Fate/Inferno Order 作:ハイカラ 一方通行
side日番谷
「さあて、説明も終わったことだし戦力の強化をしようか。」
「英霊を召喚するってことか?」
「そうだよ。ところで重國君、君が冬木でエネミーを倒したときに7色に輝く石が出てこなかったかい?」
7色に輝く石…?確かに結構拾っておいたと思うんだがいくつあったっけな?
「ああ、確かに落ちてたがそれがどうかしたのか?」
「それは聖晶石といってね、カルデアではそれを触媒にして英霊を召喚するんだ。普段の健全な状態でのカルデアだったのなら1個だけでいいんだけど、今のカルデアでは電力が足りなくてね…それを3つ使ってようやく召喚できる、と言った具合なんだ。」
「なるほどな。よくできたシステムだ。」
たしか回収した骨とかと一緒に入れておいたはずなんだが…
「お!あったあった!うーんと、9個だけだな…」
「十分だよ。あと召喚してもどの英霊も呼び掛けに答えない場合があるからね。そういう場合は礼装が出てくる。」
それって前世の高確率で爆死するガチャと同じ臭いがするんだが…ガチャは悪い文明…破壊する!!( ゚д゚)ハッ!また変な電波を(ry
「じゃあ今回は立香が全部召喚するといい。俺はまた今度にするさ。」
「え?いいの?私が全部もらっちゃって。」
「お前の方が戦力強化は早い方がいいだろ。俺は普通ぐらいには戦えるが、お前は魔術ではほぼ素人なんだからな。」
「僕もそれをオススメするよ。あと重國君は異常だからね?決して普通ではないからね?」
「じゃあお言葉に甘えて…」
「おーい君達!私を忘れてもらっちゃ困るよ!」
あれは…ダヴィンチちゃん?さっき自分の魔術工房に走っていったはずだったと思うんだが…
「どうした?仙豆ならお前が血走った目で寄越せと必死に頼み込むからさっき何個かくれてやったはずだが?」
「あれじゃあ全然足りないよ!もっとたくさんくれないと!ってそうじゃなくて!英霊を召喚するんだろう?だったらこの万能の天才であるダヴィンチちゃんの開発した呼符の出番だ!」
そう言うとダヴィンチちゃんは懐から金の板のようなものを取り出した。
「なんと!これ1枚だけで召喚の儀式を行えるんだ!いや~さすが私。いいものを開発するねぇ~。」
「へぇ~便利なもんだ。」
「え!?それだけ!?なんか…こう…もっと言うことがあるだろう!「さすが天才!」とか「なんでそんなにも万能なんですか?」とかあるだろう!?」
「なんで自分で自分を褒め称えてんだよ…これだから
「それって何枚あるんですか?」
「うーん残念ながら、まだそんなに量産できるわけじゃないから2枚しかないんだ。」
「2回も召喚できるなら十分だろ。とっとと召喚しようぜ。」
「それもそうだね。じゃあ案内するよ。」
ロマンに案内されてついていくと、すでにそこにはマリーとマシュがいた。
「何をやってるんですか所長?」
「マシュの宝具である盾を触媒にして召喚サークルを設置するために、盾をここに置いてもらってたのよ。」
マシュの宝具はそんなこともできるのか…確かに宝具であればものすごく強力な触媒になるはずだが。
「召喚サークル設置できました。先輩、重國さん。いつでも召喚できます。」
「じゃあさっさと召喚してちょうだい。どっちから召喚するの?」
「じ、じゃあ私から…」
そう言うと立香は召喚サークルの前まで歩いていき、聖晶石を3つ取り出した。
「え、えっとどうすれば?」
「それをそこの召喚サークルに向かって投げ入れるだけでいいわ。それだけで人理修復に協力してくれる英霊が呼び掛けに応えてくれるはずよ。」
「それじゃあ…いきます!」
立香が気合いを入れて召喚サークルに向かって聖晶石を3つ投げ入れると、召喚サークルから膨大な魔力が溢れ出た。
「この霊基反応は…!?すごいぞ!いきなり超級サーヴァントだ!!」
「フッ…影の国よりまかり越した。スカサハだ。マスター、と呼べば良いのかな?お主を。」
「スカサハだって!?影の国の女王じゃないか!!どうしてそんな人物が!?」
「どうやら人理が焼却されたことによって、影の国も消滅し私も死んだという扱いになっているようだ。本来ならば私は召喚されるはずのない英霊だ。」
なんかヤバそうな赤い槍を持った全身タイツの女の人が出てきたぞ…
一言で言うならばエロい!そしてエロい!エロすぎる!ごちそうさまです!!
「そんなことよりも…」
「そんなこと!?」
そう言うとスカサハはこちらを見た。
「そこのお主。「え、俺?」そうお主だ。お主中々いいものを持っているな。どうだ?これから手合わせでもせんか?」
こいつも脳筋か!!
「手合わせしたいのはやまやまなんだが、生憎まだ俺はサーヴァントを召喚してないんでな。召喚したらいつか相手をしてやるよ。
「そうか、残念だ…」
本当に残念そうに( ´-ω-)ってなってやがる…
てかケルト勢脳筋すぎだろ!クー・フーリンといい脳筋しかいないのかアイルランドの英霊は!?
待てよ…?スカサハはたしかクー・フーリンの師匠だったはずだ。ここまでクー・フーリンと縁の強い者を召喚したら…( ゚д゚)ハッ!まずい!立香を止めなくては!!
「立香ちょっとm「え?もう召喚しちゃったよ?」なんだと!?」
「よう。さっきぶりだなお前ら。ランサーのクラスで召喚してくれてサンキューな。ま、気楽にやろうぜ!ところで重國の奴はどこだ?手合わせしたいんだが…」
くそっ!!遅かったか!!
なんか早速狙われてるし、早く逃げねーとYABEEEEEEE!
「おい、ロマン!俺は体調が悪くなった。今から3時間ぐらいトイレに籠る予定だから後で英霊を召喚する。というわけで、じゃあな!」
「え!?ちょ、ちょっと!」
そう言って魔力放出で部屋の外に逃げようとすると、自分の両肩に手が置かれた。
「「どこへ行こうとしている?」」
「なん…だと…!?」
速っ!?化け物かこいつら!!
やばいやばい!手が食い込んでる!骨がマッチ棒みたいに折れちゃうよ!
「ひ、ひいぃ!死ぬ!死んじゃう!立香!令呪でもなんでも使っていいから止めてくれ!!」
「う、うん、分かった。令呪をもって命ずる。重國から離れてクー・フーリン、スカサハ。」
「ちっ、しゃーねーな。」
「抗えんこともないが…マスターからの命令ならば仕方ないな…」
そう言いながら俺の肩から手が離される。
「た、助かった…」
こいつらマジでヤバい。手合わせなんかしたら確実にあの世行きだ。
「ア、アハハ…つ、次で最後かな!よっ!」
立香が聖晶石…(もう石でいいや)、を投げると召喚サークルから再び魔力が吹き出して見覚えのある英霊が出てきた。
「うげぇ…マジかよ…」
「サーヴァントアーチャー、召喚に応じて参上した――なっ!?クー・フーリン貴様何故此処に!?」
「それはこっちのセリフだアーチャー。どうやら俺のテメエは行く先々で巡り会う運命らしいな、くそったれが。」
「その言葉、そっくりそのままリボンをつけて帰そう。私もこういう特殊な状況でない限り貴様と組むのはごめんこうむる。」
「あ?なんだテメエ?やんのか?」
「まあまあ2人とも落ち着いて…」
「おっと、失礼したマスター。これからよろしく頼む。」
「ちっ、やっぱテメエとはそりがあわねぇ。」
「貴様と考えが一緒なのは腹が立つが、私も今それを思っていたところだ。」
そういえばあの2人は冬木でも色々言い合ってたな…なんか因縁でもあるのか?
「あとは重國君だね。準備はいいかい?」
「そうだな。取り敢えず召喚しないことには始まらないか。」
俺はケルト勢だけは来ないようにと祈りながら呼符を投げ入れる。
するとサークルから魔力が溢れ、そこから人影が現れた。
「ブーディカだよ。よろしくマスター。気軽にブーティカさんと呼んでもいいよ?」
お姉さんキャラ…だと…!?
フハハハハ!素晴らしい!!素晴らしいぞ!!良い人というのがあらゆるところから滲み出ているじゃないか!神よ!今から3分ぐらいは感謝します!
「うん、よろしくなブーティカ。」
「なんで泣きながら私を崇めてるのマスター!?鼻水まで出して!」
嬉しさのメーターが振り切っただけなんだ。
「な、なんでもない。(ゴシゴシ)…よおし!この勢いでいくぞ!」
「?なんかよく分かんないけど頑張ってマスター!」
「おう!そおい!!」
勢いに任せて呼符を投げると、召喚サークルからまたもや女性と思わしきシルエットが浮かび上がった。
あれは…刀?刀繋がりで召喚されたのか?
「新選組一番隊隊長、沖田総司推参!あなたが私のマスターですか?」
なんかハイカラな着物を着た女性が出てきたんだが…
沖田総司って女だったの?でも創作物に書かれているのが男だし…ってことは、男と偽っていたのか?
そして…
「羽織なくない?」
「…え?羽織?それがどこかに落としてしまったみたいで…」
召喚なのに物を落とすことってあるのかな?
…まあいい。考えても分からんし、ちゃんとした英霊みたいだしな。
「どうやら俺とは刀繋がりで召喚されたみたいだな。」
「え?マスターは刀をお使いになられるのですか?」
「ああ。といっても扱いは初心者だがな。」
「そうだったのですか!マスターが望むのならばこの天才美少女剣士である沖田さんが稽古をつけてあげますがどうですか?」
「じゃあ、時間が空いているときにでも頼むよ。」
脳筋じゃないならいい、とにかく稽古とかで死にたくない。切実に。
これからどうやってあのケルト勢から逃げようか考えていると、ロマンから意外な助け船がきた。
「どうやら召喚したみたいだね。それじゃあ、あとは各々の部屋で親交を深めたらどうだい?次に君達を呼ぶときは特異点にレイシフトする直前だからね。」
「そうだな、それがいい、てかそうしよう。」
「ま、手合わせはまた今度にすりゃーいいか。行こーぜマスター、師匠。そちらさんも仲良くやれよ!」
「そうだね、じゃあね~重國!」
結局手合わせするのは決定事項なのね…
そう言って立香達は行ってしまった。
「…俺らも行くか。行くぞ沖田、ブーティカ。」
「お!マスターの部屋に行くんですか?それなら私、お団子が食べたいです!」
「団子か…冷蔵庫にあると思うけど……あれはなぁ」
「団子なら私が作れるよ。現界した時に知識として入ってきたんだ。」
へぇ…便利だなサーヴァントって。
けどその分全力出せないように弱体化されてるから、メリットもデメリットもあるってかんじか。
・
雑談をしながらの移動はかなり楽しく、すぐに部屋についてしまった。
「着いたぞ。ここが俺のマイルームだ。」
「へえ、結構広いんだねここ。」
「俺がマスターとして加わる条件として、でかい部屋を貸してもらったんだ。キッチンとかもついてるから1日中過ごせるんだよな。ってあれ?沖田は?」
「マスター!冷蔵庫に団子ありました~先に頂いてますね~。」
え!?ちょっと待て!
「おいこら沖田!それは先着10人限定の売ればプレミアがつくほどの高級団子なんだぞ!?わざわざ外に出て徹夜して並んだんだ!勝手に――「美味しいです~。私、生前にこんなおいしいお団子が食べたことないですよマスター!」聞いてんのか!?」
「あ、大丈夫ですよマスター。ちゃんとマスターとブーティカさんの分は1本ずつ残しておきますから~。」
「いやいやいやいやいや。それ5本入りだからね?それだと君が3本食べることになるからね?」
「アハハ…食い意地が張ってるなぁ…。今回は諦めようよマスター。その代わりに私が何か作ってあげるから。」
くっ…まぁ団子を幸せそうに食べる美少女を見れたと思えばいいか。
…全然よくねーけど。
「…分かったよ。けどその分きちっと働いてくれよ。」
「やったー!沖田さんこれからいっぱい頑張りますね~。」
「じゃあ、親交を深めるために雑談でもしようか。お茶をいれてくるよ。」
「ああ、頼む。」
「あ!私も手伝いますよ~。」
「そう?ありがとう。じゃあついてきて。」
「はーい!」と言ってブーティカについていくブーティカを横目に、俺は考える。
恐らくこっからの敵は一筋縄ではいかないような奴ばかりだろう。
このすべてが曖昧な状況なら、下手をすれば権能レベルの力を使う神のような存在が出張ってくる可能性すらある。
その場合、間違いなく氷輪丸ともう1本の斬魂刀では相性的にも太刀打ちできない時があるはずだ。
沖田やブーティカの宝具も伝承通りなら神や伝説の竜の前ではあまり効かない可能性もある。
もし、そうなった時の為に、俺はあの斬魂刀の始解、もしくは卍解を使う覚悟を決めなければならない。
すべてを灰塵にする炎熱系最強の斬魂刀…
流刃若火を使う覚悟を。
sideout
狂った歯車はゆっくりと加速する
そこに極めて小さな原典とのずれを残しながら
しかしそのずれは小さいながらも、現実には大きな変化を起こし、原典に牙を剥き確実に破壊する
それによって起こる事象が良いことか悪いことかは誰にも分からぬまま時は流れ…
やがて本当の狂った物語が幕をあける――
なんとなく伏線?をはっておきました。
評価感想よろしくお願いします