大きく変わっています
修正:聖刃をセイバに変更
一話「これが俺の同級生たち」(リメイク)
俺の見る夢は不思議に満ちている。
例を挙げれば
例えば、魔法使い。
風を操り、近かろうが遠かろうが問答無用の風使い。
その魔術は弱き者の為、生涯振るわれ続けたその手にはいつも、大切な者が残した形見の指輪。
例えば、荒くれ者。
己が誇りを生涯貫き通した寡黙な戦士。
その身はいつも、外道を罰する武器そのもの。
例えば、英雄の娘。
世界を救った英雄の娘として祭り上げられながらも、生涯自分を貫き通し、いつ
――そう、誰もが『何かしらを』貫き通している。
俺は、この人たちのようになれるのだろうか?
――これは、俺が小学三年の春に遭遇した、家族を確かめる物語。
出会いがあって、思い、触れ合い、抱え込んでぶつかり合って、今度は別れがあって。
そうであっても、少なくともこの手は繋げられる。
口に出した心の声を伝え合える。
そんな、回り循環する『繋がり』の
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さて、物々しいモノローグがもうちょっとだけ続くんじゃよ、と少しだけ忠告しておこうか。それほど長くはないから安心してほしい。
俺こと『
その理由と言うのも、入学して半年に両親の仕事に付いてった姉ごと『仕事中の事故』……ってのがそう。
報告に来た同僚さん、とその息子さんが、辛そうな顔をしながら俺に一つのラッピングされた箱を手渡してきた。
――誕生日おめでとう。
そう一言だけ書かれたメッセージカードと一緒に入れられた、細く大きめな二重で金銀のブレスレット。
姉の要望で作られたオーダーメイドのブレスレットだそうだ。
翌日、話を聞いた親同士で交友関係のあった向かい家の母親が、身元引受人を申し出てくれた。
俺はそれを受け入れ、名字を変えず、住所をそのままに向かいの家の子となるが――まぁ、その先は『今も』という言葉で『お察し』だ。
それから、生来足の不自由な妹分を手伝うため、俺は学校に休学届を出した。
ここに小学三年のヘルパー兄貴が生まれたのでした。
それからは親切なご近所の方々の
さてさて――ここで無駄に長々しく物々しいモノローグはおしまい。
ここからは現在を語るとしよう。
幼稚園から休学を申し出たその日まで仲の良かった同級生たちは、小三となった今でもよく日野家を溜まり場にやってくる。
「ういーっす! ひなっち遊びに来たっすよー!」
――
お前はどこの子犬系金髪バスケ少年だと言いたくなるスポーツ『だけ』万能少年。
その明るさからムードメーカーとしても優秀で、暗い雰囲気もなんのその。
大雑把な料理が得意だとのこと。インテルじゃなくて脳筋入ってる。
「佐吉、宿題は?」
「案の定だ。俺だからな」
「……あっれー? 自分なんだかピンチっぽい?」
――佐吉こと
クラス全員に言われるのは『あいつマジアニメスペック』といわれるそこそこ万能少年。
多趣味で最近は占いにハマっているとか……
薦めた我ながらハマったもんだなと思う。
ちなみに一応参謀役。頭の良さは伊達じゃない、と若干高い声で言っていた。
「おーっし、まずは宿題片づけるぞー」
「んじゃ俺麦茶持ってくる」
「お前の宿題置いとくぞー」
「やってほしいナー」
「はいはい、ワロスワロス」
――ストッパー兼リーダーこと
本人も気にするキラネーム
母親はイギリス人でありながら世界剣道覇者だそうで。
家族揃って型月好きか、それとも素なのか……両親は目を逸らして関係を否定しているとか。
「あ、手伝うよひなたくん」
「ええのさ、ええのさ。どうせすぐだって」
「『大丈夫、すぐ戻ってくるって!』……か。色々と危ない」
「し、死亡フラグ確定じゃないっすか!?」
「そこの二人、白湯どころか氷で出しちゃろか」
「ま、まぁまぁ……」
――我らが癒しこと
有名工業機器開発の社長令嬢……の妹の方。
品行方正、才色兼備という言葉がよく似合い、『深窓のお嬢様』という言葉を彷彿とさせる物腰の柔らかさを持ちながら、時折とてつもない行動力を発揮する。
直感と論理的思考で行動しているとは本人の談である。
「そういうのなら、ひなたは『こんなところに居られるか! 俺は部屋に戻らせてもらう!』と言って死体で発見されるタイプよね」
「アリサの脳内の俺って小物なんですかねェ……?」
「小物っつーより体張って前例つくるタイプ?」
「マジでか」
「セイバの例えに一票ね」
「「マジでか」」
――行動的な策士とはこの方、アリサ・バニングス。
海外にも名を馳せる大会社の経営者の一人娘。
学年三位以内を常にキープし、性格上すずかと正反対でありながらそのスペックはすずかと同等ぐらいの力を見せている。
気丈夫で姉御肌、さらに身内には思いやりが強く、一部からの男子からは『将来男をダメ男にするかもしれない女』と
「だったらアリサは『大丈夫よ。わたしを誰だと思ってるの?』とフェードアウトしてピンチの時に『生きていたのか!』って言われる感じ」
「うわ、容易に想像できるの……」
「あら、高評価ありがとう。そしてなのは、あんたは宿題に集中する!」
「うにゃあ!? み、みんなは……」
「すぐ終わりますが何か」
「もうあと半分っすよ!」
「先程も言ったが終わっている」
「俺は後……見直しだけか?」
「あたしとすずかはとっくに」
「み、みんなの裏切者ー!」
――能力的に
一定空間内の空間把握能力とハード系の機械に詳しい能力を持ち、実家が喫茶店を営んでいる故、彼女が作るスイーツもなかなかの物。
しかし体育会系の血も入っているが故か、六割方直感に頼る部分もあり、直感の要らない系統の宿題などには滅法弱いのだ。
運動神経は人並よりかは少し下であることを自他共に認めており、それを克服するために最近は早朝のジョギングに挑戦しているそうだ。
「あ、そうだ! はやてちゃん、はやてちゃんは!?」
「あー……、期待しているところ悪いが」
「――既に『後の祭り』、や、なのはちゃん」
「 」
「な、なのはちゃんが真っ白に!」
「誰かベタかトーンを! 若しくはS○Iで色付けを!」
「ここまでテンプレだな」
――そして妹分にしてある意味半身の
この中で一番の本狂いで一番女子力の高いヤツ。
生まれた頃から患っている『正体不明の下半身不随』で車いす生活を強いられているものの、周囲の人々の協力で今日も元気に暮らしている。
家庭料理はもちろん、シンプルな和食はまさに逸品の一品。
そして日々の上半身の鍛錬は欠かさずにいる。ダンベルとか背筋とか腹筋とか。
こんな騒がしい七人を含めた複数人での日々が俺たちの日常だ。
――この数日後、飛来する二十一の光と来訪者から始まる物語も、俺たちの物語である。
知ってるようで知らない世界。
関わる筈もなかった世界。
次回、回転割砕の
第二話「Re:life/stay night」
それでも、