仕方ないから気絶王のヌードを……え、いらない?あ、はい。
今回は短め。
――白。
例えるなら、それはミルク。甘い、甘いミルクのような白。それがどこまでも広がっていた。時折水のように波紋が広がるが、その波紋以外は変化の一つもない。
殺風景、を通り越して苦痛を感じそうな一面の白。実際、人間が精神に異常をきたすであろう空間だった。壁や床の概念がなく、時間という概念もない。
けれど、まるで温かいお湯の中にいるかのような安心感と心地よさがあった。ずっとこのままでいい、このままがいい、と思うような優しさがあった。
そんな甘く、蕩けるように異常な空間をずっと揺蕩っていた。どこに行くわけでもなく、ただどこまでも広がる『白』の中を、海の底に沈んでいくように。
この空間を作り上げた
このような空間を作り上げることなど『 』に接続した彼女にとっては些事でしかなく、またそれを維持させ続けることだって片手間で出来る。例え意識がほぼ無い状態になろうと無意識的に続けられるからこそ、ここは永遠にも思えるほど続く。
時間の感覚は消え。言葉は枯れ。思考が蕩け。身体の自由すらも利かなくなって久しい。そうして自らの名前と、過去を
人はきっと、ここを
……けれど。これは、きっと、
不意に、抱きしめている
このまま、全てを忘れて
名前はいらない。過去もいらない。他の全てのことはどうだっていい。いや、むしろ、他の全てを忘れてしまいたい。そうして何もかもを忘れた後で――ただ、
――本当に?
その青い瞳が僅かに揺れる。歓喜と、迷い。この現状に対する昏い喜びと、本当にこのままでいいのかという迷いがそこに見えた気がした。
だからこそ。
――ああ。
それでも、揺らぎは消えない。対応するようにして『白』にも波紋が広がる。
確かに迷いはあったのかもしれない。
だから返せる答えだって一つしかないのだ。……そう、なってしまったのだ。
――これでいいの?
――これでいいんだ。
――そうね。
――ああ。
ああ、俺たちの終わりはこれでいい。そう結論付けると意識を『白』に溶かした――
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
その始まりがいつだったのかを、二人は正確に覚えていない。否、そんなことはすでに忘れてしまっている。10秒か、3分か、4時間か、2日か、1週間か、それとも――
ただ一つ言えることがあるとすれば、地球上に人類はもう存在していないということだけである。
人類がこの二人を除いて残っていないのだから、この空間はエデンの園かノアの箱舟といったところだろうか。そして二人はアダムとイブ――まあ実際にはここから出ようという思考すら溶けているので色んな意味でアダムとイブにはなれないが――まあ、それはそれとして。
永久に沈み続ける楽園に囚われ、記憶を溶かされ、自己を失い、全て蕩けさせながら二人は墜ちてゆく。その果てはなく、ただひたすらに墜ちていくのみ。
過去は
イシュミールとシャルロッテどっちも来た……
死ぬんですかね……?
あと無人島で銀の魚と肉を焼き続ける作業にも飽きてきた……
あー、とジャンヌのような彼女が欲しいだけの人生でした……あの背中が大きく空いた服いいよね。二人きりの時とかにしてほしいけど。
次の話は?
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