ダンジョンで運命を変えるのは間違えているだろうか   作:サントン

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飛ばして構わないあまりにも雑な繋ぎの回

 士郎は吼えた!心の底から叫んだ!

 

 「なんでさ!?何でそいつ(アポロン)がセイバーなのさ!?俺のヒロインのアルトリアはどこに行ったんだ!?俺はセイバーを救わなくちゃいけないんだ!!」

 「士郎、それは違う。お前は間違っている。」

 「間違っているのはこのクソみたいな拙作だろ!」

 「士郎、アルトリア本人がどれだけ生者だと言い張ったとしても、拙作ではアルトリアは今この時代においては未練を残した死人に過ぎない。死人が自分の執念を叶えるために戦争を起こして生者の安寧を妨げている、とどの詰まりは地縛霊。悪霊は救うものではなく、はらうものだ。」

 

 あまりにあんまりな理屈、身も蓋も無い。これは一体どれだけの避難を浴びてしまうのか?

 

 「そんな!?そんな馬鹿な!?俺の体内のアヴァロンはどうするのさ!?」

 「そんなん別に埋まったままでいいだろ。今まで何の問題も無いんだし。お前はそんなことよりもヒロインを絞った方がいいぞ?ウッカリか巨乳かに。このままではいずれ修羅場だぞ?」

 

 ◆◆◆

あらすじ

 柳洞寺にいこう。

 

 リリルカと方針を決めたカロン達は柳洞寺へと向かった。

 人員はカロン、バーサーカー、アポロン、凛、士郎、イリヤスフィールである。

 虎と桜はお留守番。

 

 「というよりも士郎、お前も残っててよかったんだぞ?てゆうか頼むから残っててほしかったんだが。」

 「いや、俺も行く!」

 

 カロンは若干困っていた。

 何しろ士郎が全く話を聞かない。

 カロンとバーサーカーは主戦力、アポロンなんでついて来たのかはよくわからないが凛とイリヤスフィールは高レベルな魔術師。

 そして戦力に劣り、自衛もままならない士郎はただの足手まといに過ぎないのである。

 カロンは本来であれば、凛達にも来てほしくなかったが、彼女たちはマスターという役割があるために仕方がない。

 

 ーーうーん、護る必要がある人間に無駄について来られても困るのだがなぁ?

 

 当然の理屈。邪魔でしかない。

 そうこうしているうちに柳洞寺の石段へと一行はたどり着く。

 石段を彼らは上り行く。

 

 「待たれよ。」

 

 そこをすらりとした美丈夫が道を妨げる。

 

 「………アサシンか!?」

 「ええ。」

 

 カロンはイリヤスフィールに確認する。

 

 「俺の名は佐々木 小次郎。ここを通りたければ俺を倒してゆくがよい。」

 「俺達は話し合いに来たんだが?」

 「フッ。女狐の許可がおりんよ。」

 

 チョイチョイと裾を引かれるカロン。

 

 「うん?どうしたんだイリヤ?」

 「別にあのチョンマゲは無理に倒す必要はないよ?私のバーサーカーなら他のところから勝手に侵入してキャスターを追い出すことができるもん。」

 「ま、待て!まさか俺の出番はこれだけではあるまい!?待ってください!お願いします!戦ってください!」

 

 佐々木 小次郎は大慌てする。何しろここを無視されたらもう出番がない。間桐慎二とほぼ同じ扱いである。

 

 「仕方ないな。バーサーカーに任せてもいいか?交渉に来たわけだし、武器(バーサーカー)を置いていけと言われてしまえば仕方あるまい。」

 「うん。」

 

 ◇◇◇

 

 「来たわね。」

 

 寺の奥から出てくる紫色の服を着た女性、もちろんキャスターである。

 

 「手土産もなく唐突で不躾な訪問で申し訳ないが、俺達は今日は話し合いに来たんだ。なあ、キャスター。俺達は戦いを避けることはできると思うか?」

 「どうかしらね?あなたは私の望みを叶えられて?」

 「望みとは?」

 「安定した魔力の供給よ。私が現界可能な程度の。それがなされるなら歩みよりの余地があるわ。」

 

 キャスターは思惑ありげに凛を見る。

 キャスターの願いは幸せな結婚生活。

 キャスターは無意味な争いを望んでいるわけではない。

 戦わずに願いが叶うのであればそれが最善である。

 

 しかし戦いの勝者でなければ願いが叶わないのであれば彼女は勝者を目指す。

 だが現有戦力を比較して彼女は勝てるのか?佐々木 小次郎を合わせたら?

 ………厳しいと言わざるを得ない。

 何しろ敵勢力にヘラクレスが存在する。かの一騎だけで彼女には絶望であり、佐々木 小次郎は基本的にその場を動けない、つまり案山子である。

 

 だが、しかし、もしも、抜け道が存在するのであれば?

 

 彼女は現界して今日まで人々の魔力を少しずつ集めて生き延びてきた。

 しかしそれは明るみに出れば敵意を招きうる行為である。

 ゆえに思案する。凛であれば彼女に安定した魔力の供給が可能。

 ベストなのは、自分の利点を売り込んで新たに凛をマスターとすること。

 そのためには彼女のサーヴァントが邪魔ではあるが、話し合いに来た相手にいきなり喧嘩を売ってしまってはどうやっても交渉が決裂する。そうなれば今は遊ばせているバーサーカーが全力で襲い掛かって来ることは明白である。

 彼女もまた、老獪なのである。

 

 ーー今であれば敵方の強力な戦力も大男一人。しかしヘラクレスはいざとなったら横紙破りが出来るほどに強力!可能な限りの譲歩案を引き出す!一番いいのは聖杯戦争終結後に大男と契約を切った後に私との再契約をさせること!

 

 「うん?というよりも俺達の世界だったらこっちの世界よりも魔力持ちいっぱいいるぞ?魔石もいっぱいあるし。そんならお前いっそ俺達の世界に来ないか?仕事をしっかりするなら対価として魔力はだいぶ回せるぞ?」

 「………あなたの組織とはどこにあるの?」

 「違う世界(作品)だな。」

 「………私の一存では決められないわ。時間を頂戴。」

 「そうか。まあ互いに歩み寄る余地があるとわかっただけで収穫だろ?また今度話し合いによる歩み寄りを行おう。俺達この下の洞窟に入りたいんだよ。攻撃は勘弁してくれないか?」

 「わかったわ。」

 

 もし仮にここでバトルを書いたとしても、バーサーカーが暴れて、弱いものイジメになるだけなのである。イジメ、カッコワルイ!

 ゆえに誰かは雑にバトルを省略する。

 

 ◇◇◇

 

 円蔵山の斜面を歩く彼ら。やがて彼らは洞窟に入る横道を見つけだす。

 ヘラクレス?まだ佐々木さんと楽しく遊んでらっしゃいます。

 

 「どうするの?ヘラクレスを待つ?」

 

 イリヤは問う。

 

 「どうするかね?とりあえず少し中の様子を見てみるか。」

 

 カロンはそう提案する。中へと彼らは侵入していく。

 

 ◇◇◇

 

 しばらく侵入していくとやがて彼らは広間へと出る。

 

 「これ、何かしら?結界宝具かしら?」

 

 彼らは透明な薄い膜の存在に気づく。

 

 「俺は通れるぞ?」

 「私達はダメね。」

 

 それは英雄王の宝具であった。

 英雄王は世界中の宝の原典を所持している。それはつまり、宝を護る防衛機構の原典も所持しているということである。

 英雄王が決められた人間しか通さない宝具を持っていたとしても、特に不思議はないのである。

 

 ………我ながらあまりに雑な説明である。

 しかし仕方がないのだ。英雄王がこんな宝具を持ってても実際不思議ではなくて、フェイトだというならせめてギル様とのバトルくらいは書くべきであり、誰かは致命的にネーミングセンスがないのである。全く思いつかない。許してください。

 

 「………ヘラクレスも通れない可能性が高いな。俺一人で先に行ってみるよ。」

 「気をつけてね。」

 

 ーー俺一人をご所望か。うーん、ヘラクレスが来れないことは大きなマイナスだが士郎が入れないことはプラス、差し引きの判定はマイナスだな。

 

 カロン一人での侵入、そして凛不在である。

 それはつまりどういうことなのか?

 それはつまりカロンは令呪を一つも使用しないままで戦争が終わるということである。

 というよりも他のサーヴァントも誰か一人くらいは令呪を使用したのか?

 やはりしていないのか?まさかの令呪無意味?

 いや、そういえば麻婆神父が青タイツの偵察命令に令呪を使用したんじゃないのか?

 

 結局、麻婆神父以外は徹頭徹尾令呪を使用しないバトルもほとんどないあまりにもお粗末であやふやな聖杯戦争は、原作様セイバールート二日目にして早くも終局へと近づく。そしてセイバーはアポロン。

 ただし、凛はリリルカに騙されているためまだ聖杯戦争が終わるとは思っていない。

 

 カロンの目前を突如青い影が現れ横切る。

 

 

 「よう!ようやく来たか!」

 「お前は!?」

 

 現れる紅い槍の青い兵士。英雄の中の英雄、クー・フー・リン。

 

 ーー今回はこいつはマスターを連れてねぇ!互いに手加減無しの戦いが出来る!

 

 クランの猛犬は戦いを想い、獰猛に嗤う。

 クー・フー・リンは以前の戦いの決着を付けるためにカロンを待ち構えていた。

 されどカロンは思案する。

 わざわざ戦う意味はなくないか?………俺にとってはまったく意味ないな。

 

 「………今から一緒に食事に行かないか?」

 

 カロンの先制、いきなりの誓約攻撃である。

 

 「………お前それずるすぎるぞ?」

 「殺し合いに卑怯という言葉は存在しないだろ?第一俺は亡霊のお前と違って生身だぞ?んでどうするんだ?誓約を破って俺と戦うのか?それとも守るのか?約束を破れば制約を受けるだろうが食事に着いて来れば、食後は制約のない戦いができるかもしれないな。」

 

 ◇◇◇

 

 「というわけでこいつと一緒に取り合えず食事をすることになった。スマンがイリヤ、バーサーカーを護衛につけて、俺達と一緒に食事してくれないか?」

 

 皆の集まる広間へカロンは戻る。カロンはイリヤ、バーサーカー、カロン、クー・フー・リンの四人で食事することを決める。いつまでも食事風景を書いてても、仕方ないので食事風景は割愛される。

 

 「俺はこれから用事があるから、お前は食後は腹ごなしに階段で佐々木と二人で遊んでおいてくれ。相手に不足は無いだろ?」

 「………………マジかよ!?ずるくねぇか?お前が戦えよ!」

 「犬を食わせてないだけありがたいと思ってくれ。俺は一切嘘はついてない。誰も俺が戦うと言ってない。佐々木は強敵だし戦いたいならちょうどいいじゃないか。イリヤはそいつが入ってこれないようにヘラクレスに洞窟の入口を見張らせといてくれるか?」

 

 ◇◇◇

 

 「遅い………我を一体いつまで待たせるつもりだ!?」


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