ダンジョンで運命を変えるのは間違えているだろうか   作:サントン

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クレーマー対応

 リュー・リオン・・・原作様においてはくらい過去を背負った酒場のウェイトレス。拙作においては内心でヘスティアに強烈な対抗意識を持つボケボケのエルフ。今回の話で新たなキャラが立つ。アストレア連合のNo.2、副団長である。疾風の二ツ名を持ち、速度特化で風の魔法を得意とする。連合内ではファンクラブがあり、オラリオの天然系真面目アイドルとして広く知られている。

 

 タケミカヅチ・・・原作様においてはタケミカヅチファミリアの主神。拙作においては連合の冒険者、サポーター達の鍛練担当。主人公の友人であるが、同時に貧乏神でもある。春姫を娼婦にさせないために連合へと加入した。最近主人公の影響で若干腹黒くなりつつある。

 

 

 

 ◆◆◆ 

 

 こんにちは、皆様方。リリの名前はリリルカ・アーデです。リリは今現在、タケミカヅチ様に呼び出されてしまい、タケミカヅチ道場へと向かっています。用件に関してはだいたいの予想がついています。まあ良くあることですしちゃちゃっと片付けてしまいましょう。

 

 「なんで俺がこんなことしないといけねぇんだ!!」

 

 喚いている方がいらっしゃいます。

 やはりですね。冒険者様になろうという方は自尊心が強い方も数多くいらっしゃいます。またいつものようなクレーマーの方ですね。なぜ俺様がこんなことをしないといけないんだとおっしゃっていらっしゃいますね。このような方々への対応の仕方を周りに教えるのもリリのお仕事です。

 さて、軽く相手をしてあげましょうかね。

 

 「冒険者様、冒険者様、連合の入団規約には冒険者様になるためには一定期間のタケミカヅチ道場での鍛練義務が明記してあったはずですよ?」

 

 「アアン、なんだちびテメエ!?」

 

 ふむ、なるほど。この方はリリのことをお知りにならないのですね。リリのことをちび等と呼ぶ人間は今や誰もいません。周りのタケミカヅチ道場の方はざわついてらっしゃいます。

 

 「リリはリリルカ・アーデと申します。アストレア連合で統括役を任されています。」

 

 「テメエには関係ねぇだろ!すっこんでいやがれ!」

 

 なるほど。人の話を全く聞かないここ最近でも最高に面倒なタイプの方ですね。これはいけませんね。ダンジョンに入っても他人の足を散々に引っ張って死ぬタイプです。今のままでダンジョンに向かわせるわけにはいきません。

 それでは少し脅してあげましょうかね。

 

 「冒険者様、弱い犬ほど良く吠えるといいます。リリが少し冷や水をぶっかけて差し上げましょうか?」

 

 「なんだと!!テメエっっ!!」

 

 単純なお方です。狙い通りにリリにつかみ掛かって来ました。

 

 「話になりませんね。」

 

 リリも長くタケミカヅチ道場に通っています。レベルも2です。軽々としかし派手に投げ飛ばしてみせます。

 

 「テメエっっ!何しやがる!」

 

 畳にたたき付けられて派手な音を出した冒険者様は顔を赤くしてらっしゃいます。リリのような相手に投げられて余計に怒っていますね。仕方ありませんね。軽く遊んであげましょうか?

 

 ◇◇◇

 

 「はぁ、はぁ、クソッ!」

 

 疲れてらっしゃいます。この程度で。やはり根性がありませんね。カロン様だったらなんてことないと笑っているはずですよ?まあカロン様はあまりにもしぶと過ぎますが。

 周りの道場の方はリリ達を遠巻きに見てらっしゃいます。

 

 「冒険者様。タケミカヅチ道場の鍛練が受け入れられないのであれば他の部門へと異動することをオススメしますよ。」

 

 「ああ!?なんだと?」

 

 「冒険者様にはおそらく冒険者は務まりません。ダンジョンで油断した者の末路は周りを巻き込んでの悲惨な死です。連合には別にダンジョンに入らなくてもいくらでも稼ぐための仕事の部門がありますよ?」

 

 「テメエになんでそんなこと………待てよ、リリルカ・アーデ?まさか統括役の?」

 

 冒険者様のお顔がみるみる青くなっていきます。気付いていただけたようで何よりです。さて、仕上げですね。

 

 「アストレア連合は始まりは正義のファミリアです。自分より弱く見える相手に暴力を振るいかかるのは正義とは言えませんね。大団長や副団長も激怒するかもしれません。特にリリは目を掛けて可愛がってもらっています。今や連合を敵に回すと言うことがどういうことかはご理解いただけるでしょう?リリを敵に回すと言うことはオラリオを敵に回すと言うことです。連合では冒険者様はタケミカヅチ道場で鍛練してからダンジョンに向かうか他の部門で身を立てるか他のファミリアに行くかのどれかしかありません。今であればまだ神の奇跡を刻んでいないはずです。どうぞお好きになさって下さい。」

 

 「リリルカさん。私に何かご用でしょうか?」

 

 そこへとリュー様がいらっしゃいました。リリがリュー様に頼んで来てもらいました。

 

 「こちらの冒険者様はリリに攻撃してきました。タケミカヅチ道場をお断りになられて。リュー様、後はお願いしてよろしいでしょうか?」

 

 「お任せ下さい。」

 

 リューは笑う。とても美しく。その美しい笑顔になぜか冒険者は寒気を覚える。

 

 「タケミカヅチ道場が温い、早くダンジョンに入りたいとおっしゃるということは特別メニューを望んでいらっしゃるのですね?私はアストレアの悪夢と呼ばれる事件を生き延びたものです。ダンジョンでの危機を少なくともあなたよりはよく理解しているはずです。悪夢とは程遠いかも知れませんが、十分にしごいてどうやったら死地を乗り越えられるか体に教え込んで差し上げましょうか。」

 

 ◇◇◇

 

 ここは連合会議室、たまたま一緒になるリューとリリルカ。

 

 「リュー様、この間お願いしていた冒険者様はどうなりましたか?」

 

 「彼ですか。彼はなぜか鍛練が終わってからアポロンファミリアに入団してしまいました。」

 

 アポロンファミリア、リューのファンクラブである。最近は連合のマスメディア部門になっている。おそらくオラリオにリューを押し出しつづける内になんらかのノウハウを得たのだろう。

 

 「やはりですか。リュー様に任せると不思議と全員アポロンファミリア行きになるんですよね。一体どういう方法をとってらっしゃるのですか?」

 

 「大したことはしていませんよ。ただ新人には少しだけきついかも知れない鍛練を課しているだけです。」

 

 少しだけ?リリルカはその笑顔に寒気を覚える。

 この方はカロン様の近くに長く居続けたせいで人間のしぶとさの基準が狂っていらっしゃるのではないだろうか?

 あるいは人に触れる訓練でカロン様を叩きつづけた末にどSに目覚めてしまったのか!?

 

 「リュー様はもしかしてどM製造機だったのでしょうか?リリはもしかしたら凄まじい怪物を生み出してしまったのかも知れません。」


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