ダンジョンで運命を変えるのは間違えているだろうか 作:サントン
僕の名前はベル・クラネル。田舎からハーレムを目指してオラリオに最近やってきた冒険者志望。おじいちゃんと二人で故郷で暮らしてたんだけど最近おじいちゃんが亡くなってしまったんだ。僕はおじいちゃんの意志をついでオラリオに来ていた。僕はハーレムを作り上げるんだ!
僕は今、オラリオの町でどうすればいいのか困っていた。ロキファミリアのような大手に入りたかったんだけどどこも僕を欲しがってくれるファミリアがなかったんだ。たくさんのファミリアを回った僕は、疲れ果て悲嘆にくれてオラリオの公衆トイレに入っていった。もちろん人間だったら誰でも催すでしょ?
アレ?中に誰かいるな?若い綺麗な女性の人だ?何してるんだろう?ここ男性用トイレなのに?トイレ掃除の作業員には見えないけど?
「あの、何をしてらっしゃるんですか?」
「うん?ボクがしているのはトイレ掃除さ。」
まあですよね。それ以外だったらただの痴女ですよね。
「なんでそんな普通の格好でトイレ掃除してらっしゃるんですか?」
普通でもないかな?でもトイレ清掃員の制服には見えないけどな?あの紐は何なんだろう?
「キミはオラリオに来たのは初めてかい?」
「え、ええ。」
「ボクのことは皆知ってるよ。ボクはオラリオで広く知られているヘスティアという神だよ。トイレ掃除を司っているのさ!」
「え、初耳ですがどういうことですか?」
「ああ、じゃあキミはボクの苦労話を聞きたいのかい?特別に話しをしてあげるよ。」
「いえ、別に………。」
そう、僕は早く入団できるファミリアに入らないといけないんだ!
「まあそういわずに聞いておくれよ。ボクはこう見えても結構地位があるよ。オラリオに初めて来るキミに何か出来るかもしれないよ?」
地位がある?どこかの大手ファミリアの主神………が公衆トイレの掃除してるのはおかしいよなぁ?僕はだまされてるのかなぁ?話しを聞くだけ聞いてみるべきかなぁ?
「………わかりました。」
◇◇◇
オラリオ、どこかのカフェ。お金をろくに持っていなかった僕は初対面の女の人にお茶をおごってもらっていた。うぅ、情けない………。
「だからボクはさ、元々普通の神様だったんだ。でもカロン君という子供に騙されてトイレ掃除を押し付けられてしまったんだよ。それでしばらく掃除を続けているうちにだんだんとこだわりが出てきてしまってね、今ではナメたトイレ掃除は断じて許せないのさ!ボクは今やオラリオ中でトイレ掃除の神様として有名になってしまったんだよ。」
「は、はぁ………。」
なんか変な神様に捕まっちゃったな。何なんだろう?トイレ掃除の神様が僕の役に立つのかな?そもそもトイレ掃除の神様とか初耳なんだけど?
「ところでキミはオラリオに初めて来たといってたけどどうかしたのかい?」
「僕は田舎から出てきました。ここに着いてから夢のためにいくつものファミリア入団試験を受けたんですがどこも入れてくれなくて………。」
「キミはアストレア連合ファミリアには面接に行ったのかい?」
「はい。」
「おかしいな?あそこはそんなに入団に厳しい条件を設けていなかったはずなんだけど………。」
「それが………面接の時にどうしても冒険者志望だって言ったら冒険者担当の神様が行方不明だって………なんか生活態度があまり良くない神様らしくていつ帰ってくるかもわからないって………対応してくれた人は急に大金を渡すんじゃなかったと偉い人が後悔してるってそう言ってました。」
「そそそそうなのかい?キミは冒険者志望だったのかい。」
「どうしたんですか?いきなり目をキョロキョロさせて?」
どうしたんだろう?何かやましいことでもあるのかな?警戒しておいた方がいいかな?
「い、いや何でもないよ。それよりアストレア連合ファミリアにもう一回行ってご覧よ。今度はきっと入団できるはずさ。」
「なんでそんなことがわかるんですか?」
怪しい………おじいちゃんも美人局には気をつけろと言ってたし………。
「ま、まあともかく行ってご覧よ。」
◇◇◇
「はぁ、やっぱりここも入れてくれないか………。」
あのあとも僕はいろいろなファミリアの入団試験の日程や条件などを聞いて回っていた。アストレアファミリアは大手で評判もいいけどすでに一度断られているしあの女神様は挙動不審だった。僕は騙されるのが怖かった。
僕は傷ついていたんだ。アストレアファミリアは入団条件が低いと聞いていたはずだけど担当者が不在、僕を入れる気のないファミリアが嘘をついていたのだとしたら………。僕はいろいろなファミリアに断られて傷ついて疑心暗鬼になっていたんだ。しかしもう行くアテもないし………。
◇◇◇
あのあと悩んだ僕はアストレア連合ファミリアの面接をもう一度だけ受けに行ってみた。
今度は面接官がいたらしくてすんなり奥へと通された。僕は疑問に思いながらも奥へと進む。
アストレア連合ファミリアは様々な専門分野を司る総合ファミリアだ。かつては零細だったらしいけど今やロキファミリアやフレイヤファミリアと同等以上の地位を持つ最大手ファミリアと言われている。大団長のカロンさんという人があっという間にまとめ上げたらしい。すごいなぁ。アレ、でもさっきのヘスティア様の話の中でもカロンさんの名前が出てきてたような?まあ気のせいかな。連合内での人材の使い方が上手だという噂も流れている。それで入団条件のハードルを下げることに成功しているらしい。適材適所ということだそうだ。
この扉の先に面接官がいるらしい。僕は緊張して扉に手をかける。そこにいたのは先日出会ったトイレ掃除の女神様だった。
「あ、アレ?あなたは?なんでここにいるんですか!?」
「良く来たね。キミは冒険者志望の子だね。ボクはアストレア連合冒険者担当のヘスティアファミリア主神のヘスティアだよ。キミの名前を教えてくれるかい?」
先日の胡散臭い態度と違ってとても優しい笑顔だ。よく見るととても神々しくて美しい。
「どうしたんだい?ボク達はきっと上手くやって行けるよ?ファミリア内では適性があまりに薄いと異動を奨められることもあるけどある程度の期間はなるべく本人の意思を尊重するようにしているよ。名前も分からなかったら互いを知ることもできない。ボク達はキミを受け入れて育てていく意志はあるしキミもボク達のためになってくれるはずだよ。名前を教えてくれるかい?」
「は、はい。ベル・クラネルです。」
僕はここでならやって行ける気がした。
ヘスティアの受けとった大金は夏のボーナスです。初めて大金を得たヘスティアは舞い上がってしまいました。こ〇亀の両〇巡査長みたいな感じです。そしてなぜか公衆トイレの掃除をしています。作者にも意味がわかりません。