ダンジョンで運命を変えるのは間違えているだろうか 作:サントン
「う、うわああぁぁぁぁ!!助けてくれぇぇぇ!!」
「イヤアアァァァッッ!!」
「リ、リュー副団長おおぉぉぉっっ!!」
「たたた大変だああぁぁぁぁ!!」
うん、地獄絵図ですね。ここはダンジョン19階層です。リリ達は今ここでかつてないほどの大慌てをしています。右へ左への大騒ぎです。普段は慌てないリヴェリア様までパニクってらっしゃいます。皆様大慌てでらっしゃいます。
はて、どうしてこうなったんでしたっけ?
~~~リリルカの回想~~~
「リリルカ、新しいアイデアを思いついた!」
「カロン様の新しいアイデアですか?どのようなものですか?」
「今まで連合には必殺の三パターンがあったろ?四つめを考えたんだ!」
「四つめをですか?確かに必殺パターンは多ければ多いほどいいですけど………。」
「今度は炎の必殺だ。」
「炎を重ねがけるのですか?」
「ロキファミリアの九魔姫が強力な炎の魔法を使えたろ?千の妖精も真似魔法が使えるし。それにヴェルフの炎の魔剣とアイズやリューや連合の風魔法を加えれば強力な必殺になるんじゃないか?」
「………なるほど。必殺は多い方がいいですしね。試してみる価値はあるかもしれませんね。」
「よし、そうと決まれば早速実験だ。ゴライアスで試してみよう。」
~~~回想終了~~~
そうです。思い出しました。リリにも原因があります。
結局、連合はロキファミリアの協力を得てゴライアスで試し撃ちをしたのでした。
結果、炎系は上手く当てれたのですが、風のベクトルの統一が難しかったため19階層に火炎旋風が吹き荒れたのでした。そして、今は右も左も誰も彼もがアフロになっています。
もちろんリリも、連合のアイドルリュー様も、ロキファミリアのアイドルアイズ様も、真面目なリヴェリア様すらもです。唯一の救いは拙作がギャグだったおかげで致命傷の人間が一人もいないことでしょうか?ギャグって偉大です。
ちなみにゴライアスはリヴェリア様の魔法が着弾した時点で蒸発していました。オーバーキルもいいとこです。
「うわああぁぁぁ!!連合の至宝リュー様があぁぁ!!」
「アアアアイズさんの綺麗なお櫛があぁぁぁ!!」
「カロンはなんてことしてくれるんですかああぁぁ!!」
「わ、私の婚期がああぁぁぁ!!」
「ふむ、地獄絵図になってしまったな。」
「水をこっちにくれええぇぇぇ!!」
「フィンに嫌われちゃうぅぅぅ!!」
「リリ、怪我はない?」
「アアアアイズぅぅぅ!!」
どうしましょうか?若干名のマイペースを除いてパニックです。リリはそれなりの期間カロン様に付き従って来たのでこの程度では動じなくなってしまいましたが、どう納めたものでしょうか?
◇◇◇
「というわけで誠に申し訳ございませんでした。」
リリとカロン様はオラリオの公衆で仲良く土下座してます。リリ達はやってはいけないことをしてしまいました。オラリオ中の二大アイドルリュー様とアイズ様をアフロにしてしまったのです!連合の皆様はリリとカロン様の指示で魔法を撃ったに過ぎません。原因は全て浅慮だったリリとカロン様にあります。
「リリ、顔を上げて。私怒ってない。」
アフロアイズ様です。なんてお優しいお言葉でしょうか。
「リリルカさん、私達はいつもあなたに助けられてきた。お気になさらないで下さい。」
アフロリュー様です。リリの涙腺は決壊寸前です。
「リリルカ様、俺は気にしちゃいねぇ!俺はアンタに多大なる恩がある。アイズがアフロなのはちとショックだが。」
アフロベート様です。最近はアイズ様とうまくいってるようです。リリはそのお手伝いをさせていただきました。
「あー、お前はオラリオに多大な貢献をしている。私も気にしてはいない。」
アフロリヴェリア様です。涙目になっておられます。申し訳ありません。
「ま、まあリヴェリア様やアイズさんがそういうのでしたら仕方ありませんね。」
アフロレフィーヤ様です。特にコメントはありません。
「「「「「そうです。リリルカさんはみんな気にしてません。」」」」」
連合魔法アフロ部隊の皆様です。本当に申し訳ありません。
「ふむ、皆気にしてないようだし帰るとするか。」
アフロカロン様です。あなたはもう少し反省してください!
「カロン、リリは親友。カロンは許すとは言ってない。カロンは謝っていない。」
アイズ様。初めて聞く冷たい声です。
「そうだな。私の婚期をどうしてくれるんだ?」
リヴェリア様。目が据わっていらっしゃいます。
「そうですよね。リヴェリア様とアイズさんがそういうなら。」
レフィーヤ様。なんかとても嬉しそうです。
「お前には散々に借りがあったからなぁ!!アイズの綺麗な髪をこんなことしてくれるし!」
ベート様。すでに魔剣を取り出してます。ガチです。
「その通りです。リリルカさんを許すとは言いましたが誰もカロンを許すとは言ってない!」
リュー様がカロン様の肩をあらん限りの力で掴んでいます。リュー様は人にさわれないんじゃなかったでしたっけ?
「「「「「リューさんがそういうなら。」」」」」
連合魔法部隊の方々。リュー様は彼らのアイドルです。
「お、おい、みんな待ってくれよ!リリルカ、助けてくれ。」
リリは考えます。リリはカロン様とずっと共に戦ってきました。カロン様を助けるべきでしょうか?
「リリルカさん、心配いらない。私達はカロンを愛している。これは愛の鞭です。それにあなたはカロンの馬鹿みたいなしぶとさを知っているでしょう。」
やめておきましょう。リュー様の額に血管が浮いてます。これは関わらぬが吉ですね。君子危うきに近寄らずです。冒険者は危険を察知しないと生きていけません。せっかく生き延びたのにまた虎の尾を自分から踏みに行くことはありません。
「カロン様、リリには助けられません。どうかご無事に生き延びられて下さい。」
「………まあそうなるか。」
◇◇◇
アストレア本拠地鍛練場。簀巻きにされた俺を睨む五人の
「カロン、何か言い残すことはありますか?」
「なあ、頼むよ。反省してるって。」
「それが辞世の言葉でよろしいのですね?」
凄まじい笑顔でニッコリ笑う
「………………リュー、お前アフロとても似合ってるぞ。とても綺麗だ。ほら、それに全員お揃いだし………。みんなで仲良しみたいなさ。友達たくさんでよかったじゃないか。」
「やはり死にたいようですね?」
リューの額の血管が倍くらいに太くなった。さっきから掴まれている肩は痛みが止まず紫色だ。これ骨が砕けてるんじゃないか?俺は耐久特化だぞ?
「………ゴメンナサイ。」
そのあと俺がどうなったか知るものはいない。
ちなみにヴェルフの魔剣はカロン達を護るために念のためにと矜持を曲げてでも打ってくれたものです。