鬼巫女に憑依する幻想郷ライフ   作:寿司三昧

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主に文視点です。
戦闘描写はかなり下手です。
ご注意下さい。


鬼巫女、初戦闘をする

 

Side 射命丸

 

「どうしました?空なんか見上げて。」

 

そうやって甘味処の前に居た二人に話しかける。

きっとさっきまで私の居た所でも見ていたのでしょう。

 

「上白沢さん。こんにちは、珍しいですねぇ。こんなところに居るのは。」

 

「え、えぇ。こんにちは。 」

 

この人は挨拶を重んじていたはずだから一応しておきましょう。

それよりも…。

 

「…………」

 

先程から顔色ひとつ変えずに此方を見ている女性。

見れば見るほどあの巫女にそっくりですね。

今は割烹着ですが…。

妖怪が化けている…わけでもなさそうですね。

妖力を感じませんし。上白沢さんが気付いているはずです。

まずは名前を聞いてみますか。

 

「おや…そちらの女性は?初めて見る顔ですね。お知り合いで?」

 

「彼女は霊夢さんです。昼頃に人里にいらっしゃった外来人の方ですね。」

 

外来人…ですか。

外来人が人里に辿り着くのは珍しい…。

霊力すら感じられないのに無縁塚から…?

血の臭い所か木っ端妖怪の臭いもしません。

…ますます怪しいです。

何かありそうですね。

 

「霊夢さんですか。初めまして。私は射命丸 文、新聞屋をやっています。」

 

「あぁ、初めまして。新聞屋をやってらっしゃるのですか。…情報が得られるかもしれないし、購読してみようかな…。」

 

おや…購読してくれるかもしれないのですか。

これは高評価ですよ。

名前までも同じ…。妖怪の賢者が関与しているかもしれません。

そろそろ聞いてみることにしましょう。

 

「霊夢さんは何処からここに来たんです?」

 

「えーと…。湖の近くの森…です。」

 

「森…ですか。そりゃまた。そこに住んでらっしゃった?」

 

「えぇ。そうですね。」

 

湖の近くの森…。魔法の森ですかね。

彼処は毒素が蔓延して、妖怪も住み着いてるはずですが…。

これはますますきな臭いです。

一般人…という線は薄くなりました。

それに頭のリボン…。血らしきシミが見えますね。

しかもかなり鉄臭い。

随分と"殺ってるみたいですね。"

その割には本人に覇気がありませんがね。

 

「その森に住んでいた、では。幻想郷に入ってから森に辿り着けたんですねぇ。凄いことですよ。因みに妖怪等には?」

 

「妖怪ですか…。森にいた頃までは多少居ましたが、ここに来るまでには一度も会いませんでした。」

 

一度も会わない。あり得ないことではないです。

木っ端妖怪の活動時間は基本的には夜。

鉢合う可能性も高くはないですから。

しかし森に居た頃はそれを撃退できていた。

外来人ながらかなりの実力を有しているわけですね。

これが本当の話だと確証が持てれば新聞に出来るんですがねぇ。

 

「それは運が良かったですねぇ。基本的に外来人はここにたどり着く前に死んでしまいますから…。」

 

「…ッ!?」

 

おや…。反応しましたね。

読み取りづらいですが僅かに顔をしかめました。

こういうことにはまだ馴れていないわけですか。

しかしそれでは、あの血の臭いが説明できません。

かなり複雑そうです。

 

「そうですね。外来人が人里に来れるのは珍しい。人里についた外来人の行動は基本的に元の世界に帰る。後は永住ですか。」

 

上白沢さんが会話に入ってくる。

最近も居ましたね。永住した方。

今度取材してみましょう。

おっと、それよりも。

この人がどういう存在なのか、手っ取り早く確認できるやり方があるにはあるんですが…。

人里ですし。なにより私…、戦闘は好きではないんですよね。

元上司達は好きだったみたいですが。

思い出すと身震いがします。あれは勘弁願いたいです。

 

「霊夢さんは永住の様ですが…。そうです!此処に住むのであればある程度ルールを知るべきですね。」

 

上白沢さんが何か思い付いたみたいです。

容易に想像できるのがちょっと…。

 

「文さん。霊夢さんに教えて差し上げられませんか?」

 

「私からもお願いします。」

 

霊夢さん本人からも頼まれてしまいました。

上白沢さんも忙しいのでしょうねぇ。

本来ならば断るところなのですが…。

彼女の実力を見れるいい機会ですね。

 

「そうですね。明日なら良いですよ。霊夢さんの家に迎えに行きます。」

 

「おぉ、助かります。霊夢さん、頑張って覚えてくださいね。」

 

弾幕ごっこ…でもいいのですが。

あれ、まだ上司が認めてないのですよね。

賢者が根回しをしているようですが。

正直、彼女は弾幕を撃てないでしょう。

つまり実践形式。嫌ですねぇ。

 

「霊夢さん。明日は少し戦えるような準備をお願いします。」

 

「は、はいっ!」

 

霊夢さん…ですか。

神社の巫女と顔は同じですが、性格はまるで違いますね。

 

この時の私は知らなかった。明日の事を私はずっと後悔することになる。

 

 

Side out

◇◇◇

 

Side 鬼巫女

 

仕事も終わり、自宅に帰る途中。

今日の事を振り返っていた。

 

かなり濃厚だったと思う。女性の知り合いが出来たのも初めてな気がする。

外では居なかったからな。言ってて悲しくなるが。

 

射命丸さん。彼女は本当に天狗であったらしい。

新聞を発行しているらしいので、情報源として購読したいと思っている。

人となりは少し違和感を感じたりしたが、いい人…?なのだろうか。

 

明日は何かと戦うらしい。

まさか妖怪とであろうか。正直怖い。

幾らチートボディであったとしてもだ。

不安でいっぱいのまま、布団に入った。

 

 

心臓の鼓動が早い。今日は寝れそうにない。

 

 

これが恐怖からのものではないとは、

 

 

俺は気付くことができなかった。

 

 

 

Side out

 

 

◇◇◇

 

 

Side 射命丸

 

朝早く。霊夢さんを起こしに行ったが、

既に起きていた。割烹着で、ではなく巫女服で。

完全に神社の巫女だ。

何故昨日は巫女服ではなかったのかを聞きました。

すると彼女は

 

「割烹着は彼処で貸してもらった。巫女服は血まみれだったからね。」

 

とのこと。

しかし血は完全には落ちなかったようで、

元は白かったのだろう袖は、今も赤い。

それは置いておいて、説明にはいる。

 

「幻想郷では現在、弾幕ごっこと呼ばれるルールがあります。内容は…。」

 

弾幕ごっこについては省くことにする。

今回は弾幕ごっこではないですから。

 

「しかし、今回は実戦形式でやりましょう。」

 

「?…なんでです?」

 

それは簡単です。

 

「貴方には弾を作り出す霊力、妖力等と言ったものが感じられませんから。」

 

霊夢さんはかなりがっかりしていますね。

弾幕ごっこは今度見せてあげることにしましょう。

 

「では、まず貴方がどれだけ強いのか見ることにします。」

 

まずは小手調べから。

 

私は地を這うような風を使った攻撃をしてみる。

 

風を使っているため速度は早いが、避けられないことはないと思いますね。

 

 

 

 

と、思っていたがまさか直撃するとは思いませんでした。

あれは本当にそこらに居る人間と同じくらいですね。

手加減していたとはいえ、あれは一応妖力が使われている。

重症で済めば良いのですが…。

 

まだ直撃時の煙が昇っている。

 

「やっちゃいましたかね…。」

 

そう思った瞬間でした。

霊夢さんの居た方向から、

 

今までとは全く違う、殺気と同時に、

 

感じるはずのない…

 

 

"神力"を感じたのは…。

 

 

◇◇◇

 

 

風の塊のようなものが飛んでくる。

 

 

 

体は強くても、中身がダメだったようだ。

 

 

 

かなりスローに見える。

 

 

 

今の今まで実戦所か、ろくに訓練もしたことがない。

 

 

 

そんな素人がどれだけ性能のいいものを持っていても

 

 

 

付いていかない。そんな感じだった。

 

 

 

目では見えている。考えれもする。しかし、

 

 

 

体は動かなかった。

 

 

 

そして攻撃が当たる寸前。

 

 

 

 

「ーどいてろ。」

 

 

 

そんな声が聞こえた気がした時には

 

 

 

 

意識が暗転した。

 

 

 

◇◇◇

 

 

煙が晴れたとき、そこに居たのは無傷の、霊夢さんの姿をした

 

 

 

"なにか"でした。

 

あの甘味処で働いていた霊夢さんからは全く感じられなかった、鬼と相対しているかのような圧力。

 

目付きも鋭くなっている気がする。

 

 

仮にも天狗の妖力で練った風をまともに食らったのだ。

 

普通ならば重症のはずだ。

 

先程までの彼女とは違いすぎる。

 

そう思った時、目の前から霊夢さんが消えた。

天狗の視力でも見えなかった。

 

ー後ろから衝撃が走る。

 

「ッ!?嘘でしょう…?」

 

いつの間にか後ろに回り込み、霊力弾を打ち込まれていた。

 

直ぐに振り向き、妖力弾で反撃する。

このときには加減なんて考えていなかった。

 

 

霊夢さんの姿が消えた。

 

いや…穴のようなものに入っていった。

 

あれは…亜空穴!?

 

亜空穴は博麗の巫女が使う技のひとつだ。

簡単にいえば瞬間移動である。

 

「あの巫女の技が使えるの…!?」

 

亜空穴からの行動は予想しやすかった。

恐らく自分の後ろからッ!

 

予想は的中し、斜め上から霊夢が蹴りを放った。

そして驚愕する。地面が陥没したのだ。

 

「に、人間があれほどの脚力を持てるというの…!」

 

そう言いながら着地した霊夢に攻撃をする。

 

当たりはするが効いた感じはしない。

 

そうしてスペルカードを取り出そうとし、

 

「宣言なしで撃たなきゃ当たらないわね。」

 

と考え、やめる。

宣言なんてしてたら間違いなくやられると思ったから。

スペルカードはただの紙なのだから…。

 

霊夢が放つ弾幕は基本、自分狙いの弾幕。

威力は間違いなく殺傷可能なレベル。

亜空穴も搭載している。

何故かこちらからの攻撃が効かない。

 

「神力…。まさか本当に神だとでも言うのですか…。」

 

弾は霊力ではなく神力で作られている。

範囲もバカにならない。

 

考え事をしているうちに霊夢が目の前にやってくる。

 

「ッ!お祓い棒を振るだけでもこれなのね。」

 

お祓い棒の連撃を回避する度に余波で皮膚が裂けたりする。

これは不味い。

 

お祓い棒を回避すると同時に全力の蹴りを叩き込む。

 

…これならっ!

 

大妖怪の力での蹴りだ。これですこしくらいは…

 

 

 

霊夢は怯みもしない。足を掴まれ、地面に叩きつけられる。

そこに更に弾幕の追撃。文は既にボロボロなのに対し、

 

霊夢は未だ無傷。圧倒的であった。

 

「妖怪の賢者は何を考えて、こんな…奴を…。」

 

息もしづらい。

 

…まさかこんなことになるなんてね。

霊夢が、まさかこんな変貌するとは思わなかった。

 

もう力も底を尽きそうな状態。

 

「スペル…カード…ルが必要な…のも…わかり…ますね。」

 

そして目の前の敵を見据える。

全く疲れていない。まだ本気も出していないようだった。

 

意識を保てそうにないので、最後に聞きたいことを聞くことにした。

 

「貴方は…何者…なんですか?」

 

すると霊夢さんは恐ろしい笑みをして

 

「私か?…私の名前は」

 

 

 

 

「…鬼巫女だ。」

 

それを聞いた瞬間、わたしの意識は途切れた。

 

 


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