お待たせ致しました。ゲーム編9話です。
スランプって怖いね……
どうでもいいけど
約五分。
システムU-Dと交戦状態に入ったファウストと顕現したディアーチェ。技や魔法、戦闘スタイルにおいて引き出しの多さを誇るファウストに、自身の演算能力を以てして的確なサポートに従事するディアーチェと、
刀剣の扱いにおいて他の追随を許さないコード:エクスカリバーや、最硬度最重量のパワーファイター、コード:ライノに空中戦において抜きん出た力を持つコード:ゼファーなどの様々な戦闘スタイルに変えたとて、その魔力障壁を削り切れず。ただただ魔力が消費されることでしかなかった。
「虎の子のツインコードまで出したのに、ピンピンしてるでござるなぁ……」
「無駄口を叩くな、と言いたいところだが……愚痴ぐらいは見逃してやろう。我も
「――無駄だ」
無感情な、無機質な少女の声がその場を支配する。
白基調だっただろうローブは禍々しい炎熱の色へ変わり、体のほとんどを覆うローブから覗き出る陶器のような白い肌には燃え立つ火のような紋様。
最初に相対した時の、優しくも儚げな印象は最早どこにもない。あるのは黒く赤く、穏やかな暴力が形を得た
いっそ憐れなその様相に、二人は虚勢の仮面の裏で顔を歪める。
「お前達では永遠に届かない。
反論したくとも、できない。
それは事実だろう。ボロボロの自身達と無傷の彼女が何よりの証拠だ。
膨大な魔力が防護、回復を担っているのはわかる。しかし、減る気配がしない。削っている、確実に……そう、確実にシステムU-Dの体表を覆う魔力を削っているはずなのに。
……まるで減っている気がしないでござるな。
それこそ、まるで
そう思い立った瞬間、眼前から強大な魔力が溢れ出した。
次に見たのは、六つの炎の円環が金切り声を上げて回転している様。
「円環よ、追い喰らえ」
炎が赤く輝き、まるで
防御か――否、食い潰される。
回避――否、ルートが限定され追撃される。
突撃――否、
――直撃、か。
諦めかけた直後、横合いから衝撃と共に体が押し出される。……ファウストだった。瞬時にコード:ヴォルトに切り替え
「貴様……ッ!?」
何を、と言いかけるも炎の円環がファウストに殺到する。他の形態ならともかく、コード:ヴォルトはやや防御面が薄い。――しかし、もう切り替えることはできないのだ。
……ちょいと、無茶しすぎたでござるか。
魔力切れ。我ながら、なんとあっけない終わり方か。
素直に
自らの傷を見ながら、ファウストは思う。
術式で作られたこの体も、人のような赤い血を流すのか、と。ぼやけた視界で的外れな思考。自分の冷静な部分が、自らの終わりを悟る。
念話か、はたまた聴力機関が壊れたのか。遠くに悲しむような声が聞こえた。
「――
これから彼女のすることは分かっている。ならばせめて、最後の抵抗を。
傷ついた両腕で、頭半分下にいるU-Dの頭を抜けかけた力で抱き締める。
「ッ――エンシェント、マトリクス」
僅かな反応と共に腕を振りほどき、胸から引き抜いた腕には紫炎のような禍々しい、槍にも剣にも見える巨大な物体。
それを回転の勢いをつけて射出。ファウストは防御もままならず、紫炎の武装は突き刺さる。
「……さよならだ」
ファウストは紫炎の武装諸共、爆裂の光と共に姿を消した。
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アースラを襲った唐突な衝撃。
メインモニターに映し出されたのは、一目で魔獣だとわかる……アースラと同程度の大きさを誇る豹だった。
「魔力パターン照合検知! ……し、システムU-Dです!
二度目の衝撃。それは艦船ではなく、報告された全員の脳に叩き込まれた。
ナハトヴァ―ルクラスが二体。それはシステムU-Dと対峙した人間はもちろん、対峙した人間の情報とかつてナハトヴァ―ル戦に参加した者たちも戦慄を隠しえない。
――でも、それでも。
「て、転送ポートが起動しています!」
「一体誰が!?」
――
――即席集束武装「ディバインハルバート」
設定術式以上に魔力を流し、更に強化と負荷軽減のためにカートリッジを使った大斬撃と、一撃限定、術式崩壊ギリギリまでカートリッジによる瞬時集束によるブレイカーレベルの一撃が魔獣を弾き飛ばす。
その術式に気付いた何人かが、なんて無茶苦茶! と悲鳴に近い声を上げていたが、それは魔獣の前に出たことか……はたまた文字通りの諸刃の剣のような術式による特攻を仕掛けたからか。
「なのはさん!? セイバくんまで!」
『こんなん来てたらぐずぐずしてられないでしょうが!』
『独断行動
メインモニターに映るのは魔獣から目を離さずにいる少年少女。
そこへ、ある少年は問い掛けた。
「――やれるのか」
『無理ッ! 今ので分かったがクッソ硬ェッ! 日野レベルの打撃か防御貫通、装甲剥げる奴がいる!』
クロノの問いに、やや食い気味に応えた声は焦燥の影をチラつかせていた。
『アレの魔力系は防御と回復に回ってるみたいだから非常に厄介だよ。私が一番相性悪いかも』
なのはの真骨頂は砲撃による面攻撃だ。対多、長距離砲がメインだが、威力以外の貫通力はやや弱い。言わば力押しの工夫程度にしかならず、耐久特化の大型生物に対しては力不足になってしまうのだ。
更にここで追い打つように
「すまんが追加報告じゃ。
ここまで聞いて、リンディは即座に対システムU-D作戦のメンバーを練り直す。
――さて、ここでリンディが想定していた編成を出そう。
・第一班、第一攻撃隊編成。
聖刃、クロノ、ヴィータ、シャマル、キリエ、ヴィヴィオ、アルフ
この編成は比較的万能型を集め、あらゆる事態に対応可能な編成だ。その中でヴィヴィオの役割は瞬発力からなる撹乱と、
・第二班、第二攻撃隊編成。
ひなた、フェイト、はやて&リインフォース、シグナム、ザフィーラ、アミティエ、ユーノ、トーマ&リリィ
第二班の編成は少々特殊だ。システムU-Dが追い詰められた際に何も起きないはずがない。それに対応するため、やや防御に重きを置き、一撃一撃を確実に叩き込む編成となっている。その中にいるスピード型のフェイトの役割は、ひなたのプログラムカートリッジの予備戦力。
・第三班、補足部隊編成。
なのは、カガミ、ヒビキ、鈴、まり、アインハルト、ゆう、ゆな、ブリッツ
第三班は妙に少ないと思うことなかれ。遠距離砲、放出系魔法無効、
しかしここから大幅に変えた編成は……
「距離の遠いシステムU-Dの方をセイバくん、クロノ執務官、シャマルさん、シグナムさん、カガミ
「続いてこちらの魔獣型システムU-Dをひなたくん、フェイトさん、アルフさん、ザフィーラさん、ヴィータさん、ユーノくん、トーマくんとリリィさん、ヒビキさん、アインハルトさんが担当」
「闇の書の残滓の掃討、及び足止めは、はやてさんとリインフォースさん、なのはさん、ゆうくん、ゆなさん、
比較的マルチタイプな人間を人型の方へ。対単体高威力型の人間を魔獣型に。人型へ行く者たちに追従するように広域殲滅と援護が可能な者たちを付けた。
艦橋にいる人間と繋がった通信先から聞こえる応対の言葉と共に何条もの光が目標地点へと向かっていく。
……頼むわよ。みんな……
強大な敵に対する子供たちへの尽きぬ不安と、手伝いしかできない自分たち大人の不甲斐なさを胸に、
「これより、アースラは対システムU-Dとの最終戦闘を行います! 敵は依然強大……子供たちに任せるしかない自分たちに不甲斐なさを感じるでしょう。それでも不安に思うものもいるでしょう」
「ならば、その身この身を以て、全力で彼らの負担を減らせばいい。これは、我ら管理局員の……守る者としての本懐であると同時に、人生の先達としての、大人としての矜持ッ! 総員、生きて奮闘し、生きて帰ってきなさい! ――戦闘開始ッ!!」
『応ッッ!!』
彼らとて戦い、守る者たち。防人であるが故に。
・炎の円環
ヴェスパーリング。投射イメージはzeroでの言vs切戦闘のブーメラン黒鍵とか投げ夫婦剣。ちゃっかり誘導型。
・コード:~
感想で痴態流出されかけた犬忍者娘の能力。
元ネタは『ニンジャなら無料』でお馴染み(?)のWarframeというトンデモ忍者ゲーから各フレーム能力。
地味に聖刃要素があるためかエクスカリバーがつおい。
もしかしたら犬要素はそのせいかもしれない。
少なく短いけどここまで
かくして最後の戦いは始まる。
敵はあまりに強大。尽きること無き魔力そのもの。
獣と嵐の果てに、少女の身に宿した無限が待つ。
次回、回転割砕の
第十話「闇統王」
見出した答えは鍵の型
託した奇跡は明日への鍵。
優しき闇の扉は、今が開く時。
待て、而して希望せよ。