ダンジョンで運命を変えるのは間違えているだろうか   作:サントン

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スーパーフラグクラッシャー

気分的人物紹介

ヴェルフ・クロッゾ・・・原作様では主人公の仲間の鍛冶師。拙作では連合お抱えの鍛冶師。拙作において、主人公と深い付き合いがあるにも関わらず、数少ないほとんどキャラ崩壊を起こしていない稀有な人物。

 

 ◆◆◆

 

 「顔をあげてください。あなたは私の大切な友人です。私はあなたのことをよく知っている。」

 

 「………ありがとう。」

 

 ◇◇◇

 

 ここは連合の団長室、ここで俺はそろそろ時が来たかと考えていた。

 今日はここに二人の客人を呼んでいる。一人は副団長のリュー、もう一人はお抱え鍛冶師のヴェルフだ。

 

 ヴェルフはクロッゾ一族であることに対してリューに負い目を感じている。魔剣で森を焼きつづけてきたクロッゾはエルフに恨まれているからだ。

 しかし共に連合で長いときを経て、そろそろ互いに信頼を十分に築けていると判断した俺は、ヴェルフと話し合いリューにヴェルフの素性を明かすことを決めた。

 

 ーーーーーコン、コン、コン

 

 ノックされる。リューかヴェルフのどちらかだろう。

 

 「入ってくれ。」

 

 その言葉にリューが部屋へと入ってくる。

 

 「カロン、何の用事ですか?何やら大切な話があるとか?」

 

 「ああ、そろそろ頃合いかと思ってな。」

 

 「そろそろ頃合い?大切な話?………まさか………。」

 

 リューが急におかしな空気を醸し出す。どうしたというんだ?

 もじもじするリューと困惑する俺。

 

 「そ、そんな。確かに私たちは長い付き合いですが………。」

 

 ?何なんだ?挙動不審だ。

 ふむ、まさかコミュ障が昂じて俺にも緊張するようになってしまったのか?

 

 「一体どうしたんだ?もじもじして?」

 

 「あ、あの………。確かにリヴェリア様ですら結婚間近だと聞きますし………。」

 

 そういえばそうだな。もちろん俺も呼ばれている。王族同士の大々的な結婚式の仲人を任されている。友人の幸せはいいものだ。

 リューは顔を赤らめ目をきょろつかせる。ふむ、トイレか?

 

 ーーーーーコン、コン、コン

 

 ヴェルフが来たか。

 ?ノックに反応して今リューがものすごいビクッとしたぞ?

 半目を俺に向けるリュー。

 

 「どういうことですか?」

 

 「どうもこうも………とりあえず客人だ。オーイ、入ってくれ!」

 

 その言葉にドアが開かれる。やはり来たのはヴェルフだ。

 

 「リューさんもう来てたのか。すまねえ、遅くなっちまった。」

 

 「さほど遅くはないさ。リューもさっき来たばかりだ。」

 

 「別にもっと遅くても構いませんでしたが………。」

 

 「何を言っとるんだ?」

 

 「別に。」

 

 ◇◇◇

 

 「それで今日は私とヴェルフさんを呼んで何を話すつもりですか?」

 

 ソファーを挟んで向かい合う。俺の隣にヴェルフが腰掛け、向かいにリューが座っている。

 俺とヴェルフは目配せをする。

 俺は切り出す。

 

 「今日はヴェルフがリューに話したいことがあってな。俺は基本付き添いだ。なるべくなら口を出さないつもりだ。」

 

 「ヴェルフさんがですか?」

 

 「ああ、俺から今日はあんたに謝りたいことがあってな。」

 

 「私は謝られる謂われはないと思いますよ。」

 

 ヴェルフは顔を俯ける。しばらく躊躇った後に重い口を開く。

 

 「俺はあんたに言ってないことがあったんだよ。俺はあんたにずっと隠し事をしていた。厚顔にも隠し事をしてあんたと長くやってきたんだ。俺はずっとそれが心苦しかったんだ。」

 

 「心苦しかった、ですか?」

 

 「ああ。」

 

 ヴェルフは一息ついてさらに言葉を続ける。

 

 「俺の名前はヴェルフ。ヴェルフ・クロッゾだ。あんたなら当然この意味がわかるだろ。」

 

 「それがどうしたんですか?」

 

 「どういうことだよ!?」

 

 以前の俺に続きリューのあまりの軽さにヴェルフはツッコミを入れる。ふむ、デジャヴュだな。

 リューは穏やかに笑う。

 

 「もちろんクロッゾの家名は知っています。彼らが私の同胞にどう思われているのかも。しかし私は連合の副団長です。そして大団長のカロンの意向で連合のスタンスは仲間内を護ることを何よりも大切にしています。」

 

 「ああ、もちろん知ってるよ。」

 

 「私はずっとカロンを見てきましたよ。そしてあなたとも長い付き合いでずっと見てきました。」

 

 「そうだな。」

 

 「私はあなたの納入する剣をずっと見てきました。あなたの納入する剣は一級品とは言えないかもしれませんが、長い間連合の初心冒険者の身を護っているんです。」

 

 「………………。」

 

 「私はあなたが考えている以上にあなたのことを知っています。私は高レベル冒険者です。武器の目利きはある程度できます。あなたの剣はとてもよいものです。あなたの納入する剣はとてもしぶとい。確かに他の鍛冶師の作った剣はあなたのものより強いものや鋭いものがたくさんあります。しかしあなたの剣は一流のそれらと比べても見劣りしないほどの抜群の信頼性を誇ります。耐久がとても高く、初心者を残して壊れることがきわめて少ないと言えます。」

 

 「……………。」

 

 「まるでカロンのようですね。とてもしぶとくて高い信頼性………あなたの剣を見ているとまるでカロンが初心者を護っているように感じるんです。」

 

 「………ありがとう。」

 

 「まあおかしなネーミングはいただけませんが。しかし私はあなたがどんな思いで連合に武器防具を納入しつづけてきたのかずっと見てきました。あなたがクロッゾ一族なのは思うところがないとは言いませんが、今ここにいるあなたがあなたの全てだと私は信じています。あなたがカロンと同じで仲間を護りたいと願っていることを。」

 

 ふむ、やはりヴェルフのネーミングはおかしいよな?俺だけじゃなかったんだな。もっとちゃんと言っとけばよかったな。

 

 しかし念のために控えとったがこれなら俺がいる必要もなかったな。俺は笑う。

 

 「ヴェルフさん、顔をあげてください。あなたは連合に欠かせない人材です。あなたと私たちがこれからもよい関係を築き続けることを私は心より願っています。」

 

 ◇◇◇

 

 相変わらずの団長室。ヴェルフは帰って今ここには俺とリューの二人だ。

 なんかリューそわそわしてないか?

 

 「ところでカロン、大切な話とはなんですか?」

 

 「おい、さっき話しただろう。ヴェルフの素性の話だよ。」

 

 「………他にはないんですか?」

 

 「いや他?何の話だ?」

 

 俺を睨むリュー。俺は恨まれる覚えはないぞ?

 

 「………私に何か話したいことは?」

 

 迷う俺。話したいこと?ふむ、リューに話したいことか。そういえば確かに以前から気になっていたことがあったな。聞きたかったが怒られると思って聞けなかったあのことかな?聞いてみろと言っとるのか?

 

 「?………最近少し太ったか?」

 

 「………………は?」

 

 ………ふむ、わかりやすい。アレは怒っとるな。殺気を感じるし凄い目つきだ。

 どうやら体重の話ではなかったようだ。

 

 

 さて、虎の尾を踏んでしまったことだし今日はどのようなお仕置きをされてしまうのだろうな?

 




作者の知る限りカロンは恋愛経験ゼロです。しかしそれにしてもこれはひどい………。

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