43話 影
『さぁ、戦争の始まりだよ』
「具体的には……」
『んー、僕と時雨君と碧斗君、あと彼方ちゃんとあと一人は適当に決めて、悪いけどその5人で奪還って形になるね』
やっぱり悪い予感は当たっていた……。碧斗、彼方、もう1人、このもう1人揃うことにより、黒空先輩の力が発揮出来る。正直頼みはこの人しかいないからな……。だけど、巻き込みたくはなかったな……。
『ついでに君達には第六感の干渉にも至ってもらからね!』
「と言うことは……」
『うん!もしかしたら君達誰かは死ぬかもしれないね!』
この先輩、嫌いだったけど本気で心底嫌いになりそうだ。
もしかしたら誰かが死ぬかもしれないなんて、そんなことあっていいはずがない……。
「それは、絶対条件ですか?」
『あー?覚醒のこと? そうだねー、僕だけじゃ不安でしょ?そこまで僕を頼りにしないでよね!こう見えて僕は使い物にならないんだからね!』
頼りないな……。昔からそうか……。
『命の保証はしないけどさ、僕は出来る限り君達を守るつもりではあるよ……それが最低条件』
「先輩に頼りきりって訳にも行かないし、いいですよ俺は死んでも……と言うと語弊あるけど、第六感への干渉俺は努力してみますよ」
『そう、来なくちゃね!時雨君』
「やめ、離せ!」
◆
「まぁ、ってなわけなんだが……」
「へ……時雨まじで言ってんのか?」
「……」
俺は黒空先輩ととりあえず彼方と碧斗の元へと行き、ある程度の事情、第六感の干渉について色々話した。
「未だに能力だとかお前の兄さん、白露さんが二重人格だとか色々信じられないけど……お前がそんなこと言うやつじゃない事は知ってるし……本当なんだよな……」
僕は無言で頷く、それと同時に後ろで黒空先輩がうんうんと頷く。
「言っておくがこれは俺たちの問題だからな2人は無理に参加しなくても大丈夫だ、」
俺は2人の顔は見れず下を向いて2人に逃げ道を用意した。逃げ道と言い方は悪いが、正直2人には来て欲しいくないからな。
「ううん、私は関係なくない、柊さんはお姉ちゃんだし、お兄ちゃんの困ってることは私も力を貸したい」
『彼方……』
「あ、ああ!そうだよな!お、俺だって無関係じゃないぜ!親友が困ってるんだ!助けてやらないわけがない!」
「2人とも……」
自然と涙がこぼれ落ちそうになった。私情なのかもしれないがここまで思ってくれるなんて嬉しい。
『2人ともありがと! 正直感動で言葉も出ないよ!得に碧斗くんに関してはあんな酷いことをしたにも関わらず』
「昔のこと掘り出さなくていいですよ、」
2人とも本当に変わってくれて良かった。
「となると、人数としてはあと一人か……」
色んな人が思い当たるが、正直信用できる人がいいな……。
近くに居ないだろうか……。
「君たちが困っているなら助けてあげるよ、僕は君たちの上にたつものだからね……」
『はぁーあ!影鷹生徒会長』