ダンジョンで運命を変えるのは間違えているだろうか   作:サントン

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エイナさあぁぁぁぁん

 「はっきり言おう、お前が欲しい。」

 

 「ええっ!?」

 

 

 

 ◇◇◇

 

 ーーここは冒険者連合ギルド、私は受付の業務を担当するエイナ・チュールです。このお仕事はつらいことや悲しいこともあるけれど、私の努力が日々誰かの役に立っていると言う実感を得られるならば、私はいつだってがんばれます。

 

 そんな彼女を柱の影から覗く怪しい二人組………。

 

 そう、彼らはカロンとリュー。

 

 「彼女がリリルカに調査させた結果、最も適していると判断した対象だ。」

 

 「彼女がですか………。」

 

 あのあと、アストレアファミリアはさらに人数が増えて新人が五人になっていた。

 

 「彼女がリリルカ調べの新人・最も信頼できる担当者不動のNo.1だ。」

 

 そう、この自由人カロンは新人が来たことにより、アストレアファミリアに専属の信頼する担当者が欲しいと考えていた。彼はギルドから何とか引き抜けないかと画策しているのだ。

 

 「なぁ、お前エルフだろ?お前彼女と面識があったりしないか?」

 

 「残念ながら。しかし私の情報によるとリヴェリア様と懇意にしているとか………。」

 

 「よし、それならロキファミリアに乗り込むか。」

 

 この行動的なバカは神酒を手に入れるツテを得たため、ロキファミリアも追い出すことが難しくなっていた。ロキが神酒が大好きなのだ。定期的に神酒を奉納されるロキは、嬉しそうな悔しそうな微妙な表情をしていた。

 

 ◇◇◇

 

 ロキファミリア本拠地食堂。

 

 「ふむ、お前が私に用事があるとは珍しいな。いつもはだいたい用があるのはベートかアイズだろう?」

 

 彼女はエルフのリヴェリアだ。ロキの副団長。本名はリヴェリア・リヨス・アールヴ。

 

 「ああ、エイナ・チュールに興味があって紹介して欲しくてな。」

 

 いつもの如くどストレートカロン。

 

 「カロン、リヴェリア様は王族でいらっしゃいます。不敬ですよ。」

 

 これはリューだ。

 

 「ああ、別にかまわんよ。ところでなぜ彼女を紹介して欲しいのだ?お前は色恋沙汰で特に浮いた話は聞かないが?」

 

 「俺達のホームに新人が入ってきてさ。信頼できるアドバイザーが欲しいんだよ。仲間は誰だってかわいいだろ?」

 

 「なるほどな。だが仲間が大切なのは理解するが、彼女の引き抜きは難しいと思うぞ?彼女はギルドの看板でもあるから下手をしなくてもギルドが怒るんじゃないか?」

 

 「うーんそうか………。話してみるのも無理かな?ホラ、エイナのツテでもいい人材がいるかもしれないしさ。」

 

 食い下がるカロン。

 

 「私は個人的に親交はあるが、お前が彼女を怒らせたら私の面目は丸つぶれだろう?」

 

 「どうしてもダメか?九魔姫の婚活手伝うからさ。」

 

 「んなっ………………。」

 

 固まるリヴェリア。マイペースなカロン。

 

 「カロン、ちょっと!」

 

 焦るリュー。

 

 「あれ、余計なお世話だったか?すまん、九魔姫赦してくれ。」

 

 素直に謝るカロン。

 

 「コホン、まあいい。わかった紹介してやろう。」

 

 

 

 

 

 カロンをこっそり隅へと呼ぶリヴェリア。

 

 「先ほどの話はゆめゆめ忘れるなよ。」

 

 

 

 ◇◇◇

 

 「それで、私に一体何の御用でしょうか?」

 

 休日にリヴェリアに呼び出されたエイナ。ギルドの近くで待ち合わせ。ここにはカロン、リヴェリア、リュー、エイナの四人がいる。世の男性がみたら血の涙を流すこと請け合いな光景である。っていうか畜生!エルフ二人にハーフエルフ一人ってどういうことだよ!

 

 「ああ、俺が頼んで呼んでもらったんだ。まず自己紹介からだな。俺はカロンだ。アストレアの団長だ。」

 

 「私はリュー、同副団長です。」

 

 「私はリヴェリア、ロキの副団長だ。」

 

 全員知っているはずなのになぜかボケるリヴェリア。

 

 「私はギルドの受付職員、エイナ・チュールです。」

 

 「もう面倒だからはっきり言おう。エイナ、お前が欲しい。」

 

 公衆の面前で大々的に言うカロン。普通はプロポーズにしか思えない。通行人は興味津々で足を止める。リューとリヴェリアは固まる。

 

 「ええっ!?そんな、私達初対面じゃないですか!?」

 

 エイナは当然混乱する。黒いスキルは関係ない。

 

 「カロン、説明不足です。」

 

 帰ってきたリュー。

 

 「あまりにざっくり過ぎだ。お前はそんなんだから変人扱いされるんだ。お前それ愉快犯でやってるだろう。フラれることを楽しみにして。」

 

 リヴェリアは流石の年の功。よく見ている。

 

 「すまんなエイナ。本題はお前がギルドから移籍する可能性を探っていただけだ。」

 

 「移籍ですか?」

 

 「ああ、俺達は新人のためにファミリアに信頼できるアドバイザーが欲しくてな。評判調査を秘密裏に行ってたんだ。それでお前の名前が上がったためリヴェリアのツテで紹介してもらったわけだ。」

 

 「……。なるほど、理由はわかりました。私を高く評価してくださったことには感謝します。しかし私はギルドを離れる気はありません。」

 

 「そうか、そうだな。じゃあお前は俺達が有能なアドバイザーを得るためにどうしたらいいかアドバイスをしてくれないか?」

 

 「………ギルドの内情は秘密事項にあたるためお話できません。あなた方がアドバイザーを得るにはあなた方自身で育成なさるのがベストだと思います。」

 

 「やっぱそうなるかぁ。」

 

 「ここからは私の独り言です。私はリヴェリア様のお客さんを無碍にできません。そういえば私の友人にギルドの受付の面接を近く受けようとしていた人がいた気がします。彼女は最近頻繁に図書館で勉強していた気もしますし黒髪で160cmくらいだった気もします。ギルドに入る前なら個人的な交渉も可能でしょう。その他の特徴はーー」

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 あのあとしばらく話してカロンさんとリューさんは私にお礼を伝えて帰って行った。今ここにいるのは私とリヴェリア様の二人。

 

 「お前も難儀だな。」

 

 「リヴェリア様。」

 

 「私の客だなんだと嘘つきおって。お前はファミリアの仲間の安全を大切に考えるあの男に何とかして便宜をはかりたかったんだろう。仲間の命を何とも思わない輩も多いことだしな。」

 

 「リヴェリア様こそどうしてわざわざ連れて来たんですか?」

 

 「たいした理由ではないよ。ただ馬鹿は嫌いではないし見ていて面白い。同胞もいることだしな。」




個人情報を勝手にばらしたらダメ!絶対!

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