が流れます。曲の間は、2人の入れ替わりが始まってから、巡り会うまでの映画の名場面が走馬燈の様に流れて行きます。 2人が、 「君の、名前は、、」と声をかけ合ったラストシーンで場面はストップ。
、、「1年後」の文字、、
森の中にたたずむ小さな白いチャペル、萌える緑の間から差し込む日差しが、天使達の放つ矢のように真っ直ぐに、何本も降り注いでいる。中ではそう、瀧と三葉の結婚式が静かに執り行われている。
三葉は、長い髪を結い上げながらアップにまとめて、髪の表面に、薄い水色に光るビーズを散りばめて、まとめた髪を下から支える様に、白い絹で出来た花をあしらっている。
肩を出したタイプのオフホワイトのロングドレスは、短めのヴェールの下から、後ろへと、2メートル程長く引きずるスカートが見える。「後ろに長く引きずるドレス」は、三葉の憧れであった。
その表面に、キラキラと銀色に輝くストーンが美しく扇状に広がり、豪華なラインをより引き立てている。
ヴァージンロードを歩いている姿は、まるで、光り輝く水の中を、銀色の人魚が、ゆっくりと長い尾ヒレを揺らしながら前に進んでいるかのような、美しい光景を魅せていた。
ただ、見た目に美しいだけではなく、今、この瞬間を、心から嬉しく感じ、喜びに溢れている三葉がまとう、幸せと感謝のオーラが、その場にいる人全ての眼に、そんな溜め息の出る空気を感じさせていた。
そんな「景色」を背後に、緊張しながら、父親と腕を組み、近づいて来る三葉を待つ瀧は、シルバーを貴重にしたタキシード。 細身の長身に似合っている。
リハーサルの時には 「やっぱり瀧君って、カッコええわ~!イケメンモデルみたいやわ。」と、三葉が騒ぐのが恥ずかしかった、、。
あの、彗星が落ちた日から再会まで、8年も経っているのに、三葉は瀧のことをいつも「瀧君」と呼ぶ。
まわりに人がいる時は瀧自身、「高校生のカップルじゃあるまいし、、」と恥ずかしく思う事もあるのだが、本当のところ、年上の三葉に甘えられている気分もあって、少し嬉しかったりもしている瀧。
でも、そんな風に思っている事は誰にも言ってない。
来賓席には、瀧の父親、そして数年前に、一葉お婆ちゃんが亡くなってからは、父親と暮らしている四葉も出席。もちろん、一足先に結婚したテッシーとサヤちんも祝福している。
神父さんが、「それでは、指輪の交換を。」
と言い、指輪の乗ったリングピローが運ばれて来る。
「あれ?」
瀧が、リングの横に2つ並べられた光る物に気が付く。
金と銀の紐で造られた組紐で出来た「ブレスレット」だった。
「今度はずっと、同じ時間の中で持っていたくて、作ったんよ。」
三葉が瀧を見上げながら、顔を寄せて小さな声で囁く。瞳に涙を浮かべながら、でもその顔は、心からの幸せな微笑みで満たされていた。
指輪を交換して、組紐のブレスレットも付け合って、誓いの口づけをする2人、、。
教会の外で花びらのシャワーを浴びながら、祝福の鐘の音と共に、2人の幸せそうな場面がシャッターを押された様に留まり、、、
(さらに1年後)
チェストの上に飾られた写真立てに、幸せな2人の結婚写真が飾られている。
それを祝福しているかのように、その隣の写真立ての中では、一葉お婆ちゃんが笑っている。
、、あれからもうすぐ1年が経とうとしていた。
驚いたのは、以外にも?!三葉の父親が、2人の結婚を喜び、孫の誕生を心待ちにしていることだ。
まだそのニュースはプレゼント出来ていないままだが、、、
「おはよう」
毎朝のリズム。三葉に声をかけた後、真っ先に、トイレと洗面所に向かう瀧に、キッチンから三葉が明るく返事をする。
「おはよう、瀧君」
もう何回も聞いているのに、朝から心地よく、幸せな気持ちにさせてくれる声だ、と、瀧は思った。
「またお父さんからのメールの最後に、『孫はまだか?』やて!全くデリカシーが無くていやや~」 顔をしかめる三葉を面白そうに見て、瀧は、
「とにかく、俺たちの事を、お父さんが喜んでくれているのは、ありがたいじゃないか、ケータイまで新しくして、三葉の事を心配してくれているし。」
テレビのニュース番組をつけながら、瀧が朝食のテーブルに着く。
「しかも、いつでも孫の顔が、テレビ電話で見られるようにって、お店の人に、画面の質の高い機種なんてお願いしとるんよ。
私の事を心配してるっていうより、逆にプレッシャーかけすぎやわ。」
三葉がグチをこぼしながら、出来上がったハムエッグを運んで来た時に、テレビから聞こえて来たニュースに、瀧が注目した。