ダンジョンで運命を変えるのは間違えているだろうか   作:サントン

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二日酔い

 「ウウッ、オエッ。」

 

 「ほら言ったろう。真面目なお前がその有様でどうすんだ。ヘスティアの二の舞になるぞ!?(ヘスティアの受難参照)」

 

 「ウウッ、本当に申し訳ない。」

 

 私は今日、二日酔いだ。理由は前話を参照していただきたいオエッ。

 私はお酒は普通の強さだ。昨日はそういう気分だったため普段より少し深酒をしてしまったためこのザマだ。神酒をナメてたオエッ。

 

 「お前今日どうするんだ?アストレアにでも看病をお願いするか?」

 

 ここは彼の自室。酔っ払って深酒に付き合わせた挙げ句にこの醜態だ。彼はほとんど寝ていない。申し訳なさに顔向けできない。

 私は酔ってハイテンションになり、散々彼に悪態をついた覚えがある。やれ扱いが悪いだのやれもっとまじめにしろだの………。さらに自分から抱き着いた挙げ句ひっぱたいた気もする。確か彼は壁に頭から突っ込んでいたような………。やっぱり壁に穴が空いてる………オエッ。そして気付いたら今は彼の厚意に世話になっている。ヘスティア様を笑えない。かなりの鬱だ。

 

 「んでどうすんだ?お前の部屋に運ぶのか?でもどうせ触れたらお前叩いてくるんだろうな。」

 

 ため息をつかれてしまったオエッ。今の私に文句を言う資格はない。彼はわざわざ朝になって気分が悪い私を介抱してくれているからだ。

 

 「取り合えずリリルカでも呼んでくるか。」

 

 醜態を他人に晒したくない。しかし立って帰ろうにも頭がぐるんぐるんするオエッ。私にできることは何もなかった。やはり私は神酒をこっそり持って来たことに天罰が下ったのだろう………。

 

 ◇◇◇

 

 ここは団長室。散々に散らかる部屋、穴が開いている壁、真っ青でソファーに寝込む私リュー・リオン。

 

 「どうしてこんなことになってるんですか?酔ったリュー様を自室に連れ込んで無理矢理いたずらしようとしたのですか?」

 

 「人聞きの悪いことを言うな。リューが酒が嫌いな俺を散々付き合わせてこのザマだよ。どう見ても自爆だ。俺は被害者以外の何者でもない。」

 

 私は彼に文句を言う資格はないオエッ。今の私はどう考えてもギャグキャラだ。銀〇の主人公的なポジションである。

 

 「何をおっしゃってるんですか?真面目なリュー様が二日酔いになるほどお酒を飲むわけないじゃないですか。無理に飲ませたんですか?出頭するなら今のうちですよ?」

 

 心が痛い。ものすごく痛いオエッ。

 

 「うーんまあ一見そうなんだろうがなぁ。しかし俺にはこいつが神酒をかっぱらって俺の部屋で好き放題暴れたとしか………。」

 

 ごめんなさいぃぃぃぃ。

 

 「それこそありえないでしょう。リュー様ですよ?」

 

 信頼してもらって申し訳ないぃぃぃオエッ。

 

 「まあ昨日はほら、アレだったろう。そういうときもあるんだろ。」

 

 「ああ、そういえばそうでしたね。」

 

 ◇◇◇

 

 アストレアファミリア、私の部屋。ベッドで寝込む私と看病するヘスティア様。

 

 「リュー君、大丈夫かい?」

 

 あのあと私は、結局妙案が思いつかないカロンが運んだ。こんな状況にも関わらず私の体は反応し、幾度となくカロンを張り飛ばした。そして私は張り飛ばす度に大切な何かが体から出そうになった。もちろん液体状の、矜持とか高潔さとか誇りとかいったものだ。ゲロフに種族チェンジする寸前だった。

 

 「しかし君もこんなことになるんだね。」

 

 今はもう吐き気はおさまった。ヘスティア様はいやに嬉しそうな顔をしている。

 

 「君は堅くて隙のないエルフだからたまにこういう普通の子供達みたいなところをみせてもいいと思うよ。」

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 「ふむ、リリルカはどう思う?」

 

 「リリは良案だと思います。」

 

 あのあとリリ達は話し合っていました。リュー様は息抜きがあまりお上手でいらっしゃらないのでリリの一周年と五人のお別れ会もかねてファミリアでどこかへ遊びに行くかと言う提案です。

 

 「アストレアは呼ぶとヘスティアがついてきてしまうからな。ヘスティアを調子に乗せないためにも二人きりで話すか。」

 

 「ヘスティア様は今はリュー様の介抱をしてらっしゃるのではありませんでしたか?」

 

 「ああそうか、ではアストレアのところに行ってみるか?」

 

 ホームの廊下をしゃべりながら歩くリリとカロン様。五人組はダンジョンに潜っています。新人の四人は彼らがチュートリアルとして連れていきました。五人組は近々フレイヤ様の下へおもどりになられますが新人様方にいろいろなツテができるのはいいことです。

 

 「リリは温泉旅行を提案します。女の人で嫌いな人はいません。」

 

 「近場にはないだろう。あまり本拠地を空けるわけにはいかんぞ?」

 

 「なるほど、ではカロン様はどうお考えですか?」

 

 「文化祭とかどうだろう?」

 

 文化祭!?お祭り!?

 

 「お祭りを作り上げるんですか!?」

 

 「ああ、いずれアストレアファミリアが大きくなった暁には由緒ある祭になるだろう。」

 

 目を輝かせるカロン様。

 

 「待って下さい。予算が大きくなりすぎます!それはアストレアファミリアが大きくなってからでいいはずです!?」

 

 ションボリーヌなカロン様。

 

 「うーん、内々でこじんまりと何か行うしかないか。」

 

 「普通にパーティーとかでは?」

 

 「オリジナリティがなぁ。」

 

 「いやいらないでしょう!?」

 

 「それにパーティーは他ファミリアを呼んでこそだろ?内々だからなぁ。」

 

 「お祭りも大々的なものですよ!」

 

 「ファミリア内で個人的な出し物を考えればいいんじゃないか?内輪だけにみせるための。」

 

 「それは………面白いアイデアだとは思いますが前例のない初回は大失敗する気しかしません。特に穀潰神のヘスティア様はどうすればいいのかわからないと思います。下手したら脱ぎ出したりしかねません。」

 

 「なるほどな。無理か。残念だ。」

 

 「普通にリュー様の慰労会では?」

 

 「ダメだとは思わんがリューに気を使わせるだけではないか?」

 

 「「ううーん。」」

 

 首をひねるリリとカロン様。どうしましょうか?

 

 ◇◇◇

 

 「そうね、記念に何かを育てはじめてみたらどうかしら?」

 

 アストレア様です。

 

 「ふむ、その心は?」

 

 「何かをするのでなくても命を感じることがファミリアに愛着を持たせることになると思うわ。記念にもなるし。リューに関してもホラ、さびしんぼだし。」

 

 「「ああ。」」

 

 さすがアストレア様。なかなかの良案です。

 

 「何がいいかな?」

 

 カロン様の言葉。リリもオラリオで一般的なペットを思い浮かべます。

 

 「普通に犬とか猫ではいかがですか?」

 

 「オリジナリティがなぁ………。」

 

 どこまでもオリジナリティにこだわるカロン様。またおかしなことをいいださなければいいですが………。

 

 「木とかどうかしら。」

 

 アストレア様の意見です。

 

 「木ですか?」

 

 「リューは長く生きるエルフよ。ホームに木を植えたらリューとも長く付き合って行けるんじゃないかしら?」




蛇足
パクって来たというのは実はリューの勘違いです。真実はソーマファミリアに来るリューにソーマが感謝の気持ちとして持たせた神酒の失敗作です。コミュ障ソーマにこっそり持ち物に神酒を入れられたリューが盗んでしまったのか!?とまあそういうことです。

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