ダンジョンで運命を変えるのは間違えているだろうか   作:サントン

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ベートが欲しい

 「ッッ………。テメェ何しやがる?邪魔するんじゃねぇ!」

 

 「こいつは俺達の仲間だ。手出しは控えてもらう。」

 

 「アァ?何いってやがる?どう見てもキモいミノタウロスじゃねぇか?」

 

 「どれだけ見た目がアレでもリリルカは俺達の大切な仲間だ!」

 

 「キモい………。そうですよね。リリはキモいんですよね。わかってました。リリはキモいですよねウヘヘヘヘ。」

 

 「アアン………?どうなってやがる?まさかあのミノタウロスはテメェか?」

 

 リリはひどく落ち込んだ。

 

 ◇◇◇

 

 「チ ッ、さっきのミノはテメエの魔法だったって事か。まぎらわしいことしやがる。」

 

 「すまんな。ところでお前はあの有名なロキファミリアの凶狼だな?」

 

 「………それがどうした?」

 

 「なかなかいい蹴りだった。俺達のファミリアに是非来て欲しい。」

 

 「テメエはアストレアの残党だな?確か不死身(アンデッド)だったか?テメエもしかしてロキファミリアに喧嘩売ってんのか?」

 

 「まさか。純粋に戦力として来て欲しいと思っているだけだよ。」

 

 「ふざけんな。全滅した雑魚共の集まりに何故俺が行かないといけねェんだ。」

 

 「お前のいうところの雑魚は皆死んで今はたったの二人きりだ。残った俺達は精鋭だぜ?」

 

 「………チッ、屁理屈コネやがって。何と言おうがお断りだ。」

 

 「まあ待てよ凶狼、俺達は是非ともペットが欲しいんだ。お前俺達のペットになってくれよ?可愛がってやるぜ?」

 

 ◇◇◇

 

 ベートが激昂し戦いが始まった。ベートは相手の事を知っていた。

 

 ーー俺より一つ低いレベル3、不死身の二ツ名を持つ相手………

 

 ベートは圧倒していた。相手は手も足も出ていない。しかし

 

 ーー笑って受けていやがる。攻撃がほとんど通っていねぇ。これが不死身の由来だってことか………。厄介な奴だ。

 

 蹴る、蹴る、蹴って殴る。下腹部を蹴りこめかみを蹴り首を蹴り心臓部を殴る。相手は重厚な鎧を来ている。盾でしばしば弾かれる。それでもベートの攻撃が全くと行っていい程効いていないのは異常だ。

 

 「ッッテメエッッ!そのふざけたニヤケ面をやめやがれッッ!」

 

 「どうした凶狼?犬がじゃれているようなものだぞ?愛犬(ラブリードッグ)とかに改名した方がいいんじゃあないか?」

 

 「クソックソックソがぁぁぁ!!」

 

 ニヤケた面を止められない、ベートは自分に苛立った。しかし敵は口から血を流しながらなおわらうのをやめない。

 

 「おいおい、ポチ?まだ遊んで欲しいのか?いい加減聞き分けろよ?」

 

 「黙れッッ!!俺がテメエなんぞに負けるわけがねェ!!!」

 

 「おいお前目がついてんのか?お前が圧倒してるだろうが?お前の勝ちだよポチ。」

 

 「ッッッだったらテメエはニヤケ面をやめろってんだ!!」

 

 相手は盾を持っていて急所にはあまり入らない。それを考えてもおかしい。自分は上のレベルでその証拠に相手は自分のスピードについて来ていない。

 

 「おいおい凶狼、もうこのくらいで気はすんだだろ?もうやめようや?」

 

 ベートは少し冷静になる。ベートの目的は冒険者をたたきのめすことではない。

 

 「チッ、このくらいで勘弁してやるよ。」

 

 「凶狼、ウチのファミリア入団の件考えてくれ。」

 

 「テメエまだいってやがんのか?」

 

 ベートはいっそのこと呆れた。

 

 「剣姫の尻を追っかけるばかりじゃなくたまには引いてみると相手も意識してくれるかも知れないぜ?」

 

 ベートは絶句した。固まったベートをよそに二人は去って行った。

 

 ◇◇◇

 

 「カロン様、いい加減にしてください。こっちは冷や汗を流しましたよ。なんであんなことをしたんですか?」

 

 「シンプルな理由だ。あいつを引き抜こうと思った。悪くない相手だ。俺より強い。」

 

 「煽り過ぎですよ。攻撃されて笑ってるし。Mなんですか?」

 

 「いやあまりにあいつがいい反応するからつい、な。だんだん楽しくなってしまった。」

 

 「それにしても相手は格上ですよね?どうして攻撃を受けて笑っていられたんですか?」

 

 「スキルのおかげだな。耐久上昇のスキルだ。リューに付き合ってもらってどの程度堪えれるか検証済みだ。まあ正直結構痛かったけど。」

 

 「結構痛いで済むのは明らかに異常です。それにしても心臓に悪いからやめてください。」

 

 「なんだ、心配してくれたのか?優しいなリリルカ。」 

 

 「リリが入団してせっかく増えた団員が減るのが忍びなかっただけですよ。リュー様がかわいそうです。」

 

 「ふむそれはリューが俺に側にいて欲しいと望んでいるということか?リューは甘えん坊だな。」

 

 「だああ、あなたはもう何と言うか………。なんでリュー様じゃなくてあなたが団長なのですか?ふざけてるんですか?ふざけてるんですよね?あなたはふざけた人間です。」

 

 「ひどいなリリルカ。人の人間性をふざけているなんていうとは。俺は悲しいよ。お前がついに魂までミノタウロスになってしまったなんて………。」

 

 「までってなんですかまでって!!リリはキモいと言われたんですよ?リリはもうお嫁に行けません。」

 

 「大丈夫だよリリルカ。困ったらきっとミノタウロスがもらってくれるさ。」

 

 ◇◇◇

 

 「日に日にリリルカさんがやさぐれている気がするんですが大丈夫ですか?」

 

 「問題ないよ。多分反抗期とかだ。きっとやさぐれているのをカッコイイと思ってるんだよ。リューが溢れる母性とかでフォローしてくれるか?」

 

 「ふざけないで下さい。リリがやさぐれているのはすべてカロン様のせいです。」

 

 「と、いっていますが?」

 

 「まあそういうなよ。これから一緒のファミリアでやってくんだ。心にゆとりをもとうぜ?」

 

 「………リリの幸せはどこにあるんでしょうか………?」


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