ちょっと短めで聖刃くん中心に。
未来は誰にもわからない。
自分の行動次第で良くも悪くもなる不思議な目的地を、俺は『とある不幸』で通行止めにされてしまった。
誰かと会話したのは憶えている。
でもその視界はぼやけていて、会話のほんの一部しか思い出せなかったというのが現実だったりする。
『転生』
『能力を三つ』
『
『望み』
『代償』
そして、『では、またの機会が無いように』という言葉からの暗転。
……まぁ、物心ついた時の脳内第一声だけは、塵も残さず消し去りたい記憶だけどな。
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それが俺の、今の名前だ。
物心ついた頃の俺は、貪欲なまでに知識を欲した。
邪魔な転生者が来ても良いように、適度に目立たないように、堅実に平穏な酒池肉林な日々を過ごすために、と。
……今思うと、ある意味厄介な踏み台系転生者だよな。
それも後々、主人公の援軍に来るような頭の回る素直じゃないツンデレタイプの転生者。
それはそれで面白かったかもしれないが、その主人公が『アイツ』なもんだから戦闘中だろうが関係なしに軽口が飛んできそうで――
……あれ、意外にアリかこれ。
そんな約五年前辺りに過ぎ去ったような『
代えがたい日常だ。
直轄思考の脳筋もいれば言動が胡散臭い奴もいて、転生者っていう隠されたアドバンテージさえも影が薄いと言わんばかりの濃厚キャラが多いこの世界での生活が何よりも楽しく思える。
公園でひっそりと何人かで買い食いして、見つかったらバレないように奢って買収したり、宿題の進み具合で頭抱えたり、男子連中でしょうもない会話の中に数人女子が混じっていたり……
――だからこそ、残り数日と迫った小さくも大きな事件を、なんとしても解決しなければならない。
『
我が子への愛が故に邁進し続けた、一人の女が引き起こした事件。そして、その実質たった一人であり、俺の友達の一人――『高町なのは』が魔法に関わることとなった、最初の事件。
転生者という加え、この世界の地球も異常も異常……もはや異質と言わざるを得ないほどだった。
……Gジェネとかスパロボとか、そんな
もっとも、そんな
知り合い、というか友達の双子も同じく転生者で『
「流石に……、黄金○ットまでは予想外だったけど」
「黄金○ットがどうかしましたか? セイバ」
「うぇい!? ……って、母さん」
縁側に立つエプロン姿の少女――否、これでも一世紀の三分の一を生きる我が母親である。
外見は完全に『前の世界』の『Fate/stay nighit』のセイバーという少女のキャラクターだが、それでも俺の母親だ。
まぁ、俺自身の容姿も金髪碧眼のセイバー(四次仕様)なわけですが。
母親の経歴自体、俺がほとんど知る筈もなく……ただ過去に剣道の全国大会で優勝して、同じ会場で弓道大会の全国大会でベスト8になった父親に一目惚れをし、そのまま流れのままに……ということらしい。
とにかく、この世界の母親は母親になったという時点から母親と言う人種になって年を取りにくくなるのか、と言いたくなるほど見た目若いお母様方を俺は知っている。
喫茶翠屋が高町の母親に別クラスの友人、
母親ってスゲェ(小並感)
「そろそろ着替えなければ遅刻しますよ」
「おおう、もうそんな時間か……んじゃ着替えてきます!」
「それと――」
「あ、はいはい?」
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――嫌な予感がします。くれぐれも、気を付けるように。
PT事件のことなんだろうなーそうなんだろうなー……マジこえーこと言わんでくださいますかねオカーサマや……
……師匠に一応相談しておくかな。
さて、『師匠』とは。
俺の『目指せ平穏の酒池肉林』を根底から叩き潰した張本人であり、『自称』個人情報不詳の完全無敵ロリBBAなお方。
言うなれば『リアル○ザエ因果律の人』とか『雰囲気と外見が不一致』だの『バーニングザヨゴーッをマジでできる人』だとか、かなりの目茶苦茶具合で、先刻思った『
容姿とかは意外と好みなんだよなー……黒髪黒目で切れ長の目にロングストレートって……ああ、そうだ。
羽衣狐だ。ぬら孫の。結構似てて――マ、マサカネー?
そんなことはさて置き、速く朝飯食べて登校しますかねー
世界の裏があるように。
温かな表がある、賑やかな光がある。
私がいて、守りたい世界は、そんな世界。
次回、回転割砕の
第三話「昼飯四重騒」
こんな賑やかな世界が、私は好きだから。