ダンジョンで運命を変えるのは間違えているだろうか   作:サントン

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ロキファミリアとの死闘(前編)

 ここはアストレアファミリア、アストレアの私室。アストレアはカロンを呼びだし二人は向かい合っていた。

 

 「カロン、ロキファミリアから苦情が来ているわ。何でもベートさんて方がストーカーも大概にしろと怒ってるって。」

 

 「うん?ふむ。凶狼の引き抜きを諦める気はないんだがな。わかった。俺がロキに直接苦情を聞いてくるよ。」

 

 「大丈夫なのカロン?相手は怒っているのよ?あなたはロキの怒りに余計に油を注ぐような事をしたりしない?」

 

 「俺はアストレアファミリア団長だ。どっちみちこの先ロキファミリアとなんらかの話をする時がくるかもしれんだろ。それに別に今交渉に行っても相手を怒らせたりするつもりはないさ。」

 

 「でも相手はロキよ?オラリオで最強と呼ばれているわ。万一怒らせたりしたらーーー」

 

 「まあ問題ないだろ。仮にもフレイヤファミリアと同盟を結んでいる相手に簡単に手を出すような馬鹿げたマネはせんだろ。」

 

 ------まあ大丈夫なのかしら?

 

 アストレアはクビを傾げた。彼女はこの時カロンに相手の意思を捩曲げるスキルがあることをすっかり忘れていた。アストレアも彼女の思考を誘導されていた。

 

 ◇◇◇

 

 

 

 「結論を言います。彼が相手を怒らせる可能性は十分にあります。彼は口が悪いし少し愉快犯的なところがある。いますぐ追いかけます。」

 

 「やっぱり早まったのかしら?先にあなたに相談するべきだったわ。カロンはあまり神に対する敬意もないし………。ロキを本気で怒らせたら明日にはアストレアファミリアは無くなってるわよね………。」

 

 「リリも一緒に向かいましょうか?」

 

 「いいえ、リリルカさんはホームでまっていて下さい。あなたにはこの後サポーター講義がある。」

 

 「しかし、ファミリアの一大事じゃあーーー」

 

 「リリルカさん、申し訳ないがあなたでは私のスピードに付いてこれない。我慢して待っててほしい。」

 

 「わかりました。リュー様、お願いします。」

 

 「任せて下さい。首の根を掴んでも連れて帰ります。」

 

 ◇◇◇

 

 「ふむ、せめてロキ様に確認だけはしてもらえないか?」

 

 「俺達はロキファミリアの門番だ。アポイントメントのない奴を通すわけには行かないしお前はあの不死身だろう?ベートさんのストーカーの。神ロキは大手ファミリアの主神でお忙しい。お前ら零細ファミリアとはわけが違うんだ。」

 

 門番は粘っていた。何が何でも通すわけにはいかない。相手は悪名高きベートのストーカーだ。彼らの間で交渉という名の闘いが繰り広げられる。

 

 「しかし俺は零細ファミリアとは言え長年オラリオの治安を担ってきたファミリアの団長だぞ?せめて主神に確認くらいとるのが筋ではないのか?神酒の出来損ないをロキ様への捧げ物として持参もしているぞ?」

 

 「それでもだ!お前がベートさんを怒らせたせいで俺達はあの人のストレス発散に付き合わされたんだぞ?お前は通すとベートさんがキレるんだよ!」

 

 引けない闘いがここにある------

 

 「安心しろ。凶狼には俺からいっといてやるよ。」

 

 「馬鹿なのか?どこに安心できる要素があるんだ!余計怒らせるだけに決まってるだろうが!」

 

 「心配いらん。多分あいつはツンデレだ。あれはもっとやってくれと、つまりそういうことだ。」

 

 「どういうことだ!ベートさんがツンデレなのは否定しないがお前にたいしてあるのは拒絶だけだ!」

 

 「うーん、どうやっても通してくれんのか?ウチにはリューという美人エルフがいる。こっそり隠し撮りした写真があるからそれをあげてもか?」

 

 「俺達にはリヴェリアさんもレフィーヤちゃんもいるんだ!エルフの色香に騙されたりはしない!」

 

 「そこにもう一人リューを付け加えてもいいんじゃないか?なんだったらチラッと写真の確認するか?」

 

 「何やってるの?」

 

 二人の白熱(?)した闘いは唐突に終わりを告げた。

 

 「アイズさん、たいしたことじゃありません。ただの………変人です。」

 

 なんと告げようか迷った門番はあろう事かカロンを変人呼ばわりする。しかしそれがまさかの命取りだった。アイズは変人に興味を持つ。

 

 「変人………さん。たしかベートさんのストーカー?」

 

 「否定はしない。俺はしょっちゅう凶狼を追いかけている。」

 

 「何でベートさんを追いかけてるの?」

 

 「ベートのあまりの可愛さについ………な。」

 

 適当をぶっこくカロン。

 

 「ベートさんはかわいい扱いをすると怒ると思う。」

 

 「そうか、じゃあ凶狼に謝らないとな。ホームの中へ案内してくれるか?」

 

 「わかった。」

 

 「ちょ、アイズさん------」

 

 アイズは余りにも純粋だった。

 

 ◇◇◇

 

 いっぽうその頃------

 

 ーー何とか間に合って下さい。

 

 リューは必死に走っていた。それはもう必死に。まともに考えれば門番が無礼者を本拠地の中へ通すわけはない。しかしなにせ相手は変人(カロン)だ。いつものように無駄に達者な話術で超理論を展開し相手を丸め込んでいないとも限らない。リューは必死で間に合うことを祈りながら走りつづけていた。

                                                        後編へと続く


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