Pulsultraのその先へ   作:寒鱈

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第2話になります。
1話投稿して1時間ぐらいでお気に入りしてくれた方が1人いらっしゃいました。
些細なことと思われるかもしれませんがかなり嬉しかったです。
これを励みに頑張っていこうと思います。


第2話

 今から10年前、当時5歳の俺はヒーローを夢見るどこにでもいるような普通の子供だった。

 ただし、俺の両親は少し普通じゃなかったかもしれない。

 なぜなら、俺の両親はヒーローだったからだ。

 俺の母、弥凪風子(ふうこ)はかつてNo.8にまで上り詰めたヒーロー、『ウィンディ』。父、弥凪溜流(ためる)はそのサイドキックの『パワーブースター』と言うヒーローだった。

 母の個性は『(ウィンド)』、その名の通り風巻き起こし、操る個性だ。そよ風みたいな緩やかな風から竜巻のような激しい風を自在に操る姿は、一部で「風神」とも呼ばれていたそうだ。

 しかし母はその呼び名をあまり快く思っていなかった。

 母曰く、

 

「私はパワーブースター(溜流さん)がいないとちょっと強い風が起こせるだけのただの女だよ」

 

 との事だ。

 世間はそれを謙遜と捉えていたようだが、実際それは事実であり、母は本来一定の強さの風しか操れない。

 ならば何故、風神とまで言われるようになったのか。

 秘密は父にあった。

 父の個性は『補給支援(アシストチャージャー)』。触れた相手の個性を強化する個性だ。

 この個性によって母は強力な風を巻き起こしていたと言うことである。

 2人は抜群のコンビネーションで様々な功績を挙ていった。

 そんな2人の間に恋が芽生えるのにそう時間はかからず2人は結婚。結婚後も変わらずヒーロー活動を続けていた。

 しかし5年前(今現在で言う15年前)、俺の出産を機にヒーローを引退。

 父は会社員、母は主婦として第2の人生を歩み始めた。

 そしてそんな両親の元で育った俺がヒーローに憧れないわけがなく、寝る前に父からは母の、母からは父の武勇伝を聞いていた。

 当時から口癖のように、

 

「大きくなったらおとうさんやおかあさんみたいなヒーローになる!!」

 

 と声高々に言っていたそうだ。

 両親のヒーロー活動を捉えた動画を何十回、何百回と見て憧れは歳を重ねるごとに大きくなっていく。

 両親もそんな俺を見て、

 

「充は将来どんなヒーローになるんだろうね」

 

「きっと世界中誰もが知っているような最高のヒーローになるさ。僕と風子ちゃんの息子なんだから」

 

 と、なかなかの親バカっぷりを披露していたらしい。

 俺は本当に恵まれていたと思う。

 何せ理想のヒーローがすぐ近くにいたのだから。

 

 

 

 しかし、俺にはたった一つだけ恵まれていないものがあった。

 

 

 それは今や誰もが持っていて当たり前なもの。

 

 

 

 

 4歳になれば誰もが発現するその人特有の特殊能力。

 

 

 

 

 すごいヒーローだった両親がいる。

 

 

 

 ヒーローへの強い志や憧れもあった。

 

 

 

 

 しかし、ヒーローになる上で一番大事なものが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『個性』が、俺にはなかったのだ。




今回もなんとか書き終えることができました。
こんな駄文を読んでいただいてありがとうございます。
不備の指摘や感想などなどお待ちしております。

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