ダンジョンで運命を変えるのは間違えているだろうか   作:サントン

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赤バーが短い期間でも付いた記念に、それっ!


評価が付いた記念の投稿編
連合最大の危機


 俺の名前はカロン、アストレア連合ファミリアの大団長だ。

 この拙作は、本来は完結していてもう更新する予定はなかったのだが、誰かが赤バーが短い期間だけでも付いたのが嬉しかったため、テンションが上がっておまけで投稿したらしい。もうこれ以上の話はないとか嘘付いてゴメンナサイ。

 ところで評価?赤バー?一体何の話をしているのだろう?俺は誰に謝ったんだろう?

 

 まあともかく、今日は俺達アストレア連合ファミリアの三周年記念だ。パーティーを行う。ここは連合大広間だ。

 もう、連合結成してから三年も経つのか………。

 さすがに、連合大団長ともなると忙しく、俺は以前よりもダンジョンに潜る機会が減っていた。

 ………決して誰か(作者)が戦闘描写を書くのが面倒だとか、嫌いだからとか、そういう理由ではないぞ………そういう理由では………そういう理由です。ごめんなさい。

 

 「お、おい!どうなってるんだ!?」

 

 なんか向こうがざわざわしてる。メッチャざわざわ。何だろう?

 

 「どうしたんだ?」

 

 「大団長!」

 

 彼はアストレア連合専属の料理長だ。彼の周りに複数の料理人達もいる。

 彼は不思議な顔をして語る。

 

 「それが………幹部の方に頼まれていた料理をお出しするために持ってきたのですが………すでに料理が置いてあったんです。」

 

 「すでに置いてあった?」

 

 ふむ、わからんな。今日は記念パーティーだ。

 俺達アストレア連合には敵もいる。俺達がいくら強大な組織だったとしても敵対する人間はどこにでもいるものだ。そいつらのなんらかの策略だろうか?でもそれなら、なんでもっと速い時期にしかけてこなかったんだろう?

 ………これが毒物だったらことだ。

 俺は決断する。

 

 「よし!その料理を片付けろ。俺達の敵がなんらかの攻撃を仕掛けてきたのかもしれない。」

 

 「わかりました。」

 

 「待ってください!!」

 

 そこにリューが無駄に颯爽と現れる。

 

 「その料理は私が用意したものです。私は………いつも皆さんに感謝しています。私は連合の皆さんの役に立ちたいんです。私は………私は………皆のために頑張って料理を作ったんです。」

 

 リューが涙目で上目遣いで俺達を見る。

 俺はなんか嫌な予感がする。

 

 「「「「「うおおぉぉぉ!!!!」」」」」

 

 周囲で歓声が上がる。なんか人間がたくさんいるな。

 アレ?いつの間にこんなに人間が集まっとったんだ?なんか皆凄いテンションが高いぞ?

 

 「「「「「リュー副団長!!!」」」」」

 

 俺達は熱気の渦に包まれる。なんか皆テンションが上がっとる。ウム、これはいかんやつだな。落ち着かせんと全滅しかねんぞ。

 俺は落ち着いて対処を行う。

 

 「待て、皆。この料理は料理というよりはむしろ兵器だ。お前達がリューの料理を食べたいという気持ちは理解するが、これは食べたらまずいことになるやつだぞ。」

 

 「そんな………カロン、酷い。」

 

 リューは涙目のまま視線を落とす。滴り落ちる一筋の雫。ますますテンションを上げる周囲の人間、彼らは団結する。

 

 「大団長、俺達はあなたを尊敬しているが、同様にリュー副団長も尊敬している。俺達ヘスティアファミリア冒険者一同は、断固として副団長の料理を食べる!そうだろ、皆?」

 

 「「「「「おおぉぉぉぉ!!!」」」」」

 

 ふむ、こいつら全員冒険者部門の人間か。

 一枚岩なのはいいが、こいつらはなんでこんなにテンションを上げとるんだ?お前らそんなにリューが好きなのか?

 

 ………今こいつらを扇動したのはヘスティアファミリア団長のバランだが、確かこいつはベロニカと付き合っていたはずだ。こんなことをしているのがベロニカにばれたら怒られんのか?

 そもそもこいつは前から俺達のファミリアにいたから、リューの料理がどのようなものか知っているはずなのだが?誰か(作者)も今まで知らなかったがまさかこいつには破滅願望があるとでもいうのか?

 

 「大団長、俺はあんたの気持ちもわかるが、こいつらの気持ちもわかるんだよ。」

 

 「バラン………。」

 

 バランは遠い目をして続ける。

 なんかこいつ急に語り出したぞ?

 

 「皆リューさんが好きなんだ。でも、でも、、こいつらは名前すら出ない脇役なんだ。脇の脇の隅っこなんだ。チラシの裏のさらにノーネームなんだ!俺達がリューさんなんて高望みだってことはわかっちゃいるさ。でも、脇役にだって脇役の幸せがあったっていいじゃねぇか!俺達だって頑張って生きてるんだ!この記念のいい日に、リューさんの手作り料理を食べることが出来たっていいじゃねぇか!俺達だって必死に生きてるって、誰か(作者)に思い知らせてやるんだ!」

 

 「皆………。」

 

 チラシの裏?誰か?

 何を言っとるんだ?しかし変な説得力がある。

 リューが感動した目で冒険者達を見てる。

 しかし俺は大団長として決して認めるわけには行かない。

 

 「バラン………死ぬぞ?それにお前はベロニカと付き合ってるんじゃなかったのか?」

 

 「大団長、俺達だって冒険者だ。いつだって死を覚悟して冒険しつづけてるんだ!それに………ベロニカは………最近仕事にかまけていてあまり会う機会がないんだ。」

 

 ふむ、もしかしたらこいつは浮気するタイプなのかも知れんな。それも冒険者らしいといえるかもしれない。後でベロニカにチクっておこう。

 

 それにしてもこいつら皆死を覚悟しとるのか。なんかこいつらがレミングスの群れに見えてきたぞ。あの集団で入水するやつ。

 

 「大団長、俺達は戦って俺達なりの幸せをつかみ取るんだ!行くぞ皆!」

 

 「「「「おおぉぉぉ!!!」」」」

 

 いかん、これはもう止められん。まだパーティー開始までは時間があるがいくら俺でもこんなに大人数を相手には出来ん。リュー一人でさえ格上だというのに………。

 

 「どうしたんでしょうか?」

 

 「リリルカ!」

 

 俺に心強い援軍が来た。皆ご存知の魔王リリルカだ。もう魔王でいいだろう?

 

 「リリルカ、それが、リューの料理が記念パーティーの料理に混じっているんだ。」

 

 「!?どうしてそんなことになってしまったのですか!?」

 

 「ほら、アレを見てみろ。」

 

 その言葉にリリルカは俺の視線の先を見やる。そこには涙ぐむリュー。

 

 「ああ、わかりました。やる気を出してしまわれたのですね。」

 

 「そうなんだ。」

 

 リリルカは目をつぶり一考して後に手を叩く。

 

 「皆様、そこの料理はいけません!それを食べさせてしまうわけにはいきません!」

 

 「「「「「なんでですか、統括役!」」」」」

 

 リューは目を伏せる。

 

 「それは危険なものです。それは後で大団長が責任を持って処理をなさいます!!」

 

 俺かよ!?勘弁してくれよ!?

 バランは前へと出る。

 

 「統括役、俺達はあなたのお世話になってはいるが、これは譲れねぇんだ!俺達は冒険者だ!いくらあなたが強大な魔王だったとしても引くわけにはいかねぇんだ!俺達は勝利をつかみ取るんだ!」

 

 ふむ、やはりこいつらの認識でもリリルカは魔王だったのか。魔改造を通り越して。まあ、だよな。ラスボスだしな。

 リリルカは一歩前に出る。

 

 「あなた方は大切な連合の財産です!連合の統括役であるリリがあなた方をサポーターとして護り抜いて見せます!そこの料理は極めて危険です!」

 

 「統括役………。」

 

 バランは気勢を削がれたようだ。まあ散々リリルカには世話になっとるしな。他の皆も落ち着いて冷静になっている。

 

 「わかっていただけましたか。」

 

 安堵を着く俺とリリルカ、しかし俺達はこの時忘れていた。まだ戦いは前哨戦にしか過ぎなかったことを。

 

 「そんな………リリルカさん………」

 

 ………そういえばまだリューが残っとった。目が赤いリュー、これはまずい気がする。リリルカの顔色も悪い。

 

 「落ち着いてください、リュー様。パーティーが終わればカロン様がいくらでもリュー様の手料理を食べてくれる気がします。カロン様はリュー様が多分大好きです。カロン様はリュー様の手料理をおそらくいつでも望んでいらっしゃいます!」

 

 俺が生贄に捧げられてしまった。いつも面倒を丸投げてる仕返しか?………いくらでも食べたくないぞ?むしろ全く食べたくない。

 しかし背に腹は変えられん。俺は皆を護らなければいけない。

 

 「そうだぞ、リュー。俺はいつでもお前の手料理を望んでいる。」

 

 「それは嬉しいのですが………今日は連合の皆のために作ったので皆に食べて欲しいんです!」

 

 目を逸らし頬を赤らめるリュー、これはもう無理なのか!?こんな反応をしたら………

 

 「「「「「「「「「「「「「うおおぉぉぉぉぉ!!!!!」」」」」」」」」」」」」」

 

 テンションが上がる彼ら。まあそうなるよな。

 しかもなんか人数が増えてしまった。これはさてはアレだな。連合魔法部隊とサポーター部隊も合流したな。

 その熱気は天井知らずだ。

 

 「み、皆様!待ってください!」

 

 珍しく魔王(リリルカ)が大慌てしている。いくら魔王でも多勢に無勢、か。

 

 「落ち着け、リリルカ。これはもうアウトだ。それよりも速やかにミアハ薬師部隊に連絡して後のフォローを行うことに専念しよう。俺もできるだけ大量の料理を食べて被害を減らすように努力するからさ。」

 

 俺とリリルカの視線が交わる。

 切ない目をしたリリルカ。

 

 「カロン様、必ず生還してくださいね。」

 

 「もちろんだよ、リリルカ。俺がタフなのは知ってるだろ?」

 

 「カロン様、それはフラグです。」

 

 「リリルカの発言もフラグだろ?」

 

 

 ◇◇◇

 

 そこから先のことは語りたくない。とりあえず地獄だったと言っておこう。

 いくら俺に状態異常無効スキルが付いているとはいえ、洗剤の塊なんか食える訳ないだろ?

 

 皆バタバタと倒れていって、残ったリューの料理は読者様に食べ物を粗末にするなと怒られることを覚悟して処分を行った。

 リューはリリルカに説教されてたが、リューも案外懲りないからな。悪夢はまた訪れるかもしれない。というよりもリューの料理はもしかして連合最恐の兵器なのではないか?これを兵器として運用できれば連合は無敵なのではないのか?

 

 俺は薄れ行く意識の中そんなことを考えた。




作者は気が向けば平気で蛇に足を書きます。

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