幼馴染が根源の姫だった件   作:ななせせせ

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なんかすごい勢いで評価ついてて思わず笑っちゃいました
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 ……さて、この幼馴染(根源の姫)へとどう返答すればいいのか。下手な返答をすれば恐らく俺もファ〇リーズ案件になってしまう。そうでなくとも悲惨な運命を辿ることは間違いないだろう。

 

 いや、それ以上に最悪なのは俺の言葉一つがきっかけとなって東京崩壊エンド一直線になってしまうことだ。お前ファ〇リーズしても臭いし無理とか言った結果東京が滅びましたとか悔やんでも悔やみきれない。

 

 

「あなたの口から直接……ね? お願い」

「俺が、好きなのは……」

 

 

 さらに。さらに体を密着させ聞いてくる、この幼馴染様は気付いているのかいないのか。押し付けられる柔らかなふくらみが――

 

 

「っ……!」

「? ……ふふ」

 

 

 ええい、なんだってこんなにも動揺するんだ。まさか童貞の男子高校生でもあるまいし、こんな女体が傍にあるというだけでここまで興奮する理由なんてないだろう。

 思考は鈍化していくのに血流はどんどん早くなっていく感覚がする。

 

 

「……やっぱり、綾香?」

 

 

 その一言を聞いた瞬間、ほとんど死に体だった理性が息を吹き返し、思考は加速する。どう考えても綾香と答えることは悪手だ。

 

 この幼馴染様は妹である綾香を溺愛……とはいかないまでも、かなり目にかけている。綾香を泣かせようものならそいつは行方不明となるだろう。

 そもそも俺にとっても綾香は可愛い妹のようなもの。確かに可愛い。可愛いが、恋愛対象とはなりえない。

 

 いや、そういった面もあるが、嘘をつくことを避けたいというのが一番かもしれない。

 

 

「……それじゃあ、美沙夜ちゃん?」

 

 

 考え込んでいたことで違うと判断されたのか、麗しの愛歌嬢は違う名前を挙げてくる。

 

 玲瓏館美沙夜。俺が完全にFate/prototypeの世界にいると確信した瞬間を作った名前のため、色々と微妙な思いがあるが……

 こちらも俺の中では妹のようなものと思っている。綾香の友達ということもあるが、歳が離れていることが原因でそういう目では見られない。見てはいけない気がする。

 未だに熱に浮かされたように、あまり動かない身体を動かしゆっくりと首を左右に振る。

 

 途端に幼馴染様の目の色が変わった。もちろん、比喩表現だ。いきなり停止だの直死だのを使われるような流れじゃない、はずだ。残念ながらこの根源の姫の思考は全く不思議なのでどうなるか分からない。逃げたい。

 

 

「……なら、やっぱり私?」

「……っ」

「そういえば……こういう時は身体に聞くんでしょう?

この前勉強したから大丈夫、任せて……ね?」

 

 

 一体どんな教科書(薄い本)で勉強した知識だそれは、と突っ込みたいところだが生憎体は動かないのだ。

 そういえば今気づいたけどこれ何か(魔術)されてないか。

 

 両手でがっちりと固定された俺の頭を抱え込むように抱きしめられ、顔に幼馴染様の胸が押し付けられる。一気に血流が早くなるのを感じる。

 まずい、まずいマズい不味い! このままではデッドバッドエンド一直線じゃないか!? なんとか気を逸らせ! そう、ここは教室なんだ。見回りの教師がやってくる可能性も……! って伝える手段がない!

 

 

「大丈夫よ。教室(ここ)に誰か入ってくることはないから……安心して?」

 

 

 絶望である。何をやったのかはどうせ理解できないが魔術とかそういうのだろう。完全に隔離され、目撃者もいない中俺は消されるのだ。多分聖杯戦争が始まって俺が邪魔になったとかそういう。きっと殺す前に俺で遊んでいるのだろう。でなきゃこんなことはしないはず。

 

 半分くらい投げやりになった俺の目の前で、ゆっくりと幼馴染様が制服の上着を脱ぎ始める。

 セーターが出てくる。……セーターを脱ぐ。

 ワイシャツが出てくる。……ワイシャツのボタンを外す。その下に隠されていた滑らかな白い肌が見え始め、一気に興奮は加速していく。顔の熱さはもうよく分からなくなってきた。

 

 俺の方もいつの間にか上着を脱がされ、シャツのみになっていた。こういうことをあの幼馴染様が興味津々で勉強していると思うとちょっと興奮する。

 ついに俺のシャツは脱がされ、上半身裸にさせられる。

 

 

「それじゃあ――」

 

 

 そうして愛歌が顔を寄せ――二人の唇と唇が重なる、という段階になってついに限界が来た。

 勢いよく液体が飛び出し、二人の身体を真っ赤に(・・・・)染めていく。

 

 

「ふぇ?」

 

 

 鼻から噴き出した血が俺たちの身体にかかり、汚していく。そして俺の意識は薄れていく。

 完全に意識を失う直前である。これを最後に、もう目覚めることはないのだ。こんなことならファ〇リーズをしておけばよかった、と涙がこぼれ。

 

 妙に慌てた様子の愛歌の表情を不思議に思いつつ、意識は闇へと溶けていった。




一応言っておくけど終わりじゃないよー

次の話は?

  • スイート
  • ノーマル
  • ビター
  • デーモンコア

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