問題児たちと青年が異世界に来るそうですよ?   作:伊達 マイム

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偽りの魔女

ーsaid eiji onー

 

 七人と一匹で街に向かって歩いていると十六夜が提案してきた。

 

 「なあ叡士、世界の果てに行ってみないか?」

 

 これは・・・。めちゃくちゃ面白そうな案件だな。断る理由もないし行くか。

 

 「いいぜ!面白そうだしな」

 

 「分かってるじゃねぇか。というわけでお嬢様、このことは内密に頼むぜ」

 

 「分かったわ」

 

 「そっちに影分身の俺を置いておくから、セツノー。後、頼んだぞー」

 

 「分かったー」

 

 「じゃ、いくわ」

 

 「ついて来いよ?」

 

 「舐めんな」

 

 そういうと俺たちは世界の果てまで走った。その途中の森の中を走っていると不意に十六夜が訪ねてきた。

 

 「なぁ、その力はギフトの賜物か?」

 

 「いや、まだ使ってないぜ。使ってらほとんど一瞬だからな。使ったら、まるで瞬間移動のようだってセツノが言ってたからな」

 

 「へぇ?ってことは使わない状態だと今のが限界か?」 

 

 「まだ余力は残しているが競うか?」

 

 「おー、いいねぇ。俺もまだまだ出せるからよ。世界の果てまで競走するか」

 

 「いいぜ。じゃあ、罰ゲームはどうする?」

 

 「んー、そうだなぁ。なら、命令権(首輪)一回ってどうよ」

 

 「乗った。それで行こう」

 

 「じゃあ行くぜ?スタートだ!」

 

 その言葉と同時にギアをあげた俺と十六夜は世界の果てまでほぼ同時だったが、僅かに俺のほうが速かった。そして、そのままゴールした。俺はどや顔で言った。

 

 「俺の勝ちだな」

 

 「ちっ!あ~クソ!手加減されたまま負けた!」

 

 「約束通り命令権(首輪)一回だからな」

 

 「へいへい。で?何を命令するだ?」

 

 「今はまだ保留でいいか?十六夜のギフト分かってないし」

 

 「なら、今からどっかで『ギフトゲーム』でもするか?」

 

 「じゃあ、それが命令で」

 

 「分かった。どうする?」

 

 「そうだなぁ。お!トニトリスの大滝じゃないか!蛇神()でもいるかもな」

 

 「そうか。カチコミに行くか」

 

 「じゃあ、俺は見てるから」

 

 「おう、見とけ。行くぜ!おい!蛇神()!遊ぼうぜ!」

 

 十六夜は走りながら蛇神()に言い放った。

 

 『なんだ騒々しい。人間か。どれ、我が見極めてやろう』

 

 「はっ!何を言ってやがる。俺が試してんだよ」

 

 そう言って拳を蛇神()の頭に入れて、蛇神()は沈んだ。その様子を()()()()()()()()はやっぱり十六夜は強いななどと考えながら森の中を進んでいた。

 

 「そろそろ十六夜のところに黒ウサギが来るな。さてと、俺は『ギフトゲーム』でもやりに行こうかな。お?あんなところに洞窟があるじゃないか。行ってみよう!」

 

 俺は走ってその洞窟まで行った。入口に入ると突然白い(もや)のようなものが俺にまとわりついた。ん~。払ってもいいけど面白そうだしそのままにしとこ。それからすぐに謎のゲートが開いて俺を中に入れた。その中はいろんなものがごちゃ混ぜになったような不思議なところだった。

 

 「ここはどこだ?なんかえらくごちゃごちゃしたとこだな。契約書類(ギアスロール)はどこだ?」

 

 あたりを見まわすと一枚の()()契約書類(ギアスロール)を見つけた。いきなり魔王戦か。面白いな!

 

 「なるほど。魔王か、俺を倒せるかな?」

 

 俺は改めて契約書類(ギアスロール)を見た。

 

 

 ・ギフトゲーム名 DREAM OR REALITY

 

   プレイヤー一覧 森野叡士

 

   ホストマスター側 勝利条件

 

   ➀プレイヤーの屈服及び殺害。

 

   ➁魔女の殺害

 

   プレイヤー側 勝利条件

  

   ➀ゲームマスターの討伐。

 

   ➁現実を発見し、三人の天使の名を記された紙を現実に掲げよ。  

 

   ➂魔女の願いを聞き届けよ。

 

   ➃上記の条件の全てを達成。

 

   プレイヤー側 敗北条件

 

   ➀夢の発見。

 

   ➁プレイヤーの屈服及び死亡。

 

   ➂勝利条件を満たせなかった場合。

 

   ➃禁断の果実を食べる。

 

   プレイヤー側 禁止事項

 

   ➀空間の破壊を禁ず。

 

   ➁何人たりとも魔女の殺害を禁ず。

 

   (上記のことに違反すると即、プレイヤー側の敗北とみなす。)

 

  宣誓 上記を尊重し、誇りとみ旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

 

           〝プリム・ムリャーリ・イマニティ〟印

 

 

 「『現実』の発見?どういうことだ?」

 

 俺は疑問を口にしたが、それよりもきついことがある。俺はその一文を読んだ。

 

 「『何人たりとも魔女の殺害を禁ず』か。厳しいな。」

 

 そう。厳しい。なぜなら、魔王から、魔女の殺害を阻止しつつ、魔女の願いを叶えなきゃならないからな・・・。うん。面白い!やってやろうじゃないか。しかし、分からないことだらけだな。『夢』と『現実』が何を表してるとか『禁断の果実』であるリンゴが出てくるのかとかあるけど、分かるものと言えば主催者(ホスト)のプリム・ムリャーリ・イマニティはラテン語で『人類最初の女性』を表してることくらいか。ふむ。

 

 「人類最初の女性といえばエバ。つまり、イブになるわけだが、そういえばアダムにはイブの前にいた女性がいるって聞いたことがあるな」

 

 「ええそうよ。私が人類最初の女性。つまりね、エバの前の女のリリスよ」

 

 声がする方向に顔を向けるとゴスロリの小悪魔美少女がいた。

 

 「ああ、サタン(とその他大勢)の嫁(のビッチババア)か」

 

 「なんとなくディスられた気がするけどまぁいいわ。私との『魔王のギフトゲーム』の開始よ?」

 

 そう言って姿が消えて代わりに3つの扉が出現した。その扉はそれぞれ右から赤、黄色、緑の順に並べられて、左から偽りの魔女、星読みの魔女、憤怒の魔女の順にプレートが掛けられている。その前には1つの立札があり、その立札には『魔女の願いを左から順に叶えよ』と書かれてあった。

 

 「まずは偽りの魔女か」

 

 そして俺は偽りの魔女のプレートが掛けられている緑の扉を開けて中に入った。中に入ったら、扉がスーッと消えていった。

 

 「なるほど。そういう仕様か」

 

 俺は辺りを見渡した。それは、一面真っ白の部屋だった。そして、そこに1つの立札が現れた。そこにはこう書かれてあった。

 

 「『私の本当の姿を当てよ』か。これは楽勝じゃね?」 

 

 「本当にそうかな?」

 

 振り返ると、金髪ロングで長身の巨乳美少女が現れた。

 

 「君は?」

 

 「ボクかい?ボクは偽りの魔女のシオンだよ。よろしくね?」

 

 「よろしくしたいが、さっさとこの『ギフトゲーム』から出たいんだ。悪いな。それで?あの立札に書かれてあったことはどういうことだ?」

 

 「いや~。実はね、自分の本当の姿が分からなくなっちゃったから探してもらおうと思って」

 

 「おい、蜂谷三郎みたいに言うな!」

 

 「?誰それ?」

 

 「いや、何でもない」

 

 アニメじゃ自分の顔を忘れて一番しっくりくる不破雷蔵の顔にしてるって言ってたよな。などと考えているとシオンが話し始めていた。

 

 「ま、いいけど。じゃあ、二万人の『ボク』の中から本当の『ボク』を見つけてね」

 

 そう言って姿が消えて二万人の人がFate/Apocryphaに出てくるホムンクルス培養器のようなものの中に服を着た状態で現れた。俺はとりあえず、二万人の人を見てきた。見たところ全員女の子に見えるが、分からないので『白眼』を発動して観てみた。すると、()()()()()()()()()()。男の子ではなく、男の娘だ。これを間違ってはいけない。冗談はさておき、男の娘は除外かな。だって、あの魔女、女の子だったし、全然似てないし。それから俺は『写輪眼』を発動し実体があるかどうか観てみた。・・・全員、実体があった。正直言って『写輪眼』があれば、何とかなるだろって思っていたが・・・、『永遠の万華鏡写輪眼』にでも進化しますかな。ま、そこまでしなくてもいいか。

 

 「ん~。どうするかな」

 

 クソっ。全然分からねぇ。ヒントも何もないのに二万人の中からどうやって探すか。たぶん、シオンに似ているやつを探すのがいいのか?。それから1時間以上掛けて調べた結果、六人が残った。

 

 「うん。これ以上は分からん」

 

 クソっ何かヒントになるようなものは無いのかよ。そもそも偽りの魔女ってなんだよ!・・・・・・ん?今、なんか引っかかったぞ?偽りの魔女・・・。偽り・・・。ッ!そうか!分かった!()()()()だったのか!今までの苦労が水の泡じゃねぇか!俺はすぐさまあの男の娘のがある場所を見ると、リリスが容器を破壊して殺そうとしていた。俺は瞬身の術を使って男の娘が入っている容器の前まで跳んでリリスの攻撃を防いだ。

 

 「なにっ!」

 

 「間に合ったか。行くぞリリス!白竜の咆哮!!」 

 

 「ッ!竜の御技!?きゃあぁぁ!!・・・もうっ!ここは引いてあげるわ」

 

 そう言ってリリスはどこかに出かけるような雰囲気で消えていった。ふ~。何とかなったか。さてと、魔女を起こしますか。俺は容器にある解除ボタンを押した。すると、中の液体が流れ出てシオンが目覚めた。

 

 「正解だよ!オニーサン!リリスから攻撃を守ってくれてありがと。でも、よく分かったね。どうして分かったの?オニーサン」

 

 「最初は魔女の願い自体が偽りなんじゃないかと思ってたんだ。けど、流石にそれはないだろうと思ってその考えを止めたけど。で、二万人の中に一人だけ男の娘がいるのが分かってさ。違うだろって思ってたけど気になってマーキングしてたんだ。そのおかげでリリスから攻撃を防げたんだよね」

 

 「うん!ありがとね。オニーサン!」

 

 「どういたしまして。で、話を戻すとして、ヒントがないことが一番気がかりだったけど、一旦置いてあの時のシオンに似ている娘を探して六人まで絞ったんだ。けれど、それ以上分からなくて、なんとなく偽りの魔女って心の中で言ったら、なんか引っかかってさ、特に偽りの部分で引っかかって気付いてたんだよ。あの時の容姿が偽っていたことにね。だから、性別すら違う男の娘がシオンだと分かったんだ」

 

 「なるほどねー。うん!魔女(ボク)の願いが達成されたよ。だから、はい。これ」

 

 ラテン語で偽りの文字が彫られた金のバッチをもらった。

 

 「これは?」

 

 「これは魔女の願いを叶えた証だよ。後二つ貰うと『夢』と『現実』が現れるから、頑張ってね」

 

 「ありがとう。あ、二つ質問があるんだけどいいかな?」

 

 「いいよ!」

 

 「まずは、この女の子達は何なのかな?」

 

 「ああ、この娘達はね『ギフトゲーム』に負けた娘達だよ。あ、死んではいないから安心してね」

 

 「そうか」

 

 やっぱりか。なんとなくそうだとは思っていたから驚きはなかった。

 

 「あれ?そんなに驚いてないんだね。もしかして、予想してた?」

 

 「まあな。ついでに、男の方はどうなっているか知りたいけどね。ま、これは二つ目の質問じゃないから答えなくてもいいけど」

 

 「ううん。大丈夫だよ。男の子はね星読みの魔女と憤怒の魔女に均等ってわけじゃないけど、配分されてるんだ。後、リリスにも。というかリリスの方に大部分がいるけどね」

 

 「なるほど。流石ビッチ。抜かりないねー」

 

 「あははは!面白いね!」

 

 「そう?」

 

 「うん!今までの人はそんなこと言ってた人いなかったから面白い!」

 

 「それは良かった。それで、二つ目の質問なんだけど今までに君の願いを叶えた人はいるの?」

 

 「いるよ。百人くらいかな?だけど、全員次の星読みの魔女のところで願いを叶えられなかったんだよね」

 

 「ありがとう。じゃあ、俺は先に進むよ」

 

 「分かった!なら、後ろにある青い扉から入ってね。さっきの場所に戻るから」

 

 後ろを振り向くといつの間にか青い扉が出現していた。

 

 「分かった。じゃあな、また会おう!」

 

 「うん!またね!」 

 

 それを聞いてから俺は青い扉に入っていった。 

 




 気付いた人もいると思いますが、叡士君は魔王から、魔女の殺害を阻止しつつ、魔女の願いを叶えることができれば条件を満たすことはできると考えています。ですが、そんなに簡単には書きません。でも、駄文になるかもです。そうなったらすみません。

 と言う訳で魔王戦①でした。

間違いに気づいたので訂正しました。

魔女()魔女(ボク)







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