ダンジョンで運命を変えるのは間違えているだろうか 作:サントン
「それでは今回の神会を行います。司会は私、フレイヤが務めさせていただくわ。」
「ィェーィ!!!」
「フレイヤ様サイコー!!」
「prprさせてください。むしろ踏んで下さい!」
「ハァ、ハァ、クンカクンカ。すんげー!いい香り。」
「やべぇ、鼻血が………。」
「フレイヤ様こっちみてえぇぇーー。」
「チッ、相変わらず巨乳やな。もげてしまえばいいのに。」
今日は神会。私ことアストレアは出席しないわけには行かなかった。私は最近ホームに住み着いたヘスティアと一緒にいた。最近神々の間ではヘスティアがアストレアファミリアのペットになったという噂がまことしやかに流れていた。
「アストレア、今日はボクたちの子供達が主役だよ!ボクもとても鼻が高いよ。」
ドレスを与えられて現金なヘスティア。彼女は今現在、ホームではトイレ掃除の神様として扱われていた。
「それでは今回の冒険者のランクアップ報告を行います。まずは大手のガネーシャファミリア。彼らは二名がレベル2にランクアップしたわ。名前はジム・ジョーンズとサム・サンデー。まずはジムの二ツ名を考えましょう。」
「
「
「
「「「それだ。」」」
「ガネーシャ超遺憾。」
「じゃあ次はサムね。」
「
「
「
「「「それだ。」」」
「ガネーシャ超憂鬱。」
こうやって神会は進行して行く。ヘスティアは豪華な食事に期待しそわそわしていた。
「ヘスティア、これが終わったらいいもの食べられるんだから少しおとなしくなさい。」
「ボクはおとなしくしてるさ。」
嘘である。全然落ち着かない。
「はぁ、ほんとに落ち着きがないんだから。あなたがおとなしくしないと私たちの評判を落とすのよ?」
「………そうはいっても………。」
こいつは駄目そうだなと思いつつ、議会は進行していく。
◇◇◇
「さて、それではトリにします。なんと本日は三名もの上級冒険者がランクアップしたという情報が来ました。ロキファミリア所属の冒険者、ベート・ローガ氏がレベル5に、アストレアファミリア所属の冒険者、リュー・リオン氏がレベル5に、同所属のカロン氏がレベル4へと到達しました。なお、カロン氏に関しては、姓が隠されており本人のたっての希望により非公開となります。ベート氏は三年の研鑽をもって、リュー氏は二年と三ヶ月の期間をもって、そしてカロン氏にいたってはなんとたったの九ヶ月でのランクアップとなります。カロン氏の記録におきましてはなんとあの剣姫、アイズ・ヴァレンシュタイン氏の記録を大きく上回っており、彼らの今後には大きな期待が持てると考えられます。」
「マジかよ。あの変人だろ?」
「不死身だな。ベートのストーカーの。」
「ベートと同時期にランクアップしたのはなんか関係があんのか?」
神会がざわつく。
「ベート氏におきましては、ロキファミリアの幾度もの遠征、先に名をあげたカロン氏との闇派閥との戦闘、トドメについ先日の遠征における階層主の討伐が決め手になったと思われます。
リュー氏におきましては、アストレアファミリアの悪夢と呼ばれる事件、日頃の鍛練がランクアップの決めてということだとのことです。
カロン氏におきましては、日頃の鍛練に加え、ベート氏との共闘の際に先に長時間敵と相対していたのが原因だとおっしゃっていました。」
「ついてない奴だな。アノ事件に加えて悪鬼と戦ったんだろう。」
「奴はおそろしく用心深い男だったというからな。加えて出現がまちまちだったからなかなか捕らえるのが難しかったらしいな。」
「ガネーシャ肝いりの掃討作戦でもあいつうまく逃げやがったんだろ?どうやって捕まえたんだ?」
「なんでも襲われたところを返り討ちにしたらしいぜ?ベートと共闘して。」
「何それ胸熱展開。」
「「「キマシタワァーーーッ!」」」
「ってゆーか相手はレベル5だったって聞いたぞ。確かなら相当強力なレアスキル持ちなんじゃねーか?」
「また闇派閥の奴らにねらわれるんじゃあねぇか?あいつらだってまだ隠し玉がいくつかあるだろ?」
思い思いにしゃべる神々。噂はオラリオを巡ることになる。
◇◇◇
ベートは考え込んでいた。ベートは最近ランクアップを果たしていた。ベート達は階層主ウダイオスを討伐し、ベートはその戦いの中心を任せてほしいと彼らの団長のフィンに頼み込んでいた。
ーーやはりか。
ウダイオスとの戦いは熾烈ではあった。ひりつくような緊張感はあったし、仲間との連携もいつも通りだ。そういつも通りだった。
ーーものたんねぇな。
仲間との連携に不備はないし彼には何ら不満がない。しかし、あの時に感じた高揚感のことを思えば些か以上にもの足りない。ベートはカロンと共闘してる間いつにない高揚をしていた。体は思うままに動くし、しゃくな話だが共闘相手は自在に動きベートに最高のフォローをしていた。
格上を相手にベートは護りを考えることすらせず向かい、相手もベートの思惑以上にきっちり敵の攻撃を捌いてみせた。
ーーチッ、こんなことを考えるなんざやきがまわったか?
ベートは自分の道先に一抹の迷いを持ちはじめていた。
◇◇◇
「おう、凶狼。街中で会うのは珍しいな。」
「チッテメェ、まさか俺をつけてやがったか?」
「まさか。たまたまさ。ダンジョンで見つけたら追いかけてるけど。」
「テメエ堂々とストーカー宣言してんじゃねぇよ!こっちは気が休まらねぇ。テメエどうやってダンジョンで俺を尾けてんだ?」
「見つけたらっていったろ?たまたまだよ。」
「それにしたって回数が異常だろうが。半年で十回だぞ?」
「ふむ、これはもはや運命だ。アストレアファミリアに改宗する以外にないな。」
「なんでだよ、ふざけんじゃねぇ!………まぁたまに一緒に戦うくらいだったらかまわんが。」
「やはり凶狼はツンデレか。テンプレートにもほどがあるだろう。」
「テメッ、調子のってんじゃねぇ!」
「それと今度一緒にタケミカヅチ道場に行ってみないか?アイズも来る予定だぞ。」
ガネーシャは闇派閥を放っていたわけじゃありません。しかし闇は駆逐しがたくカロンもそれは理解しています。カロンの目的はリューの目線を復讐から逸らすことであり、オラリオ同盟は最初はリューを復讐を考えないようにいそがしくさせるために打ち出した方策です。半分は嘘と詭弁です。実は当時のカロンは内心で何とかごまかそうと必死でした。