双つのラピス   作:ホタテの貝柱

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第二十八話 一件の騒ぎの終い

やっとの思いで士郎の家に帰り着くと、玄関前でいけ好かない顔を見付けてげんなりする。キャスターが呑気に煙草なんて吸いながら、私たちを待っていたらしい。

 

 

「やぁ、救出部隊のお帰りだ。」

 

「私、煙草のにおい嫌いなの!」

 

「それは済まなかったな。」

 

 

 

全然済まなそうな顔で、キャスターが吸っていた煙草を地面に落として火を履いてたサンダルで踏み消した。それを拾い上げ、携帯灰皿の中に入れる。

 

 

「再会の抱擁でもしてやろうか?」

 

「煙草のにおいが移るからやめて頂戴!」

 

 

 

わざとらしくキャスターが両腕を広げ、そんなことを言ってくるものだから咄嗟に拒否するとキャスターがいつもの人が悪い笑みを浮かべて腹が立ったと同時に何処か安心感を覚えた。

 

 

「…メイガス、ただいま戻りました。リヒトは?」

 

「朝まで君達の帰りを待っていたのだが、眠気には勝てず寝てしまったよ。シロの部屋に寝かせてある。君も無事な様で何よりだ。騎士王?まさか…バーサーカーを倒して凱旋とはな。」

 

士郎が背負っている少女をちらりと一瞥し、さも驚いたという様にキャスターは言う。騎士王、キャスターがセイバーをそう呼んだのを初めて聞いた。彼女の真名に相応しい呼び方であり、キャスターが彼女の真名を知っていた事に今気付いた。こいつ、セイバーの真名をずっと前から知ってたらしい。

 

 

 

「はい、お陰様で…シロウと凛の力添えにより勝てました。」

 

「二人とアーチャーに散々迷惑をかけた分の働きはしたじゃないかシロ。また面倒事を持って来た様だが。」

 

「…ほっとけ無かったんだから、仕方無いだろ。」

 

 

なんか、キャスターが珍しく士郎に対して塩対応だ。イリヤスフィールを背負い、士郎が反論する。

 

 

 

「捨てられた犬猫の類をほっとけなかったと拾ってくるのとは訳が違うんだぞ?二人に反対されただろうに、よく彼女を連れて来たな。このお人好しめ。」

 

 

返す言葉が無かった様で、士郎が黙り込んでしまう。まぁ、キャスターとしたら自分の主人を付け狙ってたマスターを士郎が連れて来てしまった事がお気に召さない様だけど。

 

 

 

「あんた…今日はやけに士郎に対して冷たくない?」

 

「この男は本官がわざわざ忠告してやったのに、余計なお世話だと言わんばかりの顔をして、出て行ったんだぞ?そしたら案の定な結果になった。今回は運が良かったが、次は無いと思え。」

 

「はぁ!?あんた、何で士郎を止めないのよ!」

 

「だから止めたさ。外には行かない方がいいぞとな。後はシロの自己責任だ。」

 

「メイガス、貴方という人は…だからリヒトを引き留めたんですね。」

 

 

セイバーが溜め息半分にキャスターを見る。士郎の方を見ると、今にも泣きそうな顔だ。

 

 

 

「ちょっとキャスター…士郎が泣きそうだから、もうやめなさいよ。それで、アーチャーは何処?」

 

「母屋の空き部屋に寝かせてある。一番奥の部屋だ。早く無事な顔を見せてやれ。」

 

「…二人共、先に行ってるわ。」

 

 

令呪はまだ、私の手にある。アーチャーが生きてた。急く思いをなんとか抑え、二人に言い置いてからキャスターに提示された部屋へ一足先に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シロウと二人、残されてなんとも気まずい空気が流れる。珍しくメイガスに強い口調で叱責され、シロウが泣きそうな顔をしているのに驚いた。メイガスなりに、シロウを心配していたからこそなのだろうけど。

 

 

「傷は…例の治癒能力で殆ど治りかけてるな。手当の必要は無さそうだ。騎士王も怪我は無いか?」

 

「私は大丈夫です。」

 

「シロ、姫は預かるからリヒトの所に行ってやれ。ずっと君を心配して、一睡もせずに夜通し起きていたんだぞ。騎士王、本官に付き添ってくれないか。」

 

「え?あ、はい…シロウ、イリヤスフィールはメイガスに預けて一度リヒトの所に行ってあげて下さい。」

 

「わかった…」

 

 

 

シロウはスンと鼻を鳴らし、一旦イリヤスフィールをメイガスに預けてリヒトの元へ。

 

 

「メイガス…シロウを泣かせないで下さい。」

 

「あれは一度、よく反省した方がいい。」

 

 

 

イリヤスフィールを抱きながら、メイガスが深々と溜め息を吐く。そしてふと、イリヤスフィールを見てポツリと一言。

 

 

「見れば見る程、母親の白き聖女そっくりだな。」

 

「メイガス、今なんと?」

 

「…だから、母親のアイリスフィールそっくりだと言ったんだ。貴殿もそう思うだろ?貴殿のかつての代理マスターの娘だぞ。」

 

 

 

そんな筈が無いと、咄嗟に言い返していた。イリヤスフィールがアイリスフィールに似ているのは、同じアインツベルンのホムンクルスだからだ。

 

 

「シロにとっては義理の姉になるのか。体の成長は止まっているが、実年齢はシロより幾つか上になるからな。」

 

「なっ…貴方、知ってたんですか?」

 

「貴殿こそ、全て知っていたからシロにそのことをあえて黙っていたんじゃないのか?」

 

 

 

勢い良く首を振る。私は全く、そんなこと気付きもしなかった。アイリスフィールに娘がいたのは知っていたが、直接見てはおらずキリツグがその娘と遊ぶ様子をアイリスフィールと遠巻きに見ていただけだ。

 

 

その後、直ぐにアインツベルンの城を離れて以来、私の前でアイリスフィールは娘の事は一切語らなかった。いや、話すと思い出してしまうから話さなかったのかもしれないが。

 

 

 

「……メイガス、イリヤフィールがシロウを狙った理由は今ので何と無く分かりましたが…何故、リヒトまで?」

 

「これは推測だが、イリヤスフィールは半身とシロに恨み半分と会いたさ半分の極めて複雑な気持ちを抱いていたんじゃないか?傭兵は結局、アインツベルンの城には戻れなかった。だから彼女は傭兵に捨てられたと思い、傭兵の養子であるシロのことを付け狙ってた節がある。半身の事も傭兵は実の息子の様に可愛がっていたからな。ほぼ同じ理由だろ。」

 

 

彼女の頭を撫でる、メイガスの手つきは何処か優しい。確かにアイリスフィールは、リヒトを実の息子の様に可愛がっていた。キリツグも当初はリヒトをとんだお荷物が出来たと、煩わしく思っていた様だが気が付けば…いつの間にやら傍に置いていたと思う。

 

 

 

「余計、シロに真実を話し辛くなったか?」

 

「……貴方も人が悪い。全部知ってたんですね。」

 

 

メイガスはフッと一笑すると、イリヤスフィールを大事そうに抱えて家の中へ入ってしまったので慌てて後を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドウシテコウナッタ。

 

 

目が覚めると、ぼくの上に馬乗りになりながらボロボロと涙を流すシロがいた。

 

 

 

ぼくの名前を呼びながら、シロがごめんなさいと何度も謝ってくる。どうやら、黙って家を抜け出したことを言ってる様だ。目が覚めたら、シロの寝ていた布団がもぬけの殻で嫌な予感がして屋敷中を探した。案の定、シロは居なくなってて見つかる訳も無く…あんな事に。

 

 

「…おかえり、シロ。」

 

「っく…ただい、ま。」

 

 

 

とりあえず何か声掛けなくちゃと思って、おかえりと言ってやる。シロもただいまと言ってくれた。

 

 

「みんなは?」

 

「遠坂と、セイバーは…一緒に、帰って来た。アーチャーは先に…戻ってたみたい、で。」

 

「みんな無事だったんだ、よかった。で…何で君は泣いてるの?言わないと分かんないよ、シロ。」

 

 

 

どうして泣いてるのかと、シロに訳を聞けばシロがぶわっと涙を溢れさせる。何故か、シロの口からキャスターの名前が出た。

 

 

「キャスターに、二回も…怒られた。リヒト、嫌いにならないでくれ…やだ、おれ、もう一週間前には戻りたくない、おまえに…きらわれたくない。」

 

 

 

シロはこの数日で、キャスターに存外にも心を許してたと思う。キャスターが怒るなんて珍しい。まぁ、今回の一件は流石に気の長いキャスターも怒るか。シロは二回も怒られたらしく、それが意外とショックで泣いてしまった様に見える。それは分かったけど、何でぼくがシロを嫌うのさ?

 

 

「……みんなに迷惑かけて、何言ってんだって思うかもしれない。けど…お前に嫌われたく、ない。」

 

「いつ、ぼくが君のこと嫌いって言った?」

 

「だって、キャスターが…俺のこと、本気で嫌いになりそうだって…っひく、」

 

 

 

キャスターにしては、また容赦ない言葉をシロに浴びせたものだ。

 

 

「シロ、キャスターにちょっと意地悪された位で真に受けないでよ。それで?どうしたら君は泣き止むの?」

 

 

すっかり目元を泣き腫らしながら、シロが何だか恥ずかしそうに此方を見る。とりあえず、ぼくも体を起こす。シロは相変わらず、ぼくに馬乗りになったままだけど。

 

 

「…してほしい。」

 

「ん?」

 

「ギュッて、して欲しい。」

 

 

 

言われた通り、シロがそれで泣き止むのならとシロをやんわり抱き締める。背中に、おずおずとシロの手が回された。

 

 

「君が無事に戻って来てくれて、よかった。キャスターが二回も君を怒ったの…もしかして一回分はぼくの分も代わりに怒ってくれたのかもね。だったら、ぼくからは何も言わないよ。」

 

「キャスターもお前も、同じ顔だし、同じ声だから…キャスターに嫌いだって言われると、お前に嫌いだって言われたみたいで…嫌だった。」

 

 

 

君、どれだけぼくのこと好きなの?ふと、ぼくの肩口に顔を埋めながら涙をこらえていたシロが顔を上げて目が合った。シロの泣き顔を見たのは、これで二度目だ。

 

 

「アレルヤ、君が無事戻って来てくれた事に対して…神に感謝を。」

 

 

 

彼が無事に戻って来たことに感謝し、その目元に軽くキスを落とす。涙の味がして、しょっぱい。すると、シロの頬がうっすら赤くなる。

 

 

「お前、そういうことは…女の子にやれよ。アインツベルンの城でも、キャスターと言い…」

 

「アインツベルンの城でキャスターが?え、だって…キャスターずっと、此処に居たよ。」

 

 

 

シロがしまったという顔で、口元を覆う。それはおかしい、キャスターはぼくが抜け出さない様にとぼくの監視目的で此処にいたのだから。

 

「シロ、どういうこと?」

 

「…あ、えと…」

 

「言ってくれなきゃ、シロのこと「城で、キャスターがイリヤに掛けられた術を解いてくれた!捕まった部屋で、俺が目を覚ますまで俺のことずっと…見てくれてた、みたいで…」

 

 

 

シロが矢継ぎ早にアインツベルンの城であったことをぼくに話す。まさか、キャスターがシロを助けに行った?でも、キャスターはずっと此処に居た訳だし。

 

 

「なんか、キャスターの奴、普段リヒトが着る神父さんみたいな服着て…イリヤのこと、イリヤ姉さんとか呼んでたから変だなと…」

 

「それ、本当にキャスター?キャスターはイリヤスフィールのこと、そんな風に呼ばないよ。」

 

 

 

互いに、顔を見合わせる。シロが見たのって、本当にキャスターなの?

 

 

「……キャスターに問い詰めるのも面倒だし、明日にしよっか。」

 

「いいのか…?」

 

「ぼくもまだ眠くてさ〜昨日から、あんま寝れてなくて…今もすっごい眠い。」

 

「俺も…眠い。」

 

 

 

シロが小さく欠伸して、ぼくの肩にしなだれ掛かる。相当、シロも疲れた様だ。無理も無い。

 

 

「待って、今君の分の布団も…「一緒でいい。」

 

 

 

…それは布団を敷くのが面倒だから、ぼくと一緒の布団でいいってことだよね?そうですよね?シロさん。シロがもそもそと、ぼくの布団に入ってきて、何時ぞやの様にぴたりと身を寄せて来る。見えない布団の中で、触れたシロの足が甘える様にしてぼくの足に絡む。

 

 

ああ、多分シロは疲れてるんだ。そう言い訳をして、シロを抱き枕にぼくも寝る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は何故、メイガスと一緒に出前のカツ丼を食べているのだろう。

 

 

「そろそろ帰って来るだろうと思って、出前に六人前のカツ丼を取ったのだが…凛とアーチャーからは怪我人と病人に脂っこいものを食べさせるなと文句を言われ、半身とシロは今見に行ったら仲良く同じ布団で寝てたから貴殿と本官の二人で三人前といこうじゃないか。貴殿なら三人分位、ペロリといけるだろ?」

 

「メイガス!貴方は私を何だと思っているんですか!?三人前など…「なら、本官があと二つも「いただきます!」

 

 

 

三人前のカツ丼なんて、滅多に食べられない。シロウのつくった丼物も勿論美味しいけれど、出前もたまに食べるからいい。

 

 

「貴方、そんな細い割に何故大食いなんですか?」

 

「本官の祖国の神々はやたらと大食いでな。神話では自分たちがその日食べるのに必要な食料を賄いきれなくなり、労働力として人をつくったと言われる位だ。少なからず、本官にも神の血が流れてる。大食いなのはきっと、その所為だろう。」

 

 

 

早々と二杯目を食べながら、メイガスがそんなことを言うものだから妙に納得してしまった。

 

 

「騎士王、バーサーカーという最大の脅威はもう居ない。貴殿はまた一歩、聖杯に近付いたわけだ。」

 

「まだ…サーヴァントは残っています。私とてまだ、肩の荷が降りた訳ではない。」

 

「君の願いは未だ変わらずか。まぁ、本官としては貴殿の聖杯獲得が叶えばまた一人同胞が増える訳だから喜ばしいが。」

 

 

 

口直しにお吸い物を飲みながら、メイガスが妙な事を言い出す。何が言いたいのですと、聞き返した。

 

 

「君に契約を持ちかけたものは、本官にも同じ契約を持ちかけてきた。アーチャーも同じだ。」

 

 

 

箸が止まる。メイガスが私にそんな事を話すなんて、珍しいこともあるものだ。

 

 

「アーチャーは知りませんが、貴方ほどの魔術師ならば…あれと契約せずとも、死後は英霊に召し上げられた筈だ。」

 

「人の力ではどうしようもない事がある。それは貴殿も身を持って、経験した筈だ。本官の場合は若気の至りだ。今になって思えば、何であんな事をしたのやら…しかし、だからこうして今此処に半身がいるのだから皮肉な話だよ。」

 

「リヒトが貴方の…半分だという話ですか?」

 

 

 

生まれ変わりとは、また違うらしい。リヒトは飽く迄も、人の魂としてメイガスから切り離されたと以前聞いた。

 

 

「騎士王、本官は貴殿を同胞として迎え入れることに異存は無い。むしろ喜んで歓迎しよう。しかし、あの脳内花畑が絶望するだろうな。」

 

「メイガス…何故そこでマーリンが出て来るのです。それに、あれは絶望などしませんよ。」

 

 

 

「あれは貴殿が幼い頃からの目付役だったんだろ?今でもそれなりに、貴殿を気にかけている様だ。」

 

 

さも鬱陶しそうにメイガスが溜め息を吐く。一体、メイガスとあれは何処でそんなやり取りをしているのだろうか。

 

 

 

「騎士王、まだ時間はある。今一度、貴殿の願いを一考するべきだ。」

 

「……メイガス、貴方は実に回りくどい。カツ丼が覚めてしまいます、早く食べてしまいましょう。」

 

 

やはり、メイガスが何を考えているのか私には分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さっきまで今にも泣きそうな顔してたのが嘘みたいに、すっかりリヒトの抱き枕になってる士郎は安心しきった小さい子供みたいな顔をして熟睡してる。

 

 

「中々戻って来ないから、見に来てみたら…二人して呑気なものね。」

 

 

 

溜め息が漏れた。なんか、リヒトがすっかり士郎の精神安定剤みたいになってる様な。しかも二人して同じ布団で寝てるとか、どんだけ仲良いのよ。

 

 

「君も早く、部屋に戻って休息を取らなくていいのか?凛。」

 

「……キャスター、あんたねぇ。」

 

 

 

キャスターだった。士郎の部屋を覗き込み、二人の様子を確かめて私にも早く部屋に行って休まなくて良いのかなんて聞いて来る。

 

 

「なんか、リヒトが士郎の精神安定剤みたい。」

 

「拠り所があれば、人は縋りたくなるものさ。半身にとっても、シロは大事な“きょうだい”の一人だからな。リヒトはきょうだいの為なら平気で自分を犠牲にするだろうし、危険が及べばその危険を根元から躊躇い無く排除しようする。」

 

 

 

君も気づいているんだろう?弟の極端な歪さに。キャスターが私に、そう囁きかける。

 

 

「士郎も大概だけど、リヒトもリヒトよ。」

 

「まぁ、半身の場合はシロほど壊れてはいないが…危ういと言えば、危ういな。気付いたら、道を踏み外していたというのも有り得るかもしれない。」

 

 

士郎の部屋の襖をそっと閉め、キャスターを睨む。

 

 

 

「…私がそんな事、絶対させるもんですか。」

 

「弟を守るのも、姉の努めか。誠に、君は頼もしいな。」

 

 

褒められているのか、はたまた別の意味合いか。これ以上、キャスターと話していると余計に疲れそうだから早く部屋に戻ろう。踵を返そうとしたその時、キャスターに名前を呼ばれた。

 

 

「凛、」

 

「なに、よッ…!?」

 

 

キャスターに腕を引かれ、呆気なくぽすんとその腕の中に私の体は収まってしまう。微かに、煙草のにおいがした。当たり前だけど、リヒトは絶対煙草は吸わない。今度は何の嫌がらせよ!このキャスター…!!

 

 

 

「…よく頑張ったな。君が無事に戻って来てくれて、本当に良かった。君としては弟の方がいいかもしれないが、生憎あの通り先客がある。」

 

 

私に言葉をかける、キャスターの声は私を労うかの様に優しい。いつもは私に対して、塩対応な癖に、何で今日に限ってと、キャスターの気まぐれを呪う。

 

「さて、暇潰しに本でも読んでくる。君も早く休めよ。」

 

 

 

その時間、ほんの数秒。直ぐにキャスターの体は私から離れた。言い返す気力も無く、どっと疲労感に押し寄せられて早く部屋に戻ってベッドにダイブしたい。全部あいつの所為よ。あぁ、なんか熱まで出て来た気がする。




ウルクの神様への供物用の食べ物も相当な量だったはず。供物用の食べ物の目録的な歴史資料があった様な無かった様な。

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