ダンジョンで運命を変えるのは間違えているだろうか   作:サントン

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スーパーベル君

 「この子はベル君っていうんだ。リリ君、後はキミに任せるよ。」

 

 「はい、お任せ下さいヘスティア様。」

 

 ◇◇◇

 

 僕の名前はベル・クラネル。アストレア連合ヘスティアファミリア所属の新米冒険者だ。

 僕は今日主神のヘスティア様に呼び出されていた。

 

 「ベル君、今日はキミの初ダンジョンだ。彼女はリリ君。キミの付添人だよ。」

 

 「ハ、ハイ。よろしくお願いします。」

 

 僕は入団してから今まで、タケミカヅチ道場で鍛練を行っていた。ある程度鍛練がすんで、今日は初めてのダンジョンだ。付き添いにリリルカさんという人がついて来てくれる。彼女は連合でNo.3の天上人のような存在だ。僕は緊張していた。

 

 「ベル様、よろしくお願いします。リリのことはリリとお呼び下さい。」

 

 リリルカ・アーデさん。連合で最も強い敬意を受けていると言われる人物だ。若いにも関わらずの辣腕と冒険者を守護するその腕前、そして他者を教え導くその凄まじい手腕に誰も頭が上がらないと言われている。

 

 「ハ、ハイ。リリ様。今日はよろしくお願いします。」

 

 「リリとお呼び捨ていただいて構いませんよ?」

 

 とんでもない!盟友ロキファミリアのアイズさんの親友だという話も聞いている。物腰柔らかく優しく笑う若い人だがその内実は連合最強の頭脳だとも言われている。誰か(作者)は何を考えてここまで魔改造をしてしまったんだ!

 

 「と、とんでもありません!」

 

 「面倒ですね。それではせめてリリさんとでもお呼び下さい。」

 

 ◇◇◇

 

 ダンジョン3階層。僕は今ここでリリさんにフォローされながらウォーシャドウと戦っていた。

 

 「ベル様、悪くありません。タケミカヅチ様の教えがしっかりと浸透しているようですね。欲を言いますとやはり少しだけ緊張が見られます。適度な緊張感は必要ですが、過度の緊張は思考を縛って深追いさせたり選択を間違えさせたりします。今日はリリがベル様の戦いをしっかりとフォローしますのでご安心下さい。」

 

 ものすごい安心感だ。彼女は新人研修の初回を必ず受け持つらしい。先輩方に聞いた話ではリリさんは至高のサポーターで、団長を長く見続けていたため絶大な安定感を持つらしい。先輩方も皆心酔している。

 彼女はサポーター部門の人間であるにも関わらず冒険者の絶大な支持を受けているんだ!

 

 「ベル様、新手です。ウォーシャドウニ体ですね。両方ともベル様が戦って見てください。」

 

 壁が崩れニ体のウォーシャドウが生まれる。僕はヘスティアファミリアからもらった短刀で相手に斬りかかる。

 

 「ベル様、ベル様の戦いにおいて意識するべき重要な点は空いた手の有効活用です。ベル様のステータスは足りてますのでウォーシャドウにさほど苦戦しないようでしたらそれを意識して戦って見てください。」

 

 リリさんの指示が飛ぶ。アストレア連合ファミリアではきちんとある程度前もって鍛練してから冒険者をダンジョンへと送り込む。僕はさほど苦労せずに最初のウォーシャドウを捌けていた。最初の一体を軽く捌いた僕はニ体目と相対する。空いた手の有効活用か。

 ウォーシャドウは爪で攻撃をしてくる。僕は左手で相手の爪を掴んで自分の方へと引き寄せる。カウンターで右の短刀で相手の魔石をえぐり取る。どうだったかな?

 

 「ベル様、悪くありません。相手の動きが見極められるのであればそういう使い方もありです。しかし空いた手はいくらでも活用の仕方があります。座学で習っているはずですので他の相手でもいろいろ試してみましょう。」

 

 

 ◇◇◇

 

 そのあと僕は、いろいろな戦いを試した。例えば投げ技を試してみたり盾を使った戦い方を試してみたり二本の短刀で戦ってみたり。強烈に印象に残ったのは左手を捨てごまにする戦い方だ。

 訓練において痛みと窮地に慣れておくのは重要なことらしい。あえてウォーシャドウの爪を左手に受けて相手の懐で短刀を深く刺すという戦い方だ。

 もちろん僕は痛かったし止めどなく血を流した。でも僕だって冒険者なんだし我慢しないと!今はポーションで回復済みだ。

 

 「ベル様、お疲れ様です。今日はこれくらいにしておきましょうか。今日はチュートリアルですので。次回は春姫というサポーターを付けます。彼女とは後ほど面通しを行いましょう。」

 

 今日はここまでみたいだ。

 

 ◇◇◇

 

 「ヴモォォォォォ!!」

 

 「ミノタウロス!?」

 

 帰る直前に突然ミノタウロスが現れた。この階層で現れるはずのない強敵!隆々とした筋肉と強烈な威圧感!どうすればいいんだ!?

 リリさんは連合大幹部。彼女は生かして還さないといけない!先ほどのチュートリアルを生かすときだ!身を呈してでも僕が彼女を助けるんだ!

 

 「どうしてこんなところにミノタウロスが出るんですかね?」

 

 呑気にしゃべるリリさん。ダメだ!逃げてくれ!僕の思いと裏腹にニ体目のミノタウロスまで現れる。

 

 「ダメだ!リリさんは早く逃げて!!」

 

 僕は必死に声を上げて覚悟を決める。僕はミノタウロスの前に立ち塞がる!!

 

 「ベル様、問題ありませんよ?手抜きしても五体くらいまでならどうにでもできます。」

 

 そんな馬鹿な!彼女はサポーターだ!そんなことができるわけがない。無理をさせるわけには行かない!

 

 「ベル様、アストレアのサポーターがスペシャルなサポーターだということはご存知でしょう?リリはその取り纏め役ですよ?」

 

 リリさんはそう言ってわらう。彼女はミノタウロスに向かうとみるみるその姿を変形させていく。彼女は灰褐色の巨人に変化したかと思うと即座にミノタウロスを掴み投げ飛ばした。巻き込まれて吹っ飛ぶニ体のミノタウロス。あっという間に潰れて消え去るミノタウロス。僕は目を丸くさせるほかなにもできなかった。

 

 「リリ、ゴメン。それ私達のミス。」

 

 「アイズ様、そうだったんですか。他にはもういないんですか?」

 

 「うん、それで最後。」

 

 突然金髪の綺麗な女性が出てきた。彼女は僕でも知る有名人だ。盟友ロキファミリアのアイズ・ヴァレンシュタイン団長。リリさんの親友と噂の人だ。

 

 「仕方ありませんね。あなたもお疲れでしょうし帰ってゆっくりお休み下さい。」

 

 「うん、ありがとう。」

 

 「リ、リリルカ様、お久しぶりだ!」

 

 新しい人が出てきた。見たことがある。確かタケミカヅチ道場のベート外部師範代だ。確かアイズさんと付き合ってるって噂があったはず………。

 

 「ベート様、様付けは勘弁してくださいといったはずですよ?」

 

 す、すごい。あんなに強そうな人が様付けをしている!やはりリリさんは凄い人なんだ。

 

 「しかし俺はもう一生リリルカ様に頭があがらねぇ。リリルカ様、今回は迷惑かけたな。連合の初心者教導にケチをつけちまった。」

 

 「お気になさらないで下さい。ロキ様はリリ達の盟友です。今日はここまでですので一緒に帰りましょうか。」

 

 

 

 ◇◇◇

 

 あのあと、僕の歓迎会が豊穣の女主人というお店で行われた。たまたま店で一緒になったロキファミリアの人達も一緒にだ。

 

 「ふーん、ベルっていうんだ。兎みたいだね。」

 

 アイズさんだ。綺麗で強くて物凄い緊張する!

 

 「チビ、リリルカ様の教えを決して忘れるんじゃねェぞ!」

 

 ベートさん。何かやたら頭を撫でてくれる。

 

 「ふむ、新しい冒険者か。見た目はあまり強そうにみえんがリリルカがやっていけそうだというなら先に期待が持てるな。」

 

 大団長カロンさん。この人忙しいはずなんだけど………?

 

 「そうですね。リリルカさんがそういうのでしたら。」

 

 副団長リューさん。とても綺麗なエルフの人だ。この人も忙しいんじゃないのか?

 

 「ベル、俺が造った武器はどうだった?」

 

 アストレア専属鍛冶師のヴェルフさん。ピョンナイフというネーミングはどうにかならないんですか?

 

 「次回からしばらくベル様の専属サポーターとして担当させていただくサンジョウノ・春姫と申します。よろしくお願いします。」

 

 これまた綺麗な狐人。これからしばらく一緒かぁ。

 

 他にもロキ様とかフィンさんていう有名な方とか沢山の人と話をした。僕は緊張のあまりほとんどなにも覚えていなかった。最後に覚えていたのはヘスティア様とロキ様が喧嘩をしていたような………。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 「ふむ、ヘスティア。俺を呼んでどうしたんだ?」

 

 「この間ベル君の歓迎会を行ったのを覚えてるかい?そのあとに明らかにわかるレアスキルがベル君に発現しちゃってさ………。」

 

 「レアスキル?」

 

 「これだよ。」

 

 

 

 

 

 【憧憬だらけ(スーパーリアリスフレーゼ)

 

 ・周りに憧れる人がいればいるほど成長する。ある意味ハーレム。

 ・対象は以下の通り。

 ・リリルカ・アーデ、カロン、ベート・ローガ、リュー・リオン、アイズ・ヴァレンシュタイン、フィン・ディムナ以下あまりに多人数の為略




!?ベートにいったい何があったんだ!?

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