それはきっと好奇という名の残酷だろう。
しかし、感情に理解が足りぬ彼らに、分かることだろうか?
珍しく狼狽えたヒトは、似てもに使わない考えを頭の隅に置いた。
お待たせして本当に申し訳ございません…|ω・`)
- 見かけによらず
だが今日は、一つ違うモノが混ざっていた。それは紛れもなく、アダムの指示によって攫われてきた
本から目を逸らし、向かいの椅子に座ってるイヴ…と彼女に視線を寄越す。いつもならつまらなさそうに、自分の言い伝えに従って本を読む姿が見られる。片手は食卓に置き、顔を支えながら、もう片方の手は本を持って読む姿勢だ。だが今日、イヴの膝の上には、アカネが座っていた。よく分からない単語を指すイヴに、視線を寄越して読み上げる彼女の光景は、何度か目にした。普段ならば己に聞くか、あるいはネットワークに接続して資料を探るかの二択をするイヴが、まさか第三の選択をするとは。
やはり、君は思ったよりも、よほど他者を魅了する者らしいな。本から注意を逸らしたアダムは、じっと二人を見つめて考えに溺れていた。
ふと視線を感じたアカネは、顔の横に落ちてきた髪を耳に搔き上げながら、俯いていた顔を上げてアダムの方を見た。続いて、彼女は眉尻を下げ、目蓋を閉じて苦笑いを見せる。
「ごめん、アダムさん…騒がしかった…?」
困惑に満ちた声を耳に、聞いた本人であるアダムはただ小さな微笑みを浮かべて「いや、ただ君に懐いてるイヴが意外でな」と視線をアカネからイヴに移す。しかし注目を浴びた彼は嬉しそうな笑みを顔に、2Bや9Sと向き合ってる時の殺気が全く感じられない、むしろ子供じみたオーラを発してるように感じられる。呆れたため息を吐き、パタンと音を立てて本を閉じたアダムは、それを食卓に置き、続いて椅子を軽々と持ち上げ、イヴと彼女のほうへ歩み寄った。
頭を傾げる動作をして、近寄ってくるアダムに視線を向けながら、姿を追うと共に頭を動かす。彼の行動の意図を汲み取れなかった彼女は、疑問に思い、顔はまったく分からないと教えているかのようだった。さらには、すでに二人の隣まできたアダムの顔を、穴が開くほどずっと見つめていた。椅子を置き、座った直後に足を組む姿までじっと見つめるほど。本当にアダムを見てるのか、それともただ頭は別のことに集中してるだけで、目の動きが脳の回転に追いついてないだけか。真相はどうであれ、アダムの中では、目の前にいるアカネはいつまで経っても、解明される事のない謎だろう。
だからこそ、興味が湧くのだ。彼女の謎を、一つも残らず、全部暴き散らすのが、楽しみでならないのだ。
「君をここへ
言葉の意味を
そうだ、これこそ、私の知るキミだ。大胆不敵、冷静沈着、常に他人の調子を狂わせる、そのために存在してる
「それとも君は、私との約束を忘れたなどと…言うはずがない。そうだろ?」
ほぼ確信した口調で述べ、さらには追い打ちをかけるように、後戻りできないように疑問を投げつける姿勢は、どこからどう見て強制的に『YES』と答えさせるために、仕向けたものだった。それに対して、退路を断たれたアカネは慌てることなく、目蓋を閉じて「もちろん、覚えてるよ」と柔らかい雰囲気を放ち、目を細めてアダムを見つめた。
イヴを蚊帳の外に、長髪の二人は姿勢を保ったまま、またもや
だが
アダムが、心の底から、目の前にいるヒトの余裕を崩そうとしてるのも。
- それは無意識か、それとも
実のところを言うと、彼女は、酷く焦っていた。彼女、もといアカネというヒトは、思いもしなかった
指してるのは間違いなく、アダムの接触と探りを入れる会話の数々だ。笑みでなんとか誤魔化してはみたものの、口に出した答えは取り消せない。だけどアカネは気づいてる、もしここで
ともかく、彼女はアダムと会話を図るために、一度イヴに降ろしてもらい、代わりに席を譲ってくれたアダムの椅子に腰を下ろした。考える素振りを見せ、目の前に立ってる長身の男との話題について思考していた。
「うーん、なにから話せば…」
「君のことを話してみるのはどうだ?たとえば出身について」
「出身なら
「ああ、それは惜しい」
いかにも残念そうに目蓋を閉じ、悲しいと伝えるばかりの表情を露わにするアダムだが、それも数秒しか保たれなかった。なぜなら、彼はすぐにニヤリと口元を歪ませ、愉快そうな口調で話し出す。
「…と言いたいが、君の基礎情報は、すでに入手済みだ」
どんな予想外の返答や動き、対応にも決して驚かず、平然とした態度を取るのは、いつものアカネ。だが、今日この時に限って、平静も、平然も、淡々とした反応もできない。イヴの誘拐、アダムの急接近と
もし、アダムの言ってることが本当なら…彼はとっくに、自分の情報を丸ごと手に入ってる。しかも、自分では到底アクセスすることも叶わぬ、彼らのみが
「ふっ…ふふ、フハハハハハハッ!嗚呼、たまらない!その血の気が引いた顔ッ!最高だッ!」
肺にあるすべての空気を絞り出し、体に内蔵された力をすべて込めてるかのように、耳障りにも達するその残酷な高笑いは、まるでアダムの本心を表してるかのようだった。残酷で、凶悪で、言葉では表しきれないほど、
注目を浴びる彼女は、気付けばすでに元通りになり、血色が悪かった面影は一切存在せず、見えるのはただ、彼女を表すかのような微笑みだけだった。おかしい、アダムのみならず、その場にいた全員が思ったのだ。ありえないと、当事者である彼らは感じた。普通ならば、もっと狼狽えて、さらに失態を重ねるはずが、なぜ短時間で回復できたのかと。
「なるほど、それが……キミなんだね」
口を開けば、すでにいつもの彼女だった。誰に対しても大胆不敵、冷静沈着、怯えることを知らぬヒトの姿がそこに。だがそれはさらに、アダムの
これがヒト、これが人間、これが人類、これがアカネ!実に興味深い、実に愉快!今は、あの無能なエイリアンたちを感謝しなければならないようだ。我々を創造し、ここまで進化を遂げてこれるからこそ、こんなにも謎めいたヒトに出会えたのだ!ああ、感謝してやるぞ、無能で単調な創造主よ!おまえらのおかげで、私はこうやって彼女の謎を暴き、本性を引きずり出せる!
「感情を表してくれるのは嬉しいけど、あまり制御を外しちゃダメだよ?」
気づけば、真っ黒な瞳はすでに血色の目を見つめた。暴発しかねない、急速にこみ上げてきた彼の感情を抑制するように見つめていた。アカネの細い腕が伸びる、小さな手がアダムの頬を包み、それに合わせて彼は屈んだ。すべては無意識、気づけば体はすでに動き出していた、と感じさせる動作に、ずっと傍観してきたポッド255はカメラを回し、映像を記録していた。
これはアンドロイドにとって、貴重な
本性を晒し出すも、なぜあなたはちっとも意外と思わないのか?
やはりあなたは、なにか知っているのだろうか?
静かに記録を残すポッドは、人知れずにとある人物にデータを送っていた。
慌てて仕上げたものなので、誤字祭りかもしれません。
パソコンがようやくネットワークに繋げるようになりましたか、まだまだ片付けが終わっておらず、スマホで仕上げました。
文法はおかしいとか、作風違いますねって思われるかもしれません。
環境が変われば雰囲気もガラッと変わる性質です、私自身でもよく分かりません(倒れ込む)