ダンジョンで運命を変えるのは間違えているだろうか   作:サントン

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捩曲がる運命編
新たなるプロローグ


 俺はカロン、ただの一般人だ。

 俺はつくづく思うのだが、この拙作は一体いつになったら終わるんだ!?

 

 アホな誰かはまた新しい超展開を思い付いて書き出してしまった。俺は穏やかな生活を望んでいるのだが………勘弁してくれないのだろうか?

 

 「カロン、起きてください!今日は何の日か覚えているでしょう!」

 「ううん………おぉい、勘弁してくれよ?まだ朝の4時じゃないか?休みはギリギリまで寝かせてくれるっていったろ?」

 

 外はまだ太陽がでておらず、昨日は夜遅くまで仕事をしていた。

 俺は朝は弱い。リューとの交渉で、休みはギリギリまで寝かせてくれるって言ってたのに………

 リューはこちらを見ない。集合はお昼過ぎのはずだが?

 おそらく楽しみでつい早く俺を起こしてしまったんだろう。しょうがない奴だ。眠い。

 

 まあ、とりあえず俺はこの日は新婚旅行を計画していた。

 リューを連れて、異世界への旅行をベルに頼んだ。

 誰かに安全な世界を聞いて、俺達はそこへと向かっていたのだが………。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 ここはどこか違う世界。運命の交差する世界。

 その世界では今、地下で一人の少女が真剣な表情で何やら呪文を唱えていた。

 

 「素に銀と鉄、礎に石と契約の大公。祖には我が大師シュバインオーグ。降り立つ風には壁を。四方の門を閉じ………

 

 彼女の名前は遠坂 凛。そう、もちろんあの国民的名作、フェイトステイナイトのヒロインである。ツインテールの黒髪にすらりとした肢体、赤い服に黒いスカートを履いている。手には赤い大粒の宝石。

 彼女は魔術師の家系であり、遠坂家は聖杯戦争という戦いに勝利して根源という神の座へと到達することを至上目的としている。

 まさかである。誰かはまさかのオリキャラとフェイトステイナイトとのクロスオーバーを書こうとしている。一体どうなってしまうのだろうか?果たして書ききれるのだろうか?どこまで拙作は明後日へと向かうのだろうか?

 

 そんな誰かの思惑とは裏腹に凛の呪文は続く。

 

 「寿限無寿限無五劫の擦り切れ海砂利水魚の水行末雲行末………」

 

 !?ちょっと待って凛ちゃん!?それ呪文違いますよ?それ寿限無、落語ですよ!?うっかりにもほどがありますよ?

 

 「南無妙法蓮華経、南無阿弥陀仏、テクマク○ヤコンテクマク○ヤコン………ラミ○スラミ○スルルルルルーッ………破ぁぁぁーーッッ!!」

 

 やりたい放題の呪文を唱えた凛は腰を落として力強く両手を前へと突き出す。

 拙作はどこまで行ってもただのギャグだった………。

 

 「よしっ!手応えアリ!最高のカードを引き当てた!」

 

 よしっ!じゃないよ!!間違いなく最高のカードなんか引き当ててないよ!

 

 ◇◇◇

 

 俺はカロン、一般人カロン。何の力も持たない人間だ。眠い。

 今俺は、リューとの新婚旅行に向かっている。

 今俺はベルの魔法で次元の狭間を移動しているのだが………なんかさっきから体が引っ張られてないか?寝ぼけて今まで気付かなかったがもう大分引っ張られているぞ?

 

 「ベル、なんか俺さっきから引っ張られてるんだが、大丈夫かな?」

 「えッ!?」

 

 驚いて俺を見るベルとリュー。しかしそうしている間にもどんどん俺の体は引っ張られていく。

 

 「カロンさんっ!」

 「カロン!」

 

 ベルとリューが慌てて叫ぶ。

 しかし俺の体はどんどん引きずられていく。そしてあっという間に俺の体は次元の狭間に飲み込まれて行った。

 

 ◇◇◇

 

 「あれ?ちょっと!なんでなにもあらわれないのよ!」

 

 なんでもなにも無い。時間を間違えたうえにあれだけ盛大に呪文を間違えたらなにも現れないのは当たり前である。しかしーー

 

 ーーードガアアアアァァン!!!

 

 凄まじい音が辺りに鳴り響く。上の階からだ。凛は大慌てする。

 

 「ああもう、なんだってのよ!」

 

 凛は大慌てで上階へと向かっていく。

 

 ◇◇◇

 

 「で、あんたが私の使い魔ってことでいいの?」

 「いいや、違うぞ?」

 

 俺はカロン、ただのカロン。何だか気付いたらここにいた。ビックリして寝ぼけていた目が覚めた。なんでだ?どこだここは?

 なんか目の前の少女が俺のことを使い魔と言っている。俺はそんなものではないぞ?

 

 「あんたが私の使い魔でないのならなんだっていうのよ?パスも間違いなく繋がっているわ。」

 

 俺は辺りを見回す。ここは洋室だ。俺はテーブルに突っ込んでいる。目の前には一人の少女。一体なんだってんだ!?

 

 その時突如俺の頭に様々な知識が流れ込んで来る。

 聖杯戦争?七騎の殺し合い?何なんだこれは!?

 ………俺は何か変なのに巻き込まれたらしい。

 

 「待ってくれ。俺はこんなものに巻き込まれる言われはないぞ?」

 「?あんた英雄じゃないの?体も大きいし。パスも繋がっているわ。」

 

 凛は相手を見る。青い目の大男だ。英雄でいてもおかしくない風貌である。

 

 「いや、俺は英雄ではないと思うぞ。俺の頭にも聖杯戦争とやらの知識が流れ込んできたが、そもそも俺はまだ生きている。」

 「えっっ!?じゃああんたなんでここにいるの?」

 「次元の狭間を移動していたらそこから落ちてしまってな。おぼろげながら、その時に白髪の色黒の男を押し退けてしまった気がする………。」

 「じゃあそいつが私の使い魔じゃない!どうしてくれるの!あんた代わりに戦いなさいよ!」

 

 あまりのことに凛は怒り狂う。自分のうっかりを棚に上げて。というよりも恐ろしいことに呪文を間違えたことに気付いてすらいない。しかもキチンと聞けばカロンが次元の狭間とか言ってることに気づけるはず。それ、間違いなく魔法!

 

 「そんなこと言われても俺には力は………あれ?」

 「どうしたの?」

 「ステータスが復元されてるな。なぜだろう?うん、聖杯のバックアップ?」

 

 凛はその言葉にステータスの確認を行う。

 ステータスを確認した凛は慌てる。

 

 「何よこれ。あんたどうなってるの?なんで耐久だけがA++で後は全部Eなのよ!?あんたどんだけ一芸特化なの!?その偏ったステータスで一体どうやって戦うの!?そもそもあんたは役割(クラス)何よ?」

 「うん、どうやら俺のクラスはエクストラクラスの守護者(ガーディアン)らしい。」

 「エクストラクラス!?じゃあ宝具は!」

 「リューとリリルカを呼び出せるらしい。」

 「誰よ!?リューとリリルカ!」

 「俺の妻と娘だ。」

 「あんたそんなに大きな図体して妻と娘に戦わせるの!?外道じゃない!」

 「リューは俺より強いし、リリルカは頭脳チートだ。うーん、でもリューは呼び出すと怒りそうな気もするからあまり呼びたくないんだよなぁ。」

 

 そして触れてはいないが、カロンには当然彼を支えつづけた黒白のスキルも存在する。

 クラス、謎のガーディアン。ステータス、耐久特化で後はゴミ。宝具、リューとリリルカ。そして黒白のスキル。果たしてこの札で誰かは一体どのような運命を紡ぐというのだろうか!?


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