ダンジョンで運命を変えるのは間違えているだろうか   作:サントン

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エイナの友人に迫る不気味な影(後編)

 ここはアストレア本拠地団長室。カロンは先の会合について考えていた。

 

 ーーリューは交渉能力が壊滅的だ。まさに地の底と言ってもいいだろう。どうする?またリューを突撃させてみるか?しかし俺の予想では前回の二の舞っ!これからは交渉できる人材も考えて行かねば。

 

 カロンは悩む。

 

 ーーリューにできるようになってほしいんだがやはり無理か?他としたらアストレアは置いといてヘスティアにはまず無理だろう。リリルカは有能だがリリルカ一人を育てすぎても不在時のことを考えると二の足を踏む。新人には当然任せられない。やはりリリルカか?何かそんなタグをこの作品につけた方が良さそうな気もするな。

 

 悩んだ末にリューを見限り新たにリリルカを試すことを決意する。リューは本人が知らないうちにリストラされていた。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 ここはアストレアファミリア応接間。ミーシェとカロンはソファーにて向かい合う。

 

 「ミーシェ、時間を割いてくれてありがとう。彼女はリリルカ。アストレアファミリアの顧問弁護士だ。」

 

 やっぱり適当をぶっこくカロン。隣にいるのがリリルカ。リューはカロンの後ろに立って見守るスタンス。

 

 「顧問弁護士!?初耳ですよ!?」

 

 相変わらずツッコミ適性の高いリリルカ。

 

 「あ、はいあたしはミーシェです。よろしくお願いします。」

 

 常識人ミーシェ。

 

 「それでは今日の交渉はリリルカに任せてみることにする。俺は基本的に口を出さない。」

 

 話し合いが始まるーーー

 

 ◇◇◇

 

 先制はリリルカ。

 

 「先に雇用条件を提示した紙を渡させていただいたと思います。何か質問事項でもございましたでしょうか?」

 

 「あ、ハイ。アストレアファミリアは今現在少数だと聞きます。わざわざ専属アドバイザーを雇う理由は何なのでしょうか?」

 

 当然の疑問。

 

 「隣にいる団長のカロン様とファミリア自体の意向です。知ってらっしゃる通りに我々のファミリアは零細です。しかし我々は巨大なファミリアを作り上げることを目標としており、そのために損耗率を低下させるのは必須だと考えております。」

 

 堂々のリリルカ。

 

 「巨大なファミリア、ですか?」

 

 「はい、今は詳しくは理由を伝えられませんがロキ、フレイヤ両ファミリアより巨大なファミリアを作り上げることを目標として考えております。そのためのプランはこちらの紙にまとめてあります。」

 

 すでにリューは虫の息である。そしてリリルカはさらに追撃を加える。

 

 「そちらの資料でしたら対外的に秘密にしていただけるのでしたら短期の貸出が可能です。何か他に不審な点はございますでしょうか?」

 

 世間擦れしすぎである。

 

 「あ、あのそれじゃあ、この賃金関係のところなんですがギルドの公開した賃金とは一体?」

 

 「毎週オラリオで配られているガネーシャ広報に載っている情報です。具体的には四年前に月給100000ヴァリスの職員が、二年前に月給120000ヴァリスの職員と220000ヴァリスの職員が、去年は月給110000ヴァリスの職員が職務とともに公開されています。我々は100000ヴァリスを最低賃金と想定して仕事内容と照らし合わせ、条件をすり合わせていきたいと考えている次第でございます。」

 

 あまりに年齢に見合わず有能なリリルカ。一人称まで変わってしまっている。そこはリリ達はではないのか?

 

 「ええっと………それで私達の職務とは?」

 

 「前例がないので我々で作り上げて行くしかありません。最低限必須な能力はギルドの試験に受かりうる知識、具体的には魔物の知識と担当する冒険者の能力分析、及びに対外的折衝等を考えております。他には団員達のスケジュール管理、ファミリア内の金銭管理、書類の確認及び整理、団長の対外的サポートなど秘書的な多岐にわたる業務も考えており、想定される問題点及びにこちら側の期待する内容はこの資料にまとめてあります。他にはファミリア内部での生活事項におきましてはーーー

 

 「ち、ちょっと待ってください!」

 

 ついにストップがかかるリリルカ。

 

 「あ、あの私わからないんですけど?」

 

 当初の予想したギルド職務と掛け離れつつある職務に戸惑うミーシェ。リリルカの若さも困惑の一因だ。

 

 「御心配には及びません。不肖私、リリルカが全てに置きまして精通しております。当方はしばらくは零細ですのでしっかり仕事を覚えていくための時間もございます。私が時間の許す限りのサポートを確約させていただきますので是非とも前向きなお考えをしていただきたい所存でございます。」

 

 ついに喋り方に原型が無くなったリリルカ。圧倒されるミーシェ。

 

 「もし質問内容がございませんのでしたら次はファミリアの内部の説明をさせていただきます。」

 

 

 

 

 

 ミーシェはあっさり陥落した。

 

 ◇◇◇

 

 ソファーで俯きクッションで顔を隠すリュー。話しかけるカロン。

 

 「おい、リュー。リリルカはすごいぞ。やはり有能だ。」

 

 「カロン、私はそっとしておいて下さい。私は自分が情けない。」

 

 「おいおい、お前は高レベル冒険者だろ?堂々としろよ!」

 

 「もうリリルカさんが団長でいいのでは………?」

 

 

 

 ◇◇◇

 

 豊穣の女主人。

 

 ーーあたしはミーシェ。ギルド職員を目指して日々勉強中!のはずだった………。

 

 「ようこそミーシェ。俺は団長のカロンだ。隣にいるのが副団長のリュー・リオンでその後ろがマスコット兼ゆるキャラ兼顧問弁護士のリリルカ・アーデだ。お前の右手の女性が主神のアストレアだ。アストレアの隣にいるのがファミリアのトイレ掃除担当神のヘスティアだ。俺の左後ろにいるのが向かって右からバラン、ビスチェ、ブコル、ベロニカ、ボーンズだ。これから先よろしく頼むな。」

 

 「アッ、ハイ。」

 

 「取り合えず今日は歓迎会だ。共に目標に向かってがんばろう!」


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