私は少しスランプ気味。作者です。
ようやく二話ですよ二話。
――あ、前章の次章予告。一部嘘予告になるかもです。
何が起きたかはわからない。
ウィルスの事件が露見して、もう自分のやるべき事は終えたんだと内心に安堵と落胆を感じつつ泥のように眠りについた。
それが今俺が納得している最後の光景。自室の小さく灯る非常灯の光が最後の光景。
では今の状況はなんだろうかと問われれば、他観的に森の中と言える。
基本的に虫全般が苦手な自分が自主的に森に行くことなんてそうそう無いし、そも自宅周辺に森なんてなかったと回答を出す。
――では、この状況はなんだというのだろう。
主観だが、世辞にも健康的とは言えなかった体は軽く、体調は好調そのもの。
服装は、着替えずそのまま寝てしまったためにジーパンに黒いタンクトップの上から白い線の目立つ黒い半袖パーカー。少し皺ができてる。
身に付けてるものは腰にぶら下げた家と自転車の鍵束と、最後の誕生日にもらった安っぽい懐中時計。
――で、目の前の狐と巫女さんだ。
……ああ、全く……何がどうなって
頭を掻こうとする手が止まる。
既に頭に触れた右手が“何か”に触れている。
――不意に高二の時の文化祭が脳裏に浮かぶ。
同級生が何を思ったか「女装猫耳喫茶を!」と言い出しあれやこれやと決まり、何故かメイド長とまで任命付けられた、あの時。
俺のしていたケモミミは……
「狐耳……だと……ッ!?」
ああ、それと何で俺の声は高いんだ……!?
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はやての担当女医が外科手術で大活躍し、かれこれ長い付き合いになるはやて達は、石田先生って一体……、と頭を悩ませるも、診察が遅れたお詫びに夕食をファミレスで奢ってもらって御満悦のまま、二人はバスを降りて徒歩で帰路についていた。
「奢りで食えるのはよかったな」
「久々の外食やしな。こう言うときでないと外食はできへんし」
「石田先生様様だな」
しかし、とひなたが続ける。
視線の先にあるのは、はやての膝の上……のそこそこ大きめな古書。表紙の剣十字が目立つ、古く大きな本。
はやて曰く、生まれたときからある本で、無論ひなたとも共に過ごしてきた、ある意味三人目の家族。
診察のある日だけ、はやてはこの古書と共に病院へ向かう。
一年前に判明したのが、この古書があると二人の依存性が少しばかり薄れ、吐き気や目眩が抑えられていること。
今日でこそ症状が起こるようなことは無かったが……
「妙にその本が存在感放ってる気がする」
少し間を空けて小さく肯定するはやて。
妙に、何故か、どうしようもなく。
その存在感に惹き付けられるような、そんな感覚。
今までになかった事例に対して気が一歩引いた。だがしかし、恐らく自分達に関係があるのだろうと気を一歩踏み出す。
街灯に照らされた古書の剣十字が一際目を引く。
よく見れば、この剣十字は……
「俺や聖刃の魔法陣と同じ……?」
呟いた言葉にはやてが、それや、と反応し、同時に愛機レオブロウが、肯定、と一言発し、
【魔法式:古代ベルカ式の代表的な紋章と一致。物理戦を得手とする古代ベルカ式を象徴するものとして多く多用されています】
そう言うレオブロウに、関心すると同時にあることに気付いたひなたはレオブロウに問い掛ける。
「それは今気付いたことなのか」
【肯定。ですが、認識そのものはしていました。しかし主への適応調整を最優先設定としていた為に、話す機会がありませんでした。申し訳ありません。我が主】
「――いや、お前が俺に合わせてくれたから頑張れたんだ。感謝こそすれ、怒る気持ちなんてない」
「せやでレオ。言ってみればレオは命の恩人さんやしな」
【……感謝】
そう言って頂けるのなら幸いです、と続けるレオブロウ。
背中に付き添い、支え、誰よりも
奇しくも、かつてはやてが憧れた理想像でもあった――が、色んな意味で
そう思考するはやての耳に、甲高い音が入る。
――聞いて『しまっていた』、大型車のブレーキが掻き鳴らす音。
ひなたのシールドも、はやてを抱えての回避もできない距離。
フロントライトの照らす光が、やけに強く感じる。
――光が、強く……――
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誰が呼んだか雷小僧。
どうもブリッツくんです。
久々に二次創作が読みたいけどそういうサイトが無いんだよね。淋しいな。
ちょこちょこ個人ブログでやってるのを見かけて、ひたすらネット回りですわ。
まぁ、それはそれとして黒円卓ですよ! 黒円卓!
俺の通う聖祥大付属小だけでも所属者は二人。候補は六人もいるとか。
そんな話をしてくれたのは
本名を『ミコト・イブスキ・サクライ』。容姿は何処ぞの記者天狗っぽいが、まさにその通りだった。
聖遺物『天狗の羽団扇』は、天狗信仰が盛んだった村で奪い合いが生じ、勝者無しの全員死亡と言う曰く付き。
……いや、聖遺物に曰く付きも何もないのだけど。
原因は土砂崩れ。
渇望や位階は秘密とのこと。……いや当然だと思うけど。
ちなみに俺は四位候補だとか……はい!?
「ちょ、ホアア!? 串刺し公の後継者っすか!?」
「私も逆だと思ったさ。しかし……ほら、君。行動力有り余ってるでしょ?」
あっ(察し)
四位を表すタロットは『戦車』で、正位置は勝利や行動力を意味するものの、逆位置は不注意や自分勝手など個人的行動のデメリットを表すカードだ。
好戦的とも表され、我ながら凹む。誕生日も七月上旬であることも重なっているだろう。
前世では確かにベイ中尉は好きだったけどさ。キャラ的に。き……かー○んだったし。
そも聖遺物無いんだけど俺。
え? あげる?
そんなまっさかー……う、うわあああ!
ココ、コズミック変質者だぁぁあああ!
しかもギャグ仕様で……ってミサワ顔で近寄るなぁぁああああ!
ろくがつぼうじつ。
ぼくは、はんぶんにんげんをやめました。
ちくしょおおーー!!
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梅雨特有の湿った空気が頬を撫でる。
軽い不快感に、思わず額を顰めてしまう。
我ながら最近は力を入れすぎた気がする。
十一月から……いや、正確には、はやての誕生日である『六月四日』から事件は始まる。
――闇の書事件。
それと同時に『前のなのは』は無茶が加速した気がする……というか、した。身の丈以上の、度を越えた……我が身を壊すほどの無茶無謀を。
それに、あの時できなかった『我が儘』を達成したいし、『あの子達』といた時間よりも、更に先を一緒にみたい。
――だからなのだろう。必要以上に、特訓に力が入るのは。
「……」
ふと見渡せば、そこは公園だった。
『前』はユーノとの、初めての出会いの場。『今』は、はやてとひなたに出会った、始まりの場所。
……懐かしくて思わず、ベンチで一休み……ぐぅ
散歩とはいえ、それほど距離のない内にベンチで休憩をしてしまった。遊びと戦いのバイタリティが発揮しない小三の体が恨めしい限りだ。
「よっと……」
少し離れたベンチの隣に人が座る。
鋭くも優しい目をした、黒髪の女性。
長い髪をそのまま流した姿は、どこか流動的で、結び付かないはずの『炎のうねり』を連想させた。
「……おや、君は確か翠屋の」
「えっ、あ、はい」
どうやら常連だったらしい。
話を聞くに、彼女は十年前に海鳴に友人たちと共に移住。開いたばかりの翠屋を見守り続けたスゴイ常連客だという。
何でも、桃子の修行時代の同期でもあったとのこと。なのはの二つ下ほどの娘を連れて、明日から実家のあるドイツに帰国するとか。
言われてみれば、そこはかとなくドイツ系の顔立ちに見えなくもない彼女はドイツと日本のクォーターと語ってくれた。
そういえば、と彼女は思い出したように、
「君の友人に、あの無表情の彼が居たな」
「はい、ひなたくんですね」
「父親は黒髪の巨漢で、母は朱色の髪の少女では?」
なのはは驚いた。
PT事件の始まる前にひなたの家で見た『ひなたの両親の写真』で見た二人の特徴を『知っているかのように』言い当てた。
――いや、違う。
……知っているんだ! 彼女は、ひなたくんの両親を知っている!
「ご、ご存じなんですか!?」
「従姉の縁でね。二人も移り住んだ友人の仲さ」
こんなところですげー縁なの……、と呟きそうになる口を抑えたなのはに、そんなに驚くことか? と女性は苦笑を浮かべ、都合よく解釈してくれた。
そして苦笑を浮かべていた女性は一息、視線を向こう……可愛らしいワンピースに髪止めに付いた鈴が特徴的な黒髪の少女に向ける。
その視線に気づいた少女がこちらに向けて手を大きく振るう。その様子に思わずなのはも振り返した。
「――彼らが死んだ。そう聞いたときは、
一個の縁で知り合ったとはいえ、それなりに濃い友好を築いていたと自負する。
心身共に大きく、比例するような寛大な心を持った彼。悪戯好きで性格上難ありで、知り合い全員が彼との馴れ初めを「うわぁ……」と思うような行動を取った愛の深い彼女。
騒ぎあった日々が、昨日のように思えるほど記憶と網膜に焼き付いている。
だからだろう。殺しても死なないような二人が、ある日突然死んだということが受け入れられなかったのは。
「家族の次に近しい者達だったことは、胸を張って言えるような二人だった」
その次に出ていた言葉は、なのはも知っていた。口々にひなたとはやてが言っていた言葉。
そして『前の世界』でも、度々耳にした言葉。
――その内、ひょっこり顔を出すんじゃないかと思えてくる。
直接、『死に目』に会えなかった人々が口にする、『現実味が無い』と言う言葉。
理性こそ認識し、受け止めているものの……『心』そのものが理解したくない、受け入れたくないと言う叫びにも聞こえて。
まるで涙の無い慟哭。姿を捉えられない虚無。
そこから言葉は、何も出なかった。
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頂点を丸で囲んだ三角形の魔法陣――古代ベルカ式魔法陣が白く輝いているのが目に映る。――その向こうに、街灯の光が多く並んでいることにも気付いて。
後ろを振り向けば、同じようにこちらに目を向けるはやての姿。
「――また魔法の厄介事ですかねぇ?」
「メインは私らか。この
軽口を互いに叩き合うも、正直二人は限界だった。
特に、二人の四方を跪き囲う四人組が主なトラブル(?)のきっかけなのだろう、と。
「闇の書の覚醒を確認しました」
凛とした声。勇猛さと堅実さを感じさせる気質。直感――この人が筆頭であると。
「我ら夜天の下に集いし雲」
続いたのは、犬……いや、狼の耳と尾を持つ褐色の男性。
寡黙にして質実剛健であるとひなたは直感する。嘗て見た父と同類の人間(?)であると。
「あなた様に忠誠を誓い、手足となるのは、我ら
続けたのは金髪のお淑やかそうな女性。
ふわりとした声の裏に、はやては吹雪のような物を感じ取り、ブレイン役は彼女だと感じた。
「なんなりと、御命令を――」
最後を飾るのは、アルフよりも濃い茜色の三つ編みの少女。
僅かに見える勝気そうな眼元が、それに付随する素直で誠実な雰囲気が、彼女がどういう人間であるか二人は理解できた。
――さて、人間観察は程々に。
梅雨入り前とはいえ、外出用の服とは言えないほどの薄着に色んな意味でまずいと思った二人は……
「……とりあえず、降りて帰ろうかね」
「……せやな」
その後、自宅に付いた途端に泥のように二人は眠ったとか。
・オトコトリップ
TSも男の娘もふた○り化もしてないのでご安心。
男の娘に見える男の子がケモミミになっただけ。ダイジョブダイジョブ……ジュルリ
・石田先生マジ有能
はやての原因不明の下半身麻痺から共依存を診察してきたスーパードクター
もうこの人だけでいいんじゃないかな。
・ブリッツくんマジカオス
貴重なギャグ枠。彼主人公の短編書きたい。
コズミック変質者のノリの軽さに付いて行けなかった。
・
某姐さんとは従姉妹。近年の悩みは娘からの呼び方がママじゃなくて
敬っているようだし良いかとも思っていたり。
・
強化に悩む四人と作者は思う。
某所のなのは×Diesで凄い強化を見てしまったためどうしようか試行錯誤中。
・ついでの聖刃くん
「正直強化されてると思うおっぱい侍に勝てるとは思えない今日この頃」
共に歩む者。笑う者。悲しむ者。
人はそれを家族と言う。
しかし、それでも。
踏み込んではいけない一線はある。
回転割砕の
第三話「おれン家(オン・ステージ)」
だけど、迷惑掛けあって支え合う。
それもまた、家族である。
待て、而して希望せよ。