(自称)ジャーナリストの武偵記録   作:レッドブルモンスター

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次の祝日休みって7月なんですよね(白目)


第10話

「…となったらこうするべきだ」

「いや待て、白雪を連れて逃走するなら恐らく…」

「あの…お二人とも何でここにいるんですか?」

 

  俺と映司は尋問科棟の取調室で作戦会議をしていた、その中に一人の尋問科の生徒の立ち会っていた。

 

  「私用目的での取調室の使用はやめてくださいって前に言ったじゃないですか!?」

「いやーだってもしかしたら俺たちの所にも監視カメラとか盗聴器ついてたら怖いじゃん?それに学校だったら迂闊に手を出せない、だとしたら安全なのってここぐらいなんだよ」

「だからって僕を巻き込まないでください!」

 

  彼はランクCの尋問科、成歩堂龍二。

  戦闘はてんでダメだが尋問の技術はあの綴先生も太鼓判を押すほどの実力、将来は弁護士になりたいと思っている。持ち前のハッタリと閃き力、観察眼をもって数々の事件を暴いてきた。

  最近では人の心に鎖がかかってるとか痛い事を言い出している、この前も出張先でクライン王国?とか、今時古い魔女裁判なんかで依頼人の無実を証明したとか。

 

「ハア…もしばれたら怒られるの僕なんですよ?また綴先生にタバコで手を焼かれるかもしれない…」

「まあその時は俺たちも謝ってやるさ」

 

  尋問科の担当教論、綴 梅子。

  常にダルそうな顔をして目に光がない色んな意味で豹蘭以上に危険な教師で、常にタバコっぽいものを吸っているが実は麻薬の類ではないかと噂されてる。彼女の尋問技術は日本で五本指に入るほどの実力で受けた犯人の全ては洗いざらい吐き、綴の事を女王さまなんかと呼んだりする。その時成歩堂も見学してはいたが本人は思い出したくないという。

 

「まあ問題は相手だな、色んな超偵を誘拐しているってことは」

「恐らく相手も超偵、それもかなりの実力者と考えたほうがいいか」

 

  今まで攫われた超偵だって抵抗はしたはず、ならば相手もそれを上回る実力を持ってると考えるべきか。

 

「アドシアードの沢山の人混みの中を連れて逃げるってのは絶対にありえない、相手だって大事にしたくないはず」

「問題はその逃走経路がわからないんだよな」

 

  相手がまだどんな能力を持っているかわからない今、様々な可能性を考えたが、一つの結論にたどり着いた。

 

「当日になんないとわかんねえか…」

「結局いつも通りのごり押しになっちゃうか…」

「な〜んの話をしてるのかな君たちは?」

「「「うわ!?」」」

 

  後ろからいきなり声を掛けられ驚く三人、振り返るとそこに立っていたのは目に光がなくタバコらしきものを吸っている綴先生の姿だった

 

「い、いつからそこに」

「今さっき入ってきたばっかだ、というかお前ら勝手に尋問室使うとはいい度胸だな〜」

 

  ヘラヘラしてる様に見えるが目が完全に笑っていない。完全にオコのようだ。

 

「え〜と?お前は装備科のBランク、桐生和正か…。自称でジャーナリストを名乗っている。実力はあるんだがお前の作り出す『コンボ武器』の被害がやばいからAランクに上がれない問題児じゃないか」

 

  ペラペラと和正のプロフィールを話す綴、この人の頭の中には全生徒のデータが入っている。

 

「1年の時には『マウントマッシブ精神病院』の真相を解明。その数ヶ月に南米のとあるカルト宗教の村での生還で事件を解決…。マウンドシップの事件はあたしも立ち会ったことがあるが…ありゃ生きた地獄だよ、よく自我を保てたもんだ」

「ええ、あれはもう大変でしたよ。おかげで1日ほどまともな食事が出来ませんでしたよ」

「むしろその程度で済むお前の精神がおかしいわ」

 

  年中ラリってるあなただけには言われたくありません。

 

  正直あれのせいでもう潜入系の任務に殆ど手を出せなくなってしまった。あの病院といい村といい、何で彼らは男のシンボルを執拗に狙ってくるのか。まあ逆に一夫多妻去勢拳喰らわして返り討ちにしたが

 

  途中サイコパスたちにも襲われたりしたがフェイスクラッシャーやパワーボムでなぎ倒したりした。たかが一人の人間に対して容赦なさすぎないかあいつら?

 

「…まあいい、それより何してたんだぁ?」

「…アドシアードに出る種目の事での話し合いをしt「私の目を見ろ」ッ!?」

 

  綴が和正の頭をつかみ、強引に顔を向けさせる。

 

「嘘とはよくないなぁ…いい度胸してるじゃないか…」

「…(ゴクリ)」

 

  わかっていた。尋問のプロフェッショナルの綴に嘘で張り合うなんて。

 

「もう一度言う…お前はここで何をしていた?」

 

 このままではまずい、そう思った次の瞬間

 

 

 

「待った!」

 

 先ほどまで空気となっていた龍二が大声をあげて割り込んできた。

 

「綴先生…彼らのアドシアードの件、間違ってはいません」

「何?」

 

 龍二をギロッと睨む綴、しかしそれに臆することなく彼はしゃべり続ける。

 

「確かに彼らは綴先生の言う通り自分達の出る種目なんて嘘はついていました。しかし彼らはやましい事を話してはいません」

「…なら証拠はあるのか?」

「僕がその場に立ち会っていた…なんて言っても証拠不十分ですよね。ですがもう一つあります、これを見てください」

 

 彼が手にしているのはアドシアードのマップ。それには和正と映司が白雪が誘拐された際に犯人がどのような逃走経路をシミュレートした紙だった。

 

「彼らはショーを終えた後にちょうど警備にまわります。お互い警備ルートに穴がないかを探していたのです。もしそんな事を外部なんかで話したら危ないからこの取調室で作戦会議をしていたんです」

 

 龍二の得意とするハッタリを叩きつけた龍二、綴先生はじっと龍二の目を見つめていたが彼もそれに対抗したのか睨み合いがあった。一分ほど経って綴先生が口に加えたたばこを携帯灰皿を取り出し捨てる。まるで諦めたかのように少し微笑む。

 

「…とりあえずそういうことにしておこう。今度から使うのだったら事前に連絡を入れとけ」

「「「はい!!」」」

 

 三人とも取り調べ室から出て少し離れた後、顔からどっと汗が噴き出した。

 

「ああ~怖かった!!」

「目つきやばい!確実に人を殺す目立ったわあれ!」

 

  押し込んでいた恐怖が後から噴き出してきた、人は威圧だけであそこまでできるものなのか。

 

「助かったよ龍二、お前のおかげだよ」

「はあ…これに懲りたらもうやめるんだな。次は助けてやんないからな」

 

 

 

 

  映司と龍二と別れ、和正は最後にショーに使う備品の確認を行うため、装備科棟へと向かっていた。現在の時刻は5時を回っていた。

 

「あと15時間後にアドシアード開始か…」

 

  超偵が相手ならただのコンボ武器では恐らく敵わないだろう。ならばここは念には念を押して『アレ』を持って行こう。そう思いながら和正はガレージに行く前に平賀の研究室に足を運んで行った。

 

 

 

  そしてアドシアード当日、各国の武偵の選手やマスコミ、一般の見学者などが多く来ていた。会場は様々な大会が開かれ、大いに賑わっていた。その中に1年のあかり、ライカ、志乃、圭がリーフパイを頬張りながら会場を見て回っていた。

 

「ねえねえ圭くん。圭くんの先輩ってどんな人なの?」

「…また随分と唐突だな」

 

  突然そんなことを聞いてくるあかり。三人は圭から話を聞いただけで本人にはあった事がないのだ。

 

「そういやあたしあんま知らないな」

「私は少し聞いた事があります。何でも装備科の問題児だとか…」

 

  志乃がそういう。あながち間違ってないから否定できないが

 

「それでもあの人は実力だけはあるんだよ…常識が欠けてるのを除けば」

「そ、そうなんだ」

 

  この前だってマニアックとか言う中世ヨーロッパのコスプレをした犯罪者が銀行に立てこもってたんだが、そこに駆けつけた先輩が何故かロッ○マンコスチュームの格好で「その年でコスプレなんてさすがに無理がないか?」なんて煽ってた。先輩は一度自分の姿を鏡を見た方がいいと思う。そのあと怒り狂ったマニアック共が先輩を殺そうと突撃してきたけどボッコにしたらしい。

 

「「「へ、へぇ…」」」

 

  さすがにそれは引く三人、ここで圭はあることを思い出した。

 

「そういえば先輩、ショーをやるって言ってたよな…見に行く?」

「どんなの?」

「確か…変身マジック見たいな事やるって言ってたけど…」

 

  詳しい話までは教えられていなかったが「楽しみに待ってろよ!」なんてサムズアップして言っていた、嫌な予感しかしない。

  三人ともそれに了承し、開演場所へと向かう。

 

 

 

 

  開演場所は体育館の外にステージが設置してあり、今はちょうどバンドを終え機材を片付けている途中だ。四人は観客席に座り先輩の出番を待った。しばらくして先輩達の番が回ってきた。

 

『はぁ〜いみんなー〜!!!アドシアードは楽しんでるか〜い?』

 

  垂れ幕の向こうからマイクを片手に赤いチャイナドレスを着たレイレイ先輩が出てきた。服の胸の谷間部分は穴が空いており、スカート部分は切れ目が入っていてセクシーな太ももが露出し周りを魅了する。

 

「「「「うおおおおお!!!」」」」

 

  セクシーなサプライズに男共は歓声をあげて答える。

 

『ありがとう!それじゃあ始めるよ!』

 

  バッと後ろの垂れ幕が引かれ、中央には仁王立ちで佇む先輩の姿があった。周りには『パラソル』と『ドラゴンの被り物』と『爆竹』と『日本刀』が置いてあった。

 

(…まさか)

 

  そこに置いてある物をみて圭は先輩が何をしようとしているのかをすぐに察した。

 

『今から私が布を掛けて《呪文》を唱え、この男性をドラゴンへと変身させちゃいます!』

 

  でかい布をレイレイと奥から出てきた黒子(映司)が持って宣言する。それにあかりがはしゃいで圭に話しかける。

 

「なんかドキドキするね!」

「だけど変身マジックってなんかパッとしないもんだろ。大丈夫か?」

「というかここにいる人達、もしかしてレイレイさん目当てなんじゃ…」

「…」

『それではミュージックスタート!』

 

  それと同時に二人が和正を隠すように布を上げる。そして

 

 〈 ロッテリアー

  bgm【熱き決闘者たち】

 

  突如として遊○王のbgmが流れ始める。そしてレイレイがテンションを上げて《呪文》を唱える。

 

『『ドラゴンの被り物』と『パラソル』を融合し!【メカドラゴン】を特殊召喚!』

「グオォォォォ!!」

 

  布を下げるとドラゴンの頭を被り、パラソルを羽のように広げている和正だった。観客はシーンと予想していたのと違ったみたいな感じで冷めている。あかり達もあまりの低クオリティに黙り込むあかり達だったが圭だけは違った。

 

(まだあるんだよなあ…)

『さらに!【メカドラゴン】を『日本刀』でチューニング!【メカドラゴンブレード】を召喚!』

「グオォォォォ!!」

 

  再び布が下げられ次に姿を現したのは大きな爪をかぶった【ブレードメカドラゴン】の姿だった。遠くからおおーといった小さな歓声が上がった。

 

『さらに!【ブレードメカドラゴン】と『爆竹』でエクシーズ!『炎のメカドラゴン】を召喚!』

 

  布を下げると今度は火を吹き上げて登場、どんどんドラゴンのクオリティが上がっていき先ほどの一発目とは違い観客達は大興奮。

 

『【メカドラゴンブレード】と【炎のメカドラゴン】を融合!現われろ!【アルティメットメカドラゴン】!!!』

 

  レイレイ先輩のテンションが有頂天となり、再び布を下げようとしたが

 

「誰か!その男を捕まえて!」

 

  観客席後方で黒ずくめの男が老婆のバッグをひったくりにあったよつだ。

 

「大変!速く捕まえないと!」

 

  あかり達が犯人を捕まえようと立ち上がろうとするが

 

「じゅわっち!!!」

『えっ!?あ、ちょっと!?』

 

  【アルティメットメカドラゴン】…もとい和正が布を払いのけ、ステージから飛んだ。

 

「お、おい!あれ見ろ!」

「飛んだァ!?」

 

  観客が驚くのも無理はない、なぜなら和正は文字通り『空を飛んだのだ』。よく見れば背中にはジェットエンジンのようなものが備え付けられて火を吹きながら飛んでいた。

 

「ん?…なんだあのバケモン!?」

 

  ひったくり犯の後を追う和正、ものすごいスピードで追う姿はまさしくホラーだ。

 

「グオォォォォ!!!」

「ひいいいい!?」

 

  その後犯人は必死に逃走を図ろうとしたが追いついた和正がドラゴンヘッドでひったくり犯の頭に噛みつき、そのまま御用となった。




今回のコンボ武器

『メカドラゴン』

パラソルとドラゴンの被り物を組み合わせたコンボ武器。これだけじゃせいぜい1メートル飛んで突進するか頭突きする程度で火力は低い。

『メカドラゴンブレード』

メカドラゴンと日本刀を組み合わせたコンボ武器。メカドラゴンは変わらないが日本刀の刃がついたグローブで相手を切り裂き、跳ぶ際にも斬撃判定が入る。

『炎のメカドラゴン』

ブレードメカドラゴンと爆竹を組み合わせたコンボ武器。口から火を噴くようになり、周りのゾンビどもを燃やし尽くす。

『アルティメットメカドラゴン』

ブレードメカドラゴンと炎のメカドラゴンを合体させた究極アーマー。背中にジェットエンジンが備わり、飛行距離が伸び体当りすればバイクを破壊できる程の威力がある。

今回はオリキャラ、『逆転裁判』の成歩堂くんが登場しました。彼は戦闘は全然ダメですが相手を(社会的に)殺したり、口論では無類の強さを誇っています。

マヴカプ3でも悪魔や神様なんかを裁いてたしね。

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