ダンジョンで運命を変えるのは間違えているだろうか   作:サントン

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タグの力

 カロンと凛はあのあと敵の正体について推測を行ったが、歴史上槍を使う英雄は数多く結局敵の正体は掴めなかった。

 時間はすでに夜遅く。

 

 「そういやあんたまだ名前も聞いてなかったわね。何て言うの?」

 「俺はカロンだ。」

 「聞いたことないわね。まあ生者だという話だしね。じゃあカロン、今日はもう遅いし寝るわよ。魔力を使って疲れたし。」

 「さっき言ってた学校とかいうのはどうするんだ?」

 「明日起きてから考えるわ。」

 「ここに敵が襲ってくる可能性は?」

 「ここは魔術師の工房よ。敵が侵入すればすぐにでもわかるわ。」

 「俺は生身だがどこで寝るんだ?」

 「居間にソファーがあるわ。」

 

 ◇◇◇

 

 原作世界との違い………そう、まさかのエミヤさんの不在。

 原作世界に於いてはエミヤさんは朝に弱い凛のために紅茶と朝食を用意していた。

 しかしこの世界はまさかのカロン!生身のオリ主。知名度補正0っっ………!いや、エミヤさんも知名度補正0か。

 まあともかくカロンは朝に弱く、昨夜は遅くまで凛と二人で敵の視察を行っていた。そうなると必然。

 

 「コラアアァァァーーッ!!」

 「うん、なんだ?どうしたんだ?」

 「なんであんたも一緒になって寝坊してんのよ!今お昼の3時よ!もうすぐ学校終わるじゃない!」

 

 凛はボサボサに寝癖のついた髪を振り乱す。

 カロンの髪ももじゃもじゃ。

 

 「マスターも寝坊してるだろ?」

 「私は昨日宝具を使って魔力を食ってんの!あんたはなんで寝坊してるのよ!?」

 「うーん、俺も実は朝弱いんだ。」

 「朝じゃないわ!もうすぐ夕方よ!」

 

 昨日は結局学校をどうするかを決めないまま寝てしまった。しかしこうなってしまってはどうするも何も無い。

 

 「で、これからどうするのよ。あんたに何か案はあるの?」

 「ああ、昨日ソファーで横になった際にいくつか思い付いたことはある。」

 「何よそれ。話して見なさいよ。」

 「まずは結局失敗した偵察をどうするかだな。円蔵山だけでも遠巻きに確認したい。」

 「そうね。」

 「次に気付いたことだが………マスターはリューにどこを偵察させていたか覚えているか?」

 「ええ。円蔵山と間桐家と冬木教会ね。」

 「リューが襲われた場所は?」

 「このあたりかしら。」

 

 凛は地図を指す。冬木の橋を挟んで向こう側。

 

 「俺はリューに円蔵山、間桐家、冬木教会の順に偵察を行うことを指示していた。円蔵山が一番簡単に判別がついて冬木教会は最も遠いからだ。そしてほら。」

 

 定規を置いて遠坂邸と冬木教会を繋ぐ線上………そこから僅かに外れた教会近く。

 

 「リューはあれでも偵察は得意だ。速度もあり、いざという時は拠点を探らせないように迂回して拠点に戻って来るようにも指示してある。しかしそれでも逃げ切れない時は遭遇地点で戦闘を行う取り決めだ。」

 「えっ、これってつまり………」

 「ああ。明らかに冬木教会を偵察した帰りに比較的教会に近い地点で敵と遭遇したということだ。どう思う?」

 「えっ、まさか………いや、でもあいつならやりかねない………。」

 

 そう、みんな大好き言峰神父である。

 言峰神父は優秀な兵ではあるが将ではなく、槍のアニキは戦えれば細かいことにはこだわらない。

 ギル様が控えていることもあり、襲撃地点など細かいことにはこだわっていなかった。

 

 「確定ではないがきな臭いのは事実だ。ここの教会は槍を携えた死神を奉っている可能性がある。」

 

 凛は手を口元に置いて思考する。

 

 ーー確かに………あいつは信用できないし、万一を考えると近づかないが賢明ね。

 

 「とりあえず警戒だな。それじゃあ明るい内に円蔵山の偵察に向かうか。」

 

 ◇◇◇

 

 「やっぱりいるわね。」

 「そうか。」

 

 ここは円蔵山、柳洞寺。

 カロンは魔術には疎い。しかし凛は当然結界の気配を感じ取り何者かの存在を感じ取る。

 

 「籠城ならキャスターの可能性が高いわ。気取られたくないからあまり近づかないで。それにしても………。」

 

 凛はカロンを見る。デカブツの外国人。昨日はウッカリ失念していたがこんなん目立たないわけがない。挙げ句に霊体不可。

 

 これどうすればいいの?私にこんなデカブツを寄越した馬鹿は誰?サイズの変更はきかないの?というか戦いで服が破れたりしたらどうするの?そんなサイズの服の替えはないわよ?

 

 凛は思わず溜息をつくのであった。

 

 ◇◇◇

 

 「念のために間桐家も確認しておくか。」

 「あいつは多分部活でまだ学校にいるわよ。」

 「あいつ?間桐の人間は知り合いなのか?」

 「ええ。言ってなかったけど私も御三家の人間なの。たまたま同級生なのよ。」

 「どういうことだ?まさか聖杯戦争は参加者の年齢制限がされているのか?」

 「いや、そうじゃないの。うちは前回の十年前の戦争で当主を失ったわ。間桐家はどうだったかしら………。」

 「ああ、そうか。済まない。」

 「気にしないで。」

 

 結局凛はカロンが目立つことについては諦めた。もう知らん。

 今からなんと言い訳するか頭が痛い。しかし凛は学校では優等生で通している。命がかかっていることも加味して、後になんとか言い訳を捻り出そうという、つまりは問題の後回しだった。多少苦しい言い訳でも優等生の発言であれば通る公算は高い。

 結局発言とは、誰の口から出たかで持つ力が変わるのである。

 

 そうこうしているうちに学校へとたどり着く。

 

 「………いるわね。」

 「そうか。」

 

 当然いるのはリューが偵察の時に見かけた紫髪の大女(メデューサ)である。

 

 ーー私はどうするべき?まさか本当にいるとは………。当然この大男を校内で連れ回すわけにはいかないし………どう見ても入校希望者にはみえない………!どこからどう見ても二十歳過ぎ!私の親戚で保護者………無理………!どこから見てもやはり外国人………!でも学校には結界が張ってある。タチの悪い感じのが。間違いなく中に何かいる。

 

 「どうしたんだ?」

 「迷っているのよ。間違いなく中にいると思うんだけど………あんたを中に入れたらどう考えても警備がよって来るわ。」

 「………中で罠を張って待っている可能性は?」

 「既に罠は目に見えて存在しているわ。中に入った人間を溶かすタチの悪い結界があるわ。」

 「大丈夫なのか?」

 「まだ発動には時間がかかるわ。でも邪魔しないと発動が時間の問題だし、あんたを連れていかないと危険だし。」

 「じゃあもう少し待って遅い時間に無断侵入するしかないだろ。」

 「そうね、それしかないわ。」

 

 ◇◇◇

 

 「勿体ねぇな。それ消しちまうのか?」

 「「誰(だ)っ………!」」

 

 カロンと凛が学校の屋上で結界の基点を消してる最中に何者かが現れる。

 慌てて確認をすると先日使い魔で確認した紅い槍の青タイツの男だった。

 

 凛は即座に決断する。

 

 「着地は任せたわ。」

 「ああ。」

 

 迫り来る紅い槍を避け屋上から飛び降り校庭へと待避する二人、カロンは即座に凛から魔力を受け取り鎧と盾を編む。

 

 「お前らで七人目か。お前クラスは何なんだ?なんで盾しか持ってねぇんだ?」

 

 七人目………クー・フー・リンは勘違いをしている。

 彼はリューと遭遇したために、佐々木小次郎をセイバーと勘違いし、リューをアサシンと勘違いしていた。

 言峰神父は当然霊基盤を持っておりセイバーが存在しないことを知っていたが、案の定[愉悦!]とかいう感じでクー・フー・リンには真相を伝えていなかった。

 

 

 そしてクー・フー・リンの推測で必然的に残るクラスはアーチャー。しかし。

 

 「テメエ、エクストラクラスか。」

 

 どう見てもアーチャーではないカロンにクー・フー・リンはエクストラクラスと推測する。

 

 ◇◇◇

 

 交錯する思惑。

 

 ーーどうする、こいつの速さではマスターを狙われたら勝ち目が存在しない。リューを護衛につけるしかないか?しかしリューは今のところ隠し札だ。なるべくなら切りたくない。しかしマスターの安全を考えるならば。

 

 ーーランサー、予定外!カロンに勝ち目はあるの?宝具のリューと協力すれば?しかし聖杯戦争は長い戦い。なるべくなら魔力を温存したい。でも………切るしかない!

 

 ーーこいつなんで武器持ってねぇんだ?クラスは?間違いなくエクストラ!戦い方は?予想がつかねぇ。まああんまり考え込むのも性にあわねぇか。

 

 猛犬は獰猛に笑う。時間はない。カロンは決断する。

 

 「凛!魔力を回せ!リューをお前の護衛につける!」

 「あんたは!?」

 「俺のことは気にするな!」

 

 戦端は開かれる。

 カロンとクー・フー・リンが戦い、隠し札にしておきたかったリューが暴かれる。

 

 「リュー、お前は凛の護衛だ。しばらくそちらで観察を行え!」

 「わかりました!」

 

 ーーあの女はこの間の………アサシンじゃなかったということか。こいつの宝具か?

 

 カロンに攻撃を加えるクー・フー・リン。

 カロンは攻撃力は皆無に等しい。しかし守備力は異常に高い。存在そのものがアイアスの盾(ロー・アイアス)

 

 クランの猛犬は槍で幾度もカロンに刺突を加える。カロンはそれを盾で斜めに受ける。

 さらに盾の側面で槍の腹を弾き、上手く相手の攻撃を受け流す。

 槍での点の攻撃である突きは刀剣による線の攻撃よりも、受け止めにくいが受け流しやすい。突きの力のベクトルが一点集中であるためである。

 カロンの持つ盾の面積は広く、カロンは長く仲間を護る盾役だったため盾で相手の攻撃を受ける技量は高い。突きの攻撃にも上手く対応する。

 カロンは猛撃を捌きながらなおも思考する。

 

 ーー敵は俺の特長を知らない。だが武器を持ってないし俺の強みを確信されるのは時間の問題………相手の攻撃をわざと受けた虚をついてリューと協力して仕留めることは?無理だ。危険が大きすぎる。相手の槍捌きを見るに百戦錬磨の手練、隙ができるとも思いづらい………そして俺は生身だ。しかし。

 

 カロンはなおも猛攻を捌く。リューがさほど持たなかった相手に。

 

 ところでしかし、何なのか?それはしかし俺は案外ついている。

 

 カロンはリューより強いのか?

 答はノーである。

 カロンは攻撃力はゴミである。同格以下であればしぶとく戦い勝てるが、格上には攻撃は通らない。格上相手では最高の結果で、しぶとく戦って引き分けが関の山である。

 

 戦いには厳然たる相性が存在する。

 カロンはこの聖杯戦争において、リューより優位に戦える相手が幾人か存在する。

 もちろん、逆にリューが優位に戦える相手も存在する。

 

 ここで分析をしてみよう。

 セイバー………敢えてここでは明言を避ける。

 ランサー………敵は素早さと技量に優れ、リューでは相手の攻撃を防ぎ切れずカロンは防御可能、ゆえにカロン優位。

 アーチャー………不在、ゆえに無意味。

 ライダー………三次元のアクロバティックな戦闘を行い、なおかつ素早いためにカロンにも防御が難しい。速度について行けるリュー優位。

 アサシン………今回のアサシンは日本刀を使用する。日本刀は鋭いが脆い。アサシンの技量は高く、日本刀の重量も考えるとリューに防ぐことは難しい。逆にカロンであれば耐久が高く、受けた際に刃が伸びて切れ味が落ちる可能性は高い。カロン優位。

 バーサーカー………一長一短。カロンはしぶといが遅くリューは素早いが脆い。ただし逃走に主眼をおけばリュー優位。

 キャスター………転移と爆撃にはカロンはなすすべがない。ゆえにリュー優位。

 

 もちろん、これがすべてではない。マスターという要素や、どう戦うかの戦術も関わって来る。

 これはあくまでも拙作の誰かが考えた相性である。

 

 カロンは相性を考えてついていると考えていた。

 相手は明らかに格上。単騎で勝利すること能わなくとも、戦いの相性がよいために時間稼ぎは可能である。時間が稼げれば良案を思い付く余地がある。

 

 ついでになぜカロンの幸運がEなのかは拙作の誰かのせいである。まあ二回身内を殺された人間が幸運なわけないよなと。

 

 鈍い金属音を立てて戦いはなおも続く。

 クランの猛犬は槍を手に幾度となく刺突を行う。時に上からの振り下ろしや下からの掬い上げを織り交ぜて。

 しかし固い。盾で上手く受け、受け流す。クー・フー・リンが鬱憤を溜めるほどに固い。

 さらに思惑は交錯する。

 

 ーーちっ、どういうことだ。攻撃してきやがらねぇ。万一のカウンターはあるのか?耐えてひっくり返す思惑が?どうするつもりだ?

 

 ーーこの男………やはり戦いに喜びを感じるタイプだという可能性は高い。どうする?いつも通り挑発するか?しかしこいつは間違いなく百戦錬磨。宝具とやらの切り札がどういうものかもわからない。難しいな………。

 

 リューは万一に備え臨戦体制、カロンは専守防衛、クー・フー・リンは疲れ知らず。

 猛犬の槍はカロンの頭部付近を薙ぎ、カロンはそれを盾ですらして受ける。

 槍を回転させて石突きでカロンの腹部を突きにかかる猛犬、しかし空いた腕で掴まれる。

 カロンに蹴りを入れ離れる猛犬。

 

 「おいおい、別にマスターを狙ったりしねぇぜ?二人がかりでかかってこいや!」

 

 しかし当然カロンは敵のいうことなど信じない。リューを離したら凛がやられるのに一秒かからない。

 

 カロンは幾ヶ所か攻撃を受け血を流すが、戦いは膠着状態に近い。

 カロンはなおも思考する。

 

 ーースキル言霊、使えるか?しかし相手の急所が見えない。揺さぶれそうな箇所が見当たらない。怒りで単調になったり単純な挑発に乗ったりする相手か?どう見ても戦いに関しては老獪な相手だ。

 

 実は弱点が全く見当たらないわけではない。あてずっぽうでいいなら、冬木教会が拠点だと揺さぶる手もある。

 しかしこれはむしろ当たっていたときの方が危険だ。格上の相手が拠点を護るためになりふり構わず攻めて来る可能性がある。軽々とは切れない札だ。

 

 なおも戦いは続く、変化のない戦い。猛犬が攻め、カロンが捌く。

 攻撃のほとんど通らないクー・フー・リンは鬱憤を溜め、フラストレーションを募らせる。

 

 「チッ!」

 

 クランの猛犬の表情が変わる。犬歯を剥きだしより獰猛なものへと!

 

 「テメエさっきからヘラヘラ笑いやがって何のつもりだ?防御だけで反撃して来ないくせに?」

 

 その言葉とともに禍つ紅い槍に凶悪な量の魔力が集まっていく。

 因果逆転の槍、それが今まさにその真価をあらわそうとしている。

 

 カロンはあたかも周りの空気が冷え込んでいくような錯覚を覚える。

 

 ーーこれは………この気配は………やばい!奴はなんらかの札を切るつもりか!?俺に防ぎきれるのか?

 

 「カロン!」

 「リュー、動くな!マスターの守護を優先しろ!」

 

 リューは焦る。カロンは生身だ。

 厭な感じは拭えず、あからさまに敵は切り札を切ろうとしている。

 

 猛犬は槍を構える。その姿形はあたかも獲物を狙う猫科の猛獣。

 

 「テメエは良く持った方だよ。たとえ防御専門だとしてもな!」

 

 猛犬の手のうちにある槍は凶々しく脈をうち、躍動するときを今かと待ち構えている。

 

 「くらいな!突き穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)!」

 

 ゲイ・ボルクは因果逆転の呪いの槍!正当な筋道を通らず、心臓に当たったという結果から軌道を逆算する恐ろしい呪いの槍!殺戮の呪いは今獰猛な獣の腕より放たれた!

 

 

 

 

 

 

 

 

 ボスッ………。

 

 「「「「???」」」」

 

 全員の困惑。おいてけぼり感。あれだけかっこつけて見得を切ってその結果がボスッ。

 因果逆転の槍の先っぽは逆転せずに地中に埋まっている。

 

 「何だと!?どういうことだ!?」

 

 困惑のクー・フー・リン。原因は何なのか?

 

 原因は………そう、原因はすべて誰かにある。誰かのせいなのである!

 

 誰かはこう考えた。

 アレ?ゲイボルク発動したら詰まないかコレ?

 主人公の幸運Eだし。

 

 なるほど、ならば発動させてはいけないのか。どうしよう。普通に原作様沿いでもいい気がするが、せっかくだし何か発動させないための超理論はないかな?

 カロンについてるのは………耐異常EXか。

 

 耐異常………そういえばゲームではしばしば即死攻撃は状態異常判定されるよな?即死攻撃は状態異常判定でいいのかな?即死攻撃は状態異常判定かな?即死攻撃は状態異常判定だよな?即死攻撃は状態異常判定だ!

 

 それに因果逆転の呪いというしな。呪い………なら状態異常で大丈夫だろ。一応あれだけ呪いだと連呼しておいたし。

 それにせっかく耐異常EXを付けてるんだし使わないと何かもったいなくて損した気分になるしな。他に使い道があるかわからないし。

 よし、これだけ理由があるんだし、ゲイボルクは呪いで呪いならば状態異常扱いだ!

 

 そう、拙作にはギャグのタグをつけているのである!現実的に考えれば即死攻撃が状態異常判定とか考えづらい。しかし拙作はある程度なんでもありなのである!

 そしてその結果のあれだけ格好をつけてボスッであった。

 

 「ブフッッッ………。」

 「誰だ!」

 

 何者かの思わず吹き出す声、猛犬は戦いを見ていたものがいることに気付く。

 

 「この勝負、預けるぜ。」

 

 クー・フー・リンはそういうと目撃者を始末するために去っていく。

 

 「しまった!一般人が!追うわよ!」

 「ああ。」

 

 一般人を助けるために敵を追う三人。リューを先行させてしまうとあまりにも護りが手薄になってしまうためにできない。

 彼ら三人は校舎の階段を上って行った。

 

 ◇◇◇

 

 「嘘、何だってあんたなのよ!何だってあそこで吹き出してしまったの!確かにあれはマヌケだったけど………」

 

 既に辺りにクー・フー・リンはいない。

 校舎内で胸を貫かれて廊下で俯せる犠牲者。

 犠牲になった一般人、それは衛宮 士郎だった。彼は、凛の血の繋がった妹であり今は余所の家の人間である間桐 桜の思い人である。

 

 「凛、どうするんだ?」

 「蘇生を行うわ。成功するかわからないけど。ああもう!」

 

 凛は懐から紅い宝石を出す。宝石には凛が貯めつづけた魔力が込められている。

 凛は彼女が長い間貯めた魔力を使い蘇生を行うのだった。


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