ダンジョンで運命を変えるのは間違えているだろうか 作:サントン
唐突人物紹介
ミーシェ・・・アストレア連合ファミリア団長秘書兼アドバイザー兼統括役補佐。連合のNo.4。オリキャラでエイナさんの友人。アストレア連合に入団した経緯は現統括役リリルカに憧れたため。リリルカをお姉様と呼び慕っている。しかしリリルカには苦手にされている様子。あまりキャラが立っていない。
アストレア・・・原作様においては正義のファミリア、アストレアファミリアの主神。原作様開始時点においてアストレアファミリアは解散しており、消息不明。拙作においては主人公にマイペースと毒舌を移されてしまった。アストレア連合の主神。
◆◆◆
アストレア本拠地会議室大広間、ここでは今連合の幹部が集まり幹部会議を行っていた。
「カロン大団長の鎧の件はどうするか?」
「やはり連合の金庫から出すしかあるまい。大団長の戦力を欠くわけにはいかんだろう。」
「全くヘスティア様とタケミカヅチ様には困りますね。」
「「申し訳ない………。」」
連合の会議はカロンは外して行われている。カロンが出たがらないからだ。精力的に外回りを行っていることを理解している幹部連中からは、リリルカの説得もあり特に不満は出なかった。イシュタルはサボりだ。今回の議題は、自費でヘスティアナイフとタケミカヅチのイシュタルへの損害金を払い金の無い大団長の鎧をどうするか。
「しかしタケミカヅチ様の方は叙情酌量の余地があるのではないか?大切なご友人を助けるための連合加入と聞いたが?日頃の働きもしっかりしているし。」
「確かに一理あるな。そちらは連合の金庫から出しても構わない金だと思うが、大団長はあくまでも個人的な友情と言い張ってらっしゃる。」
「しかしヘスティア様の方は如何だろうか?一人の眷属を贔屓し過ぎているのではないか?」
「ごめんよ。」
その言葉にますます縮こまるヘスティア大幹部。
「しかしカロン大団長もベル団員を可愛がってらっしゃるぞ?いずれは連合中核を為しうる才覚を持つ可能性が高いともおっしゃっていた。」
「なるほど、先行投資か。しかしそれにしては少し高すぎはしないか?割引して二億ヴァリスだろう?」
「私たちのファミリアの加入時の仕度金は二億五千万ヴァリス。それなりに役に立ててる自負はある。もう少し様子見でもいいんじゃない?」
「なるほど。大団長の見る目を信じるか。連合の生命線でもある薬学部長がそう言うのであれば考える余地はあるな。しかし金がなくて連合から鎧代金を出すのはやはり体裁が悪いのでは?」
「リリはそれもカロン様らしいと思います。金銭面で困らない限りはある程度大目に見るのもいいのではないでしょうか?」
「私もそれで構わないと思います。」
「なるほど。統括役と副団長までそうおっしゃるのでしたら私たちもあまり強くは言えませんね。大団長の鎧は連合の金庫からで他のことはしばらく様子見ということで良いでしょう。ヘスティア大幹部は調子に乗らないで下さいね。」
「ハイ。」
◇◇◇
別の日の幹部会議。
「なるほど。統括役は大団長の二ツ名をオラリオの父にしたいとおっしゃるのですね。」
「はい。連合大団長には相応の威厳を保つ二ツ名が必要です。特に幹部会で不満が出ないようでしたら是非協力をお願いします。」
「ボクは構わないよ。カロン君には世話になったしリリ君との付き合いも長いし。」
「俺も構わんな。」
「俺も統括役には頭があがらんしな。」
「私も構わないわ。」
「特に不満が出るとも思いませんし統括役には日頃から皆お世話になっています。構わないでしょう。神々の方々は次の神会でのご協力をお願いします。」
◇◇◇
別の日の幹部会議。
「まず今回はボクから意見を出させてもらうよ。ボクはアストレア連合ファミリアの隆盛を記念してカロン君の銅像を作るべきだと思うよ。」
「銅像………ですか?」
「なるほど。大団長の功績を考えれば絶対に無しとは言えませんね。」
「俺は賛成するぜ。大団長とは結構長い付き合いだ。それはそれで悪くない。」
「私も賛成です。しかし費用の見積もりはどうなんでしょうか?」
「ふーむ、その辺りはリリルカ統括役はどうお考えですか?」
「オラリオにどの程度浸透するか次第ですね。数が売れれば鋳型費用は取り戻せると考えます。ゴブニュ様のファミリアにお話を聞いてからですね。」
「私は絶対的に賛成です。リリルカさん、何が何でもどうにかなりませんか?」
「リュー様のお気持ちは理解しますが取り敢えずカロン様がオラリオでどのくらい支持を得ているか次第ですね。先に安価なものを売り出して様子見を行ってみましょう。あまり大きな赤字を出す可能性が高いと判断されるなら見送りですね。」
「カロンが忙しい間にこっそり売り出しましょう。」
その言葉に会議室で笑い声が上がる。
「それはいいアイデアですね。いつも大団長には振り回されていることですしたまには意趣返しもいいでしょう。統括役に一旦お任せをして他の議題を話し合いましょうか。」
◇◇◇
別の日の幹部会議。
「今回はリリからの議題で始めます。カロン様の御意向で次代の大団長の候補を考えておきたいとのことです。」
「リュー副団長ではないのですか?」
「リュー副団長以外には………ベル団長か?」
「リリルカ統括役は如何ですか?」
「リリは最前線に立てません。」
「しかし連合内での功績を考えた場合はリリルカ統括役が最適任では?」
「しかしそれでは冒険者のモチベーションを落とすのではないか?」
「なるほど。それを鑑みるとリュー副団長かベル団長ですか。」
「しかし大団長がそもそも御壮健だぞ?」
「ダンジョンはいつだって危険です。前以った備えはあるに越したことはありません。」
「ボクはベル君を推すよ。」
「年月的にはリュー副団長ではないですか?」
「私には向きません。私は自分に連合をカロンの様に自在に操る才能があるとは思いがたい。」
「しかしそれはベル団長も同じでは?」
「クラネルさんはまだ若い。リリルカさんの薫陶を受ければ成長が見込めます。」
「副団長もまだお若いでしょうに。」
「私は相応の歳ですよ。私はエルフですから。」
「しかし副団長を年寄り扱いはしたくない。如何ですか?」
「それでもです。私はずっとカロンに従ってきました。私は自分の頭が固いことを知っている。カロンは私より見る目がある。私はいつだってカロンのことを信じてきました。カロンはクラネルさんを推しています。」
「大団長もベル団長よりなら致し方ありませんね。その方向で意志統一を図りましょう。あとは念のための他の候補の優先順位等も決めておきましょう。」
◇◇◇
豊饒の女主人。ここにいるのは大幹部の6人。ミーシェ、バラン、ビスチェ、ブコル、ベロニカ、ボーンズ。
「ついに代替わりの日が来てしまいましたね。」
「ああそうだな、俺達も思えば長くついてきたもんだな。」
「ああ、あの頼りなかったベルがもう大団長だ。」
「私達も歳を取ったということかしらね。」
「あら、私はまだ若いつもりよ?」
「寂しいものだな。副団長も大団長に着いていくんじゃないか?」
そこへ仕事が終わったリリルカが合流する。
「リリ達の仕事はたくさんあります。カロン様とリュー様が安心できるように明日からもしっかり働きますよ!」
リリルカのその言葉に鼻息を荒くするミーシェ。
「リリお姉様、あたしはどこまでも着いていきます!」
「………今回だけはミーシェ様のその鬱陶しさが頼りになりますね。」