ポケXの登場ポケモンに懐かしさを感じられずにはいられない作者です。
サブタイにギアナイトと言いつつ今回は最後だけ。
Bパートでは決戦濃厚に行くと思います。
近日、あらすじとタグ編集する予定。
シンフォギアデバイス。
十年前に、ある無名のデバイスマイスターが提唱したというデバイスの新項目だ。
触れた補助魔法を弱体化させる『アンチ・ノイズ・プロテクトジャケット』や、状況に応じて変化する『アームドギア』など有用性が挙げられた。
しかし、それに比例するコストの上昇。
そしてデバイスから発せられる特定振幅に合わせなくてはいけないという前提条件が邪魔をしていた。
特定振幅――つまるところ、歌である。
他のデバイスマスターは言った。
「敵前で歌う馬鹿がどこにいる」
「そもそも従来のデバイスならば歌う必要もないだろう」
そう言われてきたシンフォギアデバイスは、そのまま闇の中へと葬り去られた……
――はずだった。
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・――鏖鋸・シュルシャガナ
ゆなの口から歌が紡がれる
それに連なるように背中のプレートの先端が上を向いて、パーツの一部が開く。
プレートの中には縦に配列された小さな丸鋸が並んでいた。
――α式・百輪廻
マシンガンのように放たれた丸鋸が傀儡兵を次々と貫いていく。
撃ち終えたゆなはプレートを背中に戻し、足裏の横幅のある丸鋸がモーターのように回転し、滑るように大ホールを滑走する。
左右に大きく蛇行しながら両手の装甲を一対三基のチェーンソーへと変える。
――
体を独楽の様に回しながら周囲の傀儡兵を切り裂いていく。
時にはギャリギャリと音を立てて降り掛かる大斧ごと切り裂き、時には空から襲い掛かる飛行型をバターの様に三つに切り離す。
モーターダッシュの先にシールドを構える歩兵型に、三角形型に並べた三基のチェーンソーを突きだす。
シールドを貫くだけではなく、歯の回る三角配置のチェーンソーを接続している部分をそのまま回転させて
傀儡兵に刺した三基のチェーンソーを串刺し状態のまま一文字に並べ直し、上へと斬り上げ、逆の手のチェーンソーで股下から伐り裂いていく。
足裏のローラーをフル回転させてその場を離れた直後、真っ二つに伐り裂かれた傀儡兵が爆発する。
一旦壁と柱の裏に逃れたゆなは柱に背を預ける。
「――ッハァ……ハァ……けほ」
【
「本格起動は、初めて……無茶、言わないで……」
【それで体に無茶させて壊してたら意味が無い。次からは中距離を維持して】
「わ、かった……!」
ふっ、と息で力を入れ直し、獣のように体勢を低くしてローラーを吹かす。
背後を心配する必要はない。
何故なら、最高の
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・――獄鎌・イガリマ
フェイトのサイスフォームよりも刺々しい翠の大鎌の刃が傀儡兵を切り裂いていく。
メタルチックな音楽と歌声を掻き鳴らして、傀儡兵を切る音さえも音楽にして。
両肩二対のブースターを吹かし、擦れ違い様に傀儡兵を一つ、また一つと
二桁に入った辺りで身体を翻して大鎌をさらに大きくさせる。
大きく、さらに大きく巨大した大鎌は、まるで原寸大の三日月を思わせるような鋭さと威圧感を放っていた。
「キリカ、まとめて……切り裂けェッ!」
【任せる、デェェェスッ!】
――
横一文字。
振るわれた巨大大鎌から、さらに魔力刃による大鎌の刃によって既に切り裂かれた傀儡兵ごと、刃から逃れられた傀儡兵を切り裂いていく。
切り裂く。切り裂く。切り裂き続ける。
振り抜いた勢いのまま、さらに勢いをつけて大鎌を振りかぶる。
――
虫の
ブーメランのように回転し飛んでいく刃は、新たに飛んできた飛行型や歩兵型を次々と潰していく。
「もう、一丁ォォォッ!」
【デェェェスッ!!」
――
二回目に振り抜いた大鎌を担ぎ直して、縦に振り抜く。
放たれた二枚の刃から倍々ゲームのように魔力刃の刃が増えていく。
その様子は、まるで夜空の星全てが三日月になったかのように。一見それは妹ゆなの放った『α式・百輪廻』にも見えた。
三日月は次々に流星と化し、小さな極地流星群は傀儡兵を何度も貫いていく。
一通り殲滅したゆうは、頬を滴る汗を袖で拭う。
そのゆうの様子は、僅かながら朦朧しているようにも見える。
「ぜぇ……ぜぇ……うぇ。とりあえず一段落デスか」
【
「ば、バレなければ良いんデスよ。主に、巡に……」
『ででーん。ゆう、キリカ……あうとじゃー』
アースラの巡から音声のみの通信で、年末バラエティーのような言葉で一言送られてきた。
一人と一基は、ああ、と自らの運命を悟った。
「聖刃特製のカツ丼が食べたかったデス……」
【最後の晩餐ぐらいは出してくれると思うデスよ……多分】
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聖刃を先頭にクロノや鈴たちを含むαチームは【時の庭園】内を進んでいた。
その最中、一つの影が立ちふさがる。
一見、騎士とも思える鎧。無機質ながら妖しい光を放つ紫色の双眸が聖刃を睨んでいた。
「ッ! 総員、戦闘態勢に――聖刃?」
クロノの号令を手で制す聖刃。
数歩進んでナイト・セイバーを脇構えに構える。
「先に行ってくれ。コイツとの決着は俺が
『心配は無用。
そう言う目前の影……ギアナイトは斬馬刀を八相の構えで聖刃と相対する。
「(解った。……死ぬなよ)」
「(OK。任せな)」
互いに念話を交わし、クロノが残った全員に号令をかける。
「各員、前進するぞ!」
「「「――了解ッ!」」」
聖刃とギアナイトを除いた全員が奥へと通り過ぎていく。
そんな中、まりが頑張れよ、と聖刃の背中を軽く叩く。
全員が通り過ぎた後、ギアナイトがふむ、と言葉を漏らした。
『お主らの仲間は……良き気概の持ち主なのだな』
「管理局側は知らねぇが、他の連中の諦めの悪さは、まさに天下一品物だぜ」
『良い。己が正義のために戦い、泥に
機械音声の奥底に眠る感情を感じ取った聖刃は、脳裏にて確信を得る。
想像した通りの――
「お前は、やっぱり『
聖刃の言う『劒冑の相州五郎入道正宗』とは、別の歴史を辿った日本の『物語』に登場した、鎧状のパワードスーツと言っても過言ではない。
その中でも鍛冶師の魂を心鉄とすることで完成するのが、嘗ての正宗のような真打劒冑とされ、この世界で言うオーダーメイドのデバイスと化す。
真打劒冑は鍛冶師の魂を素材としているため、自意識を持った個体となる――つまりはアームドデバイスを作ったデバイスマイスターの魂を組み込むことで、独自のインテリジェントデバイスになるということだ。
その真打劒冑の中で、最硬度とも言える硬さを誇ったのが、この正宗であった。
『如何にも――だが、今は『元』が付く。重ねて言えば吾は三度目――否、細かく言えば四度目か』
目の前の
それは、
【なんと……聞く限り『転生者』とやらが『元の世界』から『この世界』への転生のみと聞いていたが、お主のような者もおるというのか】
『それほど、『輪廻転生』とは複雑なのだろう。次元世界が多く存在するように、『
それに対応する様に、聖刃もナイト・セイバーを握る手に力が入る。
『今この場に、力以外は不要
「――OKだムシャナイト。この後は、互いに
『異論無し! 往くぞ転生の騎士よ! 世に鬼あれば鬼を断つ。世に悪あれば悪を断つ! 相州五郎入道正宗改め、白騎士ギアナイト』
「輝け。煌めけ。
「『推して参るッ!』」
転生ほど便利な言葉はない
2014/01/14:一部単語修正