双つのラピス   作:ホタテの貝柱

26 / 55
第十九話 心残りであり救いだった

「なんか…こっちの道から帰るの久々。」

 

 

放課後、姉さんと一緒に遠坂邸へ向かう。最近はシロの家に直帰だったから、なんだか不思議な感じだ。

 

 

 

「ついて来なくて良かったのに。アーチャーいるし。」

 

「何と無く、やーな感じしてさ。」

 

「…あんたの嫌な予感、当たるからやめてよ。」

 

 

先を歩く姉さんが嫌そうに眉をひそめる。今日、学校に行くとマキリはかなり苛立ち気味ではあったけど学校には来ていた。真っ先にぼくに対して、一昨日のことを突っかかって来るかと思ったけど来なかったし。つまんないの。

 

 

 

「先輩を家に置いて来てよかったのか?リヒト。」

 

 

霊体化していたアーチャーが姿を現し、キャスターのことを聞いてきた。昼間は出かけていた様だけど、キャスターも今はシロの家に戻ってる。

 

 

 

「何かあったら、直ぐ来させる様にはしてあるから。大丈夫だよ。」

 

「それならいいのだが…リヒト?」

 

 

あと少しで遠坂邸に着くという距離で、あいつの気配がして、つい何時もの癖で顔を顰めてしまう。家の周りウロウロして、何やってるんだあいつ。

 

 

 

「…リヒト、まさかうちの近くに慎二来てるの?その顔。」

 

「君は間桐慎二限定の探査機か何かかね。」

 

「多分、何か用事があって姉さんに会いに来たんじゃないの?ぼくがいるとあいつ、まともにお話で出来なさそうだし、事態が悪化しそうだから離れたところで見とくよ。」

 

 

その場で一旦、姉さんとは別れた。シロの時はセイバーがいなかったからキャスターを張らせたけど、姉さんなら大丈夫だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょうど、遠坂邸の正門前でマキリは姉さんを待ち伏せしていた。覗き込めばギリギリ正門前が見える距離でぼくはその様子を見守る。

 

 

「慎二の為に、わざわざ隠れることもないでしょうに。」

 

「…ライダー。マキリの為じゃないよ。」

 

 

 

蛇が忍び寄る様に、じわりじわりと何者かがぼくに近付く気配がして、気が付けばライダーがぼくの直ぐそばまで来ていた。けどやっぱり妙なことに、彼女からは相変わらずぼくに対して敵意を感じられない。

 

 

「今日は…ランサーも、あなたそっくりのあのサーヴァントも連れてないのですか?」

 

「ランサーはそもそも、ぼくのサーヴァントじゃないし。キャスターは直ぐにでも喚べる様にしてある。」

 

「…そうですか。まぁ、この方が話し易いのでいいんですけど。」

 

「話し易い?」

 

「…こちらの話です。」

 

 

 

ライダーはわざわざ、ぼくに話しかけに来たらしい。何で?

 

 

「……慎二もめげませんね。昨日の今日で。」

 

 

 

予想通り、マキリは姉さんにシロなんかと組まないで自分と組もうと姉さんに話している様だった。けど、姉さんのひどい白け顔が後の結果を物語っていることにマキリは気付いてない。

 

 

「昨日の今日?」

 

「貴方がいないのを見計らって、わざわざ自分がマスターであることを彼女に明かしたところ一蹴されたと言うのに。」

 

「……マキリの奴、何やってるのさ。」

 

 

 

「差し詰め、彼女の気を引きたくてたまらないのでしょう?結果は目に見えているのに、懲りないマスターです。」

 

 

面倒臭さそうに、ライダーはマキリを眺める。あんまり、彼女が饒舌に話すイメージは無かったのだけどマキリに関する彼女の話題は愚痴めいていて聞いてるこっちが同情しそうだ。

 

 

 

「ライダー、君…なんでマキリのサーヴァントなんかやってるの?マスターとサーヴァントは惹かれ合う縁があってこそ召喚される。本来ならもっと…あんまり想像したくないけど、マキリそっくりな英霊が来そうなのに。君とマキリはまるで真逆だ。」

 

「マスターもサーヴァントを選べませんが、サーヴァントもマスターを選べませんから。」

 

 

ぼそりと、ライダーがそんなことを口にする。

 

 

 

「…ねぇ、まさか君を召喚したのってマキリじゃなくて。」

 

「桜は乗り気では無かった。それだけです。」

 

 

ライダーはあっさりと、自分の本来のマスターが桜であるとぼくに告げてきた。道理で、魔術回路も持たないマキリがサーヴァントを召喚するなんて本来は不可能に近い。

 

 

 

「あまり驚かないのですね。」

 

「あの怪老が考えそうなことだ。ライダー、ぼくからも教えてあげる。元々、ぼくもマスターか監督役補佐かどっちか選べって言われてたんだ。ぼくがマスターになれば、あのご老人は嬉々として桜を君の本来のマスターに据えて差し向けて来ただろうね。」

 

 

あのご老人、魔術師はもう引退して隠居の身だって聞いたけど鼻持ちならない。キャスターもあれはもう人間じゃないと言うくらいだし。

 

 

 

「……マキリがマスターやりたいとか言い出したんでしょう?事の顛末は大体分かった。」

 

「理解が早くて助かります。」

 

「お互い、苦労するね?ライダー。君には心底、同情する。」

 

「…私の様な反英霊に同情の念を向けないでください。私はマスターの命令であれば基本拒みはしないし、人の命とて簡単に奪います。」

 

 

何処か線引きをする様に、ライダーは言う。キャスターがライダーのことを零落した神か、非業の死を遂げた巫女の類だろうと熱く語っていたが、あながち間違いではないかも。

 

 

 

「ごめんね、僕の悪い癖だ。昔からサーヴァントと接する機会が多くてさ。つい彼らに対して、一人の人間みたいに接しちゃうからキャスターにもよく怒られるんだよ。サーヴァントを人間扱いするなって。」

 

「…桜の言う通り、貴方はずるい人ですね。」

 

「桜、普段ぼくのこと君に何て話してるの?ずるいって心外だよ。」

 

「……秘密です。」

 

 

ライダーがフイと視線を逸らした気がする。目隠しをしてるから、ライダーの表情はよく分からないけど。

 

 

 

「お喋りが過ぎました…先ほどから痛い位の殺気を感じるので、そろそろお暇します。」

 

「殺気?」

 

「次会えば敵同士なことを、どうかお忘れ無く。」

 

 

そう言い残し、ライダーは姿を消した。ライダーが姿を消して間も無く、ひどく険しい顔をしたアーチャーが現れる。

 

 

 

「君は何を呑気に、敵サーヴァントとお喋りをしているのかね?」

 

 

敵サーヴァントって、君だって本来は中立な立場のぼくにとって、似た様なものなんだけど。

 

 

 

「アーチャー、そう殺気立たないでよ。いや、ちょっとね…積もる話もあったから。」

 

「先輩みたく話をはぐらかすな。何を話していた?あの蛇の様な女のことだ、君を誑かそうとしていたのではないかね。君は何かと誘惑を受けやすいからな。」

 

 

アーチャーはまるでライダーのことをよく知っているかの様に話す。君、ライダーと交戦経験あったっけ?ぼくの見立てだと、姉さんとアーチャーの実戦は今の所ランサーのみだ。

 

 

 

「誘惑を受けやすいって…何そ「釣り合う訳が無いんだ!」

 

 

不意に、マキリの声がこだまする。適当に姉さんにあしらわれ、とうとうマキリが声を荒げた。

 

 

 

「衛宮も、あの得体の知れない魔術師くずれの言峰も、遠坂に釣り合う訳が無いんだよ!!」

 

 

瞬間、姉さんの拳がわざとマキリの顔を狙って撃ち込まれた。思わず、目を背けてしまう。まさか顔を殴られると思わなかったのだろう、のけぞったマキリが呆然と姉さんを見る。

 

 

 

「…三秒待ってあげる。その間に、私の前から早く消えて頂戴。悪いけど私、今は衛宮くん家で暮らしてるから。あんたと協力する気は無いわ。」

 

「なっ!?何で、衛宮ん家になんて…」

 

「いーち、にー…三秒経つわよ?間桐君。」

 

 

マキリが慌てて、ライダーに助けを求めながら姉さんの前からいなくなる。あーあ、姉さんってばシロの家に今いることマキリにバラしていいの?流石に、ぼくもいるとは言わなかったけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「姉さん、やり過ぎ…」

 

 

リヒトが顔を引きつらせ、私に声をかけてくる。

 

 

 

「いいのよ、あの位のお灸を据えてやらないと懲りないんだから。ああいうタイプは。」

 

「むしろ、火に油注いでる気がするんだけど。」

 

 

顔を手で覆い、リヒトが大きな溜息を吐く。あんた、得体の知れない魔術師くずれって言われておきながら何で平気な訳?衛宮君の事を悪く言われたのは勿論、頭に来たけど。何よりも私の前で弟のことを悪く言った、慎二に百パーセントの非がある。

 

 

 

「リヒトの言う通りだぞ?凛、君と言う奴は…」

 

 

アーチャーまで何で、呆れ顔なのよ!腹立たしいわね!!

 

 

 

「姉さん、人差し指大丈夫?少し腫れてる。」

 

 

不意に、リヒトに手を取られ自分の人差し指が腫れていることに気が付いた。慎二を殴ったとき、顎骨にでも当たったのかもしれない。

 

 

 

「大丈夫よ、この位…」

 

「ぼくがよくない。一旦、家の中入ろう?簡単な手当てするから。」

 

 

リヒトが珍しくムッと顔をしかめ、私の怪我をしてない方の手を取り直し、懐から遠坂邸の鍵を取り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「二人共、紅茶を淹れたから後で飲むといい。」

 

「ありがとう、アーチャー。」

 

「いつもながら気が効くわね、ありがとアーチャー。」

 

「む、いつも気を利かせているつもりだぞ?私は。台所の片付けをしてくる。」

 

 

アーチャーが少し照れた様にそっぽを向き、台所に行ってしまう。あのいけ好かないキャスターのおかげか、最近のアーチャーは表情がほんの少し柔らかくなった。私とアーチャーを繋ぐパスを通じて、あの二人が一緒の時には何処と無く穏やかな空気が流れているのが分かる。

 

 

 

リヒトは器用な手付きで、救急箱から取り出した包帯を私の手にクルクルと綺麗に巻き付ける。そして用意した氷のうを私に渡して来るなり

 

 

「これで少し冷やして。骨折はしてないと思うから。」

 

「あんた、怒ってないの?慎二にあんなこと言われて。」

 

 

 

あんまりにもリヒトが平然としているから、怒ってないのかて聞けばリヒトがふっと目を細めた。

 

 

「得体の知れない魔術師くずれは…あながち間違いじゃないよ。元々、何処の誰かもわからない得体の知れないぼくなんか、姉さんと釣り合わないのは当然だし。」

 

 

 

リヒトの自嘲気味なその言葉に対して、無性に腹が立ったけどグッと抑えた。あんたが私に釣り合う、釣り合わないなんて私が決めることなのに。

 

 

「そう言えば、あんた…綺礼に引き取られる前、元の両親のこととか覚えてないの?」

 

「さぁ?多分、父親はあの人たちの誰かで…母親も魔術の素養が高い女性だったとは思うけど、よく覚えてないな。」

 

 

 

一瞬、リヒトが何を言っているのか分からなかった。どういうことかと続きを促せば、リヒトは淡々と言葉を続けた。

 

 

「ぼくはね姉さん…昔、封印指定を受けた魔術師の工房で、黒魔術の生贄にされかけた子供なんだ。」

 

 

 

そんな話、聞いたことがなかった。いや、聞いてはいけなかった気がする。

 

 

「よくある話で、封印指定を受けた魔術師が弟子たちと一緒に、人体実験めいた儀式を繰り返していた。儀式用の魔術道具として、聖遺物を何個か違法に所持していたから、其処を聖堂教会に目を付けられてね。大きな儀式を敢行する直前、教会がキレイを刺客として送り込んだんだよ。」

 

「…確かに、よくある話ね。」

 

「其処で、キレイはたまたま生きてたぼくを見付けたんだ。それでキレイは気まぐれに、ぼくを拾ったって訳。」

 

 

 

アーチャーが淹れてくれた紅茶に砂糖を入れ、リヒトはティーカップを手に取り口をつける。

 

 

「元は儀式用の生贄なんて出自、得体が知れないのは当然だ。」

 

 

 

ふとリヒトが昔、お父様の下で魔術師としての修行を受けていたとき、黒魔術だけは異様に嫌がっていたことを思い出す。お父様もリヒトの様子を見て、無理には修めさせようとしなかった。その為、大抵の魔術には精通しているリヒトも黒魔術だけ疎い。

 

 

「…あんた、昔お父様に受けていた魔術師修行で黒魔術だけは異様に嫌がってたわよね。そういう理由?」

 

「よく覚えてるね。うん、まぁ…思い出しちゃうから、嫌だったんだろうね。」

 

 

 

視線を泳がせ、リヒトはとうとう下を向いてしまう。自分から話した手前、それ以上の会話が手持ち無沙汰になってしまったらしい。

 

 

「別に、あんたの生まれなんてどうでも良いわよ。それに私と釣り合う、釣り合わないもあんたが決めることじゃないし。」

 

「姉さん?」

 

「あんた…私との許嫁の件、お互いの恋愛には口出ししないとか言ってたわよね。もしかして、そういう変な負い目もあったから?」

 

「なッ…何言って!?」

 

 

 

珍しく、リヒトが顔を薄っすら赤くしてたじろいだ。嘘、案外当たり?隣に座っていたリヒトと、何と無く距離を詰めてみる。此方も手持ち無沙汰になっていたリヒトの手に、先ほど彼が手当てをしてくれた自分の手を重ねる。リヒトの瑠璃色の目が困惑でゆらりと揺れた。

 

 

「姉さん、なに….?」

 

「あんたが私に釣り合う、釣り合わないとか私が決めることよ。あんたでも慎二でもない。」

 

 

 

リヒトは一瞬、呆気に取られた様に私を見た後で今にも泣き出しそうな顔をして笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「間桐慎二の言葉を鵜呑みにするな。」

 

 

アーチャーが隣に腰掛け、珍しくぼくに慰めの言葉をかけてくれる。

あの後、姉さんは自分からあんなこと言っといて急に恥ずかしくなったのか…部屋から荷物取ってくるわね!とか言いながら赤い顔してバタバタと二階へ上がって行ったきりまだ戻って来ない。

 

 

 

「鵜呑みにした訳じゃないけど、自覚あるから少し凹んでる。」

 

「……君も案外、ナイーブな所があるんだな。」

 

「ぼくだって傷付く時は傷付くよ。キャスターみたくいつも能天気じゃないし。」

 

 

ちょっとカチンときてアーチャーを睨むと、アーチャーがまたもや珍しくクスリと笑って、ぼくの頭をわしゃりと撫でる。アーチャー…笑うと結構幼い顔になるんだなとその時初めて気付いた。

 

 

 

「アーチャーって、意外と童顔?」

 

「なんだね、急に。」

 

「んー…誰かさんに似てるなって。」

 

「君が誰を思い浮かべたか分かったぞ。あいつに余計なことを言っただろう?私とあいつが似てる訳が無いだろう全く。」

 

 

アーチャーは気分を害した様子で顔を顰めた。アーチャー本人はそうやって否定するけど、やっぱり似てる。

 

 

 

「アーチャーはシロが嫌いなの?前から思ってたけど。」

 

「何れ殺す筈の相手を好きになる馬鹿がどこにいる?ああいうタイプは一番嫌いだ。今は凛が同盟を組んでるから、仕方無く静観しているが。」

 

「……シロを殺すとか物騒なこと言わないでよ。」

 

「飽く迄も仮定の話だ。そう怖い顔をするな。君とて、中立の立場が衛宮士郎を特別扱いするのはどうかと思うぞ?昔馴染みとは聞いたが、何故そこまであいつに執着する。」

 

 

アーチャーがチラリと此方を見る。執着してるつもりは…無いと思う。多分。

 

 

「シロはね、引き取り手が決まらなかったらぼくのきょうだいになってたかもしれないから。なんかほっとけなくてさ。彼、元は災害孤児なんだ。他にも何人か生存者がいたんだけど、退院前に引き取り手が全員決まったからって教会での引き取りはナシになったから。」

 

 

 

何処か遠方への引き取りが決まったのか、ある時を境に他の生存者の子供たちをぱったり見かけなくなった。キレイはそれ以降、ぼくの前で子供たちに関しての話題に触れたことは無い。

 

 

「随分とすんなり、孤児たちの貰い手が決まったんだな。」

 

「……便りが無いのは元気な証拠って言うけどね。」

 

 

 

アーチャーは何かを訝しむ様に言う。多分、みんな元気に暮らしてるとは思うけど。

 

 

「その衛宮士郎に対する執着は捨てろ。何れずるずると、後を引くことになるぞ。私は君に似た様な人間を知ってる。」

 

「それ…前にキャスターから聞いた。君、キャスターそっくりの知り合いがいたんだって?彼とそっくりな奴なんて、君もロクな目に合わなかったんじゃないの?」

 

 

 

一瞬、何故かアーチャーはたじろいだ。嗚呼、生前の彼はキャスターのそっくりさんから散々な目に遭わされたに違いない。

 

 

「あれのしつこさは人一倍だった。私の様な人間をわざわざ追いかけて、危険な紛争地域で人助けをしていた様な奴だ。私以外には聖人の様な人間に見えたらしいが、私にはそうはとても見えなくてね。」

 

 

 

生前は周りから聖人扱い、まるで本当にキャスターの様だ。中身はてんであれだけど。アーチャーもその本性を知ってたからか、苦虫を噛み潰した様な顔をした。

 

 

「だが…私が何度か死に掛けたとき、彼は絶対私を見捨てなかった。それで何度か、死の淵から助けられたよ。どれだけ裏切られても、彼だけはそのしつこさで私のそばを決して離れなかった。全く、とんだ物好きだ。」

 

 

 

生前の彼に何があったのかは知らない。けど、アーチャーにとってキャスターのそっくりさんとの日々は決して悪いものではなかった様だ。

 

 

「彼の所為で、生前は唯一の心残りが出来てしまった位だ。本当に忌々しい。」

 

 

 

忌々しいと言いながらも、過去を語るアーチャーの声からは真逆の感情が汲み取れる。

 

 

「もう二度と、あんな思いはしたくない。」

 

「アーチャー、君にとってその人は心残りだったけど、救いでもあった訳だ。」

 

 

 

話がすっかり横に逸れてしまったけど、アーチャーにとってその人が如何に大事な人だったのかはよく分かる。

 

 

「そういうことに…なるのだろうか。」

 

「なるよ。一途なアーチャーを弄んで、あれも何やってんだか。」

 

 

 

彼、といっていたからキャスターのそっくりさんは確実に男性だろうけど。アーチャーはその人とも複雑な関係だったんだろう多分。あまり深くは詮索しないでおこう。

 

 

「なんで、そうな…「二人で随分、楽しそうにお話してるわね?」

 

 

 

いつの間に階段を降りてきたのか、姉さんがぼくとアーチャーの間に割って入る様に、ソファーの背もたれにずいっと身を乗り出す。

 

 

「凛!違うんだ、これは…」

 

「アーチャーに恋人がいたって話じゃないの?あんた、記憶が曖昧って割にそういうことは覚えてるんじゃない。面白そうだから聞かせなさいよ。」

 

 

 

この後、アーチャーはなんとか姉さんからその話題への興味を反らせようと必死だった。その所為で帰りが遅くなってしまったけど、面白かったからまぁいっか。

 

 

 

 




オリ主①は順調に成長すると、まんまオリ主②の様な性格になる予定。今はまだ子供っぽさの方が色濃い。ホロゥとHFやるとライダーの性格というか、印象がガラリと変わると思うんですよ皆。SNの2ルートがすぐ退場しちゃうから本当に惜しい。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。