ダンジョンで運命を変えるのは間違えているだろうか 作:サントン
「俺が、ガネーシャだ。」
「私が、リヴェリアだ。」
「………………。」
「………………。」
「俺が!ガネーシャだ。」
「私が!リヴェリアだ。」
「俺がっっ!!!ガネーシャだっっ!!!」
「私がっっ!!!リヴェリアだっっ!!!」
「おいおい話がすすまんぞ?」
◇◇◇
ここはロキ本拠地側の喫茶店。今ここにいるのは俺とガネーシャとリヴェリアだ。今日こんなことをしてるのはリヴェリアに以前約束した婚活の手伝いをせっつかれたからだ。
考えた俺はリヴェリアの立場を考慮し、手持ちの最優良物件であるところの
「良く来たな、お前は確かロキのところのリヴェリアだな。俺に何の用だ。」
うん。用件伝え忘れてた。なんかスマン。
「あの、その、だな。」
リヴェリアはこちらをちらちら見てくる。乙女だな。自分の歳を考えろ!
「ふむ、カロンに来てほしいとだけしか聞いていないのだが?」
俺は迷う。ここで目的をばらしたら乙女リアがテンパる可能性が高い。すでに十分に挙動不審だ。パニクったリヴェリアとかそれはそれで見てみたくもあるが本拠地に帰ったらリューが修羅になりそうな気がする。怖い。仕方ない。
「ああ、実はだな。九魔姫がガネーシャの大ファンでさ。是非一緒に出かけてみたいと言ってたからさ。ほら、せっかくだから若い二人でオラリオ散策でもどうだ?」
後は野となれ山となれ。逃走の一手をうつカロン。ちなみにこの三人ではカロンが圧倒的に若い。
「まて、お前がガネーシャ様を呼んだのだろう。お前もついて来い。」
必死なリヴェリア。乙女リアは話が通っていないとは聞いてない!お前は責任持ってちゃんとフォローしろ!
「仕方なし、か。まあガネーシャ、お前いつも大変だろうしさ、たまには綺麗な女性と出かけて息抜きでもしようぜ。」
あっさり諦めるカロン。面倒そうだが話を前もって通していないのが悪い。
「ふむ、友に呼ばれて息抜きか。悪くないな。忙しい時期でもなし。よしどこに行くか?」
◇◇◇
私はレフィーヤ。花も恥じらう乙女にしてロキファミリアの期待の星。アイズさんとリヴェリア様の信者です。今日もお綺麗ですアイズさん。鼻血が出そう。
私は朝からアイズさんに出会えた幸せを噛み締めながらオラリオを散策していました。
ーーリヴェリア様!!
私は隠れます。リヴェリア様が男二人を連れて歩いています。ついにリヴェリア様は下僕を手に入れたのでしょうか?さすがです。リヴェリア様の高貴さと美しさを考えたらありえます。
ーー
謎の組み合わせです。コ〇ン君も真っ青です。あのアイズさんをたぶらかしているにっくき変人と民衆の王とエルフの王族!?立場だけを考えると巨頭会談とも言えますが人格を考慮するとわけわかりません。なぜあんなカオスなメンツで集まっているのでしょうか??
レフィーヤイヤーはたぶん地獄耳です。是非会話を盗み聞きしてみましょう。
「ガガガガネーシャ様は普段はどんなお仕事をなされているんですか?」
リヴェリア様、初っ端からツッコミ満載です!!ガネーシャ様の仕事は皆知ってるし緊張し過ぎだしまるでお見合いのような会話だし。
「ああ、俺はお前の知っての通り民衆の王をしている。具体的には人々の有効運用といったところか?まあわかりやすいのでいえば祭の運営や広報等だな。ところでこれどこに行くんだ?」
困惑気味のガネーシャ様。私も困惑です。このまま行けばイシュタルファミリアの歓楽街です。先頭に立つリヴェリア様はこんな日が高いうちからナニをしようというのでしょうか?
「そうだぞリヴェリア。会って間もないガネーシャを一体どこに連れ込もうとしてるんだ?いくらなんでも気が早い。スケベすぎるだろう。」
気が早い?何の事でしょう?
「かかか関係ない!!大丈夫だ!!!」
意味がわかりません。リヴェリア様パニクっているようにしか見えませんが?
「大丈夫なわけないだろう。お前はテンパり過ぎだ。ほら、あっちにするぞ。」
普通の対応です。変人の名折れです。
「かかか構わん、行くぞ!!」
構わないわけないですよ!?あなたたち三人ですよ!?上級過ぎませんか!?
「話が通らんな。仕方ない。」
お前にはファミリアに美人エルフがいるだろうがああぁぁ!!リヴェリア様の手を引くなああぁぁぁぁ!!
「そうだな、いくら俺でも仕事をサボって歓楽街に通ってたら眷属に申し訳が立たない。」
◇◇◇
あのあとしばらく歩いていたら景色のいい高台についていました。変人はいつの間にかいなくなっていました。
「お前何やってんだ?つけてたのか?人の恋路に口出すのは趣味悪いぞ?」
「へへ変人!!いつの間に私の後ろに!?恋路とは何の話ですか!?」
「………お前と椿くらいだぞ未だに俺を変人と呼ぶのは。高レベル冒険者がこの程度の追跡に気付かんわけないだろ?ほら、リヴェリアに見つかってしまう前に帰るぞ。」
「ローブの裾を掴んで引きずるなあぁぁぁぁ!!」
◇◇◇
ここはオラリオの高台。緊張のあまり記憶がない私は気づいたらガネーシャ様と二人ここにいた。カロンもいつの間にやらいない。後は私のやるべきことだな。私は勇気を振り絞って彼に話しかける。
「あなたは民衆の王として名高い。あなたが忙しいことは知っている。今日はこんなことに時間をかけさせてすまなかった。」
「なに、気にするな。さっきは仕事内容をああいったが本当に一番大切な仕事は民と触れ合うことだ。俺はいつだってお前を歓迎するぞ。俺が忙しくない限りはな。」
「あなたは何というかさっきまでいたあの男にも似ているな。」
「そうか?自分ではわからんがお前がそういうならそうなんだろうな。」
そうしてぽつぽつ話を続けていい時間になる頃に私たちは帰ることにした。
彼と話して私にわかったことは、彼が大人の魅力と包容力を持ち合わせたカッコイイ男性だと言うことだった。道中無口で無愛想だったハズの私に和やかに対応してくれたし、人々の支持もかなりの神だ。カロンはかなりの相手を紹介してくれた。今度私も何か礼をしないといけないな。
「今日は楽しかった。また会ってくれるか?」
「ああ、構わんぞ!俺が忙しくないときならいつでも遊びに来い!」
ついにノリでこんなものまで書いてしまった………ガネーシャ様の無限の包容力………
果たしてガネーシャ×リヴェリアなど誰が望むというのだろうか………