幼馴染が根源の姫だった件   作:ななせせせ

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今回の話は時系列的には第一部の回想の、気絶王が告白に対する返事をした日になります。
つまり第1話。

短めですが、すいません。

そういえばPS4Proを購入したんですが、やばいですねこれ
私が作っためっちゃ美人な灰の人がぬるぬる動くし、綺麗になってる。
常にヤハグル装備の狩人様もぬるぬる動く。
素晴らしい。


15

 ……ううぅ。

 なんだか最近避けられているような気が、というか確実に避けられているわ……なんでこんなことに……やっぱりあのラブレターのせい、ひいてはラブレターの差出人である佐藤さん(多分そんな感じの名前)のせいということでやっぱり消滅させるほかないのではないかしら?

 でも、そうしたら彼に嫌われてしまうのでは……あっ、でも待って。彼がその、わたしのことを好きになったのは『セイバーに出会う並行世界の沙条愛歌』が元なのだからそういう面を見せても大丈夫かも……いえ、それでも彼はそういう(・・・・)ことをするのは良くないと思っているみたいだし、やったら嫌われてしまうかも……?

 

 

 (それだけは……それだけはだめ!!)

 

 

 一瞬だけ想像してしまった未来に震え、ちらりと件の鈴木さん(多分そんな名前)の方を見ると、彼のことをさりげなくちらちら見ている。

 

 ……。

 はっ!? 危ない危ない。空間を捻じ曲げてしまいそうになっていた。最近、どうにも力の制御が出来なくなってきているのは勘違い……じゃなくて、感情の振れ幅が大きいせい。心を落ち着ければいいのだけど、そう簡単に出来たなら苦労しない。

 

 簡単には出来ないことといえば、田中さん(多分)が彼を好きになることだって、そうそうはないはずだった。

 わたしが付けた肩の傷痕はもちろんただのマーキングとか、そういったものではなく。あれは魔術的な力による、立派な雌猫避けとして機能しているはずだったのだ。具体的にどういう効果かというと、彼に異性的な意味での好意を抱いた女がいた場合、その人にちょっとした不幸が訪れる……そんな程度の軽い(まじな)い。

 

 話しかけようとすると用事が入って話せなかったり、何かのチャンスを作ろうとすると失敗したりということが続くと、普通の人は自然と諦めていくものなのだけど……佐中さんはそれを乗り越えるほどに強く彼のことを想っている。

 きっと、ラブレターを出すのだって何回も失敗したはずだった。それでもラブレターを出して、自分の好意を伝えた。その意志の強さは少し、好ましいと思う。

 

 ……だから、まあ。そのガッツは、み、認めても……いいかしら?

 いえ、その程度のことで揺るがないと自分で信じていられなくてどうするのかしら! そう、そうだわ! むしろわたしが彼女にチャンスをあげるくらいじゃないと!

 

 

 ――そうと決まったらすぐに行動ね。

 本来なら何らかのハプニングで届かなくなるはずだった彼女の手紙だけど、一時的に効力を弱めて届くようにする。……多分そのままにしていたら手紙は掃除の時に紛失とか、突然の突風で読む前に飛んでいくとか、そんな感じになっていたと思う。

 

 態々相手にチャンスを与えるくらいには余裕があるっていうことを証明しないと、まるで他の誰かに彼が靡くと思っているように見えるでしょうし。だから別に、全然、これっぽちも不安なんて――

 

 

「沙条さん」

「――っぴ!?」

 

 

 いつの間にか思考に没頭していたようで、突然誰かに肩を叩かれたことでようやく近くに人がいることを認識する。……もちろん、彼の存在は常にどこにいるのかはほぼ把握しているのだけど。

 振り向くと、そこには件の中村さんが立っている。……何か用? ああ、そう。なるほどね。

 

 

「あ、ご、ごめんね驚かせちゃって」

「ううん、別にいいの。……それで、何か?」

「……ええと、その、ね? 多分、分かってると思うから誰にとは言わないけど……この後屋上に呼び出されてて。なんていうかその、一回話してきた方がいいんじゃないかな、って。最近あんまり話したりしてないみたいだし」

 

 

 ぐちゅ、と言う音でどうやら自分が空間を捻じ曲げてしまっていたことを自覚する。気付かれる前に一瞬で治した。先に心を読んで分かっていたとはいえ、実際に言葉として耳に入ると込み上げてくるものがある。

 

 ……ああ。一体、誰の、せいだと。

 

 

「……そう、ね」

「うん。それじゃあ」

 

 

 ああ全く。

 

 

 

 

 ――やっぱりあの子、好きにはなれそうもないかな。




最近某静画に武内Pの絵が結構上がってて嬉しいとか思ったけど私はホモじゃないです()

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