ダンジョンで運命を変えるのは間違えているだろうか   作:サントン

4 / 129
ヤバいスキル及びにリリルカとの出会い

 アストレア本拠地アストレア私室。

 

 「それにしても………。」

 

 アストレアは困っていた。わずかに帰ってきた子供達の一人は見るからにヤバいとわかるスキルが表れていた。しかも2つもだ。

 

 「それだけの死線を超えてきたということかしら………。」

 

【黒い覇王の才覚】

・あらゆる汚れを飲み込み目的を達成する才能

・発言で対象の思考を誘導できる

【白い聖者の才覚】

・あらゆる汚れを禊い他者を守る才能

・状態異常無効

・耐久特大補正

 

 両方ヤバい。特に黒い方がヤバい。アルカナムを使ったといわれても納得しかないヤバさだ。

 アストレアは子供達の逝去から時間がたってある程度冷静な思考を取り戻していた。 

 

 ◇◇◇

 

 「方法は思いつきません。やはり無理なのでは?」

 

 「仕方ない。俺が考えた方法を使うか?」

 

 「すでに考えついているならなぜいわないんですか?」

 

 「俺が考えるなら自分は考えなくていいというのは怠慢だ。それにもっといい方法があるかもしれんだろう。」

 

 「そうは言っても………先に言ってみて下さい。」

 

 「ダンジョンの入口でフリーのサポーターを雇って才能ある奴を引き抜けばいい。」

 

 「そんな簡単にいくとは思えません。」

 

 「サポーターは総じて地位が低く賃金を値切られがちだ。相手にしっかり金を払って人格を尊重すればいい。」

 

 「そんな犬の躾みたいに簡単にいくとは思えません。」

 

 「シンプルイズベストだよ。犬も人間も食事をして生きているのは一緒だ。食事には金がかかる。」

 

 「しかしアストレアファミリアだということはどうするんですか?」

 

 「説得してみるさ。試すのはただだよ。特にリスクはない。」

 

 「私たちの顔は知られているのでは?そもそも一緒にダンジョンに潜ってくれるとは思えない。」

 

 「じゃあどうするかいリュー?今更目的なくただの冒険者として生きるか?試さないうちからやっぱり復讐をやるべきだと主張するか?顔は隠せばいいさ。」

 

 「相手に不誠実です。」

 

 「どっちみち復讐をしたら顔を隠した生き方しかできないぜ?一時の不誠実か一生の不誠実かあきらめて逃げるか、だ。お前はどれを望む?」

 

 「………現状を理解していなかったのは私のようですね。わかりました。」

 

 ◇◇◇

 

 「そっちは誰かいたかい?」

 

 「いえ、特にめぼしい人間はいませんでした。あなたの方はどうですか?」

 

 「一人いた。ただなぁ………。」

 

 「何か問題が?」

 

 「若いんだよ。多分パルゥムだろうがそれにしたってな。憂鬱だよ。」

 

 「あきらめますか?」

 

 「いや、ほっとけばどうせのたれ死ぬ。手前味噌な言い方すれば互いのためになる。」

 

 「ひどい男ですね。地獄に落ちますよ。」 

 

 「この間地獄から帰ってきたばかりだろう。今更この程度の汚点がどうしたんだ?」

 

 つくづく口の減らない男だ。しかし嫌に説得力がある。私としては触れたい話題では無い。私は口をつぐんだ。

 

 「………………。」

 

 

 

 ◇◇◇

 

 「端的に言おう、リリルカ。君を雇いたい。条件をすり合わせたい。」

 

 「リリをですか?冒険者様。一体どうしてですか?」

 

 「単刀直入に言おう、リリルカ。俺達には目標があり達成するにはリリルカの力が必要だと考えている。」

 

 「どのような目的ですか?」

 

 「それは順を追って説明しよう。先に最終的な雇用条件は君が2レベルに到達することだ。君が条件を達成することができたら俺達は君の脱退金を肩代わりして俺達のファミリアにきてもらう。それまで俺達は君をサポートし、君も俺達をサポートする。その際の金の振り分けは折半だ。もちろん脱退金とは別だ。」

 

 「いまいち理解できません。どういうことですか?」

 

 「俺達は優秀なサポーターを育てようとしている。君は他のサポーターの見本になりうる。君は金を必要としている。君は脱退を求めている。」

 

 「ちょっと待って下さい。どうしてリリが脱退を望んでいると………」

 

 「君はソーマファミリアだろう。下調べをさせてもらった。」

 

 「それでなぜリリを?ソーマファミリアの素行の悪さは冒険者様もご存知のはずでは?」

 

 「俺達はアストレアファミリアだ。」

 

 「っっ!」

 

 「俺達も自分の評判を知っている。でも少なくとも俺達は君を虐待したりはしない。そういう対象だとみてるなら高いかねは払わない。」

 

 「………リリが騙されていない証拠は?」

 

 「一度でも金払いが悪ければ君は来なければいい。」

 

 「………しばらく考えさせてください。」

 

 

 

 ◇◇◇

 

 「契約前に聞かせてもらっていいですか?冒険者様はリリを使って何をなさるおつもりですか?」

 

 「最終的な目的は俺達を嵌めた奴らをオラリオから追い出すことだ。その前段階としてサポーター育成技術を独占し俺達の地位を向上させる。」

 

 「いろいろ疑問があります。サポーター育成技術を独占したとして地位は向上しますか?」

 

 「ロキ神に売り込む。成功すれば地位は向上する。」

 

 「次にサポーター育成技術をどうやって独占しますか?」

 

 「俺達のファミリアで高いサポーター育成技術を生み出せれば独占できる。リリルカには可能性を感じる。」

 

 「神ロキに売り込めるんですか?」

 

 「ロキは子供達を可愛がっている。サポーターの技術を上げれば冒険者の死亡率をおさえられる。子供達から薦められれば無碍にはしないはずだ。」

 

 「神ロキにツテはあるんですか?」

 

 「これから作り上げる。」

 

 「最後にこんな雑な計画が成功するとおおもいですか?」

 

 「一番肝心な目的は達成できる。」

 

 「一番肝心な目的?」

 

 「ここだけの話だ。リューを復讐から遠ざけるのが最大の目的だ。」




黒い~はぶっちゃけ洗脳する力です

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。