ダンジョンで運命を変えるのは間違えているだろうか   作:サントン

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アステリオス、お前もか!?

 ここは連合内道場、ここで俺は今、珍客と向かい合っていた。

 

 「ふむ、つまりお前はベルと再戦させろと、そういうわけだな?」

 

 「うむ。」

 

 俺も状況がよくわからない。辛うじてわかるのは目の前にいるミノタウロスの名前がアステリオスで、彼がベルとの再戦とやらを望んでいるということだけ。

 

 ーーふむ、つまりこいつは以前に報告に上がっていた浅い階層に出没したというミノタウロスなのか?しゃべっているということは異端児か?しかしナゼコイツは喋れるんだ!?リリルカが変身したリリタウロスは喋れなかったはずだが?魔物はそもそも人間と発声器官の仕組みが違うはずなんだが?なんか突っ込んではいけないところの気がするな、さておき………

 

 報告に上がっていたミノタウロス、それはベルと春姫が十階層で出くわしたという話のミノタウロスだ。ベルは、念のための春姫の階位ブースト魔法をかけて危なげなく葬っていたという報告を聞いた。その後連合で詳しく調査を行ったが結局ミノタウロスがいた理由はわからなかった。喋れるということはそいつが転生した異端児ということなのか?

 

 このミノタウロスがオラリオに現れた際、若干混乱にはなったものの連合が魔物を匿っているという噂があったため、即座に連合に通報が来た。俺は現場に向かい、こいつを道場へと連れてきた。むやみに暴れていないことから、異端児であろうことはすぐに判別が着いた。

 

 「ベルと戦いたいのか………連合は仲間の命を大事にしている組織だ。ベルに異存がないのであれば命を奪わない試合の範囲でよければ聞いてみるぞ?もしどうしてもベルの命を望むというのであれば悪いがここで連合の総力をあげて袋だたきにさせてもらう。」

 

 「………それで構わん。」

 

 「ならば少し待っていてくれ。ベルに聞いてこよう。」

 

 ◇◇◇

 

 ヘスティアファミリア団長室。

 

 「というわけだベルよ。お前はどうする?」

 

 「戦います!」

 

 「無理に薦めはせんぞ?」

 

 「いえ、奴は僕が倒すべき相手なんです!」

 

 ◇◇◇

 

 タケミカヅチ道場、ベルとアステリオスは向かい合う。俺とタケミカヅチが立ち合いを行う。

 

 戦いは始まる。力に優れたアステリオスと速度で勝るベルの戦い。火花を散らし幾合も渡り合う。

 

 ーーほう。

 

 ーーこれは………

 

 二人の立ち合いを見た俺とタケミカヅチの視線が交錯する。俺達の心は通じ合い、いまひとつになる。

 戦い?両方とも拮抗してるくらいかな。

 

 ーーベルは今や連合の最重要戦力。それと同等に渡り合うあのミノタウロス、逸材だ。是非ともタケミカヅチ道場に!

 

 こんなところでボケッとしている場合ではない。

 タケミカヅチと目配せを交わす。心の通じ合う俺達は立ち合いをタケミカヅチに任せて俺がリリルカを呼びに行く。

 

 今こそ魔改造の力が輝くときだ!

 俺は道場を出て本部の廊下をひた走る。どこだリリルカ?どこにいる?

 

 「いた、リリルカ。ついて来てくれ!」

 

 俺はリリルカを見つけて袖を引く。

 

 「カロン様、何でしょうか?リリは忙しいのですよ?」

 

 「いいから来てくれ。どうしても連合に欲しい人(?)材を見つけたんだ!」

 

 ◇◇◇

 

 俺達が道場に着いた頃には勝負は決まっていた。わずかの差でベルが勝ったらしい。ベルは息をきらせていて、アステリオスは道場で大の字になって倒れている。

 

 「これで連敗か。俺は敗者だ………好きにしろ!」

 

 どうやらこのミノタウロスは命を落とすことを覚悟してここまで来たらしい。あらかじめ命をかけない戦いだと言ってあるはずなんだが………?まあいいか。なら好きにさせてもらおう。

 

 「アステリオス、ならばお前是非連合の一員になってくれよ!」

 

 「何を言ってるんだ?」

 

 困惑しているアステリオス。畳みかける俺。

 

 「お前は強い。タケミカヅチ道場の師範代になってくれよ。俺達はお前を重宝するぜ!」

 

 「い、いや待て!確かに好きにしろとは言ったが………。」

 

 「お前ベルと戦いに来たということは強さにこだわりがあるんだろ?連合には強い奴がそこそこいるぜ?命をかけない戦いならいくらでも組めるぜ?」

 

 「ま、待て待て。確かに強さにはこだわりがあるが………俺はこんな見た目だろう?」

 

 あわてふためくアステリオス。逃がさん!

 

 「俺達の懐にはお前のお仲間の異端児もたくさんいるぜ?お前には道場の師範代がピッタリあっている!天職だ!これ以上はないくらいだ!」

 

 「待て!俺がその師範代とやらをやっても怖がられるだけだろう?」

 

 「だからだよ!ダンジョンにはこんなに強い怪物がいるんだって皆に覚悟を持たせるのにピッタリだ!覚悟がない奴は自動的にふるい落とされる!お前は好きにしろといっただろう!」

 

 「い、いや確かにそういったが………。」

 

 そこにタケミカヅチが割り込む。

 

 「お前の戦いを見せてもらった。武神の俺から見ても確かにお前の武技は素晴らしかった。是非とも我がタケミカヅチ道場の師範代になってほしい。」

 

 さらにリリルカまでもが畳みかける。

 

 「アステリオス様、強い方と戦いたいのであれば連合がベストですよ?連合はオラリオに顔が利きます。命をかけない戦いであればその気になればいくらでも強い方との戦いを組めます。それにタケミカヅチ道場の師範代になれば強いライバルを自身の手で育て上げられるかも知れませんよ?あなた様自身の強さにもつながります。道場で人を育てるということは、自身の中で強くなるための方法を理論化するということです。その理論はあなた様自身にも適用可能です。ベル様の近くにもいられますよ?負けたまま逃げ帰ってもいいのですか?」

 

 絶対に逃がさん!こいつは価値が高い牛だ!何が何でも道場の師範代にしてやる!

 俺とタケミカヅチとリリルカの三人がかりで逃がさないようにアステリオスを囲む。ベルは唖然としている。

 

 「お前が首を縦に降るまで絶対に逃がさん!お前は連合の師範代になるために生まれ変わったんだ!」

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 ここは豊饒の女主人、俺と凶狼は食事をしている。

 

 「なあ、おい。道場にミノがいやがるんだがまたテメェがわけわかんねぇことをしたのか?」

 

 「ああ、あいつか。仲良くなったか?あいつは使えるだろう?」

 

 「まあ確かに使えるが………どうなんだ?ミノが道場の師範代とかテメェはどこまで好き放題するつもりなんだ?」

 

 「別に構わんだろ?話はきちんと通じるし門下生におかしなことはしとらんだろ?」

 

 「まあ確かにそうなんだが………まあそうだな。確かに覚悟のねぇ雑魚どもが少なくなったのは確かだ。」

 

 「そうだろ。それであの見た目だろ?知性も高いんだ!いずれ連合の交渉役を任せられるかとも考えている。」

 

 「お、おいまて!それはやめろ!それは反則だ!あいつミノタウロスにしてはありえないくらい強ぇし見た目が恐すぎるだろ!交渉相手がかわいそう過ぎるだろう!」




ベル君はスーパーベル君につき原作様より強化されてます。
そしてあっさりと優秀なサポーターにフラグをへし折られたフレイヤ様唖然。

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